スリザリンの継承者―魔眼の担い手―   作:寺町朱穂

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80話 非暴力的で合法的な会談

 二月になり、学校の周りの雪が溶けだし始めた。

 どんよりとした灰紫色の雲が城の上に低く立ち込め、間断なく降る冷たい雨で、芝生は滑りやすくなっていた。

 

 そのため、6年生の第一回「姿現し」の練習は、校庭ではなく大広間で行われることになった。

 「姿現し」は試験に合格しなければ使うことができず、しかも、17歳にならないと試験を受けることができない。

 今日の練習は、試験に合格するための講習―――マグル風に言えば、車の免許取得の講習みたいなものだ。

 

 土曜日の朝食が終わった後、大広間の机と椅子は綺麗に片づけられ、中心には輪っかが描かれていた。セレネはダフネと一緒に談話室に入り、魔法省から派遣された「姿現し」の指導教官の話を聞いていた。

 

「私はウィルキー・トワイクロスです。これから十二週間、魔法省『姿現し』指導教官を務めます。

 これから十二週間で、みなさんを試験に合格できるように訓練するつもりです」

 

 トワイクロス指導教官は一陣の風にも吹き飛ばされてしまいそうなくらい、実在感のない雰囲気だった。まるで、何度も何度も姿を消すうちに、自分の姿まで消えかかっているような儚い体型である。

 

「ホグワーツ内では通常、『姿現し』も『姿くらまし』もできません。ですが、校長先生がこの大広間に限って一時間だけ呪縛を解きました。

 いいですか、これから皆さんには、輪っかの中へ『姿現し』をしてもらいます。

 必要なことは、『どこへ』『どうしても』『どういう意図で』を強く意識することです」

 

 本に書いてあった理論を読み上げるように、トワイクロス指導教官は強い口調で語った。

 セレネは輪っかの中に集中しようとしたが、どうしても『どうして』だけが強く意識することができない。なぜ、あの輪っかにいかなければならないのか、強く念じることが難しかった。

 

「さあ、いち、に、さんの号令に合わせていきますよ! いち、に、さん!!」

 

 案の定、セレネはその場で回転しただけで、輪っかの中へ行くことができなかった。

 とはいえ、セレネだけではなかった。大広間はたちまち集団よろけ状態になっていた。ダフネは仰向けに引っ繰り返っていたし、ザビニは二、三歩、おかしなステップを踏んでいるようだった。

 二回目も一回目よりましとはいえず、三回目で悲鳴が上がった。

 ハッフルパフのスーザン・ボーンズが、一・五メートル離れた出発点に左足を残したまま、輪っかの中でぐらぐら揺れていた。

 すぐさま控えていた寮監たちがボーンズを包囲し、激しい音と紫の煙が上がり、それが消えた後には、ボーンズが左足と再び合体し、怯え切った顔で泣きじゃくっていた。

 

「ああ、これは『ばらけ』ですね」

 

 トワイクロスが平然とした顔で言った。

 

「体のあちこちが分離することでして、心が十分に『どうしても」と決意していないときに起こります」

「う……痛そう……怖いな」

 

 セレネの隣で、ダフネが震えあがっていた。

 セレネはトワイクロスの説明を聞きながら、小さく息を吐いた。

 

「……やっぱり、やらなくて正解ね」

 

 ヴォルデモートに空中で襲われた時、『姿くらまし』をしなくて正解だったと改めて強く感じた。

 こんな安全な場所で数回繰り返しても駄目な呪文を、あんな危険極まる場所でやらなくて正解である。自分はもちろん、義父までさらに危機的状況に陥らせていた可能性が高い。

 

「セレネ? 正解って?」

「いえ、独り言です」

 

 結論から言えば、第一回目の講習で『姿現し』は不可能であった。

 一回、できそうな感じがしたときもあったが、次の瞬間、右腕が『ばらけ』そうになったので、無理やり呪文の発動をキャンセルした。その場で前に倒れ込んでしまったが、ばらけるよりマシである。

 今後の活動のためにも絶対に習得しなければならない呪文だけに、習得できないことで苛立ちが募る。

 

 ちなみに、グリンデルバルドに『姿現し』のコツを聞くと、彼は当たり前のように

 

『コツも何も、『あの場所へ行きたい』と念じればいいだけだ。それで問題はない』

 

 と教えてくれた。それができないから苦労しているのに、その気持ちがまったく分かってもらえない。

 セレネは、がっくりと肩を落とした。

 

「聞く人を間違えました」

『ふむ、適切なアドバイスだと思ったのだがね』 

「どこが適切ですか……まあいいです。それで、あなたに任せた仕事は上手く進んでいますか?」

 

 セレネが本題に切り込むと、グリンデルバルドは小さく頷いた。

 

『もちろん、順調だ。無事、手続きは済んだ』

 

