ポケットモンスタースペシャルでやってみた   作:609

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第二話 激動

キャラ説明

主人公 シオン

長い時を生きる‘呪い人‘ と呼ばれる人物。

ポケモン協会に所属している世界《ワールド》マスター。

ポケモン協会の最終兵器にして砦。

だが、ロケット団でもNo.4(ナンバーフォー)として存在している。

ポケモン研究者オーキド博士とは昔からの仲である模様。

その他にも、関わりがある人物がチラホラいる。

現在、レッドを興味対象として気に入っている(グリーン、ブルーも対象内には入っている)。

ー手持ちポケモン

ウインディ♂・ラフレシア♀

 

 

ーーシオンはタマムシシティのゲームセンターへと来ていた。

そう、No.4(ナンバーフォー)としての格好で。

ポスターの後ろのボタンを押し、地下へと降りる。

この地下は前にも来たロケット団の研究施設。

そして水槽に入った形が作り上げられ、完成されたミュウツーが眠っている。

 

『……私以外のものの何かを感じる。誰か(人間)の遺伝子か?』

 

目を鋭くして見ていると、中で眠っていたミュウツーが目を覚ます。

ミュウツーは目を細め、

 

ーー誰だ

「私はそうだな…… ただのポケモントレーナー(・・・・・・・・・・・・)だ。お前はどうしたい?」

ーーどうしたいとは?

「そうだな……人間に復讐したいとか、ここを抜け出したい、とかかな」

ーーわからない……

「そうか…… まだ(・・)、中身は出来上がっていないか。だが、その気になればお前はいつでもそこから出れるとだけは言っておこう。それだけの力を持っている。それだけ、お前の元(・・・・)になっているポケモンは強い」

ーー……眠い

「っふ。ではな、ミュウツー。お前が、お前になったらまた会おうか」

 

そう言って、シオンは部屋の片隅をスッと見た後、元来た道を戻って行った。

そこには一人の男性が聞き耳を立てていた。

それを黙って聞き、自身も水槽に眠るミュウツーを見つめたのだった。

その数ヶ月後、ミュウツーは研究所を破壊して飛び去った。

 

 

ーーシオンは、いつものようにウインディを枕に休んでいた。

だが、パチっと目を覚ました。

 

ーーシオン?

「どうやら使いが来たみたいだ」

 

そう言って、見上げていた空から一羽のピジョットが降りてきた。

地面に降りると、シオンをジッと睨みつけていた。

シオンは身をお越し、

 

「久しいな、ピジョット。それにしても、相変わらず私を毛嫌いしているな」

ーー当然だ。お前(・・)を、信用していない。いつまた、こちらに牙を向けるかわからんからな

ーーピジョット!シオンはそんなことはしない

ーーお前は知らぬから言えるのだ。さて、私は仕事をしに来たのです

「マユラだろ?なんて言っていたんだ」

ーー……フリーザー・サンダー・ファイヤーが消えたと

「あの三匹か。狙いはただの三匹の力か……もしくは、ルギアか」

ーーわからん。だが、近くにいたポケモンからの情報では黒い格好の人間がいたと

「ああ、なるほど。わかった。私自身も動く。マユラの命令(・・・・・・)は最優先事項だからな」

 

 

シオンは立ち上がり、伸びをする。

ウインディも立ち、

 

ーーどこに向かう?

「そうだな……先にマサラに向かう」

ーーもしかして、あの人間か?

「確かめるだけだ」

ーーウインディ

ーーなんだ?

ーーそいつから目を離すなよ。そして気を許すな

ーーピジョット!

ーーこれは先輩からの助言だ

 

そう言って、ピジョットは空へと飛び立っていった。

シオンはウインディに乗り、マサラタウンへと駆け出した。

 

シオンはマサラに来ると、そこには破壊されたオーキド博士の研究所があった。

ウインディから降り、オーキド博士のパソコンをいじる。

 

「ユキナリから、イーブイが届いた聞いていたが……やはり、イーブイが消えているな。あの子を取り戻しに来たか。あの資料を見る限り、まだ実験途中だったからな」

 

そして、あたりを見る。

踏み荒らされたこの地を見る。

その目はあまりにも冷たく、恐ろしい。

ウインディはそれを感じ取り、身震いして尻尾を丸めて耳を落とした。

シオンは重い声で、

 

「ウインディ、ヤマブキシティに向かうぞ」

ーーわ、わかった

 

再び、ウインディに乗り駆け出した。

ヤマブキシティに来ると、ウインディをモンスターボールへと戻す。

 

「エスパータイプによるバリア、か……」

 

シオンはバリアに触れる。

すると、首に下げていた青い石に赤い筋が浮かび上がる。

次第に手が中へと入り、シオン自身が中へと入る。

一呼吸すると、シルフカンパニーに向かう。

シオンはシオンの格好のまま、ロケット団の前に現れた。

 

「誰だ、貴様!」

「何、通りすがりのポケモントレーナーだ。それも、タチの悪いな」

 

そう言った瞬間だった。

彼らの前から目の前にいた少女が消えた。

 

「な、何⁉︎」

 

だが、彼らはそれに構っている暇はなくなる。

今にこのバリアを壊し、入ってくる者たちに手を焼くことになるのだから……

 

シオンは建物に入る。

階段を駆け上がると、

 

「おっと、待ちな。お前、何もんだ」

 

シオンは声をかけた男性を見る。

金髪の迷彩服を着ている男性。

 

「クチバジムリーダーマチス……いや、ロケット団幹部マチスというべきか」

「む?」

 

そう、彼はオレンジバッジを管理し、電気タイプのエキスパートであるクチバシティのジムリーダー。

そしてロケット団幹部のマチス。

 

シオンはジッと彼の持つモンスターボールを見る。

そこに入っているポケモンを。

 

「なるほどな……」

「おい!」

 

だが、彼を無視してシオンは歩き出す。

なおも止めようとするロケット団幹部マチスの元に、

 

「いい。そいつはそのまま通せ。お前たちは仕事に専念しろ」

「……了解、ボス」

 

ロケット団幹部マチスは持ち場へと向かう。

シオンは階段をさらに上がっていく。

司令室のような場所でパソコンを起動する。

 

『……ふっ。この程度(・・・・)では、まだ序の口だな」

「邪魔でもしに来たのか」

「いや。邪魔はしないさ。私はあの三匹を見に来ただけだ。だが、もしもの時はどうするかは保証はしない」

「ほう。それはどちらとして、だ?」

「どちらでもない。私は命令(・・)に従うだけだ」

「ふっ……ふっふっふっふ!お前が、か!」

「そうだ。残念なことに、私はこれには逆らえないのでな」

 

と、ビルに熱がこもり出した。

下の方で何かあったのだろう。

爆発音も聞こえる。

 

「だが、何より……力しかないのでは、あの三匹はいうことは聞かないぞ」

「しばらくバッジの力があれば問題はない」

「あの研究データーを言っているのであれば、序の口だな」

「ああ。ひとまずはここから(・・・・)だ!」

 

シオンは下から強い力を感じた。

おそらく、ジムバッジに秘められている力を使ったのだろう。

そして外には、三匹が一体化した姿があった。

その下には見覚えのある三人の子供。

さらに視線を街に向けると、ロケット団に立ち向かうジムリーダーたちとその協力者たち。

マサラから連れてこられた人たちと共に、オーキド博士の姿もみた。

 

「……さて、サカキ。オーキド博士を狙うだけなら、マサラの地や住民は関係ないのではないか?」

「いや、関係はある。マサラの清い土地、住民の中にいるポケモンを操るに長けたもの。それを、我らのために協力してもらうのだ」

「……ふっ。だが、お前の思い通りになるかどうかはわからないぞ。ポケモンも、人も、な」

 

と、シオンの前に三体一体となったフリーザー、サンダー、ファイヤーが飛んでくる。

咆哮と羽ばたきでガラスにヒビが入り、割れる。

シオンは顔を腕で守り、彼らがいなくなると体についたガラスの破片を落とす。

 

