みこーん!と転生…しましたが尻尾が9本ありました 作:一般FGOプレイヤー
何故こんなに更新期間が空いたかというと……完璧に作者個人の事情です。本当にすみません。
久しぶりなので誤字脱字が多いかもしれません。
なので、もし間違っていたりアドバイスがあるようでしたら優しく教えていただけるとありがたいです。(作者の心はガラス製です)
とりあえず……気が向きました。
追記
ちょっとだけ改訂しました。
「……暇ですねぇ〜。なんでしょうか……クエストが無いと逆にクエストをやりたくなるというこの感覚は……」
普段沢山の依頼で埋めつくされている提示版を見ながらため息を吐く。
デュラハン騒動があってから数日後。
毎日ウィズのお店で厄介になるのも気が引けてきた私は久しぶりに冒険者ギルドへと顔を出していた。
しかしクエストが無い現状、ギルドで出来る事と言ったら食事かお酒を飲む事くらいなので早速暇になってしまった。
……うむむ。流石に朝からお酒を飲むのはちょっと……。ですが酒パワーを借りないと暇で仕方ありません。さて、どうしたものでしょう……。
そんな私の現状を見兼ねたのか、ルナさんがカウンターから出てきて私に話しかけてくれた。
「タマモさん。いくら暇だからと言ってあれらと同類になるのはやめてくださいよ?」
ルナさんが指を指した方向をチラリと見る。そこには朝から出来上がってしまったのかギルドにいる女冒険者やギルド職員にちょっかいをかけるチンピラの姿が……。
「……そう言うのであれば適当に依頼をください。このままだと暇で暇で仕方ないんですよ」
そう言ってみるとルナさんは顎に手を置いて何かを考え始めた。
やがて何かを思いついたのか、「ちょっと待っててください」と言い残してカウンターの裏へと消えて行った。
暫くの間。頼んでおいたカエルの唐揚げを摘んでいると、ルナさんや他の職員達が何かを抱えて近づいて来るのが見えた。
よくよく見るとそれは釣竿のような形をしており……。
……いや、デカすぎじゃないですか? 船についているあれじゃないですか。
運ばれてきた釣竿に驚いているとルナさんがそれについて説明してくれた。
曰く、この釣竿はとある魔道具店で買ったモンスター用の釣竿で、魔力を流すと耐久性と柔軟性が上がる仕様になっており、大きなモンスターとも戦うことが出来るらしい。
しかし、重すぎて駆け出し冒険者達には扱えないという事でギルドの奥にしまっていたらしい。
「ですが……何故に釣りなんです? 提示版には水生生物の討伐クエストなんてありませんでしたが……」
「実はですね。街外れにこの街の水源である湖があるんですが……その湖の水質が悪くなり、ブルータルアリゲーターという凶暴なモンスターが棲み着いてしまい……。プリーストの方に浄化の依頼が出ているのですが、浄化魔法を唱えているとモンスター達が襲ってきて浄化作業が出来ないらしく……」
……なんとなく話がよめましたよ。
「もしかしてその釣竿って……そのアリゲーターも釣れたり」
「しますね。……どうします? タマモさん。依頼が出ていないので、報酬はかなり少なくなってしまうかもしれませんが、暇つぶしにはなると思うのですが……」
ルナさんの提案にどうしようか悩む。
……釣りはゲームでしかやったことがないのでできるかどうかわかりませんねぇ……。ですが暇を潰す事はできそうですし……。しかし、ワニ釣りというのは……。さて、どうしたものか……。
悩むこと数秒。
「……その話、受けさせてもらいます。どうせ暇ですし……」
私はルナさんの提案に乗ることにした。
「ありがとうございます。目的としては水源に棲み着いたモンスターの全滅なので、じゃんじゃん釣ってもらっても大丈夫ですよ」
……? 釣りってじゃんじゃん釣れるものでしたっけ? ……過剰な討伐をしてもいい、ということなのでしょうか?
ルナさんの言葉に引っかかりを感じながら釣竿を持ち上げる。
……今更ですが釣竿でワニを釣るってなんなのでしょうか? ……まあいつもの事なので深くは考えないでおきましょう。
疑問をいつものように流しながら釣竿を調べると、釣り糸の先が釣り針ではなくルアーがついていることに気がついた。
「あのールナさん。私、ルアー釣りなんて出来る気がしないのですが……」
「その点は大丈夫です」
「えっ? ですが……」
「大丈夫です」
「…………」
「大丈夫です」
「……はい」
……何が大丈夫なのでしょうか?
