みこーん!と転生…しましたが尻尾が9本ありました   作:一般FGOプレイヤー

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気分がのりました。


ジャッジメントの時間だぜ☆

 転生してから一ヶ月が経つ。

 しかし、私は未だに「始まりの街」と呼ばれるアクセルにいる。

 

 ……いや、わかっているんですよ?バカみたいなチート持ってるんだから、とっとと魔王を倒さなきゃいけないってことは。でも……

 

「タマモさん! 畑に一撃熊が現れました! 討伐依頼を出しておくので、早めの駆除をお願いします!」

 

「タマモさん! 最近ゴブリンの群れが現れたのですが、何故か誰も狩ってくれないので討伐依頼を受けてください! お願いします!」

 

「タマモさん。また外壁の拡張工事を手伝ってもらいたいんですけど、いつ頃なら空いていますかね?」

 

「タマモさん! ダンジョンからアンデッドの群れが溢れてきて…

 

「タマモさん! また、客引きのバイトを受けてほしいんだけど! …

 

「タマモさん! …… 「タマモさん! ……

 

「あぁもう!わかりました!全部請ければいいのでしょう?!やってやりますとも!」

 

 ……依頼が次から次へと入ってくるせいで、身動きが全くとれません!

 

 おそらく、意図的にそうされているのだろう。他の冒険者を見ても、私ほど忙しくしている者は見えない。

 確かに私は今までどんなクエストでも全て成功させてきた。それこそ、お店のアルバイトから始まり、誰もやりたがらないような難しいくせにしょっぱい報酬のクエストや、そもそも初心者になんかは狩れないモンスターの駆除なんかも。そのせいで大体のクエストは私に任せればいいだろうという認識をギルドや冒険者達に持たれてしまった。

 流石にこの数の依頼を受けていると、お金がどんどんと溜まっていき、今では900万エリスほど溜まっており、もうすぐ1000万に届きそうである。

 そのおかげで生活はかなり裕福になった。最初は馬小屋で寝泊りをしていたが、最近ではベッド付きの宿をとっている。しかも、朝食と夕食も付いている。

 得たものは大きかった。しかし……

 

「いくらなんでも、毎日出勤はおかしくないですか?! ……え? 私は異世界に来て、ニートから社畜っていう真逆の存在になっちゃったのですか? このまま私はどっかの王様みたいに過労死しちゃうんですか?」

 

 私は机を壊さない程度に拳を叩きつける。すると狙っているかのように、ある人物がいそいそと近づいてきたのですぐに表情を直した。

 

「あの……タマモさん? 大丈夫です? 大変そうですけど……。もっ、もし良ければ、私とパーティーを組みませんか?」

 

「……ありがたい誘いですねゆんゆん。ですがその必要はありません。このくらいでしたら私一人で十分です」

 

 ……その悲しげな目でこちらを見るのはやめてください!

 

 目の前で、瞳をうるうるとさせている少女……ゆんゆんに出会ったのは転生してから三週間が経った頃だった。

 初めて会った時はモンスターを駆除している時だった。

 アルカンレティアという街からアクセルを結ぶ街道付近に、ウォームの群れが出現したから、駆除をしてくれとギルドの方からお願いをされたので、ウォームの出現報告があった場所へと向かうと、複数の馬車を守るように冒険者達が応戦していた。その中の1人にゆんゆんがいたのである。同じ女性という事もあり、意外と簡単に仲良くなれたのだ。

 

 ……相変わらず変な名前ですねぇ。私が言うのも何なのですが、いきなり変な名乗りをあげるのはすごい感性ですよねぇ。まあ種族上、仕方がないらしいですが…。

 

 ゆんゆんと名乗った少女は紅魔族という魔法使いに特化した種族らしい。そして、変な名前も変な名乗りも、全て種族の宿命のようなもののせいらしい。ゆんゆん自体はその事を恥ずかしがる…所謂常識人なのだが……

 

「……そんな目をしないでください。別にゆんゆんを嫌っているわけではないのですよ?」

 

「……本当ですか? 私は紅魔の里では変人だったので、いつもハブられていたのですが……」

 

