みこーん!と転生…しましたが尻尾が9本ありました   作:一般FGOプレイヤー

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気が向きました。


1番の敵は自分のパワー

「炎天よ、奔れ! ……よし。カエルの丸焼き、完成!」

 

 気持ちのいいくらいの快晴のなか、私は、今日も今日とてクエストをこなす。

 

 ……いい社畜日和ですね。お出かけ日和に変わってほしいです。

 

 そんな事を考えながら、カエルの丸焼きを手早く解体して可食部と素材を分けて、袋の中に入れていく。素材になる部分は、ギルドに差し出して、可食部はウィズに押し付けるつもりだ。

 

 ……粗方、終わりましたか。それでは、残骸をチョチョイと焼却して……ん? 尻尾(第六感)がなにか捉えましたね。これは……

 

「めぐみんですか」

 

「『エクスプロージョン』ッ!」

 

 遠くからめぐみんの声が聞こえてきた直後、強烈な閃光と爆音が平原を揺らし、次いで暴風が襲ってきた。遠くに爆煙が上がっているのが確認できた。

 

 ……この匂いからして、今日はちゃんとモンスターに向けて撃ちましたか。折角なので、顔を見せていきましょうか。……さてさて、今日は一体、どなたと組んでいるんでしょう……。

 

 私は爆煙が晴れた丘に向かって歩いて行く。彼女が今、パーティーメンバーを組めるのは、私以外にはつい最近冒険を始めた者くらいしか、彼女と組もうとは思わないだろう。

 ほぼ全ての冒険者が、彼女の名前と『頭のおかしい爆裂娘』という異名を知っているから組みたがらないし、私以外で組んでくれるゆんゆんは、上級魔法を覚えると言って修行に出てしまった。

 

 ……爆裂魔法以外も覚えてくれたら、パーティーメンバーくらい簡単にできると思うんですが……っと。見えてきましたか。はてさて今日のお相手は……

 

「お前ら〜〜!!」

 

 ……なるほど、カズマでしたか。……ご愁傷様です。

 

 どうやらめぐみんの初見殺しをくらったのは、あの駄女神を連れてきてくれたカズマだったようだ。駄女神と問題児……アクアとめぐみんの姿が見えないので、探してみるとカズマが走っている方向に人間の足をぷらんと垂らしたカエルが2匹いて……。

 

 ……南無三。

 

 心の中で呟いて合掌する。

 そうしている間にもカズマはカエルを倒して2人を救出したようだ。

 しかし、どちらも精神的ショックが大きいようでアクアは泣きじゃくり、めぐみんは呆然としている。

 そんな彼女達に近づいていくとカズマがこちらの存在に気がついたようで助けてくれという目を向けてくる。

 

「うっ……うう。ぐすん。カズマ……っ! カズマ……っ!うわああああああんっ……!」

 

「だぁあああ! アクア、お前っ! 抱きつこうとするなぁ!」

 

「………カエルって、見かけによらず凶悪ですね。身をもって体験しました」

 

「そんな情報はいらんわぁあ! ちょっ、タマモさん! ヘルプ! ヘルプミー!」

 

 ……なんです? このカオスな状況。

 

「……とりあえず、街に戻られては? このままだとお肉が痛んでしまいますよ?」

 

「……確かに、とっととクエスト完了をギルドに報告して、こいつらを風呂にたたき込んだ方がいいな……。おーいめぐみーん。立てるかー?」

 

「……無理です。動けません。申し訳ないのですが、おぶっていただけないでしょうか?」

 

「しょーがねぇなぁあ」「しょうがないですねー」

 

「え?」

 

 カズマが困惑している間に、私は準備を済ませる。

 

「うーん、やっぱりこちらの姿の方が、動きやっすいですねぇ。もういっそのこと、この姿で……アリ」

 

「「「えっ?」」」

 