真顔で推してくるルナさんに若干不安になってしまうが、私の第6感こと、尻尾は反応しないので大丈夫だろう。
「それでは良い報告。期待していますよ! タマモさん!」
「……行ってきます」
いい笑顔で送り出してくるルナさんに再び違和感を感じながら、街の水源へと向かうことにした。
「……それにしても、これって本当に重いのでしょうか?」
想像の数倍軽かった釣竿を眺めながらそんな疑問を溢すのだった。
「ルナさん。本当によかったんですか?」
ルナのすぐ後ろにいた職員が不安そうに声をかける。
ルナはその声にニッコリと微笑みを浮かべた。
「タマモさんなら大丈夫でしょう。タマモさんならあのくらいの魔道具、簡単に扱いこなしますよ」
「いえ。私が心配しているのはあの魔道具の効果を受けたモンスターなのですが……」
「あれだけ高いステータスがあるならあの魔道具の効果を受けたモンスターなんて簡単に倒せますよ」
「だといいのですが……」
そう言って未だに不安気な表情を浮かべる職員に、もう1人の職員がルナのような笑顔で声をかける。
「大丈夫。タマモさんならあのウィズ魔道具店の魔道具くらい簡単に扱ってくれるから、私達は沢山出来上がる予定のワニ肉について考えましょう」
「……本当に大丈夫でしょうか?」
「大丈夫よ。さっ、解散解散」
そう言って職員達は各々の職場に戻るのだった。
……到着〜、って確かに汚いですね。こんなところが水源だなんて、衛生管理はどこにやら……。
濁った湖を見て思わず顔を顰めてしまう。が、すぐに切り替えて釣りの準備をする。
……といっても、魔力を流すだけなんですけどね。
釣竿に魔力を流したら、準備完了。
……それじゃあ早速。
ヒュッという風を切る音の後にチャポンという水の音が聞こえてくる。
……さて、とりあえず適当に釣竿を固定して様子見を……ってえ?
釣竿を魔法で固定しようとした瞬間。突然釣竿が大きくしなった。
「いくらなんでも早すぎません?!」
思わず叫んでしまうが急いで釣竿を手に持ち上に上げる。
……ん? 意外と軽いですね。まずは1匹目ゲッ……は?
あまりの呆気なさに調子に乗って勝利宣言をあげようとするが、目の前にあった光景に思わず止まってしまう。
何故なら、そこにはドでかいワニが大きな口を開けて此方に向かって飛んできており……
「……えっ?」
グァアアアーーッ!
「……ッ! 『ライト・オブ・セイバー』ッッ!!」
突然の展開に戸惑ってしまったが、アリゲーターの叫び声に意識が戻り咄嗟に魔法を唱えアリゲーターを真っ二つにした。
「あっぶないですね?! というか、ギルドからもらった資料より何メートルもでかいんですけど?!」
目の前に転がるアリゲーターの残骸を見ながらそう叫ぶ。というか、叫ばずにはいられなかった。
……この湖の主……なのでしょうか? ……とりあえず、釣りを続行しますか。
そう考えた私はルアーを湖に飛ばした。
私の周りには巨大なアリゲーターの残骸が散らばっていた。
……やったねタマちゃん! 報酬が増えるよ!
「じゃないでしょう!? なんでこんなにサイズが大きいんですか? こんな奴らがなんで初心者の街の近くにいるんですか!? これギルドに知られたら、全部駆除してくれとか言われませんよね?!」
そう言いながら私は濁った湖を眺める。
すると、私が釣り上げたやつよりも明らかに小さなアリゲーター達が悠々と泳いでおり……。
「なるほど、なるほど。……ちょ〜〜と真相を確かめてみましょうか♪」
私はそう言いながらスキルの『呪層界・怨天祝奉』を使う。
「いりょ〜く倍♪倍♪倍♪」
そんなアホなフレーズを唱えながら湖に指を向けて
「『カースドライトニング』ッ!」
巨大な黒い稲妻を放つ。一瞬、眩い閃光が走り轟音と衝撃が辺りを襲った。
「……是非も無し」
……ってどっかの英雄の真似してる場合じゃないですよ! これ絶対ギルドに怒られるやつじゃないですかぁ……。
そう考えたところで後の祭り。私は急いで湖から離れる。
湖の周りでは衝撃によって近くにあった草木が吹き飛んだり、湖の水が吹き飛び霧を作ったり、ゲリラ豪雨並みの雨を降らせたりと大変なことになっている。
素早く湖から離れた私は暫くの間そんな光景を眺めていたが、やがて衝撃やら水飛沫などが落ち着いたので再び湖に近づき様子を見る。
するとそこには、お腹を見せてぷかぷかと浮かぶ小さめのアリゲーター達の姿があった。
……どう見ても私が釣り上げたアリゲーターよりも小さいですね。……やっぱりこれですかね?
