追加戦士になりたくない黒騎士くん   作:クロカタ

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お待たせしてしまい本当に申し訳ありません……!!

別作品関係でちょっと忙しくなってしまい更新が遅れてしまいました。

今回はカツミ視点でお送りいたします。


指揮官としての素質

 アカネ、アオイ、ハクアが怪人に占拠されたビルの制圧に当たる任務をモニター越しに見守っていた俺は、新たな怪人の出現と同時にすぐさまプロトとシロを連れてスタッフが待機する指令室へと移動していた。

 

『カツミ君!!』

「レイマ、今作戦室に向かっているところだ」

『ならばちょうどいい!! 今、タリアを経由して怪人の出現状況を共有させる!!』

「ああ、シロ。頼む」

 

 レイマはもう移動中か?

 肩に移動したシロが俺の眼前にホログラムを投射し、現れた怪人についての情報を映し出す。

 

名称:未確定

特徴:紫の体色を持つ昆虫型怪人

形態:群体型

能力:不明

凶暴性:非常に高い

 

 群れで動き出す奴か。

 無造作に作り出したやつか、それを作り出す大本の怪人でもいんのか?

 

「こいつの対処は?」

『各個撃破! ジャスティスクルセイダーは当然グリーンもこの私も出動する!!』

「でもレイマ、この動きは……」

『ああ! 此度の怪人の出現は明らかに我々の戦力を分散させる意図がある!! だが動かないわけにはいかないだろうな!!』

 

 映像が切り替わり出動した警官、配備されたスタッフが対怪人兵装を打ち出し、足止めをしている光景が映し出される。

 葵の持つ銃よりも大型のグレネードランチャー? のような武装から粘着性の弾丸が撃ち出され、それらが怪人にまとわりつき一瞬で硬化して動きを止める。

 

『我々が政府に提供した対怪人兵装はあくまで足止めにしかならない!! 相手の思うつぼになるだろうが、ここは人命優先で出る!!』

「了解した。それなら俺も———」

『いいや、現状出現した怪人の規模なら君が出る必要はない!! むしろ君は不測の事態に備えて待機だ!! それと———』

 

 そこで息継ぎするように一呼吸をいれたレイマは、続けて言葉を吐き出した。

 

『私が出動している間、君には指揮を任せる!!』

「んんん!?」

『スタッフには既に通達した!! なにがあっても私とついでに大森くんが責任を取る!!』

「余計プレッシャーかかるんだが!?」

 

 しかもなぜに大森さんも責任を取ることに?

 

『前にも言ったが、対怪人戦において君の右に出るものはいない!! それに、私は君のことを信用しているからな!!』

「……。そこまで言われたらやるしかねぇよな」

 

 ここまで信頼されているんだ。

 一旦レイマとの通信を切り、速足で移動しながら再度タリアにより送られてくる現場の状況を吟味する。

 

「タリア。アカネが制圧した怪人の血液はもう調べたか?」

『いいえ、まだです』

 

 アカネが気づいた怪人の不可思議な血液。

 今回の件には一見関係ないように思えるものだが、怪人の行動に規則性があると考える方が無理がある。

 

「アカネの直感は無視できない。プロト、映像越しでいいから怪人の血液を解析できるか?」

『少し時間はかかるけど、いけるよ』

「頼む。タリア、貴女は引き続き現場の情報をこっちに回してくれ」

『かしこまりました』

 

 簡単な指示を出し、目前にまで迫った指令室の扉に意識を向ける。

 自動で開いた扉に足を踏み入れると作戦室には既に30名ほどのスタッフが慌ただしく動いており、彼らの視線がこちらへ向けられる。

 その中には黒髪を後ろでひとまとめにさせた女性、大森さんと白色の髪色以外は彼女と同じ容姿のグラトの姿もあった。

 

「カツミ君! 主任から話は聞いています! どうぞ、ここに!!」

「何の前準備もなしに指揮は些か無茶が過ぎると思うんだがな……」

 

 大森さんに呼ばれ、いつもレイマが立っている指令室の中央付近に立つ。

 いくつも備え付けられた大型のモニターには、都市の各地に出現した怪人に関しての情報と、避難状況が細かに映し出されており、目まぐるしく動く状況に合わせスタッフが慌ただしく動き対応に当たっている。

 

「カツミ、私もいるよ」

「アルファか」

 

 すぐ傍の端末を操作していたアルファが声をかけてくる。

 

「いいのか?」

「私も力になりたいから。……というより、この日のためにオペの勉強したんだよ? カツミ、デバイスをつけて通信を繋ぐから」

「ああ……ありがとな」

 

 頭にヘッドセット型のデバイスを装着させた彼女に俺も頷きながら、彼女と同様のデバイスを頭に被る。

 

「カツミ君、司令とグリーンが出動!! レッド、ブルー、ホワイトも間もなく怪人出現地点に到着します!!」

「紫色の怪人———仮称するならば群体怪人は、凄まじい凶暴性を有し、優先的に人間と建物を破壊しにかかっている」

 

 大森さんとグラトの報告に、モニターに視線を送り訝しむ。

 人的被害は見過ごせないが、能力も使わずに襲い掛かるだけか?

 

『カツミ、解析結果出た』

「ありがとう。シロ、解析結果をスタッフの皆さんに共有してくれ」

『ガウ!!』

 

 シロの一鳴きの直後にモニターにプロトが解析した怪人の血液の情報が映し出される。

 映像を最大まで拡大され、床に飛び散った紫色の血の不自然な動きが明らかになる。

 

「これは、グラト……」

「ああ、この血液は床を浸食している」

 

 紫の血液は床に染みるように浸透していく。

 でも、これは単純に染みこんでいるわけじゃない……これは、まるで……。

 

「生きている?」

 

 血液そのものが微生物のように動き特定の物質を蝕んでいる?

