追加戦士になりたくない黒騎士くん   作:クロカタ

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二日目、二話目の更新となります。

最初は少し変わって新キャラの音声記録のようなもので始まります。
以降はカツミ視点でお送りします。


第五部
新拠点と相棒


 “未知の探求者”とは聞こえはいいけど、僕に言わせてみればそれは暇を持て余した俗人にとっての暇つぶしでしかない。

 少なくとも僕はそうだ。

 僕は暇人である。

 音声記録をいきなりの自虐で始まるのは毎度のことだと思うが、ここは僕なりの挨拶だと思って我慢してほしい。

 

 さて、暇を持て余した探求者といえば星将序列77位“問答のケフカ”と呼ばれた者がまさにそうだろう。

 彼は自らが得た知恵と知識を用いて相対する対象との“知恵比べ”を仕掛けていた。

 彼と地球人との戦いは傍目から見れば面白い試みではあった。

 元より平等ではない勝負。

 だからこそ彼は公平性を求めるあまり知恵比べの基準を下げ“駆け引きを兼ねた罵り合い”による勝負へと切り替えた。

 結果、彼は敗北しその命を散らしたわけだ。

 これが純粋な知識における試練だったのならまだ可能性はあっただろう。

 その場合、目の前で傷ついたジャスティスクルセイダーを目にした“彼”が暴走し勝負そのものを台無しにしていた可能性があったわけだが……。

 

 まあ、この話題は長く話す必要はないだろう。

 既に終わった話であり、あくまで起こりえた可能性の一つなのだから。

 

 ここでオメガとアルファの関係性について久しぶりに記そう。

 意外にもこれの起源を知るものはほとんど存在しない。

 知的生命体に宿り能力に開花させる二つの因子は今や多くの生命体に植え付けられ、超常の戦士へと至っている。

 

 まず前提としてオメガとアルファは元は別々の生命体だということと説明しておこう。

 そして、これらの因子は本来はこの宇宙に存在することのなかったもの。

 

 なぜそんなものが今の宇宙に存在しているって?

 

 そりゃあ僕が持ちだしたものだからね。

 地球の言語で置き換えるなら外来種というべきかな?

 

 因子の起源はこの宇宙ができる三つほど前の宇宙にまで遡ることになる。

 その宇宙には、アルファの元となった生命体がいたわけだ。

 強力な力を持つ上に凶暴。

 他の生命体を食らうことで特異な能力に目覚める不思議な身体を持っていた。

 

 星を食らい生物を取り込み、一つの宇宙の時代すらも食らいつくそうとしていた者。

 それが原初のアルファ

 

 そんな存在を止めたのはオメガの根源となった者。

 穏やかな気性にアルファと比べて戦闘力に大きく劣る、一見すればまるでいいところがない彼は対話という形で荒れ狂う同胞を鎮めた。

 アルファに寄り添い、共感する。

 そんな他愛のない力を持つだけの存在が原初のオメガというわけさ。

 

 そして、だ。

 

 それらの細胞を因子として抜き出され培養されたソレが地球人が“正体不明(アンノウン)”と呼ぶ我々が強力な戦士を作り出すために星の生命体に植え付けているものだ。

 

 え? 

 

 オメガ因子を埋め込まれた生命体はその姿が怪物みたいになる?

 

 オメガの根源が穏やかなら怪物になるのはおかしいんじゃないか?

 

 結局穂村克己の正体はなに?

 

 もちろんこれらすべての答えは僕は持ち合わせている。

 が……ここはあえて次に持ち込しとしよう。

 もしかしたら次の音声記録でも僕は答えをボカすかもしれないけれど、それもまたご愛敬だ。

 

 この未来すらも見えない特異な宇宙は僕にとっては宝石の詰まった宝箱に他ならない。

 なにせここにはルイン様も、穂村克己も存在するからね。

 他の宇宙ではこうもいかない。

 

 さて、これを読んでいる誰か。

 過去の私か、はたまた別の宇宙の俺。

 それとも過去の僕かは分からないけれど、この宇宙・次元での立ち位置を名乗ろう。

 

 僕は星将序列第二位次元超越イリステオ

 

 なんてことはない、暇を持て余した未知の探求者さ。

 


 

