獅子身中の虫 ~発生~   作:てらもっち

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第1話

1.始まり

県立高校に通う寺内裕翔は誰とでも話せるような男。彼は今年で高校3年生になり進路を決める真っ最中。彼の通う高校は、県で数少ない農業高校である。そんなある日、いつものように実習が始まった。

「今日って実習だよな?」

同じクラスの澤村満が言う。

「おう、実習室だろ?」

「そうだな」

寺内と澤村が会話をしていると同じクラスで同じ作物専攻の中田歩喜が入ってきた。

「今日も長いんだろ?だりいなー」

3人は実習室に向かった。すると、作物専攻の先生である東鉄平先生とリーダーの梅口翼がもう既に実習室の中にいた。

「もう始めるから座って待ってて、あれ?伊賀と池野と北井は?」

東が問う。

「池野はもうちょっとで来る、あとの二人は石井先生に呼ばれているよ」

伊賀涼子と北井紗月は担任の石井先生と進路相談をしているところだった。

そして、池野杏が実習室に入る。

「ごめん!お待たせー!」

そして、実習は始まった。今日はリスク評価の書類完成だ。

5人は2班にわかれて作業に取り掛かった。

 

2.訪問者

東が実習室を出てしばらくすると事務職員の小西を連れてきた。彼は東と同期でこの高校に入ったらしい。

小西が実習室に入ると池野がいやな顔をした。

小西にストーカー被害を受けていたらしい。

小西と池野は地元が同じで池野が北井や伊賀と顔がイケメンという理由で小西に声をかけたという。

池野は小西にわざと話しかけた。

「事務職員って大学に行かなダメなんですかー?」

すると小西はなんの戸惑いもなしに応えた。

「別に高校からでも行けるよ」

「へー、そうなんだ」

そんな会話をしている中、実習室の電話がなった。

「僕が出ますよ」

小西が取りに行く。

「僕呼ばれたのでもう戻りますね」

小西はそう言って実習室を出ていった。

寺内が時計を見る。まだ17時30分だった。

 

3.発生

19時5分。梅口が東のパソコンで最後の書類を作成し、今日の作業が終了した。

寺内と梅口は片づけをし、中田・北井・池野・伊賀は実習室で飼っているカブトムシに餌を与えていた。

そして、四人はすぐに帰っていった。寺内と梅口も帰路についた。校舎を出てすぐに寺内は澤村がいないことに気づく。寺内が校舎に戻ろうとすると、澤村が校舎から出てきた。二人で帰ろうとっすると、中田から着信が来た。

寺内は電話に出る。出たのは中田ではなく池野だった。

「裕翔、実習室に杏の携帯なかった?」

「なかったと思うよ。」

「悪いけど探してきてくれる?杏もすぐ戻るから」

そういって電話を切り、裕翔は澤村と実習室に戻った。

2人は校舎の入り口で、経済課の職員と出会った。

「何してる、もう学校を閉めるぞ」

「すいません、忘れ物をしてしまって」

「そうか、早く帰るんだぞ」

「ありがとうございます」

2人は階段を駆け上がった。

しかし、携帯は部屋の中のどこを探しても見つからなかった。

すると、池野が部屋に戻ってきた。2人は池野の携帯はないと説明したが、池野の携帯に入っている位置情報アプリは、この位置を指しているという。澤村は自分のカバンを廊下に置き、職員室に戻った東に携帯を持っているか聞きに行った。寺内と池野は懸命に探す。すると、北井が戻ってきた。北井の位置情報アプリを3人はもう一度確認した。しかし、位置情報はこの部屋の位置を指していた。澤村が戻ってきた。東は何も知らないといったらしい。寺内はもう一度東の所に行った。やはり、何も知らないといった。心配になった東は寺内についていき、実習室に戻った。そのころ、実習室に残った3人は部屋を隈なく探したが、見つからなかった。寺内と東が戻り、寺内は自分の携帯で池野の携帯に電話をかけ、バイブレーションの音で見つけ出そうと思い、電話を掛けた。

