(続きは考えて)ないです。
「くそ!!」
金髪ツインテールの少女が、片手に少女と同じ軍服を着た男を持つ化け物の前で悪態をつく。可愛らしい少女の手には、似つかわしく無い巨大な斧が握られている。
「三宮!!陣形を整えてから…」
「仲間が殺されそうなんですよ!?陣形なんて!」
三宮と呼ばれた少女は地面を蹴り空中に躍り出ると斧を振り落とし、仲間を持つ化け物の腕を引き裂く。仲間を救った喜びで彼女の顔が綻ぶ。
しかし、この世界は残酷だ。一瞬の隙も油断しては行けない。
「…ぁ」
片方の手が切り裂かれたことも意に介さない化け物の魔の手が、容赦無く彼女の命を奪おうと伸ばされる。空中で斧を振り下ろした体勢から避けられる筈もなく、ただ死を待つだけだ。三宮は思わず目を瞑る。次に来るのは痛みだろうか。
そんなことを考えるが、何時になっても痛みも衝撃も来ない。ただ肉が押し潰れたような音だけが響いている。
「おほほ!やってやりましたわ!今日はハンバーグの気分でしたの。
甲高い笑い声が響き渡る。三宮は恐る恐る目を開けると、自分と同じ金髪の女性が、ぐちゃぐちゃになったナニカの上に立っている。
いや、そのナニカはよく目を凝らして見てみると先程のヨハネの四騎士の死骸だ。殺ったであろう彼女の手には、
「そこの貴女」
「っ!?は、はい!?」
「血で汚れているわ。拭いてあげるからこちらに来なさい」
三宮は唐突に呼び掛けられ、緊張する。言われた通り、彼女に近づくとハンカチで血を拭われる。
「あ、ありがとうございます…」
「可愛いのですから、身だしなみくらいきちんとしては如何かしら?」
「か、可愛い…」
あまり言われ慣れていないことに三宮は赤面してしまう。三宮の上官と、囚われていた男が女性に礼を伝える。
「危ない所を助けて頂き、ありがとうございました」
「私からも礼を述べさせて頂く。ありがとう」
「
「…本当にありがとう。ところで、君はどこの部隊なんだ?」
「部隊…?それはなんでしょう…?基本的に任務に当たる時は単独ですが」
女性以外の一同に驚愕が走る。基本的に吸血鬼に対応するには5人以上だ。下位の吸血鬼ですら、鬼呪装備無しでは戦えず、鬼呪装備が有ったとしても一般吸血鬼と満足に戦えるかどうかだ。にも関わらず、彼女は部隊を組んでいない。
「な、名前と所属を聞いていいかな?」
「良いでしょう。何度も言わないので1回で覚えてくださいな。私の名前は
「零嬢…?何処かで…?」
「れ、零嬢ってあの?」
エリゼは周囲の動揺に首を傾げるも、自分の高貴さに当てられたのだろうと勝手に解釈し、満足気に頷く。
三宮は何処かで聞いたことがあると首を捻る。記憶の片隅に残っているような…
「えぇ、私、零嬢家の御令嬢ですのよ。おほほ!!零嬢と令嬢を掛けてやりましたわ!思いの外、つまらなくて死にそうですの…」
「思い出したっ!!アンタ、あの追放された分家!?」
「追放されたとは失礼な。いつの間にか柊家のリストから消えてただけですわ!」
「それが追放されたって言ってるのよ!」
「お、落ち着け三宮」
「…まさか、私が零嬢家に助けられるなんて」
三宮は崩れ落ちるように、地面に手を着く。三宮家として、柊家の分家として、追放された零嬢家の手を借りるなんて言語道断だ。
彼女は泣きそうになりながらも、立ち上がってエリゼを指で指す。
「わたしは
「人に指さすんじゃありません。ご両親に教わらなかったのですか?」
「あ、うん。ごめん…じゃ無くて!!」
「では私の任務は終わりましたし、帰宅させて頂きますわ。御機嫌よう、三宮三葉様。言い難いので三葉ちゃんにしますわ。また会える日をお待ちしておりますわ」
優雅に会釈すると、さっさと帰っていってしまう。三葉は適当にあしらわれたと怒るも、上司と同期に宥められながら帰還。
そして…
「で、なんであんたが居るの!?」
「御機嫌よう、三葉ちゃん。紅茶、珈琲、緑茶、マテ茶から何から何まで茶葉を揃えた私に死角はありませんわ。さて、お茶会をしましょう?」
「しない!!」