 紅魔の里では、私達の間での常識人が変人らしく、私目線で常識人なゆんゆんは変人扱いをされていたらしい。

 

 ……かわいそうに……。

 

「……今日の依頼は一人の方が都合がいいってだけですよ。ゆんゆんの友達である私が、そんな事するわけないじゃないですか〜」

 

「えっ? ……そっ、そうですよね! 友達がそんな事するわけないですよね! ……えへへ。友達……友達……」

 

 ……チョロすぎません? この子、いつか悪い人に利用されそうなんですけど……

 

 ゆんゆんの将来を心配していると、後ろから待ったをかける少女の声が聞こえてきた。

 

「この狐の言葉に騙されてはいけませんよ、ゆんゆん。この狐、本当は心の中でこう思っているはずです。『どうせゆんゆんが、また旅行前の子供みたいになって、そのテンションのせいで1つの依頼で疲れる事になるからこれからは誘わないでおこう』と」

 

「おい問題児。これ以上面倒な事を喋るようなら、その口縫い合わせるゾ☆」

 

 ……まあ、半分正解なのですがね。

 

「もう! めぐみんったら適当な事を言って…え? 嘘ですよね? ね?」

 

「もちろん嘘ですねー。私とゆんゆんはずっともですからねー」

 

 棒読みに気づかぬゆんゆんはパァッと顔を輝かせる。対するめぐみんはドン引きである。

 めぐみんとの出会いも、ゆんゆんと同じくウォームの討伐中だったのだが、その出会いが衝撃的すぎたのでめぐみんの事はよく覚えている。

 

 ……ウォームを見た瞬間、強大な魔法をブッパしようとするのはやめてほしいですねぇ。一応頭はいいらしいのですけど……やっぱり女の子として、あの見た目はないのでしょうか?

 

 めぐみんが恐怖のあまり、長い詠唱と共に大量の魔力を注ぎ込み始めた時は本当に焦った。急いで玉藻鎮石……鏡を使って殲滅したからよかったものの、あのまま使われていたらどうなった事か……。その後、めぐみん達とは因縁の相手らしい悪魔に向かって、その魔法を使ったのだが悪魔どころか地形も破壊してしまうという火力だったので、あの時使われなくて本当によかった、と心から思った。因みに、その時に悪魔と共に破壊された地形の責任を、何故か私が請け負う事になってしまった。解せない。

 

「ゆんゆん……友達はしっかり選びましょうね?」 

 

「……いや、私よりもぼっちだっためぐみんに言われたくないわよ」

 

「なっ! 言いましたね! 言ってしまいましたね! いいでしょう! それなら、どちらが先に友達と呼べるパーティーを組めるかです!」

 

 私がため息をついている間に、いつもの勝負が始まった。

 

 ……これは……

 

「「という事で、タマモさん。私とパーティーを組んでください(組みませんか?)」」

 

「……good bye!」

 

「あっ! 逃げましたよ!」

 

「逃しませんよ! ゆんゆん! 追いますよ!」

 

「貴方達、仲か良いのか悪いのか。はっきりさせなさい!」

 

 私がそう叫びながら、ギルドの扉を開くと……

 

「お前のせいでまたバイトクビになっちまったじゃねえか! どーすんだよ!」

 

「でっ、でも客寄せは完璧だったじゃない!」

 

「客寄せはな! 客を寄せても、お前の芸で消したバナナがないんじゃ意味がないわこの駄女神!」

 

「なんですって?! 私は、あんたがコミュ障だから仕方なくお金の為に宴会芸を披露したのよ!? なんで筋力が足りなくてバナナの箱すら持ち上げられないクソニートにそんな事言われなきゃいけないのよ! ほら謝って! この清く美しい女神様を、駄女神と言ってしまいごめんなさい、って謝って!」

 

「……フッ」

 

「あっ!」

 

 そこにはギャーギャーと騒ぐ、水の女神(全ての元凶)と、日本人のような顔立ちの少年が……

 

 ……みこーん。

 

「貴方、もしかして水の女神アクア様ですか?」

 

「「えっ?」」

 

 声をかけた2人は、驚いたような顔をした。

 

