みこーん!と転生…しましたが尻尾が9本ありました   作:一般FGOプレイヤー

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玉藻の前スキルマ記念で書きました。
続きません。

2020年6月17日。少しだけ、内容を改訂しました。物語には何も影響はないので、気にせずに読んでいただいて大丈夫です。


人類悪爆誕!(大嘘)

瑞稀玉藻(みずきたまも)さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたがあなたの生は終わってしまったのです」

 

 目が覚めた瞬間。水色の髪に水色の瞳を持った、まるでアニメのヒロインのような容姿の美少女がそんな事を告げてきた。

 突然の事でわけがわからず辺りを見渡すが、そこには真っ白な空間しか広がっておらず、あるのは私が今座っているパイプ椅子と美少女が座る椅子と前にある事務机だけだった。

 

 ……さながら会社の面接室のような場所ですね。……見た事はありませんが……。

 

 少しの間だけキョロキョロとしていたが、目の前に座る美少女が小さく「んっんん」と咳払いをした事により視線が再び美少女に戻る。よくよく見れば、彼女の身に付ける衣服が薄く輝いている事に気がついた。

 

 ……こんなものを見てしまえば認める他ないですね。

 

 どうやら私は彼女の言葉通り死んでしまったようだ。

 

 ……でも一体どうして?

 

 私はそう思い、記憶を整理する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 学校に行かなくなり家に引き籠るようになってから早数年。私は数ヶ月ぶりに外へと出た。

 理由はスマートフォン向けRPG……『Fate/GrandOrder』に課金をする為である。

 

 ……マーリンの復刻。これを逃したら来年か……最悪数年待つ事になってしまいます! 前回の投資金は2万ポッチだったので来てくれませんでしたが、流石に今回は……。

 

 そう考えながら私はチラリとお財布の中を覗く。中には諭吉さんが10枚並んでいる。

 これ全て、親から貰ったお小遣いである。親が共働きで大手企業のお偉いさんをしているのでお金に関しての不自由は全くなかった。しかしそれに引き換え両親がとても忙しくあまり顔を合わせる事が普段から出来ない。

 

 ……まあそのせいで私の事を思いっきり甘やかしてくれているのですがね……。

 

 そう考えながら私は建設中のマンションの横を通り抜け、駅前のコンビニへと歩みを進ようとした。そんな時だった。

 目の前にいた小さな女の子とその手を握る母親と思われる女性。

 その二人の上から突然大きな音が響き、鉄骨のような物が落ちてきていた。

 なんらかの理由で外れてしまったのだろう。

 それを見た私は反射的に走り出し、未だその場でポカンと呆ける二人に手を突き出して……。

 

 

 

 

 

 

 

 ……そうでしたね。私は……もう……。

 

 そう納得した私は美少女——おそらく女神様なのだろう——に向かって、こう尋ねた。

 

「あの人達は……私があの時押した親子は…助かりましたか?」

 

 私の人生を掛けて救おうとした存在だ。せめてこの穀潰しの命1つで済んでいればいいのだが……。

 

「……ええ。母親の方は足の骨を折る重症。しかし、命に別状はありません。女の子の方は擦り傷だけで此方も命に別状はありません」

 

「……よかった」

 

 ……ただの親不孝者な私でも……誰かの役に立てたのですね。

 

 そんな事を考えていると美少女は小首を傾げて爆弾を投下した。

 

 

「もっとも、あの二人を突き飛ばさなければ、あの場は死亡者どころか怪我人など出ませんでしたけどね」

 

 

「……え?」

 

 わんもあぷりーず。

 

「あれはドラマの撮影の為の、所謂演出というやつだったんです。あの足場は見かけだけの発泡スチロールですよ? なので当たっても怪我人はゼロ。ドラマの撮影もこれにて終了だったんですよ。そこを貴方が気づかずに飛び込んで出演者である親子に怪我をさせて、更には当たりどころが悪かったというだけであなたはぽっくりと」

 

「……嘘でしょ?」

 

「ほんとですよ? あなたは都内の病院に搬送されて医師から『なんでこの程度で死ぬのでしょうか?』と困惑されながら死亡。現在、病院に到着して死因を聞いたご両親は悲しみよりも困惑の方が大きいようで、思わずといった感じでずっこけるという事が……」

 

「ちょっ! ストップストップ! これ以上は聞いていられません!」

 

 私が耳を塞ぎながらそう言うと美少女は小さく、しかしはっきりとクスクスと笑った。

 

「……さて、あなたをいじめるのもこれくらいにしてそろそろ本題を話しましょうか。初めまして瑞稀玉藻さん。私の名はアクア。日本で若くして死んだ人間を導く女神よ。……私でさえも初めは困惑してしまうほどおかしな死に方をしたあなたには2つの選択肢があります」

 

 人の傷口に塩を塗りながら、アクアと名乗る女神は話を続ける。

 

「1つは人間としてもう一度この世界で人生を歩むか。1つは天国的な場所でおじいちゃんみたいな生活をするか」

 

 ……なにその暮らし方。

 

「……1つ目はわかるのですが、2つ目の選択肢はなんなのですか? 天国的なところでおじいちゃんみたいな生活って……」

 

「実を言うとね、天国ってところは人間が想像するような場所じゃないのよ。食事や娯楽が無い、ただただ永久的に、世間話やら日向ぼっこを楽しむ場所なのよね」

 

 ……予想以上に最悪な場所だった!

