「一体どういう事よ‼」
大学の食堂で私はずら丸を問い詰めていた。
「堕天使の役あるって言ったじゃない‼」
「マルはあるかもって言っただけずら」
「それにしてもなんで木の役なのよぉぉぉ‼」
「でも舞台には出れるんでしょ?」
「まぁそうだけど・・・」
「入っていきなり舞台に立てるなんてそれだけで十分凄いと思うずらよ!」
ズラ丸の嬉しそうな笑顔が眩しい・・・
「・・・まぁそこまで言われたら本気でやるしかないわね」
「頑張るずら!」
「ところで木の役ってどうやればいいのかしら?」
「なぜオラに聞くずら?」
「だってあんた、木の役やってたでしょ?」
「マルはただ立ってただけだから・・・そもそも木の役にコツなんかあるずらか?」
「・・・」
果たして善子の初舞台は成功するのだろうか⁉
「ヨハネ‼」
「・・・誰に言ってるずら・・・」
・・・
・・・・
・・・・・
「津島さん!」
「は、はい!」
「君、初舞台だよね?緊張してると思うけど頑張ってね!まぁただの木だから、別に何もする必要ないけどね。ハッハッハ‼」
ビシッ!ビシッ!
監督から元気づけているのかバカにしているのか良く分からないアドバイスを受け、おまけに肩を思い切り叩かれる。痛い・・・
「準備しよう・・・」
木の被り物を身に着け準備完了。後はステージに出てただ立っていればいい・・・
「・・・」
正直納得はいってない。でも入って間もない私が口出しできる事ではない。それにどんな役にせよ、ずら丸の言った通り、いきなり舞台に立てるなんて光栄な事だ。
「頑張るぞ!」
自分に気合を入れて舞台に立つ。
ブーーー‼
ブザーの音が鳴り響く。開演の合図だ。幕が上がっていく。
(うわぁ・・・結構お客さん入ってるなー・・・)
客席はほぼ埋まっていた。有名な劇団だとは聞いていたが予想以上だ。心臓の鼓動が高鳴る。
「・・・‼」
その中に見覚えのある人たちの姿が
(な、なんで全員いるのよ⁉)
ずら丸とルビィがいるのは分かる。でも二人だけじゃない。客席の一角にAqoursのみんなが勢ぞろいしていた。
(みんな・・・)
多分ずら丸が呼んだんだろう。それにしても全員来てくれるなんて・・・目頭が熱くなる。
でもみんなには、もっとカッコいい姿見せたかったな・・・
・・・
・・・・
・・・・・
「善子ちゃんの初舞台成功を祝ってかんぱーい‼」
「ヨハネ‼」
舞台終わり、集まってくれたみんなとご飯に来た。
「鞠莉、あなた海外にいるはずじゃ・・・」
「オー!そうなんだけどねー。話し聞いたら居ても立ってもいられなくて!自家用ジェットで飛んできたわ!」
「・・・さすがは鞠莉・・・」
「それにー・・・」
がばっ!
「こうしてー果南とスキンシップとりたかったしぃー!」
「・・・訴えるよ?」
ズズー・・・
その横でわざとらしくお茶をすするダイヤ。
「・・・鞠莉さんは相変わらずですわね」
がばっ!