 私の姿を見て、カズマ、アクア、めぐみんの3人が困惑した。

 何故なら……

 

「最終再臨もいいのですが……玉藻といったら、やっぱりこの姿! というのは、偏見ですね」

 

 私の姿が、FGOで言うところの第3段階から第1段階の姿に、変わったからである。

 

 ……まあ、尻尾は9本のままなんですけどね……。

 

 因みに、第2段階にも姿を変えることはできるのだが、尻尾の数が変わらないので、実質なにも変わっていない事と同じである。

 これができるようになったのはつい最近のことで、久しぶりにレベルの確認をしようとしたときに、スキル欄を見たら《霊基変更》という文字があったので習得した。

 最初に見た時は、英霊ではないのに霊基ってどうゆうことなんですか? と困惑したが、人類悪を勧められる事なんかよりよっぽどマシだったので、深くは考えなかった。

 何故今になってこのような事ができるようになったのかよくわかっていないが、おそらく力の制御がうまくできるようになったからだと私は思っている。

 もっともこの姿だと露出が多くなるので、多くの視線———主に男性の———が集まる事が、予想されるから使っていなかったのだが。

 じゃあなんで今使っているのかというと……気分である。

 

 ……なんていうか……この姿で技を使う方が、しっくりくるのは何故でしょうか?

 

 そう考えながら私は手に持っていた鏡を宙に浮かせる。

 何故、そのような事をしているか。……それは、あの技を使う為である。

 

 ……大きな借りを、少しだけでも返すとしましょうか。

 

 お札を数枚、手に持ち……いざ!

 

「ここは我が国、神の国」

 ———私は握っていたお札を離す。

「水は潤い、実り豊かな中津国」

 ———離していたお札が、私やカズマ達を囲い、紫色に光り始める。と同時に、鳥居が出現する。

「国が空に水注ぎ、高天巡り、黄泉巡り、巡り巡りて水天日光」

 ———私の周りを飛んでいた鏡が、中央上空に、回転しながら飛んでいき、お札から出ていた光を吸収していく。やがて、そこに緑色に光る大きな球ができていた。

「我が照らす、豊葦原瑞穂の国」

 ———私は飛び上がり、その光を地面に叩きつける。すると、叩きつけた場所を中心に、光の渦が出来上がる。

「八尋の輪に輪を掛けて、これぞ九重天照」

 ———私はその光の渦の中心に立ち、そして……

「水天日光天照八野鎮石」

 ———と言うと同時に、私達の周りに、大きな渦……結界をつくりあげた。

 

 玉藻の前の宝具。《水天日光天照八野鎮石》は作品によって、効果が少しずつ変わっているが、どれもみな、魔力供給のようなものだ。

 しかし、本来の姿……つまり、今の私が使うと、無限の魔力供給に、死者蘇生ができる結界を、この国全体に張ることができてしまう。

 そんな事をすれば、国中が大騒ぎになり、最悪の場合、私がなんかしらの罪で逮捕されてしまう。

 だから私は、力の制御をクエストの合間に練習していた。その練習の成果のおまけが、《霊基変更》という事だ。

 正直に言って、この世界に来てから1番苦労をした。

 最初は中級魔法すらも制御がままならなかったが、今では宝具ですら制御できるようになった。

 因みに、制御した状態の宝具の性能を、ランクで表すとしたら、Aランク程。FGOで、強化クエストを受けた後の玉藻より、1ランク上である。

 効果としては、キャス狐の宝具の効果を、そのまま強くした……といったところだろう。

 今回は草原だったので水は出さなかったが、一応FGOの宝具などのような演出も可能である。

 

 ……私のプチ修行の成果。これは高得点間違いなし。

 

 私は自慢気に、腰に手を当てて、えっへんとしてみる。

 しかし、得点係である3人は、得点ではなく、別の事を叫んだ。

 

「「「なっ……」」」

 

「な?」

 

「「「なんじゃこりゃぁあ!」」」

 

