どこにでもいる   作:井上 蒼

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死神への反応、雄英side

 

「…………」

 

重苦しい沈黙が場を包んでいた。ここは雄英高校の会議室である。常であれば厳粛ながらも活気に溢れた場所であったが、しかし。雄英体育祭で起こったあってはならない事件。生放送で全国に放映されてしまった殺人事件。これがどうしようもなく、雄英の教員達の心に影を落としていた。

 

「…まずはイレイザーヘッドとプレゼントマイクに、黙祷を捧げるのサ…」

「「「…………」」」

 

校長の根津の号令で始まった長い、5分ほどの黙祷。皆がイレイザーヘッドとプレゼントマイクの死を悲しみ、また、悼んでいた。

 

「……さて、悲しいことだけれど、ずっとそうしているわけにもいかない。今後の話をするのサ」

「…はい。まずは生徒達への対応です。全ての生徒、特にイレイザーが担任をしていた1年A組の生徒達は強いショックを受けています。しばらくは休校にして、そして念入りなメンタルケアを行うべきかと」

 

根津の言葉に真っ先に応じたのはブラドキングだった。他の教員達もこの意見には賛成のようで、特に異論の声は上がらなかった。

 

「そして、保護者への対応ですが…今回の事件で、我々のセキュリティに不安を持っている方達が大多数です。こればっかりは…」

「うん、これからの私たちの行動で信頼を取り戻していくしかないのサ。世間への対応も、同じようになるだろうネ。」

 

今回の殺人事件―一歩間違えれば生徒達にまで被害が及んでいた。それほどまでに、完璧な犯行だった。

 

「―さあ、最重要事項なのサ。」

 

――――!

 

根津の一言で一気に場の緊張感が増す。これからの発言全てを聞き漏らさぬよう、根津に強い視線が集まる。ただ、二人だけが、顔を伏せていた。

 

「今回のヴィランは二人。おそらく高校生と思われる男女の二人組。その片割れの、女の子の方は素性が割れている―というより、少し前から活動していたヴィランなのサ。名前はトガ ヒミコ。個性は血を吸った相手の姿に変身すること、だそうだヨ」

「………今回の事件では、彼女の個性はあまり関与していませんね…」

 

根津の解説に、スナイプが反応を返す。

 

「そうだネ。だから重要なのはもう一人の方なのサ。―素性は一切不明。顔はあの時カメラの死角に入って写ってはいなかったし、声もかなりおかしくなっていたからネ。個性はおそらく―ほぼ間違いないだろうけれど―瞬間移動、だろうネ。それも―前兆が一切ないタイプの」

 

「「「…………ハァ……」」」

 

根津の言葉に一斉にため息をついてしまうヒーロー達。彼ら彼女らは、その個性がどれほど凶悪なものなのか、直ぐに察しがついてしまうが故のものだった。

 

「…ただでさえ珍しい転移系の個性―しかもかなり凶悪なものを持った人間が、ヴィランになるなんてな…」

「…ほとんど無理ゲーじゃねえか、クソッ…」

 

悪態をついてしまうヒーロー達。そのなかで、二人のヒーロー―ミッドナイトとセメントスは肩身が狭そうにして俯いていた。

 

 

 

「イレイザーがいれば…」

 

 

誰かが呟いたその一言。その言葉に過剰に反応してしまう二人。そして、周りも沈痛な面持ちで俯いてしまった。

確かにそうなのだ。イレイザーがいれば、瞬間移動してきた彼を一目見てしまえば、それであっさりと無力化できる。しかし、イレイザーは他ならぬそのヴィランによって真っ先に殺されてしまった。

そしてその事に最も大きな罪悪感を覚えているのは、あの時最も近くにいたプロヒーローであり雄英の教員たるミッドナイトとセメントスなのだ。過剰に反応してしまうのも無理はないだろう。

 

「…まあ、彼への対策はまた追々考えていくしかないのサ。何せ彼の個性のスペックも、まだ未知数なのだからネ」

 

根津の言葉に、難しい顔で唸ってしまうヒーロー達。今回ばかりはオールマイトもほとんどお手上げの状態だった。何せどこから、いつ現れるのかもわからない相手では、せっかくの超パワーも持ち腐れ、本当にどうしようもないのだ。しかし、彼には一つ心当たりがあった。かつての己のサイドキック―彼の個性を使えば、なんとかなるかもしれない。そんな思いで、オールマイトは声を張り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今頃どうなってますかねえ」

「ん?ああ雄英のこと?まあ愉快なことになっているのは間違いないよ。何せ、世間はすごいことになってるしね。」

 

真っ暗な部屋で不気味に嗤う彼らの顔は、パソコンのモニターで照らされていた。

 

 

 




次は世間の反応です。掲示板形式というのをチャレンジしてみようかなと。
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