そんなダイヤに鞠莉と果南が同時に抱き着く。
ブッ‼
盛大にお茶を吹くダイヤ
「ちょっと!何するんですの⁉」
「ダイヤは私と会えて嬉しくない?」
「そんなの・・・言うまでもありませんわ・・・」
「相変わらず素直じゃないんだからダイヤは」
「果南の言う通りだね!」
「・・・」
顔面にお茶をぶっかけられた事を怒ろうと思ったが、目の前の三人を見ていたらとてもそんな気にはなれない。お茶以外にも頬を伝っている何かが・・・
「善子ちゃんこっち向いて!」
「ヨハネ‼」
タオルを持った梨子が私の顔を拭いてくれる。
「これでよし!」
「ありがと・・・」
私のお姉さんであり友達であり。梨子はしっかりものだし本当に頼りになる・・・・
「ったくう~!はの課長とひたらぁ!」
・・・数時間後、頼りになる梨子はすっかり酔いつぶれていた。
「ちょっと梨子!大丈夫⁉」
「リリーよ」
「へ?」
「はたしはリリーよ‼堕天使ヨハコのひちばんのリトルヘーモンリリーよ‼」
「変な呼び方するなぁー‼ヨハネよ‼」
ぐぅ~・・・
梨子はそのまま眠ってしまった。
「梨子ちゃんね、善子ちゃんの舞台凄く楽しみにしてたんだよ!」
「ヨハネ‼・・・そうなの?」
「うん。今日最初に集まったの、私と曜ちゃんだったんだけどね。そこに梨子ちゃんが来て、もう善子ちゃんの話ばっかするの。楽しみで夜も眠れなかったって!」
「・・・」
とても嬉しい反面複雑な気持ちになる。だって私が演じたのは動きさえないただの木。みんなせっかく楽しみにしてくれたのに・・・
「・・・うぅ」
「善子ちゃんどうしたの⁉」
「だって‼みんながせっかく集まってくれたのに・・・私ただ突っ立てただけで・・・もっといい姿見せたかった‼」
涙が止まらない・・・みんな・・・ゴメン・・・
「よしよしずら!」
ずら丸がそんな私の頭を撫でてくれる。
「善子ちゃん十分カッコよかったずらよ?」
「嘘よ‼」
「あんなにお客さんいっぱいの舞台に立てるんだよ‼やっぱり善子ちゃんは凄いなって感動したよ‼」
「ルビィ・・・」
「よしよし!」
ルビィにも頭を撫でられる。
「二人ともホントにありがとう・・・」
また涙が止まらなくなる。でも今度は悔し涙じゃない。二人への感謝の涙・・・
・・・
・・・・
・・・・・
「じゃあそろそろお開きにしようか!」
時間は過ぎ、解散の時間になる。
「梨子ちゃんは私と曜ちゃんがホテルまで送るから安心してね!」
「ホテルまで全速全進ヨーソロー!」
「じゃあ私たちも」
「シャイニー!またね!」
みんなが店を出ようとする。
「待ってみんな‼」
私の呼びかけにみんなの足が止まる。
「今日は本当にありがとう‼私、もっと頑張るから‼絶対‼絶対‼あの劇団のトップスターになって見せるから‼その時は・・・またみんな見に来てくれる⁉」
「もちろんだよ!」
「了解であります!ヨーソロー!」
「わたひはリトルれーもんなんだから当たり前・・・」
「楽しみにしてるよ!」
「シャイニー!」
「当然ですわね!」
「ずら!」
「うゆ!」
「うん‼私、頑張る‼」
「頑張ってね!ヨハコちゃん!」
「ヨハネ‼その呼び方禁止―‼」
一同大爆笑
明日から頑張らねば!
Aqoursのみんなの為に、全てのリトルデーモンの為に私はトップスターになるんだ‼道は険しいかもしれないけれどみんなの応援があれば大丈夫だ‼
彼女の挑戦はまだ始まったばかり。頑張れヨハコ‼
「ヨハネぇぇぇ‼だからヨハコ禁止ぃぃぃ‼」
「だから誰に言ってるずら・・・」
完
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
前回の投稿から日が空いてしまい申し訳ありません。
そもそも木だったら役とかいらないだろ!てな感じのツッコミはご勘弁を。
メンバーのみんなも登場してにぎやかな感じになり、僕はとても満足していますがいかがでしょうか。
まぁ梨子ちゃんに関してはいつも扱いが酷いのでもっと他で活躍させてあげたいですね(笑)
ヨハネが堕天使として、世界を沸かせる日が早く来る事を願って‼今回の締めとさせて頂きます
二〇二〇年 六月二十八日 津地こう