「はぁ~・・・」
帰り道、深いため息をつく。
「おーい!善子ちゃーん!」
と、前方で私の良く知る人物が手を振りながら近づいてくる。
「善子じゃなくてヨ‼・・・」
「ヨ?」
「ヨ・・・」
いつも通り勢いよく言いたいところだが・・・
「よ!し!こ!ちゃん!」
「だから‼善子じゃなくてヨ‼・・・」
「ヨ?」
「ヨ・・・」
「・・・どうしたズラ?」
彼女が私の顔を見つめる。
「実は・・・」
「面接で、善子じゃなくてヨハネ‼って叫んじゃったずらか?」
「どうして分かるのよ⁉」
「善子ちゃんの事は何でもお見通しずら‼」
「さすがはずら丸‼分かっているのなら話が早いわ」
私は彼女の肩をがっしりと掴む。
「お願いずら丸‼私の中の堕天使の血を抑えてちょうだい‼あんたにしか出来ない事よ‼」
ぎゅっ‼
「落ち着くずら‼善子ちゃん‼そんなに強く掴んだら痛いずら‼」
「あ・・・ゴメン・・・」
「とにかくここじゃ話し辛いずら。ご飯でも食べながら話そうずら」
「うん・・・」
・・・・
・・・・・
・・・・・・
「遅くなってゴメン二人とも‼」
私たちが店に入ってしばらくすると遅れてルビィがやって来た。
「よっと!」
彼女がずら丸の横に腰を下ろす。座敷にテーブルを挟んで私の前に二人。
「何か善子ちゃんが悩んでるって聞いてたけど・・・どうしたの?」
ルビィが心配そうに見つめてくる。
「善子じゃなくてヨ‼・・・」
「ヨ?」
「ヨ・・・」
「この通りずら・・・」
「ぴぎぃ‼」
ルビィが悲鳴をあげた。そして泣き始める。
「なんで泣くのよ⁉」
「だって・・・善子ちゃん・・・それもしかしたら何かの病気かもって・・・」
「大袈裟すぎるわよ‼」
「あーあ、泣―かーしたーずらー。ルビィちゃん実はね・・・」
「うん・・・うん・・・」
ずら丸がルビィの頭を優しく撫でながら事情を説明する。
「そうだったんだね・・・」
「そうよ‼だから言わないように必死で我慢してるのよ‼でも、どうしても完全に抑えることが出来ないの‼」
「善子ちゃんは善子ちゃんのままでいいと思う!」
「マルもそう思うずら!」
「いやいや、それじゃあ私、一生就職出来ないじゃない・・・」
「そんな善子ちゃんに・・・はいっ!」
ズラ丸が一枚の紙を差し出してくる。
「なにコレ?」
「劇団員募集のパンフレットずら!」
「劇団員・・・?」
「うちの知り合いがやってる劇団なんだけど、人手不足らしくて。ここなら善子ちゃんにピッタリだと思うずら!」
「・・・堕天使の役とかある⁉」
「あるんじゃないかなー。とにかく行ってみるずら‼」
「ルビィもいいと思う!行ってみなよ善子ちゃん‼」
「ふ、二人がそう言うのなら・・・」
「がんばルビィ‼」
「頑張るずら‼」
私は二人の期待に応える為にも劇団の面接を受けてみようと思った。
・・・
・・・・
・・・・・
「どうぞ」
「失礼します‼」
面接官の合図で、私は椅子に腰を下ろした。今日は劇団の面接当日。二人がせっかくくれたチャンスだ。無駄には出来ない‼
「えっと・・・お名前は津島善子さんで間違いないですか?」
「ヨハネよ‼」
「え?・・・」
「あ・・・」
いきなりやってしまった‼ここまで必死に抑えていたのに‼終わった‼終わった‼まさにアルティメットラグナロク‼」
「君面白いね‼」
「へ?」
「採用。明日から早速参加してもらうから宜しくー」
「・・・」
呆気にとられる私を残して面接官はさっさと去って行った。
「さいよう?さい・・・よう・・・採用‼」
早速ずら丸とルビィに電話する。電話越しに聞こえる嬉しそうな二人の声。
やった‼やったわ‼明日から頑張らなきゃ‼
・・・翌日
ガサガサガサ・・・
ガサガサガサ・・・
ガサガサガサ・・・
「ってなんで木の役なのよぉぉぉ‼」
「こら‼木が喋るな‼」
前途多難‼善子の運命やいかに⁉
「善子じゃなくてヨハネ‼」
「こら‼喋るなって言ってるだろ‼」
続く‼
ここまで読んで頂いてありがとうございます。津地こうと申します。普段はなろうにて小説活動をさせて頂いております。
二次創作というものは初めてで、もう妄想全開で書いております。ですのでお見苦しい部分もあると思いますがご容赦頂ければ幸いです。
大変短いですがまだ続きますのでまた宜しくお願い致します。
それでは
二〇二〇年 六月八日 津地こう