「ったく。本能(・・)で私を狙ったな。相変わらずだな」

「……随分と知ったようなことだな。いや、お前(・・)だからこそか」

「ふん。お前には理解できんだろうし、私自身理解もしないだろうさ」

 

と、シオンは手首についた腕輪からワイヤーを引き出す。

それを隣のビルに投げ、

 

「さて、私はここまでにしよう。どうやら、あれらはあの子たちで事足りそうだしな」

「随分と買っているな。レッドの時もそうだが」

「っふ。あれらはかのオーキド博士が(・・・・・・・)選んだ図鑑所有者(・・・・・・・・)だからな。いや、まだ一名図鑑は持っていないか……それに、あちら(・・・)も動き出すようだ」

 

それだけ言い残すと、シオンはジャンプした。

ワイヤーを引っ張り、それと同時にウインディの入ったボールを投げる。

 

「ウインディ、はかいこうせん」

 

ウインディが出ると、逃げていたマサラの街の人たちを襲うフリーザー、サンダー、ファイヤーの三体一体から守る。

そして壁を蹴って地面に着地する。

彼らの前に出ると、

 

「シオンの姉ちゃん⁉︎」

「レッド君、あれらは君たちに任せて大丈夫かな?無理なら、私が(・・)動くが」

「いや、任せてくれ!だからみんなを頼んでもいい?」

「ああ。マサラの者(・・・・・)は、守っておくよ。では、気をつけたまえ。そっちに行ったぞ」

「うわっ⁉︎」

「レッド!」「何やってんのよ!」

 

と、彼らは盛り上がっていた。

シオンは視線を横に向け、

 

「さて……ちゃんと、仕事はしているのようだな」

 

と、シオンはジムリーダーたちを見る。

シオンを見たジムリーダータケシとエリカは眉を寄せる。

 

「お前は……!」

「どうして、どうして今になって動き出したのです?」

「なに……特に理由はない。それに、ジムリーダーが別に悪行をしていても、私自身は構わないのでな。ジムリーダーが、そこらへんのトレーナーより弱ければ意味はないが、強ければ良い。そして何より、導きの担い手になれていれば文句(・・)はない。お前達ジムリーダーのような存在は、憧れと象徴(・・・・・)だ。それにあえばいいだけの事。それを見たモノが悪だと言うのなら、それは悪なのだろう。だがまぁ……こればっかりは昔からある事だからな」

 

と、シオン彼らに冷たい目を向ける。

だが、シオンはすぐに視線を前に戻し、

 

「随分とやられたな、ユキナリ。なまったか?」

「そうじゃな。鍛え直さないといかんかもな」

「まぁ、お前はマサラの者たちと下がっていろ。守ってやる(・・・・・)

「珍しいのぉ」

「ん?言っていなかったか?こう見えて、私はマサラの出身だぞ」

「初耳じゃ」

「と言っても、今のマサラになるかなり前だがな……」

 

そう言って、シオンはラフレシアを出す。

シオンはウインディとラフレシアを見て、

 

「ウインディ、お前はラフレシアを手伝え。ラフレシア、そっちは任せた」

ーーおい、シオン!

ーーそれは構いません。ですが、攻撃の要であるウインディなしでは……誰を使う気ですか

「使いたくはないが、あいつを使う」

ーー待ちなさい!それは!

「これだけ、暴れまくっているんだ。鈴の音でも、草笛でも、それこそ私のみの力でも無理だ」

ーーですが!

「では、任せたぞ」

 

シオンはスッと目を細く二匹を見た。

そして一つのモンスターボールを取り出す。

 

『それに、あっちもいまだに見張っているのだしな』

 

と、斜め上を見据える。

そこには一羽のピジョットが飛んでいた。

シオンはボールを投げる。

そこから出てきたのはゲンガー。

ボールから出たゲンガーは笑い出す。

 

ーーケッケッケ!久々の外だぜ〜‼︎

『『あのゲンガーは……‼︎』』

 

そのゲンガーを見たオーキド博士と、同じように下を見ていたロケット団ボスサカキは眉を寄せた。

そのゲンガーはけたけた笑いながら、辺りを見ていた。

 

ーーおぉ⁉︎なんだ、なんだ‼︎これはこれは……大暴れができる予感‼︎

「ゲンガー」

ーーなんだ、お前か

「お前を、暴れさせてやる。だが、命令(・・)には従え」

ーーこの俺様に命令〜?お断りだぁ〜

 

と、ゲンガーは勝手にバトルを始めた。

オーキド博士は、ゲンガーが彼女に何かを言っているのは分かる。

だが、意味はわからない。

しかし、あまりいい雰囲気ではないことだけはシオンの纏う空気が変わった時点で物凄く分かる。

現に、自分に冷や汗が流れている。

ウインディに関しては、耳と尻尾が垂れている。

シオンの目つきはあまりにも怖く、冷たいし視線で暴れまくるゲンガーを赤く光る瞳が射抜く。

 

「ゲンガー!」

ーーあぁ?

「命令を聞け!今ここで、無理やり(・・・・)命令を聞かせることもできることを忘れるな」

ーー…………確かになぁ。お前は(・・・)、できるよなぁ〜

「だったら、分かるな」

ーーケッケッケ!いいぜぇ〜……お前の()、よこしな!

 

ゲンガーはシオンの前へとやってきた。

シオンは首につけている青い石を握る。

その石はすでに赤い筋が幾つも浮かび上がっていた。

そして、石が輝くと……

 

ーーいやっほぉーい‼︎

 

と、ジャンプするゲンガーの姿が変わっていた。

オーキド博士は腕を組み、

 

『確か、シオンが前に……メガ進化とか言っておったな。あれになるには条件がいるとも……』

 

同じく、ゲンガーの姿を見たロケット団ボスサカキも顎に手をやり、

 

『……ゲンガーのメガ進化は、ポケモンとの絆と言われていたな。だが、ゲンガーは獲物として狙う相手としか絆が芽生えない、とも言われていたな。……あれは、絆を結んだことはないと言っていたな。あるのは利用関係(・・・・)……』

 

ロケット団ボスサカキは笑っていた。

 

シオンは眉を深く寄せていた。

 

『必要以上に奪ったな、あいつ。だが、あの姿のゲンガーの特性かげふみ。影を踏まれれば、逃げることも攻撃することもできない』

 

シオンはため息を一つついた後、

 

「ゲンガー!一気に叩き込むぞ。あくのはどう‼︎」

ーーイエ〜エェーイ!

 

ゲンガーの特性を使い、技を繰り出す。

そのまま360度回転して敵をなぎ払っていく。

だが、一匹のポケモンがシオンとオーキド博士へと襲い掛かる。

しかし、シオンが一睨みするとポケモンは気絶した。

 

「悪いな。今は余裕がないのでな」

『あ、あいかわずじゃな……』

 

オーキド博士は苦笑いしていた。

そうこうしている内に、暴れまくっていたポケモン達はいなくなった。

シオンはレッド達の方を見る。

三体一体となっていた彼らは、それぞれ一体一体に戻っていた。

 

「どうやら、あちらもかたがついたな」

ーーケッケッケ!あれは、また懐かしい奴らがいるじゃねぇかぁ〜!あれもやるのか?

「…………」

 

シオンは赤く光る瞳のまま、三匹を見ていた。

三匹もまたシオンを見出した。

 

「何をしている。住処に帰ったらどうだ。それとも、また(・・)人間に捕まりたいのか」

 

それを聞いた三匹はシオンへと襲い掛かる。

 

「え⁉︎フリーザー?」

 

レッドは解放されたフリーザーの行動に驚いた。

そして慌てて、ビルの下へと向かう。

シオンは三匹を見据えたまま、

 

「やれ、ゲンガー」

ーーケッケッケ‼︎

ーーいけません、シオン!