 この怪人の戦闘力はそれほど高くはない。

 それどころか、一般人が持つ対怪人兵装で対応できてしまうほどに弱い。

 だが、この期に及んでこんな意味のない侵略をするとは考えづらい。

 

「……」

 

 そして、直後に現れた怪人の体表も紫。

 これは偶然か? わざわざ戦闘力が低い怪人を出す意味は?

 紫の血の判明した特性と不可解な怪人の出現に俺は一つの仮説を立てた。

 

「アルファ、全員に通信を繋げてくれ」

「うん!」

 

 アルファが端末を操作し、出動しているレイマ達全員との通信を繋ぐ。

 

「全員聞こえるか?」

『ああ! 聞こえているとも』

『聞こえてるよっ』

『聞こえてるでー』

『カツミ君、吐息多めで頼む』

『かっつんの声が聞こえる!!』

『どうしたホムラ!!』

 

 ……なんかもうすごい多いな、聖徳太子になった気分だ。

 俺が指揮を任されたことは知らされているので、単刀直入にいかせてもらおう。

 

「まだ憶測の段階だが、この怪人は倒されることが目的かもしれない」

『倒されること……? ッ、まさかカツミ君、そういうことか!?』

 

 レイマはすぐに思い至ったようだ。

 

「この怪人は明らかに弱い。それこそ対怪人兵装で対応できる程度の怪人といってもいいくらいに弱い」

 

 その目的があの紫の血を撒き散らすことにあるなら———、

 

『カツミ君、今到着したけど、とりあえず斬っても大丈夫!?』

「いいタイミングだアカネ! 血を確認したい、とりあえず目についた奴を斬ってくれ!」

『うんっ、分かった! 今血を見せるね!!

「ああ、しっかりと見せてくれ!!」

 

『傍から聞くと恐ろしい会話すぎる』

『犬が口から血を滴らせながら尻尾振ってる』

『こいつら怖……』

 

 アカネの応答と同時にモニターに映る視点が彼女のものへと切り替わる。

 ビークルから着地したアカネの視界に映りこむ、紫の体表を持つ怪人。

 その一帯が、金切り声を上げながらとびかかる光景を目にした彼女は、一閃を繰り出した。

 

「ジィィギャァッ!?」

 

 次の瞬間には怪人の一体の腕が刎ね飛ばされ、紫色の血が噴き出す。

 即座にプロトの解析が入り、アカネが対応した怪人と限りなく近い血液だと判明する。

 

「さすがの行動の速さだ! アカネ、よくやってくれた!!」

「もっと褒めてもいいんだよ!!」

「その程度、無事に帰ったらいくらでも褒めてやる!!」

「アァワワワワ~!?」

 

「今ヨッシーいた?」

「アカネ?」

「ふーん」

「こいつら怖すぎ……」

 

 これでほぼ情報が確定したのなら、あとは対策を考えるだけだ。 

 

「アカネ、きらら、コスモは怪人の血液を蒸発させろ」

『うん!』

『任せとき!』

『ああ!』

「葵はジャスティビットの拘束。動きを止めるだけなら足を打ち抜いても構わない」

『りょ』

「ハクアはホワイトⅤで空から怪人の出現状況を逐次報告!! それと逃げ遅れた一般人の避難を!!」

『うん、私も頑張るから!!』

「レイマは現地で解析、いけるだろ?」

『勿論だ任せておけぇい!!』

 

 それぞれの対処法を指示し、次に警戒すべき点を伝える。

 あの紫の血になにか仕掛けがあることは確か、だけどその血になにがあるかは今優先して調べることじゃない。

 懸念すべきは———、

 

「レイマ」

『むっ』

 

 耳元に手を当て、通信を繋ぐ。

 

「———、———、———」

 

 これから起こるかもしれない事態と、その対策をレイマに話しておく。

 俺の懸念した事態にレイマも頷き、行動に当たってくれる。

 

「これが徒労にならないといいが……いや、徒労に終わるならそれでいいか」

 

 怪人を相手にするにはあらゆる状況を想定しなくてはならない。

 普段が普段なら俺はなにも考えずに殴りにいけばいいが、今回はそうはいかない。

 俺は、戦いに赴く仲間たちのために考え、彼女たちが最大限の力を発揮できるようにする。

 

「カツミ君、初めてとは思えないくらいに指揮が板についてる……」

「……なるほど、自身の直感を疑わないことも一種の才能というべきか」

 

 一旦通信を切り、対応に当たるレイマ達に意識を割きながら大森さんに話しかける。

 

「大森さん、避難状況は?」

「怪人出現区域からの避難は進められています」

「……。まだこの怪人が打ち止めとは限らない。避難区域に対怪人兵装を持つ人員と消防車の配備を頼めますか?」

「なるほど。今回の怪人程度なら水で押し流せるな。こちらで要請しよう」

 

 単純な考えではあるが、水圧で押し流し対怪人兵装で固めてしまえば一時的な無力化もできるはずだ。

 

「それとソーリアさんをここに呼んでください」

「む、反対はしないが、理由を聞きたい」

「怪人は星界エナジーを狙う奴らと手を組んでいるので、星界エナジーに詳しい彼女がいた方がいいと判断したからです」

「了解した。すぐに呼び出そう」

 

 今、前線に出ることが難しい俺でもできることは全部やっていこう。

 戦えなくてもできることはある。

 レイマ達の信頼に応えるべく、頭をフル回転させながら俺は目の前の事件に意識を集中させる。

 

 

 




戦闘力以外でも怪人にとっての天敵な主人公でした。
そして衝撃のあまりヨッシーになるアカネ……。


次回の更新は明日の18時を予定しております。
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