 ……さあ、ジャッジメントの時間だ……

 

「「……どちら様ですか?」」

 

 ……ジャッジメントは必要ありませんね☆

 

「……クソ女神、貴方はたおやかに沈めてあげるので覚悟しなさいな♪」

 

「「えっ?」」

 

「懺悔しやがれ! これが狐の! 怒りの鉄槌だぁあああーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

「……ねぇめぐみん。私達って今現在、パーティーを組める人ってタマモさんしかいないよね?」 

 

「……そうですね」

 

「……それなら。勝負、どうしよっか?」

 

「……仕方ないですね。今回は引き分けって事で手を打ってあげますよ。そのかわり、友達である私にご飯を奢ってくださいね?」

 

「もちろんよ! だって、私とめぐみんは友達だもんね!」

 

「冗談ですよゆんゆん? 何故、2番目に頭が良かった貴方がこんな簡単に引っかかって……って、痛い、痛いです! 謝りますから! 謝りますから、殴るのをやめて下さい!」

 

「めぐみんの馬鹿ぁああーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁあああーー!! 助けて! 助けてカズマさーん!! もうカズマさんのお金、勝手に取ってお酒飲まないからー!今度からはちゃんと言ってから取るから!」

 

「おまっ! 金が少なくなっていたのはお前のせいかよ! だったらもう少しそこで、頭をグリグリされてるんだな!」

 

「まだです! まだ終わりませんよ! 狐の怒りはこんなもんでは治りません!」

 

「いやぁあああーー!」

 

「お前が、お前があそこで調整ミスをしなければ! 私が力の制御をしなくてもよかったのですよ! 大人しく、反省しなさいな!」

 

「謝るからぁ! 調整ミスした事も、忘れてた事も謝るからぁあ! そろそろやめてぇーーー!! 変なニートに連れてこられた世界で!! こんな痛い目に合わされるなんてぇええええーーーいったーーい!!」

 

 今日もアクセルは平和である。

 

 

 

 

 

 

 結局あの後、ギルドの職員さんが止めに入るまで、私はアクアに鉄槌を下していた。転生させてくれた恩はあるが、それはそれ。これはこれであるので、先ほどの行いを悔いはしない。

 

 ……私、大☆満☆足です!

 

 因みにアクアは、私と佐藤和真(さとうかずま)と名乗った少年転生者の足元で痛みに呻いている。

 

「頭が……私の高貴なる頭が……」

 

「……そういえば、この駄女神は何をやらかしたんですか?タマモさん」

 

「私を転生させる時に、能力の調整を盛大にミスって、私をこの世界を滅ぼしうる存在にしようとしたのですよねぇ〜。そこで、ジャッジメントを下そうとしたら、私の事を忘れているときたものです。だから私は鉄槌を下したまでです」

 

「どこが高貴だこの駄女神! なに救おうとしてる世界に、トドメをさしかけてるんだよ! そんな事をしでかす頭のどこが高貴なのか言ってみろよ! この無能で馬鹿なアホ女神がぁぁぁぁー!」

 

「言っちゃいけないこと言った! カズマさんが言っちゃいけないこと言った! うわぁぁぁぁぁーーーん!」

 

 ……これ以上この場にいたら、厄介事に巻き込まれそうですね。

 

 カズマの肩に手をのせる。

 

「……後は任せたゾ☆」

 

「ちょっ! おい!」

 

 私は、カズマの制止を振り切ってギルドの外へと飛び出していく。

 

 ……しっかし、あの女神を連れてきてくれたカズマには感謝しないといけませんねぇ。今度、何かしらのお礼をするとしますか。

 

 先ほど下していた鉄槌の最中に、アクアが口走っていた言葉を思い出す。

 

 ……まあなににしても、これでファーストミッションはコンプリートです♪

 

 走りながら満足気に頷き、門の外へと駆けて行く。目指すはデイリークエストの達成だ。

 

 ……さあさあ今日も、タマモちゃんパワーを見せてやるゾ☆

 

 私は意気揚々と最初の依頼である、一撃熊の討伐へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 ……そういえば、スキルってどうやって取ればいいの?




次回も気分がのれば投稿します。
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