愚者の英雄   作:断裁分離の鋏

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第2話

 グレン=レーダス(仮)視点

 

 意識がはっきりしてきた。目を開けると真っ白な天井が見えて、体を起こして四つん這いで周りを見ると柵みたいなもので囲まれていた。その状態からしばらくすると…

 

 母「あら、もう起きたの?」

 

 声の聞こえた方を向くと母が柵らしきものの上から俺の顔を覗きこんでいた。

 

 母「愚錬(ぐれん)、早く起きすぎると昼間眠たくなるからもう少し寝ていようね。」

 

 愚錬「あぅーだ。(わかった)」

 

 そう言って、母は俺を寝かしつけた。

 

そうして赤ん坊から4歳になるまで時間がたった。

 

 

 ~愚錬視点~

 

 俺の名前は想意 愚錬(おもい ぐれん)だ。今日は個性があるかないかの検査らしい。

 周りの同じ位の歳のみんなはヒーローに憧れているらしく、4歳になる前に個性が発現した子達はその個性を見せびらかしていた。

 俺はなぜかそんなにヒーローになりたいと思わなかった。ただ平和に暮らす事ができればいいと思っていた。

 そんな事を思いながらしばらくすると

 

看護士「次の方、どうぞ。」

 

 母「はーい、ほら行くよ。」

 

愚錬「わかった。」

 

 すべての検査が終わった後、医師の目の前の椅子に座らせられた。

 

 医師「検査の結果、あなたのお子さんは無個性です。」

 

 母「そうですか…個性って遺伝しない事もあるんですね。」

 

 愚錬「ふーん。」

 

 母「いや、ふーん。って無個性って言われて何かおもわないの?」

 

 結果は無個性だと診断された。まあ、平和に暮らせる分には問題ないからいいかと思っていた。あまりに無関心だったので、母さんに心配された。

 

 

 ~無個性とわかってしばらくして~

 

保育園にて

 

 愚錬「おはよう。」

 

 モブ1「うわ~みんな、むこせいの奴が来たぞ。」

 

 モブ2「むこせいの奴、ヴィラン役にしてヒーローごっこしようぜ。」

 

 モブ3「むこせいのくせになまいきだな。」

 

 無個性と分かってから悪口を言われる事が多くなった。まあ、ヒーローになりたい訳でもないから気にならなかったが、無個性っていうだけでいじめられて個性なんてみんななければいいのにと少し思うようになった。

 小学校にもなると悪口だけでなく、物を隠されたり暴力を振るわれるようになった。母さんには心配をかけたくないからばれないようにしている。

 

 母「大丈夫?いじめられてない?」

 

 父「辛かったら、休んでいいからな。」

 

愚錬「大丈夫。いじめられてないよ。それに仮にそうだったら言うよ。」

 

 そうして中学2年生のあの日までこんな生活を送っていた。

 

 ~中学2年生になってしばらくたったある日~

 

愚錬「あのクソ野郎共、さんざん殴りやがって。どう言い訳すりゃいいんだ?まあバレた時に考えればいいか。」

 

 そうして家に着くと突然何かが割れる音、叩きつけられたような音がした。

 

愚錬「!なんだ?!母さん父さん大丈夫か!」

 

 急いで家の中に入ると、そこには無惨にも全身血塗れの母さんと父さんの姿があった。急いで救急車と警察に電話してすぐに父さんと母さんのそばに近づいた。

 

愚錬「父さん、母さん!大丈夫か」

 

 父「愚錬か…私達の事はいい…早く逃げるんだ…」

 

 母「そうよ…愚錬…私達の事は…いい…から…」

 

愚錬「ぶさけるな!!まだ助かるかもしれないのに実の親を見殺しにしろってか、そんなことできるわけないだろ!」

 

 しかし父さんと母さんはたくさん血を流しすぎていて、

体の傷も素人目で見ても致命傷だった。

 

 父「すま…ない。愚錬…お前だけでも…生きて…くれ…最期に…母さん…と言うよ」

 

 母「ごめん…ね…。私も…父さんと…言うよ…」

 

愚錬「やめろよ……最期とか…言わないでくれよ…」

 

父と母「「生まれてきてくれてありがとう。愛しているよ。」」

 

 そうして父と母は息を引き取った。

 

愚錬「………ふざ…けんな。…ふざっけんじゃねー!なんで、父さんと母さんが死ななくちゃならねえ!」

 

 ?「それはいい個性を持っていたからさ。」

 

愚錬「誰だ!」

 

 俺の背後に居たのは、独特なマスクを着けた大男だった。その男は続けてこう言った。

 

 ?「君の父親の個性である自分の想いを力にする個性と母親に関しては無個性だったけどね、君の父さんを庇ったんだよ。まるで劇を見ているようだったよ。」

 

 今、こいつ何て言った…まるで劇を見ているようだった…だと…

 

 ?「さて両親の個性を奪われたと言われると面倒な事になるしそろそろ警察やヒーローが来ても困るから、君を殺して逃げるとするよ。」

 

 そうしてマスクを被った男は俺を殺そうと手を伸ばしてきた。

 

 ……なんで無個性ってだけで虐げられないといけない?

 

 ……なんで個性を持っていただけで大切な人が殺されなくちゃならない?………

 

 

 ……もう何もかもどうでもいい…無個性でも戦える力が欲しい…個性を封殺できる力が欲しい……個性による防御を貫ける力が欲しい……

 

 ……こいつを殺せる力が欲しい!!

 

愚錬「…ざけんな…」

 

 ?「…?」

 

愚錬「ふざけるな!!てめえだけは絶対に殺す!」

 

 そう言った瞬間、俺の体から2つの光の球体が出てきた。

 それは手に収まったと思うと、1つは愚者のタロットカード、もう1つはリボルバー式拳銃が握られていた。それと同時にその使い方も頭の中に流れてきた。

 

愚錬「なんだ?…!なるほど。これならこいつを殺せる。」

 

 ?「君はたしか無個性だったと思ったんだけどね。何の個性か気になるけど、僕は君に殺られる程弱くはないし、時間もないから君を殺して逃げるとするよ。」

 

 そうして謎の男が手から炎を出して俺を父さんと母さんごと燃やそうとしてきた。

 

愚錬「逃げられると思うなよ!セット愚者の一刺し(ペネトレイター)。そして愚者の世界!」

 

 そう言った瞬間、謎の男から出てきた炎が消えてしまった。

 

 ?「!……なんと個性を封じる個性か!」

 

愚錬「くらいやがれ!」

 

 そうして個性を封じられた事による動揺で隙を見せた所でリボルバー式拳銃の引き金を引こうとしたが……突然謎の男が黒い靄に包まれた。そして………

 

警察「大丈夫か!すまない。(ヴィラン)に足止めされて遅れてしまった。」

 

愚錬「くそったれが………」

 

 そうして俺は両親を殺した(ヴィラン)を殺せず父さんと母さんを亡くしてしまった。………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 愚者のタロットカードの見た目はグレン=レーダスが使っていた愚者の世界そのままで、リボルバー式拳銃の見た目もグレン=レーダスが使っていたペネトレイターそのままです。
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