 

 そこに行くくらいなら生まれ変わったほうがマシだ。

 私がそう考えて生まれ変わる事に決めようとすると、アクアがその前に、こう提案してきた。 

 

「そこで! 3つ目の選択肢。あなた、異世界に転生してみない?」

 

「……はぁ?」 

 

 

 アクア様が言うにはこうらしい。

 ある世界が魔王によって滅ぼされてしまうらしい。なんでも、魔王軍に殺された人々がその世界での生まれ変わりを恐怖のあまり嫌がって、みんなおじいちゃんみたいな生活を望むらしい。そのせいで、人口はどんどん減少していっているらしい。

 このままではその世界が滅びてしまう。

 そこで、私達のような若者がその世界にチート能力を持って行き、人口増加及び魔王の討伐をさせればいけるのでは? と神々の間で提案され、それが通ったらしい。 

 

 ……神様って意外とゆるいの?

 

 だが、確かにゲームやラノベが大好きな現代人にとってはもってこいだろう。かく言う私もこの話を受けようと考えている。

 

 

「そういえば、私は現地の言葉が喋れないのですが……大丈夫なのでしょうか?」 

 

「その辺りは心配しなくて大丈夫よ。……まあたまに大丈夫じゃない人が出来上がってしまうのだけど」

 

 ……今のは聞かなかった事にしよう。

 

 私は再びアクア様に渡されたカタログに目を向ける。そのには、異世界に持っていける、様々なチート能力やチート武器が大量に書かれている。がどれもこれもイマイチ心に響かない。

 

「あの……ここに書かれている事以外にもなにか出来ませんか?」

 

「もちろんできるわよ? 私を誰だと思っているのかしら? 水の女神にして、日本という超エリートしか携わる事が出来ない場所を担当している女神様よ? 大体の事は朝飯前よ」

 

 ……少しだけ腹が立ちますね。

 

「それじゃあ……」

 

 私はアクア様の耳に近づいて、こしょこしょと小さく自らの欲望をぶちまけていく。本来なら他人に言うのも恥ずかしいのだが、折角の機会だ。

 

「それくらいなら、朝飯前どころかおやつ前よ!それじゃあ、早速そこに立って」

 

 アクアが指を指す先には、1つの魔法陣があった。

 私が黙ってそこに立つとアクアは何かをむにゃむにゃと唱える。 

 

「これで準備完了よ! とりあえず、街の外に飛ばすからまずはそこで様子を確認してみなさいな」

 

「……ありがとうございます」

 

 案外いい女神様だったようだ。今度出会う機会があったのならば、精一杯のお礼をしよう。

 

「あっ、そうそう。言うのを忘れてたけど、魔王を討伐できたら神々の超パワーであなたの願いをなんでも叶えてあげるから、覚えておきなさい」

 

 ……大丈夫なのだろうか?

 

「……とりあえず覚えておきます」

 

「よろしい。それでは……勇者よ!願わくば、数多の勇者候補の中からあなたが魔王を打ち倒す事を祈っています。……さあ、旅立ちなさい!」

 

 アクアがそう言うと魔法陣が眩しく光り、その光に思わず目を閉じる。すると、意識が遠のいてきて……

 

「……あっ、調整間違えてたわ」

 

 ……ちょっと待て!

 

 そう言おうとしたが間に合わず、そのまま意識は光の中へと……

 

 

 

 意識が覚醒すると、そこは開けた草原の中だった。少し遠くには壁が見える。おそらく、あそこがアクア様の言っていた街なのだろう。早速この草原で、身のこなしを確かめよう……っとその前に

 

「ご用とあらば即参上! 貴方の頼れる巫女狐、キャスター降臨っ! です!」

 

 ……決まった。これでこの姿でやりたい事No.1を達成した。

 

 私がアクア様に頼んだチート。それは「私をFateシリーズに登場する玉藻の前の、容姿と能力をください」というものだ。

 早速、自分の姿を確認するために玉藻鎮石(たまものしずいし)と呼ばれる鏡を取り出した。するとそこには、FGOの最終再臨で着る和服を身につけて、ピクピクと動く耳と()()の尻尾を生やした玉藻の姿が……

 

「ちょおおっと待てい!」

 

 ……調整失敗ってそういう事ですか!