 グリンデルバルドは鏡の前に一枚の羊皮紙を掲げる。

 鏡越しなので、少し歪んでいて読み取りにくいが、間違いなく『転院手続き』と書かれてあった。それを読み、セレネは納得したように頷いた。

 

「これで、ひとまず安心か……では、最後の護衛までお願いします」

『心得た。転院先の病室にも守護の魔法をかけておくとしよう』

「すべて、ぬかりなくお願いしますね」

 

 セレネはグリンデルバルドに礼を言った。

 

 

 ハリーの助言を受け、覚悟を決めたあの日――最初にしたことは「義父の転院」だった。

 聖マンゴでも適切な処置を受けられるが、いかんせん、イギリス国内である。またヴォルデモートに命を狙われたり、盾や人質にされたりするかもしれない。まずは、その危険性を減らすため、『よりよい処置を受けるため』という名目で、国外の病院へ転院することに決めたのである。

 

 今回、その転院手続き及び、義父の移送の護衛をグリンデルバルドに頼んだのだ。

 グリンデルバルドなら、完璧にすべてをこなして貰えると踏んでのことだ。事実、報告を聞く限り、彼は手筈通りすべて完璧にこなしている。この調子なら、数日以内に義父は国外へ脱出し、ヴォルデモートの魔の手から逃れることができるだろう。

 

 セレネは机に肘をついた。

 

『それで、君の方は、これから決行するのだろう?』

「ええ。あなたのアドバイス通りに」

 

 セレネは、自分の背後でこぽこぽと薬を煎じる音を聞きながら答えた。

 

「正直、あまりやりたくない方法ですが、仕方ありません」

『ああ、すべてはトム・リドルを破滅させるためだ』

 

 グリンデルバルドは羊皮紙をローブの内ポケットにしまうと、空っぽのグラスにワインを注いだ。

 

『君の成功を祈って』

 

 彼はそう言いながら、セレネの方に軽くグラスを向けた。セレネはその仕草をじっと見つめていた。

 

『恐れることはない。相手は君より格下なのだろう?』

「ええ、それはもちろん。まったくもって、負ける気はしません」

『ならば、問題はない。少なくとも、私のアドバイス通りに行動すれば、つつがなく終わるはずだ』

「……そうですね」

 

 セレネは立ち上がりかけ、ふと、あることについて聞き忘れたことを思い出した。

 

「そういえば、以前、私のことを未来視していましたよね?」

『ああ、そうだな』

「誰が私を泣かすのか、もう一度だけ詳しく教えてもらえませんか?」

 

 セレネが問いかけると、グリンデルバルドは意外そうに片方の眉を持ち上げた。

 

『君は未来視などにこだわらないと思ったが?』

「ええ、でも状況が変わりまして」

 

 セレネの脳裏には、日本を訪れたときに出会った占い師が浮かんでいた。

 あの占い師はセレネに『森に近づかない方がいい』と言っていた。てっきり、5年生の末に「禁じられた森」で繰り広げられた戦いについて言っているのかと思ったが、もしかしたら、先日の森での死闘について言っていたのかもしれない。なにしろ、彼女は『巨人、ケンタウルス、エトセトラ』と言っていた。そう、巨人とケンタウルス以外にも襲われることを予見していたのだ。

 

 あの予言をもう少し考えていれば、もっとましな方向へ事態が進んだかもしれなかった。

 

 そうなると、未来の予言というのは馬鹿にはできない。

 

「私を泣かす不届き者が誰なのか、詳しく知りたいのです」

『……言っただろう。背の高い男だと』

「皆、私より背が高いですけど」

 

 あの予知から1年、年下のノーマンやグラハムですらセレネの身長を抜いている。

 これでは対象者の絞り込みができない。セレネが少しむっとした表情をしていると、グリンデルバルドは愉快そうに指を組み始めた。

 

『顔までは見えない。それに、他人に関する未来の予知は断片的だ。時間帯は夜、ホグワーツの制服を着ている。ここまでしか分からん』

「……ますます分からなくなったんですけど」

『まあ、あの未来は気にするな。たいしたことではない』

「……泣くというのは、たいしたことであると思いますけどね」

 

 セレネが嫌味っぽく言うと、グリンデルバルドは小さく笑いながら通信を切った。

 笑いごとではないのに、事態が分かっていない老人である。セレネは小瓶を取り出すと、鍋から薬を掬い取った。

 

『アルケミー、寮まで送ってくれる?』

『もちろんです』

 

 小瓶をローブの中にしまい込み、バジリスクのアルケミーを呼んだ。セレネは蛇の頭に飛び乗り、そのまま寮の傍まで運んでもらう。そろそろ時刻は夜8時。消灯時間も近い。

 だが、談話室に入ると、まだ生徒たちが宿題に取り組んだり、暖炉の前で会話に花を咲かせていたりと寝る気配は全く感じられなかった。

 つまり、いつも通りの光景だ。

 