 

ラフレシアはバッとシオンを見たが遅い。

すでにバトルが始まっていた。

レッドはビルから出たとき、ゲンガーの攻撃が飛んでくる。

 

「わ、っわ!」

 

それは自分には当たることはなかったが、近くの地面に当たる。

ゲンガーの攻撃は続いている。

そして、いつも見ているシオンとは違う姿を見る。

一瞬、足がビクつくが、頬を叩いて進み出す。

ゲンガーの攻撃が降る中、レッドは進む。

その後ろを、レッドを追いかけてきたイーブイが追いかけていた。

 

「シオンの姉ちゃん!」

 

今度こそ、レッドに当たりそうになった攻撃を、イーブイが庇った。

宙に浮いたイーブイをキャッチし、

 

「イーブイ!」

 

その声を聞いたシオンはレッドの方に目を向けた。

傷ついたイーブイを抱えこむレッドの姿。

シオンが見ていたその光景にノイズがかかる。

泣いている子供の光景。

だが、ノイズが酷くて見えない。

 

ーーケッケッケ!これでどうだぁ〜

 

シオンはゲンガーの声を聞き、ハッとしてバトルに視線を戻す。

三匹を見て、

 

「フリーザー、サンダー、ファイヤー、上昇‼︎」

 

それを聞いた三匹はさらに高く舞い上がる。

ゲンガーは悔しそうに、

 

ーーあぁ?何してやがる……あぁ?

 

ゲンガーの見るシオンは違った。

まるで幼い子供(・・・・)のような顔で、三匹を見ていた。

 

「またね」

 

そう言ったシオンの顔を見た三匹は、それぞれの住処としている場所へと飛んでいった。

シオンは頭を押さえ、

 

「……はぁ……」

 

シオンは頭を数回軽く振った後、レッドの元へと歩いていく。

 

「レッド君」

「シオンの姉ちゃん……だよな?」

「ああ。そうだよ。そのイーブイを貸してもらえるかな」

「う、うん……」

 

レッドからイーブイを貰い、抱えこむ。

おでことおでこを合わせる。

レッドは見た。

イーブイの傷が治っていくのを。

普通の人間にはできない芸当だ。

 

「これで大丈夫だ」

「ありがと、シオンの姉ちゃん」

 

シオンは小さく笑い、イーブイをレッドに戻す。

そしてレッドの頭をポンポンとして、

 

「君たちには感謝しているよ。彼らを解放してくれたことにね」

「え?あ、うん。オレも、フリーザーに助けてもらったからよかった」

「そうか……さて」

 

シオンはまた一人、暴れ始めているゲンガーを見る。

オーキド博士のそばには、駆けつけたグリーンがいる。

 

「ゲンガー、ボールに戻れ」

ーーあぁ?ヤダね。まだまだ暴れたりねぇ!

「暴れたいのなら、暴れてもいい。だが、私を本気で怒らせたいのならな」

ーー相棒(・・)もいないのにかぁ?

「その気になれば、道具(・・)はそこらへんにたくさんいる

ーー……おぉ、怖い怖い。流石だねぇ〜

 

そう言うと、ゲンガーの姿はいつもの姿へと戻る。

そして、シオンの持っていたボールへと戻った。

シオンは空を見る。

否、見張っていたピジョットを。

彼は何処かへと飛んでいくところだった。

さらに視線を斜め奥に向ける。

物陰に隠れていた誰かが、スッといなくなるところだった。

 

『さて、そろそろあいつも来るかな』

 

と、言ってるところに警察がやってくる。

オーキド博士の元に、一人の女性警官がやって来る。

 

「かの、オーキド博士にお会いできて光栄です。このような形でなければ、なお良かったのですが」

「ん?」

「失礼。私は国際警察所属、ミズハと言います」

「して、国際警察殿がわしに何のようじゃ?」

「今回の件について少しお話をお聞きしたく」

「と言われても、そんな詳しいことはわからんぞ」

 

と、話を進めていく。

そこに、シオンがやって来る。

 

「……やはり来ていたか、ミズハ」

「シオンさん、あなたも来ていたのですね」

「まぁな」

 

今度はシオンと二人だけで、場所を移動しえ話始めた。

 

「驚きました。あなた自身が動いていたとは」

「なに。こちらも仕事でな」

「そうですか」

「そうそう。いつぞや、あいつにも伝えたが……そろそろ、四天王たちの方にも動きがで始めた。ロケット団も、これで終わりではないと思った方がいい」

「わかりました。先輩に伝えておきます」

「では、私はこれで」

 

シオンはその場を離れ、首に下げている石を見る。

青く透き通る石が真っ赤な石へと変わっていた。

 

『これは説教決定だな…… 』

 

と、シオンは苦笑した。

現に、そばにやって来たラフレシアはニコニコしているが笑っていない。

ウインディはウインディで、ラフレシアに怯えていた。

その後、オーキド博士達に別れを言って森へと向かった。

 

 

とある深い森に入っていく。

と、大きな岩の上にいた金色の毛並みをした一匹のウインディ。

シオンは乗っていたウイディから降りる。

 

「あー、やっぱり待ってるよな……」

ーー当然ですよ。それで?

「こうなった」

 

と、赤くなった石を見せる。

岩にいたウインディは、岩から降りてシオンの前にくる。

 

ーー……これは酷い。説教の前に、石を泉へ。あなたも限界でしょう?

「あー……」

ーーね?

「ああ。わかった、わかったから寄るな、マユラ」

 

と、シオンは後ろへ下がる。

ウインディはウインディ(マユラ)に擦り寄り、

 

ーー母さん

ーー我が子よ、お帰りなさい。少しは強くなれましたか?

ーーそれは多分……

ーーまぁ、良いでしょう。無事で何よりです

 

と、互いに体をスリスリする。

シオンはその後、ウインディに押されながら泉に向かう。

向かった先には小さな泉がある。

そこに石を落とす。

石は輝きだし、赤くなった石はゆっくり青に戻っていく。

シオンは石が青に戻る間、ウインディ(マユラ)に説教を受けていた。

それがしばらく続いていた。

2、3日それが続き、シオンはやっと解放された。

 

「……長かった」

ーーシオン

「なんだ」

ーーシオンは、何故母さんの時のように、皆に接しない?そうすれば、警戒はとけるだろう?

「……うーん?さてな。何故だか、マユラには逆らえないんだよなぁ」

ーーシオンにもわからないのか?

「そうなんだよ。初めて(・・・)マユラに会った時からな」

ーー不思議だな

「不思議だろ」

 

と、ウインディの背に頭を乗せたま言う。

ボーとしながら空を眺めていると、

 

「ん?あれは……ミュウか」

 

ミュウはシオンを黙ってしばらく見つめ、飛び去った。

シオンは立ち上がり、

 

「全く……」

ーーシオン?

「ウインディ、お前はここに残れ。マユラが戻ってきたら、ミュウに呼び出されたと言っといてくれ」

 

と、泉から石を取り上げる。

まだ、赤い筋が残る石を首に下げ、ボールを一つ取り出す。

そこから出てきたのは、カイリューだった。

その背に乗り、

 

「カイリュウー、ミュウを追え」

 

カイリュウーは空高く飛び上がる。

ミュウを追った先にあったのは強大な竜巻。

それも、念力によるものだった。

 

「ああ、なるほど。ミュウツーか。案外、あいつにも親心が芽生えたか?」

 

と、そこに見覚えのある少年を見た。

シオンは小さく笑う。

 

ーーおや?あれはあなたのお気に入りでしたね

「ああ。あれから、随分と成長いたようだ。さて、彼らはなにをしようとしているのか、見なくてはな」

 

そう言って、カイリュウーの背をポンポンと叩く。

それを合図に、カイリュウーは竜巻に向かって突撃する。

竜巻の中心に来ると、

 

「破壊光線!」

 

その声に、レッドと共にいた研究者カツラが顔を上げる。

竜巻が弾け、

 

「やあ、久しぶりだねレッド君。相変わらず、元気なことだ。で、なにをしようとしているのかな?」

「シオンの姉ちゃん!いや、あのポケモンをこのボールに入れるんだ。けど、めちゃ強くて」

「………ボールに?なるほど、ね……なら、微弱ながら手伝おう」

「ホントか!サンキュ!」

 

レッドはパッと笑みを出して駆け出した。

シオンはカツラを見て、

 

「ほう、多少はマシになったではないか。これなら、合格にしてやらんこともないな」

「き、君は一体……」

「さて、カイリュウー。彼を手伝ってやれ」

ーーおや?あなたが手伝うのでは?

