みこーん!と転生…しましたが尻尾が9本ありました 作:一般FGOプレイヤー
評価付与時に、任意ですが、何がよくて何がダメだったのか、教えていただけるとありがたいです。…別に、低い評価がついてショックを受けたわけではありませんよ?(震え声)
(作者のハートはガラス製なので、なるべく優しく教えてください)
「ええっ?! タマモさんってスキルを習得されていなかったのですか!?」
「そんなに驚くことですかぁ?」
「当たり前じゃないですか! 私はてっきり、その強いステータスとスキルを使って、高難易度をサクサクとクリアしていたのかと……」
「っと言われましても、スキルの取り方がわからないんですから、スキルもスルメもありません!」
「……えっと、冒険者登録の時に説明されませんでしたか?」
「いえ、何も……ってスルーですか?! 何か反応してくれません?!」
「……つまらないので」
「ガーーン!」
私はオーバーリアクションでカウンターに手をついた。目の前にいる受付嬢、ルナさんはため息を吐いている。ルナさんとは、女が少ない職場という事もあり、つい最近仲良くなったのだ。
……何故かさん付けをしてしまう。……っは! これが大人の女性というやつなのですね?
そんな阿保な事を考えている私は今、依頼の完了をルナさんに報告したついでにスキルの事を聞きながら、カウンターの上で某卵のようにグデーっと溶けて話をしている。
「……あとでその子は説教をするとして、冒険者カードを見ていないのですか? そこにスキル欄と書かれていると思うのですが…」
「あーー、黒歴史の塊みたいなものだったので、見ていませんね」
私にとってあの時の事は、かなりのトラウマものなのであまりあのカードを見たくなかったのだ。
……あれ? 私は今、アークウィザードになっているのなら、人類悪(職業)になる危険性はないのでは?
カードを取り出して職業欄を見てもアークウィザードとしか書かれていないので、おそらく人類悪になる事は回避出来るだろう。
……さてさて、スキルの欄は……え?
「えっと……そう、そこですね。ってええ?! なんですかこのスキルの数! 明らかに、アークウィザードが覚えられるスキルの量を超えていますよ!」
習得可能スキルの欄をスクロールをしてもなかなか一番下へとたどり着かない。気になるスキル名を見ると、そこにはこの世界特有の魔法から始まり、玉藻(水着も含め)が保有していたスキルに、使っていた技が書かれていて……
「だからこれはチートすぎです! まるでチートのバーゲンセールです! というより、習得する為の消費ポイントが少なすぎません?! これなら、玉藻スキルマの方が、ここにある全てのスキルの習得より時間がかかりますよ!」
「なにがなんだかわかりませんが、カウンターを叩くのをやめてください! タマモさん!」
「安心してください。峰打ちです」
「あっ、そういうのはいいですので」
「ガーーーーン!!」
先ほどよりも、豪快にリアクションをとる。
……ぐぬぬ。やはり、ボケをかますのは難しい。
「……って、タマモさん。ちょっとここ見てください! なんですかこのスキルポイントの数は!? 1ヶ月でこんなに貯まるわけないじゃないですか! それに、初期ポイントも合わせたとしても、どう考えても初期ポイントのソレじゃないですよ!」
慌ててルナさんが指をさす場所に目を飛ばすと、そこには玉藻のスキルや技を全て習得したとしても、余ってしまいそうな程の量のスキルポイントが……
……悲報:玉藻の最終再臨の方が難しい模様。
「……とりあえず。スキルを習得、してみましょうか」
「……はい」
とりあえず、1番上にあった《初級魔法》というものを、習得してみた。使い方は、他の冒険者を見ていたので、わかっている。
……事故らない為に、念のため流す魔力は少なめにして……
「『ティンダー』……本当にできるのか……」
分かってはいたが、先ほどまでできなかった事が、こうもあっさりとできるようになってしまうのは、なんとも言えない感覚だった。私は指先に灯った火を消して、カードを再び手に持った。
「ひとまずスキル習得、おめでとうございます。……これからはちゃんと、スキルを使ってくださいね? ……あっ、因みに、スキルは使い続けていると、スキルレベルというものが上がっていきます。スキルはスキルレベルに応じて、強力になっていくので、たくさんスキルを使って、スキルレベルを上げる事をオススメします。……もっとも、タマモさんには必要ないとは思いますが……」
「……まあ、どこかの問題児のように、極めたいスキルを見つけたら、使い続けてみます」
「……貴方が爆裂魔法を極めようとしたら、洒落にならないのでやめてくださいね?」
「大丈夫だ。問題ない」
「……そうですか」
「いやいやいや! そこは『問題大有りだ、この駄狐が!』ってツッコミを入れるところでしょう!?」
「……問題大有りだこの駄狐が」
「……もう、いいです」
私はカウンターから離れて、スキルポイントを消費する作業に入ることにした。
……《
スキルの習得は淡々と進めていたが、このスキル? を習得した時に、ふとそんな事を考えた。
……確か、あの宝具ってキャス狐状態だと、呪術コストゼロとか、味方全体のスキルチャージを1進めて、味方全体のHPを回復や味方全体のNPを増やすだけだったと思うけど、九尾状態で使うと対界宝具になって……あっ。
「……とりあえず、これを使う時は、どうにか制御してキャス狐程度の力に……できますかね?」
……できると信じたい。
そんな事を考えているあいだに、この作業の終わりが見えてきたようで、画面のスクロールがとうとう止まった。が、そこにはどう考えても悪意のあるものが書かれていた。
……あと残っているスキルは……え?
1番下に書かれている4つのスキル。その4つだけ、赤色の文字で書かれている。
……うっそじゃん?