「先輩」

 

 セレネが談話室に入ると、ノーマン・ウォルパートが駆け寄ってきた。

 

「ノーマン、どうしたの?」

「い、いえ。先輩に頼まれて、ずっと談話室の入り口を見張っていましたが、あの人はまだ来ていません」

「……そう。じゃあ、これから戻ってくるのね。ありがとう、ノーマン」

 

 セレネは談話室の入り口に一瞬目を向けた後、ノーマンの肩のあたりを軽く叩いた。ノーマンは嬉しそうに頬を赤く染めている。背の高さこそ抜かされたが、こういうところはまだ可愛らしさを感じられた。

 

「せっかくだから、一緒に待ちましょうか」

「えっ、い、いいんですか!?」

「いいのよ。それに、貴方にはまだ任せたい仕事があるから」

「あ、ありがとうございます!」

 

 ノーマンは誇らしげに敬礼をした。

 彼は昨年度から目まぐるしい成長を見せ、2年生ながら親衛隊幹部入りを果たしている。一学年上のグラハム辺りからは嫉妬されているが、ノーマンは先日のスリザリンVSハッフルパフ戦ではシーカーとして金のスニッチをつかみ、チームを勝利に導いていた。初戦のグリフィンドール戦では、ハリー・ポッターに惜しくも負けてしまったが、その敗北を覆すほどの得点を稼ぎ、寮対抗試合ではグリフィンドールに次いで2位に躍り出ていた。

 この結果、ノーマンの幹部入りを疑問視する声は確実に減り、こうして幹部としてセレネの手足となり行動することが増えたのである。

 

 ただ――……

 

「もう、先輩。ノーマンばかりズルいですわ」

「姉様の言う通り、私たちにも仕事を回してくださいませ」

 

 と、この通り、一部の親衛隊幹部が不満を漏らすことも増えているので、均等に仕事を頼もうと意識していた。

 

「ありがとう、フローラとヘスティア。そうね、ヘスティア。せっかくだから、ウルクハートとベイジーも呼んできてくれないかしら?」

「かしこまりました!」

 

 ヘスティアは鋭く返事をすると、守護霊の呪文を唱えた。ヘスティアの先から飛び出した猟犬は、まっすぐ男子寮へと消えていく。男子寮へと続いた銀色の筋が消えかけた頃、談話室の扉が開いた。セレネは現れた人物を見て、目を細めた。

 

「さて、行きますか」

 

 セレネは口の中で呟くと、現れた人物――ドラコ・マルフォイに向かって歩き始めた。

 こうして近くで見ると、マルフォイは病気のように見えた。いつも完璧に整えられていたプラチナブロンドは乱れ、端正な顔は青白い。背後に控えるゴイルの恰幅と顔色の良さと対比すれば、具合の悪さは一目瞭然だった。 

 

「こんばんは、マルフォイ。少しいいかしら?」

「……なんだ。僕は今、とても疲れてるんだ」

 

 マルフォイはセレネを面倒くさそうに見下した。

 普段なら嫌味の一つや二つ、言いそうなものなのに、本当に具合が悪いのだろう。だが、ここで手を緩めるわけにはいかない。

 

「いえ、実は会談をしたいと思いまして」

「会談だと?」

「スリザリンの党首会談、といえばいいかしら? 来年は私たちも卒業ですし、今後のスリザリン寮の在り方についてトップ同士、軽く話し合いませんか?」

 

 マルフォイ率いる純血派は随分と勢力は弱まっているが、いまだスリザリンの第二派閥だ。

 それに、どちらの派閥も欠点がある。

 純血派はマルフォイの後釜が育っていない。一方のセレネの方は、ノーマンやアステリアたち下級生を育てているが、肝心の旗印がいなくなったあと、彼らがどうなるのかは予想することができない。

 

「私たちが卒業後、互いの派閥が争い合って、険悪な寮になってしまうのは後味が悪いですし」

「……別に、僕が卒業した後のことなんて、知ったことではないね」

「あら。それなら、今ここで純血派を飲み込んでしまいましょうか?」

 

 セレネはゆるりと口角を上げた。

 ちょうど、ウルクハートとベイジーも到着し、セレネの後ろに控えている。

 セレネが試験対策クラブを通して直々に鍛え上げ、先学期の「ダンブルドア軍団」ですら苦戦するであろう面子が勢ぞろいしていた。

 

「ですが、私、暴力は好きじゃないの。まだ、話し合いの方が平和だと思いません?」

「……」

 

 いまここで、力で純血派を完膚なきまで倒すのは、赤子の手をひねるより簡単だ。

 筆頭のマルフォイは自分が手を下さなくても、カロー姉妹たちの手にかかれば楽勝だし、クラッブやゴイルは幹部の中で最弱なノーマンですら倒せる。そのことは、きっとマルフォイだって理解している。