「手伝うさ。微弱ながら、な」

 

そう言って、シオンの目は細く、そして冷たい笑みが浮かぶ。

カイリュウーはため息を一つつき、レッドの元へと向かう。

 

「ああ。それにしても、ミュウツーから感じたあれは、お前か。その腕を見る限り……ふっ、まさに命がけ(・・・)と言うわけか」

「まさか、この感じは……」

 

研究者カツラは冷や汗が流れ出る。

彼女は以前と、冷たい笑みを浮かべたままだった。

 

レッドはミュウツーの攻撃を必死に避け、近づこうとしていた。

しかし、なかなか近づけないのが現実だ。

と、レッドに大きな岩が襲い掛かる。

そこに、シオンのカイリュウーが雷のパンチを繰り出し、岩を粉砕する。

 

「おお!サンキューな」

ーーやれやれ。ボロボロになってまで戦うとは……その心意気、買いましょう。あなたは近づく事だけ考えなさい

「??なに言ってるかはわかんねぇーけど、頑張るぜ!」

 

レッドはカイリュウーが作った道を突き進む。

ミュウツーの前までくると、自分の手持ちポケモンを全員を出した。

だが、竜巻によって全員が飲み込まれる。

シオンはそれを見て、

 

「カイリュウー、竜巻は気にするな。そのままミュウツーの注意を引いてやれ」

ーー……本当に、あの子を気に入っているようですね

 

カイリュウーは竜の怒りを繰り出す。

その攻撃に一瞬気を取られたミュウツー。

レッドは竜巻の中心からプテラを使って急降下する。

だが、それに気づいたミュウツーの技に吹き飛ばされる。

 

「くっ!ピカ!」

 

レッドの背にしがみ付いていたピカチュウが、レッドの背を蹴った。

そしてピカチュウは、そのままミュウツーの前へと突っ込む。

その口には、マスターボールがくわえられていた。

そしてついに、そのボールが当たり、ミュウツーはボールの中へと収まった。

竜巻は消え、レッドはプテラと共に落ちて来る。

カイリュウーが小さな竜巻を起こし、彼らを受け止めた。

シオンは、同じく落ちて来るピカチュウをキャッチし、レッドに渡す。

 

「それで、レッド君。君は、その子をどうするんだい(・・・・・・・・・・・)?」

「うん。それなんだけど……はい、カツラさん」

 

レッドは、研究者カツラにボールを渡す。

彼は受け取ると、レッドはニッと笑う。

 

「コイツは、本当に手強い怪物だった。でも、思い出すのは実験室で繋がれていた姿だけなんだ。身勝手な人間が作り出した哀しい命……作られた命でも、人間と仲良くしちゃいけないはずないでしょ。だから教えてあげてよ、カツラさんの手で」

「「…………」」

 

それを聞いた研究者カツラは黙り込んだ。

そして、シオンもまた黙り込んだ。

レッドは、共に戦った手持ちポケモンの元へと駆け寄っていった。

 

研究者カツラは、腕の痛みがないのに気づいた。

ミュウツーの入ったボールを見つめ、

 

「ミュウツー……もう一度、共に生きようと、私に言っているのか⁉︎そうか……ふふ。久しぶりに懐かしい言葉を思い出した。かつて私も憧れ、めざした言葉……‘ポケモントレーナー’。ポケモント信頼し合い、共に生きる者……レッド、まさしく君のことだ」

「ふっ……あははは‼︎」

 

シオンは大きな笑い声をあげた。

その姿に、カイリューは驚きの顔を見せていたのだった。

しばらく笑った後、

 

「さすがは、レッド君!あー、笑った笑った。さて、ミュウツーも進路(・・・・・・・・)が決まったことだし……私の仕事も終わったようだ(・・・・・・・・・・・・)

 

シオンが見上げる空では、一匹のポケモンが飛び立っていった。

シオンは彼らの手当てをし終わり、カイリュウーの背に乗る。

 

「私は戻るとしよう。元気でな、レッド君」

「うん!ありがとな、シオンの姉ちゃん!」

 

その帰り道、彼女の笑みは消えぬままだった。

 

ーーシオンは森へと帰ってきた。

しばらくは、森で再び休養をしていた。

 

「ああ、いけない。報告を忘れていた」

 

シオンは報告を始める。

 

ーー中間報告その後

ジムリーダー適性について

ハナダシティジムリーダー・カスミ 合格へと変更

グレンタウンジムリーダー・カツラ 義理合格へと変更 これからもジムリーダーとして支障なし

タマムシティジムリーダー・エリカ 合格

クチバシシティジムリーダー・マチス 合格

ヤマブキシティジムリーダー・ナツメ 合格

トキワシティジムリーダー・サカキ 合格 が、場合によっては、新たにジムリーダーを立てるべき

 

また、トキワシティ・クチバシシティ・ヤマブキシティ・セキチクシティ・グレンタウンジムリーダーは、今回のロケット団事件に関与あり

続いて、四天王について

現在、動きあり

動向を探る

 

機械を切る。

そこに、一匹のポッポが飛んできた。

シオンの元に降りると、

 

「ああ。トキワの子か。どうした?」

ーージムに人間が帰ってきた

「サカキか?」

ーーそう。それに知らないポケモン()達も、たくさん来た。でも、話ができない。とても怖い

「……そうか。わかった。私が向かうから安心しろ。この森に入り(・・・・・・)私に会いに来るは勇気がいるだろう(・・・・・・・・・・・・・・・・)。その心意気を、私は買うよ」

ーーありがとう

 

そう言って、ポッポは空へと飛んでいく。

シオンは斜め後ろを見て、

 

「そう言うわけだ、マユラ。私は行くぞ」

ーーええ。わかりました。ですが、無茶だけは控えてください

「あー……それなりに気をつける」

ーー全く……

 

シオンはウインディに乗り、トキワの森へと向かう。

森は確かに変だった。

空気が重い。

そう、まるで怯える心と闘争心のような不安…

入り混じりすぎて、気持ちが悪くなりそうな気で満ちている。

 

「確かに、ここのポケモン()ではない子が多いな。しかもこれは……ああ、あの薬か。全く、カントー最強ジムリーダーは手がかかる」

ーー少し嬉しそうなのは気のせいか?

「いや、なに…私自身は(・・・・)、あいつの人なりは嫌いではない。それに、強さは本物(・・・・・)だからな」

 

そう言って、シオンたちはトキワジムへと来た。

ウインディをボールへ戻し、中へと入る。

 

「ほお、本当に戻っていたようだな」

お前の方が(・・・・・)先に来たか(・・・・・)。いや、当然と言えば当然か」

「…………」

「そう睨むな。私は今、ここに来るだろう少年を待っている(・・・・・・・・・・・・・・・・)。私としては不本意ではあるが、お前の言った通りであった。確かにあれは強くなった。私の部下に欲しいと思うほどにな」

「ああ。そう言うことか。だが、彼はそう簡単には手に入らないと思うが?」

「ふっ。そのために、ここに来たのだ」

「そうか。なら、その件に関しては(・・・・・・・・)、手を出さないと誓おう。だが、外のポケモンは話が別だ。研究の件もそうだが、あれは手を出させてもらう。しかしお前も、そう簡単には手を引けぬだろう」

「そうだな」

「そこで、だ。お前が、これからしようとしている事に、条件(・・)をつけさせて貰う」

「手は出さないのではないのか」

「ああ。ただ、お前が彼を仲間にできなかった場合、このトキワは諦めろ(・・・・・・・・・)。ただ、それだけだ」

「研究は、言わないのだな」

「それは別件だ。私はただ、”この森をどうにかして欲しい”と言われただけだ」

「ふっ。いいだろう。その条件を飲もう」

 