「ダメ、1階にも行ってみたけどなかった」

携帯は、どこを探しても見つからなかった。澤村が時計を見る。澤村はグループの中で一番家が遠く、家から学校まで往復2時間かけて登校している。澤村は次の19時34分の電車に乗らなければ、帰りが遅くなると思い、先に帰ることを告げ颯爽と学校を出て行った。残った4人は部屋内の捜索は一時中断し、もう一度、位置情報を確認することにした。すると、さっきまで校舎を指していたGPSが動いていた。

 

4.追跡

「ねえ、GPS動いてるんだけど」

北井のこの言葉で寺内たちの脳は恐怖の渦に飲み込まれた。すると、冷静になった寺内が言う。

「これって、満が持ってったって事は?」

北井が応える。

「確かに、それならあり得るかも。だって、杏の携帯に電話しながら一階やこの部屋をさがしても満のカバンの中に入っていれば音が聞こえにくい」

このことに気づいたとき、時間は19時30分だった。

「今止めなきゃやばいじゃん、みんなとりあえず俺の車に乗って」

東は走って車を取りに向かった。3人はその後を追って階段を駆け下りた。寺内は澤村の携帯に電話をかけたが、澤村は電車の時間に夢中になって駅まで走っていたため寺内からの着信に気が付かなかった。

東の黒のワゴン車が玄関の前に停車した。3人は東の車に乗り込み、東は車を走らせた。学校から最寄り駅まで一直線の道路で、GPSはこの一直線上を時速4キロで動いていた。車が学校から出たと同時に寺内の携帯に澤村から着信が入った。

「どした?」

息が上がった声で澤村が聞いた。

「今、満が学校出たと同時にGPSが動いたから電車にのるなよ!」

「分かった。今駅の前で歩喜といるからカバン調べてみるわ」

寺内は電話をつなげたままにした。

直線道路には街灯が少なくこの時間は車どおりが少ない。しかし、助手席に座っていた寺内は白いシャツを着た男の人が歩いているところを目撃した。

駅には東口と西口があり、澤村達がいる東口には駐車スペースがなく狭いため踏切を渡り西口にまわらなければならない。東は車で待機し寺内たちは駅を通り東口にまわった。すると、澤村たちの姿はなく中田のカバンと澤村の水筒が残されていた。寺内は澤村に居場所を聞いた。

「満!どこにいるんだよ!」

「今、杏の携帯の位置にいる!」

電話に出たのは、中田だった。寺内が電話の内容を2人に伝える。北井が位置情報を確認した。携帯は学校と駅を結ぶ道の中間で止まっていた。

 

5.捜索

池野と北井は中田達がいる地点へ走って向かい、寺内は車で待つ東の元へ向かった。

「先生、公民館の前で止まっとるらしいからむかって!」

東は帰り道がいつもと逆なためこの辺の道があまりわからなかった。

寺内の案内でたどり着いた車は4人が待つ公民館の前で止まった。

「見つかった?」

寺内が聞いた。

「近くを満と探したんだけど見つかんなかった」

中田が応えた。

寺内が車から降り、北井の位置情報アプリを確認する。やはり、池野の携帯はここを位置していた。

東が車から指示する。

「とりあえず、学校に戻って石井先生と連絡とれたもんで事情説明しに行こか」

しかし、中田と澤村の荷物は駅に取り残されたまま。中田たちは急いで駅に戻り、残った寺内たちは公民館前で待機していた。

「溝に落ちとるんじゃない?」

寺内がふと思い北井も溝を探すが、携帯らしきものは見つからなかった。

駅に向かった2人が帰ってきて、5人が東の車に乗り込んだ。学校につき職員室に入った6人を迎えたのは、担任の石井良純先生とたまたま居合わせた2年1組担任の竹内先生、畜産部門ニワトリ担当の前田先生だった。

東は放置された実習室の電気だけを消しに行った。すると、職員室の扉が開く。入ってきたのは学年主任の山本秀和先生だった。

「それじゃあ、状況だけ説明してくれるかな」

時間は20時00分、5人は石井による状況確認が始まった。

 

解決編に続く・・・

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