 マルフォイが何を企んでいるにせよ、貴重な戦力を失いたくないのは確かだ。それに、彼は意外と仲間思いのところがある。

 

 数は減らしたが、純血派の仲間が力で傷つき、落ちぶれていくのを黙って許すはずがない。

 その思惑通り、マルフォイは小さく頷いた。

 

「分かった。会談に臨もう」

「では、明日の10時に8階の……そうですね、『馬鹿のバーナバス』の絵の前で落ち合いましょうか。護衛は、互いに2人まで。どうでしょう?」

「ああ」

 

 マルフォイは苦々しい表情のまま、男子寮へと登っていった。

 とりあえず、これで約束には漕ぎつけた。

 

「さて、では私の護衛ですが――……」

「「「私(オレ)がやります!!」」」

 

 案の定、幹部陣が率先して名乗りを上げた。

 いつの間にか、幹部たちの後ろで、うずうずしている佇んでいるグラハムやアステリアたち一般隊員も護衛として同行したがっているように見える。

 セレネは少し力を抜いた笑みを浮かべた。

 

「分かりました、それでは――……」

「一人はオレが行く。これは決定事項だ」

 

 セレネが最後まで言い終える前に、誰かが口を挟んできた。セレネは小さく息を吐くと、彼の方を見ないで尋ねた。

 

「あなたを指名した覚えはありませんが」

「オレはお前の親衛隊の隊長だぞ? それに、右腕だったんじゃないのか?」

  

 そう言いながら、セオドールはセレネに近づいてくる。そして、セレネの耳元で、他の隊員に聞こえないくらい小さな声で囁きかけてきた。

 

「お前がオレに黙って動くときは、ろくなことじゃないだろ?」

「……はぁ、分かりました。ただし、会談の内容は他言無用で」

「当然だ」

 

 セレネは渋々、彼の要望を受け入れた。 

 本来なら、確実に信用が置けるフローラとヘスティアで両脇を固めようと思っていたのに、これは大きな誤算である。とはいえ、セオドールも自分の右腕として使えるのは事実だ。彼なら、多少の文句は言うだろうが、従ってくれる確信がある。

 

 

 結局、次の日。

 『馬鹿のバーナバス』の絵の前には、セレネとセオドール、そして紅茶セットを手にしたフローラがマルフォイを待っていた。

 マルフォイは時間丁度に来た。

 予想通りというべきか、後ろにはクラッブとゴイルを従えている。

 

「時間、ぴったりですね」

 

 セレネは手にした懐中時計をぱたんと閉じると、マルフォイに微笑みかけた。

 マルフォイはやはりこの会談に乗り気ではないのだろう。彼はにこりともしていなかった。

 

「では、はじめましょうか。立ち話もなんですから、あの部屋でやりましょう」

 

 セレネが先導して歩き始めた。

 絵の前を通り過ぎ、のっぺりとした石壁に向かって歩き始める。

 ただの石壁に向かって歩いているのに、マルフォイが疑問の声を上げないところを見ると、その石壁の向こうに隠された部屋――『必要の部屋』の存在を熟知しているのだろう。

 逆に、『必要の部屋』を知らないセオドールたちが、不思議そうな顔をしていた。

 セレネは壁に近づくと

 

『先生や他の生徒たちには誰にも知られずに、マルフォイと会談できる場所が欲しい』

 

 と強く念じながら、壁の前を三度、通り過ぎた。

 すると、扉が石壁から生えるように姿を現した。フローラが小さく息をのむ声が聞こえてくる。

 

「こちらへどうぞ、マルフォイ」

 

 セレネが部屋に入ると、長い机が用意されていた。椅子は二つだけだ。無論、誰のための椅子なのかは言うまでもない。セレネが適当に座ると、マルフォイは対する椅子に腰を下ろす。

 

「さてと――……フローラ、お茶の準備を」

「かしこまりました」

 

 フローラが慣れた手つきで紅茶を淹れる。

 その間、セレネは両肘をつき、マルフォイの表情を観察していた。目元にげっそりとしたクマができ、頬もこけている。先学期までの威張り腐った態度は見る影もなかった。それを成長というのか、はたまた余裕がないというべきか。おそらくは後者だろう。

 

「どうぞ」

 

 フローラが紅茶を差し出してくる。

 セレネは礼を言うと、茶を一口飲んだ。しかし、マルフォイは手を付けない。

 

「毒は入っていませんよ?」

「……」

 