シオンは、ロケット団ボスサカキを一睨みして、奥へと入っていった。

なんだかんだで、シオンは彼としばらく共にいたのだが、それはまた別の話…

 

 

あれから数週間が経ち、トキワジムに一人の少年が入って来る。

 

「さて、彼も来たことだし……私は高みの見物でもしているかな」

 

そう言って、シオンはジムの二階観覧席へと上がっていく。

ロケット団ボスサカキは、彼の前へと歩み出る。

 

「来たな、ようこそ!我が、トキワシティジムへ」

「だ、誰だ‼︎」

「待ちかねたぞ、マサラタウンのレッド!」

「俺の名前を……知っている⁉︎」

「その面構え……フフフ。今や、達人トレーナーと言っても、言い過ぎではない……レッド‼︎オーキド博士から譲り受けたポケモン図鑑を完成させる為の旅に出発し、その過程で数々のジムリーダー達を撃破してきた!何より、奴にも魅入られたその力(・・・・・・・・・・・)!」

「一体、誰だ!?」

「フフフ。ディグダの穴での化石以来……いや、その後シルフ本社が崩れた時、君は気付いていたな」

「……じゃ、じゃあやっぱり、あの時のは化石の……おじさん⁉︎」

「フフフ、その“まさか“だ。ニビで、君に出会ったこの私は……トキワジムジムリーダー。そして……ロケット団のボスサカキ!レッド。お前が、この旅の随所で対決してきたロケット団とは、私の組織なのだ」

「ま、まさかあの時は……俺の事を、試しに来てたのか⁉︎」

「……そうだ」

 

と、彼らは対面しながら、サカキは余裕の笑みを浮かべている。

対して、レッドは警戒と焦りが浮き出ている。

それを見聞きしながら、シオンもまた、笑みを浮かべていた。

 

『ハハ。焦りは禁物だぞ、レッド君。ま、サカキは強い。君よりも……そのサカキに勝つには、君の粘りと勝つための執念を、いかに有効活用できるか、だな。まぁ、余裕ぶっているサカキなら(・・・・・・・・・・・・)……君でも勝てる(・・・・・・)。そう、君はユキナリが認めた(・・・・・・・・)図鑑所有者(・・・・・)。その“闘う者(・・・)“だからな』

 

と、ロケット団ボスサカキは上着についていたモンスターボールを、全て地面に落とす。

彼は装備なしの状態へとなり、レッドに背を向ける。

 

「さぁ、遠慮なくかかって来たまえ」

「ば、ばかにしているのか⁉︎ちくしょう!行けえ!」

 

レッドはニョロボンを出し、パンチを彼に向けて繰り出した。

だが、レッドのニョロボンは吹き飛ばされ、氷漬けとなった。

 

「あっ⁉︎何が……起こったんだ⁉︎」

「レッド。お前が、自分のボールに手をかけるまでが1秒。戦闘にしようするポケモンを選び、投げるまでに2秒。カプセルからでたニョロボンが、私のところへ飛んでくるのに3秒!それだけあれば、離れたボールのところまで行き、攻撃に転じるのには十分すぎる時間。私にとっては、な」

 

そう言った、ロケット団ボスサカキの隣には、パルシェンがいた。

彼は続ける。

 

「トレーナーとは、ポケモンに命令するだけの存在と思っている者が多い。だが、トレーナー自身のスピードやパワー。そして力量が、実は重要と知る必要がある。レッド、お前は知っているはずだ。お前もまた、あいつの実力を見ているのだからな(・・・・・・・・・・・・・・・)。故に、惜しい、惜しいな」

「何を!あとちょっとで……」

「フフフ。レッド、私の部下になれ」

「なっ⁉︎」

「惜しいと言ったのは、攻撃の事ではない。お前の、その実力が惜しい(・・・・・・・・)と言ったのだ。その粘り、爆発力、ポケモンと心を通わせる感性(センス)、お前の全てが欲しい。お前と部下との戦いの様子は、私の耳にも入っていた。最初は気にもとめていなかったが、お前は一気に実力を上げ、ついに私の元へとやって来た」

 

楽しそうに笑うロケット団ボスサカキだが、レッドは拳を握りしめる。

彼を睨みながら、

 

「だ、誰が、ロケット団なんかに入るもんか!」

「そう言うだろと思っていたよ。権力に屈しないところも、私がお前を好きなところだからな。では、こう言う賭けはどうだ。先刻告げた通り、私の手持ちポケモンは体を離れて、全て床だ。手に取り、放つのに6秒かかる距離。一方、お前の腰には、まだ五匹のポケモンがいる。この状態からの勝負で、お前が勝てば無理は言わん。お前の望む通りの事を受け入れよう。逆に、私が勝てば……お前は生涯、私の片腕として側に仕える。どうだ?本当に(・・・)あいつは手を出す気のない事も(・・・・・・・・・・・・・・)、確認できたからな。それに、お前が黙っていると言う事は、OKと言う事だろう。攻撃してこないのか?」

 

レッドは目を瞑って開くと、キッと眉を上げる。

そして、床にモンスターボールを置く。

 

「ハンディがあるなんて、まっぴらだ!勝負には、もちろん応じるぜ。対等な条件でな‼︎」

「ならば、このサカキも全力を持って応じよう!行くぞ‼︎」

 

と叫び、地面をお互い蹴って、ボールに向かって走る。

シオンは小さく笑い、

 

「それでこそ、レッド君だ。さてさて、どうなるかな」

 

最初にボールを手に取ったのは、レッドだった。

レッドの方から出たポケモンは、カビゴン。

 

『レッド君は、カビゴンか。なら、サカキの手は決まったな。戦闘経験、実力……そう、トレーナーの駆け引きにおいては(・・・・・・・・・・・・・・・)……この勝負、サカキの勝ちだ。レッド君は、どうのように覆すかな』

 

レッドのカビゴンが、繰り出したメガトンパンチ。

だが、後から出てきたロケット団ボスサカキの出したニドクインのカウンターを喰らった。

そしてダウンし、投げ飛ばされた。

続いて、ロケット団ボスサカキは、すぐにゴローニャを出す。

ゴローニャの転がる攻撃を、レッドは必死に避け続ける。

レッドは考えて考えて、ポケモンを出さない事に決意した。

痺れを切らした相手のゴローニャは、先に出ている壁に吹き飛ばされたカビゴンに向かって襲いかかる。

だが、レッドも、これを狙っていた。

襲い掛かるゴローニャに、カビゴンは頭突きをする。

が、相手の方が上だった。

岩落としに続けて、大爆発を喰らった。

レッドのカビゴンは、戦闘不能となった。

反応が遅れたレッドの首筋には、ロケット団ボスサカキの出したスピアーの針が触れていた。

 

「遅い。レッド、勝負あったな。動くと、針が首を貫くぞ。お前が、カビゴンを出した時点で、決め技は“大爆発“と決めた。“大爆発“は、室内では使えない。だから外へ投げ飛ばしたのだ。これが(・・・)トレーナーの駆け引きだ(・・・・・・・・・・・)!レッド。フフフ。覚悟を決めたらどうだ?」

 

レッドは、どんどん壁へと追い込まれる。

手を上げ、サカキには気づかれないように、モンスターボールを足で上げていく。

 

「降参するもんか!」

 

レッドの背には、翼が広がる。

レッドの出したポケモンは、プテラ。

そのプテラから繰り出された破壊光線は、ロケット団ボスサカキのスピアーを直撃する。

煙が消え、ロケット団ボスサカキのいた場所を、レッドが見るといない。

レッドが地面に降りた瞬間、地震が起こる。

崩れ始める天井から落ちてきた岩が、1番最初に倒れていたニョロボンに落ちる。

それに気づいたレッドは、駆け出す。

レッドはそれをかばい、背に傷を負うがなんとか外へと出る。

その時、レッドは見た。

二階の観客席に(・・・・・・・)見知った相手がいた事に(・・・・・・・・・・・)