 ジャスティスクルセイダーの本部が完成した。

 あれから数週間ほどしか経っていないのにもう本部が完成したことに驚いたが、それは俺の短いようで長かった居候生活の終わりとも言える。

 天塚家、新坂家、日向家。

 どの家にもかなり世話になってしまったが、楽しくもあった。

 短い期間でもあったが俺としても普通の家族、ということをよく知ることができたのでいい経験になったと思う。

 そして、俺にとっての新たな家になるであろう新しい本部についての場所を教えてもらいアカネ達と共に向かったわけだが……。

 

「喫茶、店?」

「喫茶店だね……」

 

 向かった先にあったのはごく普通の喫茶店であった。

 サーサナスという看板からして新藤さんの新しい店なのは分かったが、店の大きさからしてとても新しい本部には見えない。

 よくよく考えてみれば今いる場所はアカネ達の家や学校からそう離れていない場所だし、なにより周りには大きなビルもない。

 こんな場所に本部なんてあるはずがない。

 そう思っていると、店から緑の髪の少女が扉を開けて顔を出してきた。

 

「……ん? ああ、ホムラ達も来たのか」

「コスモちゃん、いないと思ったらここにいたんか」

「ボクもついさっきここに来たんだよ。そんなところに突っ立ってないで中に入れよ」

 

 ぶっきらぼうに言いながら扉を開いたコスモに頷き、俺達も店の中に入る。

 店の内装は以前のサーサナスよりちょっと広いくらいか。

 見た目の印象も明るく、客も入りやすそうだ。

 

「新藤達は二階にいる」

「へぇ、二階もあるんだ」

「客用のスペースは一階らしいけどな」

 

 壊された店は一階しかなかったからな。

 客用っつーと、二階は違う用途なのか?

 

「お、到着したようだな」

「そのようだな。諸君、よく来てくれた」

 

 階段を上がると一階と同じくテーブルと椅子が並ぶ場所にレイマと新藤さんの姿を見つける。

 新藤さんがいるのは分かるが、レイマがいるのはちょっと予想外だ。

 ついさっき淹れられたコーヒーなのか、レイマの触れているカップから白い湯気が浮かんでいる。

 

「レイマ、ここが新しい拠点なのか?」

「フッ……そうであって、そうではない、というべきかな」

「勿体ぶらないで早く教えてください」

「時間の無駄」

「ためる必要あります?」

「貴様ら空気というものを読めんのか……!」

 

 元も子もないことをいうアカネ達を睨みつけたレイマがコーヒーを飲み落ち着きを取り戻そうとする。

 

「まずはこの喫茶店、新生サーサナスについて説明しよう。皆も知っているとは思うが、彼の喫茶店は星界戦隊の襲撃によりほぼ半壊状態にまで陥ってしまった」

「あんときは流石に俺もびっくりしたな」

 

 コスモが戦った時の話だよな。

 そこらへんの落とし前は次に会った時に払わせるとして、そこからいったいどのような話になったんだろうか。

 

「こちらとしても記憶喪失のカツミ君を匿ってくれた礼を兼ねて、修繕代を出すつもりだったが……色々と見過ごせない情報があってな」

「あー、サニーのこと?」

「その通り。まさか新藤氏にホの字の序列三位が出てしまったので、彼を放置するのは危険と判断したのだ。……いろいろな意味で」

 

 正直、あいつはそこまで悪い奴ではないと思うんだけどな。

 必要になればこちらに敵対はするだろうが、新藤さんを害するような輩ではない。

 

「まさか俺のコーヒーが宇宙人すらも魅了するなんて罪すぎるな」

「罪なのは惚れられたお前じゃね?」

「確かに、罪なのは新藤さんじゃないか?」

「うっせぇぞ! 居候その2、その3!!」

 

 その1はハクアだろうか。

 俺とコスモの指摘に必死に食って掛かる新藤さん。

 

「サニーがまた新藤氏に接触してくる可能性は十分にある。そういう事情もあり、彼には我々の保護下に置いた上で以前と同じように喫茶店を経営していただくことになった」

「喫茶店もですか?」

「うむ。新藤氏の事情を置いてもここはお前たちにとっては憩いの場にもなり得るからな」

「……え、まさかこの二階って」

 

 アカネの言葉にレイマは頷く。

 

「お前達のために用意した休憩室のようなものだ。職場にそのような場所があっても息苦しいだろう? ま、ここで勉強するなり、飯を食うなり……ふむ、暇なときは新藤氏の店でも手伝うというのも手だ」

 

 まだ本部のことについて分かっていないが、ここは俺達にとってのたまり場ということになるのか。

 

「まあ、さすがに前みてぇに俺の独房にこいつらが押し寄せてくるってことになってもアレだからな」

「……」

「……」

「……」

「な、なんでこいつら残念そうな顔してんだ?」

 

 ……。まさかこいつら本部にあるであろう俺の部屋に突撃しようとしていたのか?