 マルフォイは何も答えなかった。

 賢明な判断だ。確かに、毒は入っていない。代わりに、マルフォイの紅茶にだけ真実薬が入っている。すぐに飲み干さないところを見ると、さすがは昨年度、アンブリッジの親衛隊に属していただけある。あのガマガエルが尋問に真実薬を使うことについて、学期終盤頃になるとかなりの生徒が知っていた。マルフォイはガマガエルが真実薬をためらいなく盛る姿を間近で見てきたのだから、警戒するのも当然かもしれない。

 

「……残念です」

 

 セレネは心の底から呟いた。

 

「早く始めないか? 僕だって忙しいんだ」

「ええ、私も忙しいの。だから、とっとと本題に切り込みますね」

 

 セレネは紅茶を一口飲み、カップを音を立てずに置く。そして、マルフォイに優しく微笑みかけた。

 

「あなた、ヴォルデモートに何を命令されているのですか?」

「――ッ!?」

 

 マルフォイの顔色が一気に強張った。

 サイコパスの名を口にしたからだろう。セレネの後ろで、フローラとセオドールが固まる気配が伝わってきた。クラッブとゴイルなんて、棍棒で叩かれたような顔をしている。

 

「僕が『例のあの人』に命令されている? そんなこと、どうでも――……」

「どうでもよくありませんね」

 

 セレネはすくっと立ち上がった。マルフォイは顔を引きつらせながら、右手が杖に伸びるのが見えた。クラッブとゴイルに至っては、威嚇するように拳を鳴らし始めている。

 概ね、予想通りの反応である。セレネ自身は杖を取ることなく、そのままゆっくりと歩き出した。静まり返る『必要の部屋』に、セレネの足音だけが異様に響き渡っていた。

 

 正直、親衛隊と純血派の行く末なんて、どうでもいい。

 セレネにとって、今一番大切なことは、いかにしてヴォルデモートを破滅させるかである。

 

「今学期に入ってからの不審かつ不可解な行動、この私が勘づいていないと思っていたのですか?」

 

 どうせ、ヴォルデモートがマルフォイに対して命じた仕事は『ルシウス・マルフォイの度重なる失態に関する嫌がらせ』に過ぎないはずだ。ヴォルデモートはマルフォイが任務に苦悩する姿を楽しみ、失敗した暁には、心おきなくドラコ・マルフォイに対して処罰を下すのだろう。それが、ルシウス・マルフォイやその妻にとっての罰になると重々承知のうえで。

 

 だから、どのような任務を与えられているにせよ、ドラコ・マルフォイがヴォルデモートの命令を完遂できるはずがない。そう考え、今までマルフォイの一件は放置してきた。だが、ヴォルデモートの息の根を確実に止めるためだ。なので、どのような些細なことでもヴォルデモートに関する情報を搾り取りたい。

 

 それに、ヴォルデモートと通じているかもしれない時点で、マルフォイには利用価値がある。

 

「私、おかしな話をよく聞きましてね。ホグワーツ特急で、ウルクハートにこんなことを言ったとか」

 

 セレネはマルフォイの後ろに回り込みながら、彼の後ろでぴたりと止まった。

 

「たしか、『優勝杯を取るより大切な役目がある』と。ぜひ、その大切な役目について教えてもらいたいものですね」

「―――ッ!」

 

 マルフォイが杖を手に取ったので、セレネは素早く己の杖を引き抜き、マルフォイの右肩に乗せて動きを封じた。彼は杖を引き抜いたままの恰好で、ぴたりと固まった。

 

「ああ、それとも……」

 

 そう言いながら、セレネは嘲笑気味た笑みをクラッブとゴイルに向けた。

 

「愚鈍で間抜けなお仲間さんには知られたくない、とっても大切な任務とか?」

「この、半人間め!! 言わせておけば!!」

 

 挑発に乗ったクラッブとゴイルが拳を振り上げる。彼らは愚鈍で間抜けで、どうしてOWLをパスできたのか分からない頭のつくりをしているというのに、力だけは人一倍ある。握り拳なんて、セレネの頭と同じくらいあった。けれども、セレネは避ける必要がなかった。

 

「『ステューピファイ‐麻痺せよ』!!」

 

 クラッブたちの拳がセレネの頭を直撃する前に、フローラの失神呪文が牙をむいたからだ。赤い閃光は二人の眉間を見事射抜き、そのまま音を立てながら後ろに倒れ込んだ。セレネはフローラに軽く微笑みかけると、再びマルフォイに視線を戻す。

 

「……さて、お仲間はぐっすり眠っていますよ。これで思う存分、お話できるのでは?」

「っく、誰が言うか!!」

 

 マルフォイが椅子を倒す勢いで立ち上がると、セレネに杖を向けようとしてくる。なので、セレネは無言で武装解呪の呪文を放った。もともと、彼の首元に杖があったので、杖を奪うのは造作もないことだった。セレネはマルフォイの杖をつかみ取ると、そのままセオドールへ投げ渡した。

 