シオンも、それに気づいた。

そして、レッドが出たのを見てから、自身も外へと出た。

レッドの前には、ジムリーダーサカキとしてのベストポケモン。

地面タイプのエキスパート、大地のサカキと呼ばれた地面タイプのポケモン達が並び立つ。

近くにあったレッドのモンスターボールは、スイッチが壊れて開くことはできない。

そんな傷だらけのレッドの元に、ボールに入ったままのピカチュウが自らやってくる。

それを見たシオンは、笑みを深くした。

 

この賭け(・・・・)私の勝ち(・・・・)のようだ。この勝負、勝者はレッド君だ。サカキ、お前の考える計算……見落としがある(・・・・・・・)。ま、お前は知らないだろうからな』

 

レッドは立ち上がり、力を込めて駆け出す。

 

「サカキ!この戦いは、もうただのジムリーダー戦じゃない!闘う!ロケット団を倒す戦いとして!お前を倒す‼︎」

「フハハハ!あの時と変わっていないな、レッド!まだ闘うと言うのなら……予告しよう!お前の最後の一匹はピカチュウ!最大必殺技は“10万ボルト“‼︎ボールを開き、ピカチュウが出現するまでで1秒。“10万ボルト“のエネルギーを貯めるのに、さらに2秒。電撃が放たれ、私に届くまでに、2秒。合計で5秒かかる!その5秒の間に、ニドクインは“毒針“で、お前を撃ち抜く!行け!ニドクイン!」

「いいや!ピカの攻撃は、お前より速い(・・・・・・)‼︎」

 

そう、彼のピカチュウは、すでにエネルギーは溜め込んでいる(・・・・・・・・・・・・・・・)

そのピカチュウの10万ボルトが直撃する。

 

「馬鹿な⁉︎数万ボルトの電気が流れるボールを、掴んでいられる訳がない!」

 

サカキは見た。

レッドの手についているモノを…

 

「……っ!それは、我が軍の絶縁グローブ!フフフ!こんなところで(・・・・・・・)、計算が狂うとは‼︎確かに、足元をすくわれたと言う訳か……見事だ、マサラタウンのレッド!」

いや(・・)1番大きな計算違いは(・・・・・・・・・・)故郷であるこの森を悪事に使われた(・・・・・・・・・・・・・・・・)こいつの怒りに気づかなかった事さ(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

ロケット団ボスサカキの計算が狂ったのは2つ。

一つ目は、レッドの手にはロケット団が開発した絶縁グローブをはめていたこと。

それを使ったボール内での充電。

そして二つ目は、トキワの森は彼のピカチュウの故郷。

その故郷を、悪事に使われれば、誰だって怒る。

 

それを見届けていたシオンの顔には、笑みが浮かんでいた。

彼の成長が(・・・・・)心底心地がいいのだ(・・・・・・・・・)

 

レッドは限界がきて、倒れ込む。

が、それをシオンが支え、地面に寝かす。

警戒の色を見せるピカチュウ。

それを見たシオンは、小さく笑う。

 

「ほう、君は利口だな(・・・・・・)私が何であるかを(・・・・・・・・)もう理解したか(・・・・・・・)。だが、安心しろ。私は、彼を治療するだけだ」

 

そう言って、レッドが深く傷ついた背中の傷に、手を当てる。

すると、そこから少しずつ治療が行われ始めた。

そう、普通の人間にはできない治療を(・・・・・・・・・・・・・・)

傷をある程度塞ぐと、

 

「ラフレシア、プクリン。お前達は、サカキの方を少し見てやれ。カイリュー、レッド君を人目のつく街の近くまで、連れて行け」

 

ボールから出てきたポケモン達は、颯爽と行動を始める。

シオンは続けて、傷を負っているポケモン達を治療し、レッドの腹にボールを乗せる。

そして最後のピカチュウを癒し、レッドの上に乗せる。

 

「あとは頼んだよ」

「ピカ!」

 

カイリュウーは、彼を抱えたまま歩いていく。

シオンはその後、ロケット団ボスサカキを治療し、

 

「では、このトキワの森は諦めてもらうぞ」

「ああ。だが意外だな。私まで治療するとは(・・・・・・・・・)な」

「何、気まぐれだ。まぁ、個人的に私は、お前を気に入っている。この(・・)トキワの者でもあるしな。何より、”足元をすくわれた、お前の姿”も見れた事だしな」

「ふっ。それで(・・・)?」

「ついでだから、こちらに手を貸して貰うぞ(・・・・・・・・・・・・)、サカキ。何、タダとは言わないさ。”お前の捜し人(・・・・・・)”、その情報をやろう」

「……お前のことだ。嘘はないと(・・・・・)信用はできる(・・・・・・)。だが、条件をつける。ちゃんとした情報を全て(・・)開示しろ」

「ああ。いいだろう」

 

そう言って、シオンはラフレシアとプクリンをボールにしまう。

そして帰ってきたカイリューに乗って、彼の前から飛び立った。

そのまま向かった先は、ジョウト地方のとある場所(・・・・・・・・・・・・)

流星の民と呼ばれる者達が守る遺跡、“うずもれのとう“。

 

目的の場所、目的の人物達を補足したシオン。

カイリューに指示を出し、降りる。

 

「お前達だな。詳細はポケモン協会会長から聞いている」

 

カイリューの降りた場所には、研究員らしきもの達と、とある男性。

何故シオンが、ここに来たかと言うと、それはレッドとロケット団ボスサカキがバトルを始める数日前のこと…

 

シオンが腕につけている機械に、通信が入った。

 

「何だ?」

「すまんが、今行っているカントーの件とは別に、並行して行って欲しい事がある」

「ほう」

「ホウエン地方にいる“流星の民“。その流星の民が伝える“星の危機“」

「ああ、あれな」

「我々は、ホウエン地方のデボンコーポレーション社長であるツワブキ社長と、シンオウ地方のポケモン研究科学者でもあるベルリッツ家の協力のもと、ある研究を行うことにした。その危機を救う為に必要とされる伝承者と、彼らから竜神と呼ばれるポケモン“レックウザ“。いずれくる危機の為に、そのレックウザを、我々人の手でも何とかできるようにしたい」

「……当然だろうな。あいつの性格を考えれば」

「故に、君にレックウザの捕獲を頼みたい。ツワブキ社長からは、“花“と呼ばれる装置を作ったと聞くが……念のため、世界マスター(君の力)が必要となるだろう」

「いいだろう。レックウザは、“ジョウト地方のうずもれのとう“にいるだろう。だが、すぐには行けん。私が行くまでは、決して手を出すな(・・・・・・・・)と、言っておけ」

「わかった。頼んだぞ」

『どうせ、あれをコントロールするための石でも作るのだろうが……それができるとは思えんからな』

 

と、言うわけだ。

シオンがカイリューから降りると、一人の男性が前に出て、

 

「君が、ポケモン協会側からの協力者だね。私は、デボンコーポレーション社長のツワブキだ」

「ポケモン協会会長より、要請を受けてきた。ポケモントレーナー(・・・・・・・・・)・シオンだ。さて、それが(・・・)花か」

「ああ。それと、証拠保存の為に、録画を撮らせて貰う」

「構わない。私はあくまで、君たちがダメだった時の保険(・・)だからな」

 

そう言って、彼らと共に進んでいく。

そして、遺跡の前にくると録画を始めた。

しかし、しばらくしてレックウザ自ら、飛び出してきた。

さらに、レックウザの背には(・・・・・・・・・)一人の少女が乗っていた(・・・・・・・・・・・)

彼らの花が起動する前に、レックウザはメガ進化して襲い掛かる。

撮っていた録画が、切れたのを確認したシオンは、彼らの前に出る。

 

「カイリュー、レックウザを止めろ」

ーーやれやれ……

 

カイリューは、突進してくるレックウザを押しとどめる。

シオンはレックウザを見上げ、その背の上にいる少女を見る。

 