そう。そこに書かれていたのは《獣の権能》、《単独顕現》、《自己改造》、《ネガ・ウェポン》という、『人類悪スタートパック』と名前が付けられそうな感じで……
「馬鹿なんですか?! この世界は大馬鹿野郎なんですか?!」
私はこの4つ以外のスキルを習得し、カードをしまう。
「こんなところに伏兵がいるのは聞いてないんですけど? なんですかこれ? 人類悪を勧めてくる新手の詐欺なんですか?」
元々低かったテンションが、さらに急降下した私はゆらゆらと立ち上がり、冒険者ギルドから出てある場所へと向かって歩き始める。
目的地に行く途中でゆんゆん達にも出会ったが、私の様子を見て、話しかけてはこなかった。
ゆらゆらと歩き続けて数十分。私の足は、小さなお店の前で止まった。看板には『ウィズ魔道具店』という文字が書いてある。
扉を開けると「カランカラン」という鐘の音と共に……
「いらっしゃいま……あっ! タマモさん! お久しぶりですね! 今、お茶とお茶請けを用意しますので少し待っていてください」
「……条件反射でそれを行う貴方は、きっと良いお嫁さんになるでしょう……」
店の奥へと入って行った女性……ウィズの背中を見ながら、そう呟いた。
ウィズと出会ったのはゆんゆん達と出会って間もない頃だった。
初めての野宿をゆんゆん達との出会いで体験してから、野宿をなるべく、快適なものにしたくて、アクセルの道具店と魔道具店を巡っていたら、たまたま出会っただけであった。
だが、彼女の中にあった、人間とは一線を画す魔力を、
……アンデッドの王様であるリッチーが、人間の街に住むって普通に考えておかしいですよね?
ウィズが、人間ではなくリッチーであったという事を知った私は……どうこうするわけでもなく、ただ私やウィズの愚痴を言い合う、謂わば飲み仲間のような関係になってもらった。
……第1に、私は人の事を言えない存在ですし……。それに、この悩みを聞いてもらう事ができる存在は人間以外でないといけないから、正直に言ってウィズのような存在はありがたい存在ですよ。……人類悪の説明をしたら顔を真っ青にさせながら私に攻撃してきましたがね……。
目の前で鼻歌を披露しながら、カチャカチャとティーセットを用意している、ウィズの姿をチラリと見る。
「仕事はいいのか」と普通なら、言ったほうがいいのだろうが、生憎と今の私は愚痴を思いっきり溢したい気分なのだ。
それに、この店には商品目的で客が来ることなど、滅多にないのだから大丈夫だろう。
というのも、この店……ウィズ魔道具店にはまともな魔道具が殆ど無いからである。
……一体なにを思って1つ数万エリスもするようなガラクタ達をウィズは購入しているんですか……。
おそらく彼女の商才は、ダ・ヴィンチちゃんの知恵や、ナイチンゲールの治療をもってしても治す事は難しいかもしれない。
……まあ、お茶を出してもらっている手前何も買わないわけにはいかないのですがね……。
ニコニコ顔なウィズを見ながらため息を吐く。
「準備ができましたよ〜。今日のお茶請けは、最近、お客さんに恵んでいただいた、お饅頭ですよ!」
「恵んでいただいたお客様に感謝して……ってなるかぁー! なんでお客さんに、食べ物を恵んでもらってるんですか?!」
「わっ、私も最初は、お客さんに悪いからって言って断ろうとしたんですよ! ですがその時の私は、もう4日も固形物を食べていない状態だったので、つい欲が勝ってしまい…」
「……アンデッドに食欲ってあるんですか?」
「私は腐っても人間です。確かに死ぬ事はありませんが、何か食べないとお腹が空いて死にそうになります」
「腐っても人って、誰が上手いこと言えと」
私達の会話は、大体がこういった世間話? から始まる。
といっても、すぐに私の悩みをきいてもらったり、ウィズの商談の相談をしたり、仕事の愚痴を言い合ったりするお茶会になるのだが……。
「それにしても、本当にタマモさんは強いですよね。……もしかしたら、私の友人のバニルさんにも勝てちゃったりして」
「バニルってまさか、手配書に出てる魔王軍の幹部のあのバニル? 」
「そのバニルで合っていますよ。実を言うと、その人とは、私が魔王軍の幹部になる前からの知り合いでして」
……ちょっと待て。
「悪魔が友達なのはまだ分かります。悪魔の事を人と言ったのも、あえてツッコミはいれません。ですが……ウィズが魔王軍の幹部って事には、流石にツッコませていただきます! なんで魔王軍の幹部が街中でお店なんかひらいてるんですか!? 魔王軍って意外とフレンドリーなんですか?!」
「別に、そういうわけではありませんよ。ただ私が特殊なだけで、ほかのみなさんは、しっかりと魔王軍をやっていますよ。私がこうして、人間の街に住んでいるのは……人間だったときの名残、のような物なのでしょうね」
そう言ったウィズは、少しだけ寂しそうな笑顔を浮かべた。
……これ以上は踏み込まない方が良さそうですね。
「まあ、今更ウィズが魔王軍だって事が分かっても、今までの貴方を見ていたこちらからすると別に気にする必要はないですね。それに、手配書が出ていないという事は何もしていないって事なのでしょうし。……なにより、私も人の事を強く言えた立場ではないのですし」
「そう言ってくださると、ありがたいですね……」
ウィズがそう言うと、静かな時間が少しだけ流れ、そして、先ほどのようなお茶会が再開されるのであった。
次回も気分が向けば投稿します。