みこーん!と転生…しましたが尻尾が9本ありました 作:一般FGOプレイヤー
文章の質が下がっていたら、申し訳ありません。
「頼もーーう! 今日もクエストを請けに来たゾ☆」
キャベツ狩り、という巫山戯たクエストを受けた翌日。私は今日も今日とて、社畜に励む為に、冒険者ギルドの扉を開く。
……さて、今日はどれほど、タイムを縮められることができるのでしょうか?
新たなる記録を目指して、私は、今日も今日とてクエストを受けようと、受付嬢に私宛のクエストの確認を……。
「あっ、タマモさん。今日タマモさんに受けてもらいたいクエストは無いので、休日にしていただいて大丈夫ですよ」
「……え?」
……この受付嬢。今、なんて言いました?
困惑していた私に、隣にいたルナさんが
「あぁ、タマモさん。今日は彼女が言うように、タマモさんに受けていただきたいクエストが無いので、休んでもらって大丈夫ですよ」
「……マジですか?」
「えっ? ええ。そうですが……」
「やりましたぁああ! 遂に! 遂に! ここにきて遂に! 初めての休日が! ……冒険者を始めてから1度もなかった休日が! ようやく、手に入りました!」
私が勝利宣言を叫ぶとギルド内にいた冒険者が騒然とした。
「おいおい、まじかよ……。とうとうタマモさんが、休日を手に入れたぞ」
「思えば、タマモさんって、冒険者を登録したその日から、毎日ギルドに通っていたわよね?」
「……真昼間から酒を飲んでる俺とは、大違いだな。あぁ、どうしてこうなっちまったんだ……」
「……これで涙拭けよ。酒が不味くなっちまうだろ? 同士よ」
「ほら、カズマさんもあんな風にならないように、タマモを見習いなさいな」
「お前にだけは言われたくない」
「いや寧ろ、ああなってもらった方が、私としては都合がいい。真昼間から酒を入れて、冒険もせずに自堕落に生活していく。やがてお金が尽きたお前はこういう言うのだ。『おいダクネス。金がねえからその身をちょっと売ってこい』……と。私は身体を売るために街に出て、そこで野獣のような男達に……んんっ! カズマ! 是非あの者達のようになってもらいたい!」
「お前はちょっと黙ってろ」
「……タマモさんを久しぶりに爆裂散歩に誘いたいですね」
「おい、やめろよ? それに、今日はクエストを受けるんだから勝手に爆裂すんじゃないぞ?」
……何人かおかしな人が混じっている気がしたのですが……。
兎に角。遂に私は、この世界に来て初めての休日を手に入れたのだった。
………そういえば。
「休日って、どう過ごせばいいのでしたっけ?」
……よくよく考えてみればこの世界にきてから毎日が労働だったので、趣味=労働、娯楽=労働となっている。
「……趣味が仕事しかないので、クエストを受ける……ということは」
「できませんよ? というより、私が受諾しません」
ルナさんにバッサリと切られてしまった。
……となると……あそこしか暇を潰せる場所はありませんね。
私は冒険者ギルドを出て、ウィズ喫茶店……もといウィズ魔道具店に向かうのだった。
「休日の過ごし方……ですか? えっと……私は商品の仕入れや新しい魔道具の購入や取り引きをしていますね。後は……お金がないので特には……」
ウィズはお茶の準備をする手を止めて、私の問いに答える。
……リッチーがお金に悩まされながら生活するとは。……本当に世知辛い世の中ですね。
「ウィズも仕事でしたか……」
「……"も"、という事はタマモさんも同じですか?」
「……私は止められたのですがね」
「ですが、止められなければクエストを受けていたでしょう? ダメじゃないですか。休日はしっかり休まなくちゃ身体に毒ですよ」
「それを言うのなら、ウィズだって同じですねぇ〜。人の事言うのなら、まずは自分が休みなさい」
「うぅん、ですが仕事以外に何かやるとなると一体何をすれば……」
「……とりあえず、趣味になるものを見つけましょうか」
そう言ってみると、ウィズは顎に手を当てて考え始めた。
「ショッピング……なんてどうでしょうか。一緒に見て回るくらいなら、私にもできますし」
……確かに良さそうですが、ウィズとショッピングをしたら変な物を持ってきそうですね。それに買えない物を見ても私だったら、唯々ストレスですね。つまらないですし……。
「……ピクニックなんてどうです? それならウィズも楽しめるでしょうし……。なにより、ゆったりと休めますよ?」
「いいですね! いかにも休日って感じがします!」
どうやらウィズは提案に乗り気なようで、見るからにテンションが上がっている。
「あと、キャンプなんてどうでしょうか? 冒険者時代は、野営をしなければならない時が多々あったのですが……なかなか気が休めるものではなくて……」
ウィズの提案もいいものなので同意して、それに付け足していく。
「それもアリですね。キャンプなら釣りやハイキングなど、様々な事が楽しめますからね」
1度案が出れば次々と思い浮かび、休日というものがなかなか楽しいものに変わっていく。
……なるほど。これも、休日の過ごし方の1つに加えてもいいですね。『知り合いや友人とお茶やご飯を食べながら、延々と駄弁る』……なかなか面白いですね。
「それからそれから! ———」
楽しそうに話すウィズを見ながら、私は喉を湿らせて、ウィズとの会話を楽しむのだった。
気がつけば窓の外は夕焼けによって赤くなっており、いかにもといった感じでカラスが鳴いている。
「あっ! もうこんな時間に……。すみませんタマモさん。タマモさんとの話が楽しくて、ついつい時間を忘れてしまいました」
「別にいいですが? 私も楽しかったですし……なにより休日の楽しみ方がよくわかったので謝罪はいりませんよ」
そう言って、椅子から立ち上がり大きく伸びをする。
……明日から、再びクエスト漬けの毎日ですか。……先ほどまでは、クエストをしていた方が楽しいと感じていたのですが……今となってはクエストが憂鬱になってしまいましたね。
そう考えながらため息を吐き、ウィズに別れの挨拶を告げる。
「それじゃあ、そろそろ私は帰らせてもらおっかな? 明日はまたクエストを請けなければなりませんし……」
口に出すだけでも憂鬱になっていく。
徐々に目が死んでいく私を見ながら、ウィズは苦笑いを浮かべている。
「私も応援していますので、頑張ってください。此処に来てくださればお茶くらいしか出せませんが、話し相手にはなりますので……」
……ウィズはいい人……もといアンデットですね。そこいらにいる駄女神やら爆裂狂とは大違いですよ……。
ジーンとなりながら、ウィズに感謝の言葉を伝える。
「ウィズがそう言ってくれるだけでも、救いですよ……。ありがとうございます」
頭を下げるとウィズは何故か慌てふためく。
「あっ、頭を上げてください! これは私が好きでやっている事ですので、褒めていただくようなことではありませんよ!」
……はっ! 一瞬だけ、ウィズとの結婚を本気で考えてしまった。くっ、これが良妻オーラというものですか!