「貴方は杖がない。自分を守る手段もない。それでも、口を閉ざしたままですか?」

「――ッ、ああ、確かに僕は『例のあの人』から任務を受けているさ! だが、言わないぞ!! 絶対に!!」

 

 マルフォイは、ほとんど泣きそうになりながら叫んでいた。

 先学期までの肩を張って歩いていたような姿は見る影もない。セレネは呆れたように肩を落とすと、やれやれと首を横に振った。

 

「そうですか。残念です。自分の意志で言ってくださらないのでしたら……私も許されざる手段を考えなければなりません」

「おい、ゴーント!」

 

 セレネがマルフォイに向かって優しく囁きかけたとき、セオドールの声が部屋を貫いた。

 

「お前、まさか『服従の呪文』を使う気じゃないだろうな? あれは――……」

「忘却呪文をかければ問題ないでしょう」

 

 セレネは当然のように言うと、マルフォイが石のように固まった。マルフォイだけでない。セレネの視界に入らない向こう側で、セオドールも固まる気配が伝わってきた。

 

「それに、ヴォルデモートに屈した臆病者を、人間と呼びたくありません」

「な――……おまえ、正気か!?」

「正気も正気です。その証拠に、彼らが攻撃態勢に移るまで、私は何もしていない。フローラがゴイルたちを倒したのも、死喰い人もどきから杖を取り上げたのも、私たちの身が危険にさらされていたからです。

 これは、正当防衛にすぎません。私は、ただ穏やかに会談を進めたいだけなのに」

 

 セレネは頬を緩ませながら、どことなく明るい口調で答えた。

 

「この死喰い人見習いは、穏やかな話し合いを拒否し、杖を先にとりました。それならば、止むをえません。

 合法的な強度の尋問をするしか選択肢がなくなります。それでも、口が緩まないのでしたら……『服従の呪文』に頼るしかありませんね」

 

 あくまで、「服従の呪文」は最終手段だ。

 セレネとしても、マルフォイごときのために法律を破りたくはない。けれど、もし、彼がこれからする尋問にも屈しないとなれば、その選択を取るしかないだろう。

 

「最初に攻撃態勢へ移行したのは、マルフォイ……貴方なのですから」

 

 口調は明るく、表情も穏やかで、しかし視線だけは冷徹なものをマルフォイに向ける。マルフォイは縮こまった。きっと、彼は気づいてしまったのだ。

 セレネの言う尋問は、果てしなく拷問に近い尋問だ、ということに。

 

「ぼ、僕を傷つけてみろ。母上が黙って――……」

「私たち、魔法使いですよ? 傷なんて、すぐに治せるではありませんか。ためしに、そうですね……」

 

 セレネはマルフォイの喉元から肩にかけて、すうっと杖先でなぞった。

 

「この辺りに針刺し呪いでもかけてみますか?

 それとも、『タラントアレグラ‐踊れ』でもいいですね。真っ赤に焼いた鉄の靴を履いてもらって、白雪姫の継母みたいに踊ってもらうのも素敵です。踊り疲れた頃、呪文で癒して、また踊ってもらうのも一興かもしれません」

「ひぃっ!?」

「本当に、残念でした。あの紅茶を飲んでくれた方が、ずっと穏便に済んだのに」

 

 マルフォイの顔が更に青ざめる。

 セレネの本気を悟ったのだろう。口元がわなわな動き始めた。

 

「これが最後通告です。あなたが、ヴォルデモートに何を命じられたのか、教えてくださいませんか?」

 

 マルフォイは床に崩れ落ちるように座り込む。セレネは彼の目線まで屈みこみ、微かに震える首元を杖先で叩いた。彼の言葉を促すように、とん、とん、と。

 

「こ……校長を……殺せって」

 

 薄紫色の震える唇が、か細い言葉を呟いた。

 

「し、死喰い人を、ホグワーツの中に、招き入れろって。で、でも、ダンブルドアを、殺すのは、僕がやれって」

「なるほど。かなり難しい命令ですね」

 

 さすがに、校長を殺すように命じられたとは思いもしなかったし、まさか死喰い人の手引きまで任されているとも考えつかなかった。

 

「辛い役目ですね。騎士団や闇払いの目をかいくぐって手引きしろ、だなんて。それで、失敗したら……殺すと脅されたのですか?」

 

 セレネは目尻を和らげると、マルフォイの首元から杖を離した。代わりに、自分の手で震える背中をさすってやる。

 

「ぼ、僕だけじゃない! は、母上も一緒に、こ、こ、殺すって!!」

 

 それは悲痛な叫びだった。マルフォイの青い瞳から、ぼろぼろと大粒の涙が零れ落ちる。そこにいたのは、強引に死喰い人見習いにさせられた、強がっていただけの臆病で気の弱い少年だった。

 

「……酷い話ですね。苦しかったでしょう?」

 