「久しいな、レックウザ」

ーーお前か。どう言うつもりだ

「何、”きたる星の危機”の為に、お前を研究したいそうだ。さて、その背にいるのは流星の民で、伝承者(・・・)だな。いやはや、お前のお眼鏡に叶ったか。だが、悪いな。レックウザは貰っていく。死にたくなければ、退け」

 

カイリューを払い退け、レックウザが伝承者を乗せたまま、シオンを襲う。

これで、相手は退く気がないと言うこと。

シオンから人に見せる作り笑みが消えた。

冷たい瞳と、無表情の顔…

いや、ただ獲物を、狩る相手を見据えた戦う者の顔…

 

「カイリュー。後ろの奴らの事は、頼んだぞ」

ーー……それが、あなた(・・・)の命令なら従いましょう

 

カイリューは、後方へと下がっていく。

シオンは、モンスターボールを一つ取り出し、

 

「ああ、やっぱり”あいつ”を連れてくるべきだったな」

 

そう言って、ボールを投げる。

出てきたのは、あのゲンガーだった。

 

「ゲンガー、命令に従えよ」

ーーケッケッケ!今回は、存分に暴れられそうだからな

 

ゲンガーをメガ進化させて、応戦を始める。

バトルは、激戦を繰り広げていた。

と、シオンは端の方で隠れていた幼い子供を見た。

だが、変わらず彼女の瞳は、冷たいままだった(・・・・・・・・)

 

「ゲンガー、終わらせるぞ。悪の波動!」

 

メガゲンガーの悪の波動と、メガレックウザの破壊光線がぶつかり合う。

それは大爆発を起こし、メガ進化が解けたレックウザ。

しかもその爆発は凄まじく、1番近くいたレックウザの上にいた少女は、無事ではなかった。

爆風で飛んだマントを、陰に隠れていた幼い子供が掴む。

戦闘不能となったレックウザは、彼らの持ち出してきた花によって捕らえられた。

レックウザを連れて、社長達は先に、ポケモン協会が作った研究所へと向かった。

シオンは、未だ暴れ足りないメガゲンガーが暴れ出す瞬間、抑え込む。

 

「ゲンガー」

ーーケッケッケ!オイオイ、本気で(・・・)怒るなよ。今回は、自分から戻るからよ

 

そう言うと、ゲンガーはメガ進化を解き、ボールへと戻る。

そこに、幼い少女が駆けてきた。

 

「何故だ!何故、こんなことを‼︎」

私は(・・)忠告した。何せ、レックウザが認めた者だからな」

「うっ……うわぁーー‼︎」

 

その場を後にするシオンの背後では、小さな子供の泣き声が響き渡っていた。

そしてシオンは研究所に立ち寄り、レックウザの研究を少し見てから、カントー地方へと戻っていく。

トキワの森に残されていたロケット団の実験ポケモン達を見る。

ある程度見終わると、彼らに選ばせる。

ここで共存をするか、元の住処へと戻るか、はたまた静かになれる場所へと行くか。

望む場所へと連れて行き、それが終わると一息ついたのだった

 

ーーカントー地方上空

シオンの通信機が鳴る。

 

「何だ、ユキナリか」

「おお、やっと繋がったか!」

「悪いな、別件が入っていたのでな。それで?」

「ああ。近々、ポケモンリーグが開始されるだろう」

「……そこに、レッド君、グリーン君、ブルーちゃんが参加するから手を貸せと?」

「いや。そこまで、どうこうして欲しい訳ではない。どちらかと言えば……」

「ブルーちゃんの件か?あの子が、大きな鳥ポケモンに誘拐された子供、だからか」

「何じゃ、知っておったのか?」

「ああ。あの時は、同じポケモンに拐われた子供(・・・・・・・・・・・・)を探していてな。ま、別件でちょうど”同じ件”だったから、早くに見つかったのだが…そちらの方が”優先事項”だった為に、連絡が遅れた(・・・・・・)のは事実だったがな。だが、それに至っては…”向こうも、私を知っている者”だからな。理解はしているだろうさ」

「お前は、本当に変わらなんな。あの子の元にいるゼニガメが、カメックスまで成長し、絆が芽生えている。その点を考えれば、あの子のした事は、悪いことだが…あの子自身は、悪い子ではない。だが、ケジメは取らねばならぬし、あの子も変わるきっかけを作ってやらねばな」

「『成程』…で?お前は、それに参加するのか?」

「そのつもりじゃ」

「そうか……」

 

そう言って、シオンは通信を切った。

オーキド博士は驚いた。

それは通信が切れたからではない。

そう、何故なら今連絡を取り合っていた相手が、居るからだ。

それも、勢いよく扉をあけて…

 

「では私が、鈍ったお前を鍛えてやろう!」

「何じゃと⁉︎」

 

いつになく、やる気満々のシオン。

そんな彼女のスパルタ特訓に、付き合わされるオーキド博士。

それはあまりにも…

そう、老体にはこたえるものだった……

だが、シオンの子供のような嬉しそうな顔と、かつての若い頃の自分を思い出せた、とは思っていたオーキド博士。

確かに特訓は厳しいが、楽しいものであったのだった。

 

 

ーーポケモンリーグ当日

そこには、多くの人々とポケモン達。

受付へと向かうシオンとオーキド博士。

シオンは視線を横に向け、

 

「ユキナリ。本当に、その格好でいくのか?」

「当然じゃ。これなら、ワシだと簡単には気付かれまい!」

「まぁ、いい。さて私は、ここで別れるぞ。ユキナリ」

「何じゃ」

「検討を祈る」

「うむ!」

 

そう言って、シオンはオーキド博士と別れ、会場の中へと入っていく。

挑戦者は、各ブロックに分かれ、闘いが繰り広げられる。

 

「お、レッド君だ。サカキとの戦いで、何かを掴めたかな?前より、戦いのセンスが上がっている。それにグリーン君も、いい感じに成長しているではないか‼︎ん?おぉ、ブルーちゃんも、腕を上げているなぁ♪」

ーーなぁ、シオンの性格が、随分と変わっていないか?

ーーおやおや、いいではないですか。あんなに、楽しそうな彼女は久々です

ーーええ。本当に、あの子達の事を気に入っているのですね。まぁ、今回はあの坊や……いえ、今はオーキド博士と呼ばれているのでしたね。彼もいるからでしょう

ーーラフレシアも、あの男をしっているのか?

ーーええ。彼が、今のあの少年()よりは、年齢は上でしたね。その頃に、マユラと共に会っているのですよ

ーー……そう言えば、シオンが言っていた気がする

ーーふふ

 

と、シオンには聞こえないくらい小声で、喋るポケモン達。

そして、シオンの見る先にはオーキド博士の姿も映る。

彼も、順調に勝ち進んでいる。

 

会場は大いに盛り上がりが見せる中、シオンはある一角に目を向けた。

そこには盛り上がる人々の中に、静かな空気を纏う二人組がいる。

シオンは、そこにいるある人物と目が合う。

その相手に向かい、シオンは冷たい笑みを向けるのだった。

 

そんな中、試合はブルーとドクターOことオーキド博士との勝負になった。

シオンは、視線を試合に戻す。

オーキド博士の出すポケモンは、オニスズメ。

対して、ブルーはプリンを出す。

そう、オーキド博士は今回鳥ポケモンだけで(・・・・・・・・)きている。

それには理由がある。

案の定ブルーは、オーキド博士の出したオニスズメに表情を固くする。

ブルーのポケモンは、どんどん押されていく。

空中戦ができない差でもある。

だが、そんなブルーにも、空中戦ができるポケモンがいる。

それが、カメックスだ。

彼女の出したカメックスのハイドロポンプにより、ドクター0の素顔が露わになる。

そして近く来たオニスズメに、怯え始めたブルー。

ドクター0はオーキド博士となる。

オーキド博士は、彼女の事を語り出す。

 