「あの、タマモさん?どうされましたか?」
「……ウィズは将来、良いお嫁さんになりそうだなって考えていただけですよ」
「えっ? あっ、ありがとうございます?」
「何故に疑問形? まあ良いんですけど。……それじゃあ私はそろそろお邪魔しますかねぇ。お茶美味しかったですよ」
「ありがとうございます。またお越し下さいませ。タマモさん」
……今日は何も買っていないのに、また来てくださいとはこれはいかに……。
とりあえず、右手を上げて返事をしておいた。
カランカランという店とは対照的な景気のいい音を聞きながら、私は外に出る。
……さて、帰って明日の準備をしておきましょうか……。憂鬱ですねぇ……。これを例えるなら……長期休みの最終日……ってそれは言い過ぎですかね。
私はため息を吐きながら宿へと向かって歩く。
……宿に帰ったら夕飯を食べてお風呂に入って……ん? あれは……
「カズマ達ですか……」
どうやらこれからクエストに出るようで、装備で身を包んでいる。
「ふわぁあ……それにしても。このクエストに私は必要なのですか? 魔法が撃てない私は、自分が言うのもアレですが、役に立たないと思うのですが……」
「そりゃ……そうだけど。もしもって時があるだろう?」
「ゾンビメーカーの討伐で、もしもが起こるわけないだろう……というのは慢心だからな。油断は禁物だ。もしも危うくなったら私がこの身で守るから、安心するといい」
「ダクネスったら、何言っちゃってるのよ! 私がもしもを許すわけないでしょう? 相手はたかだかゾンビメーカーなんだから、安心して私にドーンと任せておきなさいな!」
「よし2人とも。アクアがフラグを建てたから、俺達でなんとかするぞ」
「「了解だ(です)」」
「なんでよーーっ!!」
……賑やかですね。……私にもいつか、ああいったパーティーメンバーが欲しいですね……。
彼らを横目にそんな事を考えながら、私は宿に向かって歩みを進めるのだった。
「頼もう! さぁさぁ今日こそ、出すもん出してもらいましょうか!」
いつものようにギルドの扉を開けて叫ぶと、何故かギルド内にいた全ての冒険者がこちらを見た。
……いつもこんなノリなのに、どうしたのでしょう?
首を傾げながら私は受付に向かい、クエストを請けようと……
「あっ、すみませんタマモさん。今日もクエストは無いんですよ。……実は最近、魔王の幹部らしき者が街の近くの小城に住み着いたんですよ。そのせいで、力の弱いモンスター達が身を潜めてしまい仕事が……。タマモさんに討伐依頼を出そうと考えていたのですが、上から『来月には、首都から騎士達が討伐の為に派遣されるから、それまで手を出すな』……と言われてしまいまして。なので、後1ヶ月は殆どクエストは無いと思ってもらって大丈夫です」
…………まじか。
「やりましたぁああ!!」
再び勝利宣言を上げた私はギルドを飛び出して、この街で1番有名なお菓子屋に向かうのだった。
「ウィズ! やりました! これから1ヶ月間。ずっと休みになった……ってどうしたのですか?! やけにやつれているようですが……」
「あっ……タマモさん。すみません、今お茶を用意しますので……」
「わかりまし……ってちょぉおっと待てい!」
フラフラとしながら歩いていくウィズを止めて、私はウィズを支えに入る。
「何があったかは知りませんが、今日は寝ていなさいな。店番くらいなら、私がしますから」
「ですが……」
「いいから。いつもお茶を出しているお礼として受け取ってください。というか受け取りやがれ」
「……わかりました。それでは暫くの間、お店の方をお願いします」
意外とすぐに引き下がってくれたので少し驚いた。それほど疲れているという事なのだろう。
……まあ店を任された所で、お客さんは来ないのですが……。今日は静かな1日になりそうですね。
私は大きく欠伸をすると、カウンターに立ち静かな1日を過ごすのだった。
「バニルさん……殺人光線だけは……やめてください……」
……いや、夢が物騒すぎるのですが?!
寝言を言うウィズに戦慄させられたしまった私は、嫌に目が冴えてしまい、暇な店番でも眠ることなく最後までこなすのであった。
次回も気が向いたら書きます。