 無言で顔を逸らす三人にちょっと引いていると新藤さんがやや気恥ずかしそうな様子で自身の頭に手を置く。

 

「俺も、ここまで関わっちまったからにはな。協力できることがあんならできる限りするつもりだ」

「シンドウ、お前第三位を誘き出す餌にちょうどいいもんな」

「コスモ。テメーは変身ヒーローになっても皿洗いと接客係だ」

「なんでだよ!!!」

 

 思えばこの人には本当に世話になったな。

 マグマ怪人……いや、アースの時もそうだが、俺が記憶を失った時もその後も助けられてしまった。

 ……まさか俺が喫茶店でバイトをしていただなんてな。

 愛想のない俺にバイトなんて絶対に合わねーって思っていたから、今思い返すだけでも驚きだ。

 

「フッ……」

「カツミ君?」

「いや、なんでもない。レイマ、新藤さんの事情と喫茶店のことについては分かったけど、肝心の本部はどうなってんだ?」

「それを今から説明しよう」

 

 空になったカップを置き立ち上がったレイマは部屋の奥にある壁へと近づく。

 なんの変哲のない白塗りの壁の前に立ったレイマは、壁に貼られていた宣伝用のポスターへと手を添える。

 すると、なにか赤いセンサーのようなものが彼の手をスキャンする。

 その直後に白塗りの壁が扉のようにスライドしその先に白い光に包まれた空間が現れた。

 

「本部はこの先だ」

「あの、説明もなしにオーバーテクノロジーを使わないでください」

「白騎士のアナザーフォームが扱うワームホールの亜種だ。心配せずとも危険はない。地球外では転送技術はごくありふれたものだからな」

「へぇ」

 

 今までなにも考えずに使っていたが、ワームホールってそんなにありふれたものだったのか。

 あのルインが使っていたしかなり難しいものだと思い込んでいた。

 

「じゃあ、俺やルインのワームホール移動もそれほど珍しくないってことなのか……」

「違うぞ」

 

 コスモが俺の言葉を否定する。

 

「単体でワームホールを生成することが異常なんだよ。ゴールディが今使ってんのは入口と出口に目印を用意して初めて繋がってるもんだ。つーか、転送技術は大体がそうだ」

「カツミ君が使ってるのは違うの?」

「こいつは目的地まで直接ワームホールを作り出してんだよ。出口になる目印もなしにな」

 

 ……なるほど、そういう意味か。

 たしかに今目の前にあるワームホールとは違うな。

 

「つまり、カツミくんのはどこでもドアってことね」

「なあ、ホムラ。こいつ何言ってんだ」

「……その例え分かりやすいな」

「「?!」」

 

 俺でも知ってていいな。

 なぜか自分で口にした葵本人も驚いているけれども。

 

「このワームホールへの権限はジャスティスクルセイダー関係者に与えられることになる」

「質問。ハルにもその権限は?」

「勿論だ。彼女は我が社の重要な広報担当であり、世間的にも今の流行の最前線だからな。私としても彼女の存在は重宝しているのだ」

 

 それじゃあ葵の妹のハルも本部にいけるってことか。

 

「さて、ここで長話していると案内する時間がなくなってしまう。ということで新藤氏、ここには私も度々食事をしにくるのでその時に世話になる」

「ああ。そっちも頑張りなよ、社長さん」

 

 とりあえずはレイマが開いた扉から本部へと入ろう。

 新藤さんと別れ、俺達は白い光が渦巻くワームホールへと足を踏み入れる。

 

「っ」

 

 視界いっぱいに光が広がり目がくらむがそれも一瞬。

 数秒ほどで光がおさまると、俺達の前には広大な空間が広がっていた。

 屋内、ではあるのだろう。

 天井が高くドーム状に作られた建物内には数えきれないほどの扉が見える。それに伴いスタッフの人数も多く、皆忙しそうせわしなく動いている。

 後ろを見れば、俺達が出てきたと思われるワームホールの出口となる扉の枠のようなものがありそれが並列していくつも並んでいた。

 