思わず置いてあった釣竿を見る。
……私に魔道具の目利きができればいいんですけど、これだけは場数をこなさないとみたいですからね〜。
そう考えながらため息を吐いてしまう。
「とりあえずアリゲーターを回収してギルドに売っ払いますか……」
そう言いながら私はアリゲーターを魔法で岸にあげるのだった。
「……暇ですね」
アリゲーターを回収し駆けつけてきたギルド職員に全てを押し付けた後。私は再び暇になってしまった。
……とりあえず、後でルナさんに魔道具の説明書を見せてもらうとして今はどうしましょうか。……というか、どうせならもうちょっとフィッシングを楽しんでいたらよかったですねぇ。……って、ん? あそこにいるのは……。
少し離れたところにある小さな木。その木の近くによく見知った顔があった。すかさず最近獲得した
「……ねえ……。ほんとにやるの?」
「ここまできて引き下がるってのは無しだからな。ほら、とっとと檻ん中に入れ」
その言葉に渋々と檻の中に入り体操座りをする駄女神。その近くにはいつメンの3人がいる。どうやら此方には気付いていないようだ。
「……私、これから売られていく捕まった希少モンスターの気分なんですけど……」
アクアが檻の中で不機嫌そうな顔になりながらそんなことを言っている。
……何故檻の中にアクアが……。
暫く様子を見ているとカズマとめぐみん、ダクネスの3人がアクアの入った檻を湖の中に押し込んだ。
「……女神の出汁取り?」
よくわからないことを口走ってしまうがどうしてもそう見えてしまう。
……どうせここにいても暇ですし、なにやら面白そうなカズマ達にちょっかいをかけに行きましょうかねぇ。
そんな事を考えた私は座っていたせいでついてしまった砂埃を払いながら立ち上がり近づいていく。
ゆっくりと歩いているうちにカズマ達も私に気付いたようで私に向かって手を振っている。
私も手を振り返しながら歩いて行く。
「おーい! ターマーモーさーん! こんなところで何やってるんですかー!」
……めぐみん。話しかけてくれるのは嬉しいのですが、笑顔で手をぶんぶんと張りながら大声で此方を呼ぶのは……見た目も相まって凄く子供っぽいですよ。いつものキャラはどうしたのですか。
心の中でそんな事を考えていたが、隣にいたカズマとダクネスも同じ考えに至ったようで驚いた顔をしていた。
「……ちょっとしたお使いですよ! そういう貴方達は何してるんですかー! 見たところアクアをきったない湖の中につけていますが!」
素直に暇つぶしを自らの手で完璧に潰してしまったなどという間抜けな事は言えずに適当に誤魔化しておく。
「掲示板にあった湖の浄化作業ですー! なんでもアクアは水に浸かるだけでその水を浄化してしまうという、なんともおかしな体質の持ち主ですのでそれを利用して湖の浄化をしているのです!」
「ちょっとめぐみーん? この体質は私が女神だから仕方のない事であって、全っ然おかしくない事であるのよ? そこんところ、ちゃんと理解しているかしらー?」
「……そうですね。アクアは水の女神様ですね。わかっていますよ。ねっ、ダクネス」
「あぁ、その通りだな。私は信じているぞ。例えアクアがカエル相手に涙を流したという話を聞いても。例えアクアがキャベツとレタスを間違えて、借金が返せなくなりカズマやタマモに泣きつく姿を見ても。私はアクアが女神だと信じて…………ぷっ、ククッ」
「ちょっとー! なんで笑ってるのよ! 絶対信じていないでしょう! 全く、カズマもタマモも何とか言ってやりなさいな!」
「「……フッ!」」
「あっ!」
……あぁ、やっぱりこの人達に絡むと暇になりませんねぇ。……休日のプランとしてカズマ達のところで駄弁るのもアリかもしれません。
未だにギャーギャーと騒ぐ駄女神の声を聞きながら、私はこれからの休日を想像するのだった。
「ところで、どうしてアクアは檻に入れられてるのでしょうか」
「あぁ。それはだな、俺のアイデアで湖の浄化だけならモンスターを相手しなくてもいいから、アクアを対モンスター用の檻に突っ込んで、モンスターに襲われないようにしているんだ」
カズマが胸を張りながら自信満々にそう言っており……
……言わぬが仏、ということで。
私は1人、心の中でそう呟くのだった。
次回も気が向いたら書きます。