エンジェルガードの仕事は多岐にわたる。護衛、戦闘、人助け。物質運搬に救護活動。
つまるところ、治安・運輸・医療機関。
頼る方はなんでも頼めていいのだが、頼まれる方はというと。
「ったく、覚えることたくさんありすぎるよなー!」
盛りだくさんの内容は、仕事をしながら覚えるスタイルだ。
ノートをとる暇なんかはない。むしろ、一つ仕事が終わるか終わらないかのうちに次の仕事が入ってくるのだ。
今日もくたくたになって部屋へと帰りつく。
ショウは早速ジャケットをほうり投げていた。
「ほら、しわになるからかけたほうがいいよ」
差し出したハンガーを、ショウは寝転びながら受け取った。
「さんきゅ」
受け取りつつも、ショウは服をかける気配がない。
「まったく、ものぐさだなあ」
「ミノリがきっちりしすぎなんだよ」
口をとがらせる姿は、同い年のはずなのに弟のように思えてくるから不思議だ。
「基本ができなければなにかあったときも対応できないよ。平穏なときこそ日常的にできることをしないと」
「真面目」
「うるさい不真面目」
同室のショウは、性格や体格、なにもかも違う。
それでも仲良く接しているという自覚はあった。
金髪碧眼という、このあたりでほとんどいない容姿についても、同期の中では唯一何もいってこない。
「俺は省エネ型なの」
「ああ言えばこういうんだから」
笑いあっていたそのとき。
警報が鳴った。
「なんだ?訓練警報?」
「いや、多分違う」
廊下をばたばたと走る足音がする。
「エンジェルガード、総員戦闘準備!ヴァンパレットが街に現れた!エンジェルガード、総員戦闘準備!」
けたたましく放送が響き渡った。
ショウはさっとジャケットをつかみ、あっという間にはおる。
「ほらな、かけなくてよかっただろ?」
ミノリは黙ってハンガーからジャケットをひったくった。
錬度の浅いミノリたちは、後方部隊を言い渡された。
妥当な判断ではある。
前線は経験豊富なエンジェルガードが、殿は、前線には劣るものの、ミノリたちよりも経験があるエンジェルガードが固めている。
「私たちの役割は、前線を潜り抜けてきた手負いの始末と、急を要しない民間人の救助ってところか」
ミノリのつぶやきに、ショウは武器を握り直す。
「にしても、襲撃、多いよな。仮にもお膝元だぜ?」
「それは思う、が」
マゼンタが残像を残す。
ヴァンパレットがどさりと倒れる。
「話は後だ」
ショウは返事をする前に、別のヴァンパレットの攻撃を受け止め、カウンターを仕掛けて仕留める。
「確かに、落ち着いて話せねえや」
争いはまだ止む気配がない。
民間人を瓦礫から救いだし、ヴァンパレットの攻撃を防ぎ、そんな姿は英雄的なのかもしれない。
しかし。
一人の同期が倒れた。
ミノリがすかさず犯人を打ち倒す。
エンジェルガード。
誰かにとっての天使は。
「天使なんかじゃねえな、俺たち」
別にとっての悪魔。
相手を力にに任せて制圧する。立場は違えどかわりはない。
「だけど、それでいいよ、俺たちは」
意識を失った仲間を横たえ、ショウは地を蹴った。