「わぁ、広い」

「皆、制服とか着てるね」

「映画で見たことある光景だ」

「別に驚くほどの広さじゃないだろ」

 

 きょろきょろと周りを見るアカネ達を呆れた様子でを見るコスモ。

 しかしそんなコスモも、さりげなくではあるが視線だけ周りへと向けているあたり興味はあるようだ。

 

「完成して間もないからな。少し慌ただしいだろうが我慢してくれ」

「すごいな……こんな大きな施設。また地下に作ったのか?」

 

 そう尋ねるとレイマはにやりと笑みを浮かべる。

 

「いや、此度のジャスティスクルセイダー本部は地上に作った」

「こんな広い施設を? バレたりしないのか?」

「ノープロブレム。その心配は無用だ、カツミ君」

 

 俺の問いかけにレイマはおもむろに上を見上げる。

 

「“タリア”起きているか?」

『——いつでも』

 

 レイマが誰かの名を呟くと頭上から聞き覚えのある女性の声が響いてくる。

 大森さん、ではないよな。

 でも、どこかで聞いたことのあるような……。

 

『カツミ。この声、社長のスーツの声……』

「……あ」

 

 あのやべぇコアの声か。

 落ち着いた声だったから一瞬分からなかった。

 施設そのものから響いてくるその声にレイマは頷いた後に言葉を発する。

 

「外部シェルターを開いてくれ」

『かしこまりました。マイマスター』

 

 音もなく施設の外壁が上へとせりあがる。

 内側にはガラスが張られており、差し込まれている陽の光と共に外の景色が露わになっていく。

 

「……は? 山?」

 

 見えたのは青々とした木々が広がる景色。

 山奥どころではない場所に作られたドーム状の本部の外には、航空基地などにみられる倉庫などが見られるがその周りは人工物がほとんどない大自然。

 都会どころか人里離れた山奥に存在する基地に声も出せずに驚いている俺たちに、レイマは自信に溢れた様子で説明を始める。

 

「前回と同じように直接本部が狙われるようなことがあれば周囲に被害が出てしまうからな。ビークルを建造する実験場を作り変え、本部として運用できるようにしたのだ」

「山奥っていっても丸見えですよねこれ……」

「フッ、既にシールドと光学迷彩で対策はしている。地上・衛星からでは絶対にここは見つけられんさ」

 

 お、思い切ったことをしたな。

 外の景色を目にしながら俺たちはレイマについていく。

 その際に、施設の案内をされたが……ここは前の本部よりも広く機能も充実しているように見える。

 スタッフの居住スペースもあり長期の滞在もできるようだ。

 

「サジタリウスのコアとはあの後、和解してな」

『自己紹介が遅れて申し訳ありません。ジャスティスクルセイダー第二本部の管理の一部を任されているエナジーコア、タリアと申します』

 

 施設内を移動しながらレイマが先ほど会話していた“タリア”、サジタリウスについて話してくれる。

 

『ホムラ・カツミ様。プロト様。先日の件は誠にありがとうございました。お二人のおかげで私はマイマスターに自らの意思を伝えることができました』

「あ、ああ」

『気にしなくてもいいよ。同じコアだしね』

 

 前に見た彼女は相当やばい感じしかしなかったけど……今は、かなり落ち着いており年上の女性っぽい喋り方をしている。

 

「名前はレイマに?」

『ええ。マスターがこの私に……うふふ』

「……。レイマ、良かったな。いい相棒に巡り合えて」

「カツミ君。そう言ってくれるならなぜ私と目を合わせてくれないんだ? なぜ顔を背けるんだい?」

『相棒だなんて。そんなっ、まだゴールドスーツのお披露目もしていないのにっ』

 

 スーツを花嫁衣装みたいに言っているように聞こえるのは気のせいだろうか。

 もう声だけで根っこの部分は変わってないことを再認識しレイマから視線を逸らす。

 ……一応、気にかけておくべきか。

 

「レイマ。その……タリアは大丈夫、なのか?」

「私が他の女性に目移りしなければな。は、ははははは

『ゴールディ……スキ

 

 乾いた笑い声を出すレイマに、熱っぽい音声を響かせるタリア。

 ……よし、これはレイマとタリアの問題なので下手に触れないようにしよう。

 なんとなく聞いていたアカネ達もすぐにタリアのことは分かったのか、社長と彼女のやり取りを見て微妙な顔をしている。

 