 

 明らかにヤバい姿に頭を抱えてしまう。

 

「……あれ? これ大丈夫なの? この尻尾、虚数空間に捨てに行かなきゃいけない? タマモナインとかになったりしない?」

 

 思わず誰かに問いかけるように聞いてみるが、答えを返す者はいない。 

 

 ……多分大丈夫でしょう。

 

「いや大丈夫じゃないでしょう! これもう人類悪じゃないですか!」

 

 ……アクア、次会ったらシバく。

 

 先程までの信仰心は何処へやら。まあ、あってはいけない調整ミスをやらかしたうっかり女神だからある程度は怒っても大丈夫だろう。

 

「……とりあえず、街に行きましょう」

 

 異世界に転生してから僅か数分。私は色々な意味で疲れてしまった。

 

 ……これからどうしましょうか。

 

 私は街道をとぼとぼ歩きながら、これからの事を考えてため息を吐くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「……ああ……憂鬱ですねぇ」

 

 私はダダ下がりのテンションのまま、草原から見えていた街、アクセルの街中を歩いていた。

 異世界に来て、考えるべき事が自分の尻尾についてだなんて。全く持って面倒な事になってしまった。

 私はもう何回目かもわからないため息を吐いて、街に入る前に門番に教えてもらった冒険者ギルドへと、向かっている。尻尾や耳はそのままだが、この世界では獣人は知られているのでそのままでも街に入る事はできるそうだ。

 しかし、この見た目のせいでかなりの注目を浴びているようで、すれ違う人が何回も私の事をチラ見してくる。

 流石、玉藻ボディである。

 そんな事を考えている内に、いかにも冒険者ギルドらしい大きな建物が見えてきた。近づいて見ると看板に『冒険者ギルド』と書かれていたので、どうやら本当に冒険者ギルドらしい。

 私はその扉を極力音を立てず開く。

 しかしそんな努力は報われず、入った瞬間にギルドの喧騒が全て消え、私の方へと視線が集中した。

 私は再びため息を吐いて、受付を探してそこへと歩いていく。

 ギルドの中では私の話があちこちでされている。

 

 ……小さい声で話しているようですが、私の耳の前では全て筒抜けですよ? 

 

「すみません。冒険者登録はここでよろしいのでしょうか?」

 

 ……反応がない。ただの屍のようだ。

 

「……はっ! えっ、ええそうですね。手数料1000エリスが必要となりますが、よろしいでしょうか?」

 

「……これで」

 

 先程、門番から誘わk……もといお願いしていただいたお金を受付に渡す。

 

「はい、確かに1000エリス頂戴しました」

 

 ……僅かに手と声が震えているようだが、大丈夫だろうか?

 

「それでは、冒険者についての説明を簡単にさせていただきますね。……冒険者とは街の外に生息するモンスターの討伐を請け負う人の事です。……と言っても、壁の修理やアルバイトだったりも請け負ったりもするので、実質『何でも屋』といったものです。……そして、冒険者はそれぞれの技術や技能を使い、各職業ごとに分かれて仕事をしてもらいます」

 

 どうやら冒険者といってもその中には様々な仕事があるようだ。

 

「こちらが冒険者としての身分証明書…冒険者カードになります。これに触れていただくとステータスや適正職業が分かりますよ」

 

 早速触れてみる。

 

 ……できればキャスター。最悪でもバーサーカーがいい。

 

「ありがとうございま……うぇええ!? 何ですかこれ?! 全てのステータスが軒並み高いんですけど?! 魔力に至っては見た事ないほどの量ですよ!? これなら上級職なんて簡単に取れてしまいますよ!? ……ん? 適性職の欄によくわからない文字があるのですが……これは一体?」

 

 ……嫌な予感しかしませんね。お願いだからキャスターって書かれてて……。

 

 しかし、神は無情であった。

 そこには人類悪と赤く輝く3文字の漢字が……

 

「これは職業なんかじゃないわぁああーーっ!!」

 

「ひっ」

 

 これは職業なんかではない。断じて違う。

 床に叩きつけたカードを受付に返す。

 

「……魔法職にします(ニコ)」

 

「えっ? ですが……」

 

「魔法職にします♪(ニコ)」

 

「……アークウィザードですね。わかりました。それでは……えっと「玉藻です」タマモさんですね。此方がカードになります。……なるべく乱暴な扱いはしないでくださいね? 依頼はあそこにある提示版で確認できますので、自分のレベルに合った依頼を受けてくださいね?それではよき冒険者ライフを」

 

「ありがとうございました」

 

 こうして私の不安しかない異世界生活がスタートした。




気が向いたら投稿します。(掌返し)
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