「……貴方たち、どこに向かってほえてるんですか?」

 

 思わず、某刑事ドラマが思い浮かんでしまった。

 

「いやっ! だってさっきまでスッゲェ疲れてたのが、今の……なんか……すっごい技で、全部吹き飛んだんですけど!? なんすかこれ!」

 

「体力もそうですが、魔力が回復したのも驚きですよ!? さっきまで、すっからかんだった魔力が、爆裂魔法がギリギリ撃てないという、なんともいやらしいラインまで回復しましたよ!? そしてなにより! 先ほどの詠唱が、ありえないほどかっこよかったです!」

 

「ちょっ、ちょっと。あんた、誰の許可を貰って神様宣言してるのよ?! あんた信者いないでしょう?! 神様っていうのは私みたいに、清くて美しい者のことをいうのよ?! 勝手に神様宣言されるのは困るわよ!」

 

「「少なくとも、カエルの体液まみれになっているお前(あなた)よりも、タマモさんのほうが、神様っぽいぞ(ですよ)」」

 

「うわぁあああーーん……っ! 私、女神なのに! 本物の、女神なのに! うわぁああーん……っ!」 

 

 ……なんです? このカオスな状況。

 

 結局、ギャーギャーと騒ぎ始めた私達——主にアクア——が静かになったのは私達が騒いでいた事によって地中にいたカエルが出てきた時だった。

 もっとも……

 

「カエルはもういやぁあああーーっ!」

 

「あぁあああ! なんでこうなるんだぁあ!」

 

「逃げますよ! クエストは達成したんですから、とっとと退却です!」

 

 私以外の3人はカエルを見た直後。一瞬固まった後に、街の方向へと叫びながら走って行ってしまったのだが……。

 

 ……とりあえず、カエルの丸焼きを作りましょっか。

 

「『インフェルノ』! ……カエルの丸焼き、完成」

 

  ……玉藻印の技もいいんですけど、やっぱり上級魔法もカッコいいですね。

 

 そんな事を考えながら、私は解体の作業へと入る。

 これが最後のクエストで本当によかった。

 先ほどの出来事のせいで、精神的に疲れてしまった。

 

 ……やっと終わった。……もう夕方ですか。今から帰るとなると、街への到着は夜になる。……ギルドに報告したら、宿に戻ってとっとと寝るとしましょうか。

 

 カエルの残骸を手早く焼却して、私はアクセルへと重い足を動かすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ルナさん。クエスト完了しました」

 

「タマモさんですね。それでは、冒険カードを、預からせて……ってなんて格好しているのですか?! いつもの、あの服はどうしたんですか?!」

 

「あっ……すぐに直します」

 

 どうや第1段階のままで街の中を歩いていたらしい。

 

「……タマモさん。仕事を押し付……渡している此方が言うのもなんなのですが……しっかり休めていますか?」

 

「……ヤスミってなんですか?」

 

「……わかりました。これからは、クエストの量を減らしておきましょうか

 

「……クエスト完了の確認をしてもらってもいいですか?」

 

「あっ、はい。………はい。今日タマモさんが受けていた、全ての依頼の達成を確認しました。こちらが、報酬になります。ご確認くださいね」

 

 机の上に置かれた報酬を受け取り、私は帰路についた。

 

 ……明日は、今日よりもまともな1日になってほしいですね。というかなれ。

 

 宿に向かって歩きながら、私はそんな事を祈るのだった。

 

 

 

 

 

 

 翌日。私は、空を飛ぶキャベツを相手に闘いを繰り広げていた。

 改めて思った。

 この世界は、どうしようもないくらい巫山戯ていると。




宝具演出、めちゃくちゃ難しい……。 
どなたか、アドバイスをいただけたらありがたいです。
マーリン復刻。皆さまはどうだったでしょうか。
作者は……ご想像にお任せします。
次回も気が向けば書きます。
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