「やはりな、鳥が怖いか、ブルー。6年前、マサラから5歳の少女が、大きな鳥に連れ去られる事件があった。当時、同い歳だった孫がおったから、他人事とは思えなくての。ずいぶん捜索に協力したから、今も姿をよく覚えとる。まさかその子が、ゼニガメを盗みに入って、防犯カメラに映るとは思いもよらなかったがね」

 

と、その瞬間の写真を見せる。

オーキド博士は、ニッと微笑むと、

 

「あんな怖い思いをしたんじゃ…鳥ポケモンが苦手になっても、無理ないのう、ブルー」

 

歯を食いしばったブルーは、カメックスに指示を出す。

だが、オーキド博士はその攻撃を返し、勝利する。

ブルーに近づき、

 

「さあ、説明してもらおうか。ポケモンを盗むなら、他でも手に入るものを、どうして私の所から盗み出したんだい?」

「悔しかったの……知らない遠い所で、アタシ育ったわ。解っているのは、自分が生まれた町がマサラタウンという名前だけだった。ある時、同い歳のカントーの二人の男の子が、ポケモンの権威オーキド博士からポケモンと図鑑を貰って、旅たった事を知ったわ。私だって!私だって、マサラの人間だもの!二人と同じ事がしたかったのよ‼︎博士にポケモンを貰って、図鑑を持って、冒険の旅に出て……」

「ブルー、さっき言った事を覚えてるね。どんな理由があっても、人を騙したり、ものを盗んだりしちゃダメだ。もうしないと約束できるなら、三つ目の図鑑だよ。これで君も、マサラのトレーナーだ」

「うっ……ううわーーん‼︎」

「君が無事だったのが、何よりじゃ」

 

と、泣き出すブルーをなだめるオーキド博士。

そして、一時休憩を挟んで、オーキド博士の棄権が放送された。

実質、次のレッドとグリーンのバトルが、リーグ決勝戦となった。

 

決勝戦が、開始の掛け声が響く。

レッドの最初のポケモンは、フシギバナ。

対して、グリーンのポケモンは、リザードン。

その相性は、レッドの不利だ。

だが、それを逆に利用して、レッドのフシギバナは毒の粉出す。

リザードンの動きを鈍らせる。

そこにすかさず、ハッパカッターを繰り出し、距離をとった。

ポケモン交代をし、レッドはカビゴンを出す。

だがグリーンも、対処が早かった。

グリーンは、カイリキーを出して応戦する。

力は、カイリキーの方が上だった。

そして、地面に叩きつけたその場には、床が砕ける。

レッドは、カビゴンに固くなるを使っていた。

が、相手カイリキーは誘いに乗らなかった。

カイリキーが狙ったのは、砕けた床。

てこの原理を利用して、カビゴンを空に上げたのだ。

カビゴンは、場外戦闘不能へとなった。

と、会場の皆が思った。

だが、空中からカビゴンが、カイリキーに向かって降ってきた。

そう、レッドは”それを”利用したのだ。

そしてカイリキーが、戦闘不能となった。

 

 

シオンは目を細め、

 

『ほう。グリーン君の戦い方(・・・)が、変わったな。彼は、レッド君とは違う。むしろ、サカキに近い計算型だったが……彼も、レッド君に当てられたかな。そしてレッド君もまた、戦い方が変わった。熱くなる彼が、グリーン君のように、冷静さを持つようになった。これはお互い、良いものを受けているな。ああ、これは本当にいいものを見た。こんな事を思うのは、何百年ぶりか』

 

シオンには笑みが浮かんでいた。

それはとても暖かい笑み。

本人ですら、解っていなかった。

そんな人並みの感情が、残っていた事に…

 

 

そしてバトルも、どんどん白熱していく。

だが、シオンから笑みが消える。

そう、あの静かな雰囲気を纏う二人組が、目の色を変えたのが解ったからだ。

シオンはそっと、その場を離れる。

それと同時であった。

レッドとグリーンのポケモンは、再びフシギバナとリザードンとなった。

リザードンに巻き付いたフシギバナのツル。

そして天井には、その前に出したレッドのニョロボンとピカチュウによって作られた雷雲があった。

それが避雷針となり、リザードンを直撃した。

辺りに煙が覆う。

そして立っていたのは、ボロボロの二人とポケモン…

グリーンとリザードンだった。

しかし、彼らは共に倒れ込んだ。

そう、これによって、勝利者は決まった。

 

『ふっ。二人()とも、いい勝負であった。優勝おめでとう、レッド君』

 

そう言って、見た先のスクリーンには、レッドの優勝が発表された。

そこに映る彼らもまた、倒れ込んだ。

 

とある二人組。

そのうちの一人である女性が、眼鏡をくいッと上げた。

 

「彼の方が、勝者になったわね」

「そうだな」

「彼はあなた脅威になるかしら?」

「さあな」

 

そう言って、二人組のもう一人が壁から背を離す。

奥の方を見て、

 

「それで…いつまでそこに隠れているつもりだ」

「別に隠れてはいないさ」

 

そう言いながら、現れたのはシオンだ。

彼ら二人を見て、

 

「しばらく大人しくしていたようだが、今になって行動に移るようだな」

「……」

「別に、どうこうしようとは思ってないさ。ただあれは(・・・)…、お前達の望む力(・・・・・・・)にはならないだろうな」

「まるで、こちらの手の内を全て知っているかのような物言いだな」

「さてね」

「まぁいい。トキワジムジムリーダーサカキの居場所を教えろ」

「…あいにく、知らないな」

お前が(・・・)、か」

「私は、全知全能ではないのでな。カントー四天王長・ワタル。それに、お前達の仲間の四天王キクコ。あれはユキナリのゆかりの者だからな。今いない所を見ると、あれを回収する為にロケット団跡地にでも行ってるのか?全くもって、ご苦労な事だ」

「……」

「まぁ、最小言ったようにどうこうしないさ。無論、私は(・・)な」

「お前以外は、何かするという意味か」

「さあな」

 

そう言いながら、シオンは彼の横を通り過ぎる。

小さな意味を込めた笑み(・・・・・・・・・・・)を浮かべながら…

 

 

それから数週間後…

シオンの腕の端末が鳴る。

その相手は、名前がない。

シオンは小さく笑みを浮かべた。

 

「情報提供が欲しい」

匿名者(・・・)か。この連絡先を知っているのなら、良いだろう。何が欲しい」

「カントー四天王ワタルがしようとしていること。あいつが、巨大な鳥ポケモンを利用しようとしている事は知っている。それを阻止する方法が欲しい。もしくは対抗し得る力を」

「なるほどな……」

 

そう言って、シオンは崖下を見る。

ここはトキワの森が一望できる険しい崖上。

ふと、視界に黄色い髪の子供が見えた。

その子供は、トキワの森の祝福者(・・・・・・・・・)

あの(・・)ワタルと同じ(・・・・・)者のようだった。

シオンは笑みを浮かべた。

 

「では、完全に防げるかは運次第だ。トキワの出身者を使う事だ。彼と同じ力(・・・)の持ち主がいる。同郷者なら、対抗するすべがあるかもしれんな」

「同郷者…トキワの者を…それもワタルと同じ能力者を…」

「おまけでもう一つ」

「……」

トキワ出身者のトレーナー(・・・・・・・・・・・・)トキワが故郷であるポケモン(・・・・・・・・・・・・・)とのコンビ(・・・・・)が力になるだろうな」

「……どう転がっても、”トキワがカギ”となる、か……」

「まぁ、頑張ることだね」

「……礼を言う」

 

そう相手が呟くと、通信は一方的に切れる。

シオンは一回だけ目をパチクリし、

 

「気が早いな。最後のメッセージは、君にも関わるんだがな」

 

そして、目線をあのトキワの子供に向ける。

 

「私の最後の情報は、あの子じゃない。ふっ、”トキワがカギ”……。まさにそうだろうな。トキワの祝福は、いつだって特別(呪い)だ」

 

シオンの子供を見る目は冷たかった。

まるで、忌々しいものを見るかのように……

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