 セレネは同情するように、彼の背中を撫で続ける。

 

「打ち明けてくれて、ありがとうございます。ちなみに、どうやって招き入れるつもりだったのですか?」

「姿をくらますキャビネットだよ!」

 

 マルフォイはどこかやけになったように言い放った。

 

「必要の部屋で、直していたんだ! ノクターン横丁のボージンの店に会った『姿をくらますキャビネット』と対になっているキャビネットがホグワーツにある! それを、直して、ベラトリックス叔母上たちを……でも……!!」

「修復は難しかったのですね。それに、誰かの手を借りることも難しかった」

 

 マルフォイは嗚咽を上げながら、激しく頷いた。

 マルフォイは純血派を率いていると言っても、直接命令を下せる手下はクラッブとゴイルしかいない。パンジー・パーキンソンたちに助けを請えるはずもないし、クラッブたちがキャビネットの修復なんて高度な技術を持っているわけがなかった。

 

「……大変でしたね。魔法の道具を直すなんて、とても難しいですよ。ここ数か月、頑張っていたのですね」

 

 セレネが甘い言葉を呟きながら背中を擦ると、マルフォイはさらにしゃくり上げる。

 

「私が、手伝ってあげましょうか?」

「えっ?」

「はぁっ!!?」

 

 セオドールが息をのむ声が聞こえたが、セレネは今はマルフォイだけに意識を割いていた。マルフォイは泣き腫らした目で、セレネを見上げている。まるで、信じられないものでもみたかのような形相だ。

 

「キャビネットの修復、手伝ってあげます。一人では大変でしょ?」

「で、でも、君は……あの人が、き、嫌いなんじゃ……」

「ええ、嫌いですよ。大っ嫌いです」

 

 セレネは心に蓋をし、努めて暖かい眼差しをマルフォイに向けながら告げた。

 

「だから、交換条件。あなたは、ベラトリックス・レストレンジに一言、尋ねてほしいの。

 『ヴォルデモートから預かっている大切な物はあるのか』、と」

「お、叔母上に? 大切な物?」

「ベラトリックスはヴォルデモートの信が厚い第一の部下と言っても過言ではありません。ヴォルデモートから特別に大切な物を託されていてもおかしくないですから。

 私は……その事実と隠し場所が知りたいのです」

 

 マルフォイの耳に口を近づけ、言葉を吐きかける。

 

「それさえ聞き出してくれたら、キャビネットの修復は手伝いましょう。さすがに、ダンブルドアを殺すことまでは手を貸せませんが」

 

 ヴォルデモートは以前、分霊箱の日記帳をルシウス・マルフォイに預けていたと聞く。

 ならば、同じくヴォルデモートの腹心の部下、ベラトリックス・レストレンジにも同様に分霊箱を預けている可能性が高い。その見解は、セレネとグリンデルバルドで一致していた。

 ベラトリックスに預けた分霊箱を見つけられるなら、キャビネットの修復など容易いものだ。

 

「嘘だ。僕の言ったこと、全部、ダンブルドアやポッターに伝えるんだろ!?」

「まさか、伝えませんよ。ここにいる四人だけの秘密です。ご心配なら、契約書を用意しますけど?」

 

 マルフォイは、まじまじとセレネを見つめた。セレネの言葉を信じていいのか、推し量っているようだった。

 

「それとも、破れぬ誓いがいいですか?」

「……本当に、誰にも言わないのか?」

 

 マルフォイは縋りつくような声を出した。

 

「ベラトリックス叔母上に、そのことを聞くだけで、キャビネットの修復を手伝ってくれる?」

「ええ、修復だけは手伝います。キャビネットのことや貴方がダンブルドアを狙っていることも黙っています」

「叔母上たちを招き入れようとしていることも?」

「もちろんです。ダンブルドアにも騎士団にも、ポッターやダンブルドア軍団の者たちにも黙っていましょう」

 

 セレネは羊皮紙を取り出した。

 マルフォイの前で、たった今言った誓約事項を書き記していく。自分の名前も署名し、フローラたちに目配せをした。フローラはすぐにセレネに従い、セオドールはやや迷った末に名前を書いた。

 

「さあ、あとは貴方の名前だけです。これで、契約のゲッシュは発動します」

 

 マルフォイは書き上げられたばかりの誓約書を食いつくように読み始めた。

 マルフォイも古代ルーン文字学を学んでいたので、ここに記された契約のルーンは理解できるはずである。契約を破った者に死を及ぼす、最上級のルーンだ。

 

「もっとも、あなたがこの契約のことを漏らしてしまったら、うっかり……私、この羊皮紙をダンブルドアやマクゴナガルの前で落としてしまうかもしれません」

 