「コアって変わったやつしかいないのかな」

『私は普通だよ?』

『ガオ』

『ガウ』

「こいつら自分以外は異常って思ってそうだな」

 

 コスモの呟きにプロト、シロ、レオが反応する。

 俺としてはタリアが素直にやばいと思ったんだけどな。

 

「社長、アルファとハクアは? ここにいるよね?」

「ああ、今向かっている居住スペース……カツミ君とグリーンの住む場所にいる」

「俺の住む場所か」

「グリーンって呼ぶなよ……」

 

 別に住むところをえり好みする性格ではないので寝る場所とか最低限のものがあればいい。

 前の独房とか結構いい感じの部屋だったが……アカネ達の度重なる訪問のおかげで物で溢れちまったんだよな。

 まあ、それはいい意味で俺に変化を与えた一因になっているんだろうが。

 

「別にうちにいたままでよかったんだけど。もう何年も一緒に住んでるのに」

「さらっと記憶を捏造するな」

 

 一週間とそこらだよな?

 葵、お前……それじゃあ俺が数年単位で居候している駄目人間ってことになるんだが?

 

「私達、幼馴染だったよね」

「お前みてぇな幼馴染いたら記憶喪失になっても忘れられそうにねーわ」

「……きゅん」

「今ときめく要素あったぁ……?」

 

 意味が分からんのだが……!

 頬を手で押さえて照れる演技をする葵の肩にアカネときららがその手を置く。

 

「きらら、そろそろこいつしばいていいかな?」

「奇遇やな。私も今そうしたいと思っていたところや」

「来いよ。負けヒロイン共。真の勝利者に跪き、私の輝かしい未来を目にし脳を破壊されるがいい」

「こいつら足の引っ張り合いだけは一人前だよな」

 

 いつものやり取りだなぁ、と思いながら通路を進んでいく。

 研究室などがある区画から離れたあたりで前を歩いていたレイマは進行方向を指さした。

 

「この先が君とグリーンの部屋だ」

「独房じゃないんだな」

「フッ、当たり前だろう? もう君を閉じ込める必要はないのだからな」

「そりゃそうだ」

「まだ案内する場所があるので荷物だけ置いてくるといい」

 

 レイマに頷き自分の部屋に向かっていくと、俺の部屋の隣の扉がスライドし二人の少女が顔を出してくる。

 漆黒の髪と真っ白い髪、アルファとハクアだ。

 どうやらこいつらも近くの部屋のようだ。

 

「あ、カツミ。待ってたよ」

「来たんだね。かっつん」

「おう。……隣の部屋なのか?」

「ここはハクアの部屋だよ。私は逆側のカツミの部屋の隣」

 

 ……あれ? 俺の部屋ってもう決められているのか?

 なぜかアルファとハクアに挟まれる部屋割りになってんだけど。

 首を傾げながらコスモを見れば、彼女は我関せずといった様子で空いている適当な部屋へと入っていく。

 

「まあ、記憶喪失してる時も隣と変わらん部屋だしいっか。アルファん時はそもそも部屋割りなんてねぇし」

 

 どちらにしろ部屋が変わっただけで俺の周りは変わらないって感じか。

 ……この二人は私生活が雑な部分があるのが心配ではあるが、さすがに大丈夫……だよな?

 でも三歳児と一歳児だからなぁ。 

 ……まずは荷物を部屋に放り込んでおくか。

 レイマ達も待っていることだし。

 

「……結構、広いな」

 

 開いてみれば予想の三倍くらい広い部屋であった。

 風呂もキッチンまであるのはやばいな。

 窓の外を見れば、大自然も広がっていて景観もかなりのものだ。

 

「ここが、これからの俺の家か」

 

 これからは停滞していた星将序列との戦いも激化していくだろうからな。

 

「まずはハクアに戦い方を教えねぇとな」

 

 あいつを無理に戦いに出すつもりはないが、ある程度戦えるようにしておかないとな。

 ……やることは沢山だが、一つずつ解決していこう。

 

 




新コアであるサジタリウスもといタリア。
彼女に関しては(表面上は)安定していますね。

新拠点はビルドやフォーゼ、映画などいろいろな要素を詰めてみました。

今回の更新は以上となります。

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