 セレネは、自分が手伝ったことを漏らさないように釘を刺した。

 彼は一瞬、震えあがったが、様々なリスクを天秤にかけ、覚悟を決めたのだろう。

 

「……分かった」

 

 彼は震えながら羽ペンを取り出すと、名前を署名した。最後の一文字を書き終えると、羊皮紙全体が緑色に輝き、契約が締結されたことが分かった。セレネは羊皮紙を丸めると、大事そうにローブの内側にしまった。

 

「これで問題ありませんね。では、明日から早速、手伝わせてもらいます」

「あ、ああ……ぼ、僕も、イースター休暇に叔母上に、聞いてみる」

 

 セレネとマルフォイは手を繋いだ。

 互いに契約を果たすことを約束すると、セレネは未だに立ち上がれないマルフォイを残し、必要の部屋を去った。あとから、フローラとセオドールが追いかけてくる。

 

「先輩、よろしいのですか?」

 

 フローラが不安そうに尋ねてくる。

 

「マルフォイの企みが分かったのは良かったですけど……手伝いをするなんて……」

「お前らしくないだろ。『あの人』の手助けをするようなものだぞ?」

 

 セオドールも声を潜めて聞いてくる。セレネはしばらく黙っていた。必要の部屋から随分遠ざかり、滅多に人が来ない抜け道に入った時、ようやく足を止め、2人を振り返る。

 

「手助け? まさか!」

 

 セレネはマルフォイに見せた偽りの笑みとは異なる、心からの笑みを浮かべた。

 

「これで、ヴォルデモートの手駒を確実に潰せるではありませんか!!」

「え……?」

「キャビネットが修復したら、あいつは死喰い人たちを招き入れますよね? キャビネットは必要の部屋にあるのですから、いつ、どこから侵入するのか、どこで待ち伏せすれば効率よく倒せるのか、一目瞭然ですよ!」

 

 キャビネットを修復すれば、死喰い人侵入の目途が分かる。

 死喰い人の侵入経路が分かっているのだから、それを潰すことができる。

 ましては、ダンブルドアを殺すために用意された死喰い人なのだから、きっと、ヴォルデモートの部下の中でも最上位の死喰い人が派遣されてくるはずだ。その連中を一人残さず殺す事ができれば、ヴォルデモートにとって相当な痛手だ。

 

 キャビネットを修復するだけで、死喰い人を確実に潰せる機会と分霊箱の在りかの両方が分かる。

 まさに、一石二鳥だ。これほど旨い話はそうそうない。

 

「私はダンブルドア殺害には手を貸しませんが、死喰い人を見逃すとは言っていません」

「つまり、一網打尽にするってことですね! さすが、セレネ先輩!!」

 

 フローラは心酔したようにセレネを見つめた。

 

「皆から会談の内容を聞かれたら、『有効な話し合いに終わった』と伝えなさい。内容は決して、漏らさないように」 

「はい、分かりました」

 

 フローラは軽い足取りで先に談話室へと戻っていった。

 セレネもその後に続こうとしたが、一歩踏み出す前に後ろから手をつかまれる。そんなことをする人物は、一人しかいない。セレネは振り返らずに、淡々と尋ねた。

 

「……なにか、文句でも?」

「お前……いいのかよ、これで」

 

 セオドールが咎めるように言ってきた。

 

「侵入して来た死喰い人に、殺されるかもしれないだろ」

「セオドール、私が殺されるとでも?」

「可能性はあるだろ」

「なら、何も問題ありませんね。私、殺されませんから」

 

 セレネは彼の手を振り払って歩き始めた。

 

「おい、死喰い人に立ち向かうときは絶対に知らせろよな!」

 

 セオドールの怒ったような声が、背中を追いかけてくる。セレネは一度、足を止めると小さくため息をついた。

 

「なぜ、貴方に?」

「いつも言ってるだろ。お前だけじゃ不安だからだ」

「……ありがとうございます」

 

 セレネは理解した、と背を向けたまま手を振って見せる。

 

 当然だが、彼に知らせるつもりはない。

 ヴォルデモートを破滅させるために、その使える手駒を殺すのは自分の仕事だ。

 大切な強い死喰い人を殺し尽し、分霊箱を壊し、あの蛇男を完全に破滅させてやる。そのための貴重な一時を、邪魔されるような真似はさせない。

 

「ゴーント……お前、やっぱり性格悪いな」

 

 セオドールの吐き捨てるような言葉を背中で受けると、セレネは暗い通路の向こうへ姿を消した。

 

 

 

 




セレネが手助けすることにより、マルフォイの精神的な負担が減る。
おかげで、マルフォイがトイレで泣くことはなくなり、ハリーの「上級魔法薬学」の教科書は隠す必要がなくなる……のですが、それはまた別の話。

次回投稿予定は、4月10日0時です。
謎のプリンス編もそろそろ終盤。最後までお付き合いください。



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