追加戦士になりたくない黒騎士くん   作:クロカタ

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本当に更新が遅れてしまい申し訳ありません!

コロナで体調を崩したり別件やらで忙しく更新が遅れてしまいました。


今回はヒラルダ視点でお送りいたします。


恐れるべき相手

 私が今ここに立っていることは奇跡のようなものだと思っている。

 破滅願望のためにたくさんの不幸を巻き散らした私が、今更正義の味方であるジャスティスクルセイダー側にいるだなんて少し前の自分だって思いもしなかっただろう。

 自分が正義の味方側についているからって、自分がそうだなんて思い上がりはしない。

 いいことをして私のやらかしがなくなるわけじゃない。

 でも死んでも私のやったことも帳消しにはならない。

 だから、今の私がやっていることは自分の犯した罪への贖いと、自己満足に過ぎない。

 

「初お披露目……だけれど、うまく決まったかな?」

 

 星界を食らう怪物、スタバーズ。

 その先兵が力を放出したモモコを攫うべく私たちの目の前に現れた。

 

「ステァァスピリチアァァ」

「うーん、それしか言えないの?」

 

 眼前で興奮しながら威嚇するのはスタバーズが送り込んだ刺客である化け物。

 棘のように鋭利な六本の腕を広げ、異形の口を開いたそいつを前にして私は剣に変形させた武器“カラースプレイザー”の切っ先を向ける。

 

「いける? モモコ」

 

 今は私と切り替わって内にいるモモコに静かに語り掛ける。

 

『いけるよ、ヒラルダ』

「ならよし。貴女が揺るがない限り私達に負けはない」

 

 身体の主導権は一時的に私にあるけど、モモコがその気になったらすぐに彼女に戻される。

 でも、それでいい。

 私が今この場で戦うのは私を救ってくれたカツミ君への恩義を返すことと、私を許さないでくれたモモコのために戦うこと。

 

「ガァァ!!」

「非戦闘員だと思わないことね!」

 

 六本の鋭利な腕を広げるようにして飛びかかるスタバーズ。

 だが、今の私にその程度の単調な攻撃が当たるはずもない。

 それに、あの相対する度に死を覚悟しなきゃならないカツミ君と比べたら、この程度の木っ端相手にもなりしない。

 

「それ!」

 

 一歩踏み出してカラースプレイザーの刃を叩きつける。

 外殻はそこそこ硬いのか、ぎぃんと音を立てて火花が散るが構わず横なぎ、突きを叩き込み呻かせる。

 

「モモコ!」

『星界の力を!』

 

 手元のカラースプレイザーの銃身の緑色のスイッチを押し、ゴールディが搭載した機能を発動させる。

 

『COLOR VARIATION! BOLTER GREEN!!』

カラバリ! 纏えよグリーン! 塗りつぶせ世界!! それが星界!!

 

『なにこの変な歌——!?』

 

 武装が緑に変化し、カラースプレイザーの銃口を引きながら大きく振るう。

 瞬間、銃口から塗料のように放たれた緑のエネルギーが空間を彩る。

 それに合わせ、私はガンモードに切り替えたカラースプレイザーの銃口を緑のエネルギーと、その先にいるスタバーズに向け引き金を引く。

 

「ステアァ!!」

「今度は貫くよ!!」

 

 空間を塗りつぶす緑のエネルギーに銃口から放たれた弾丸が通過———すると同時に緑のエネルギーが弾丸に纏わることで貫通力と威力を強化させる。

 緑に輝く弾丸は自身の装甲の硬さに任せ、無警戒に突っ込んで来たスタバーズの右肩に直撃し、右半身を弾き飛ばす。

 

「ぎぃぃぃぃ!? ガァァ!! ステラぁ、スピリチアァ!!」

「次は赤色!!」

 

『COLOR VARIATION! GRAVITY RED!!』

カラバリ! 飛ばせよレッド!! 引き寄せろ世界!! それが星界!!

 

 手加減はしない!!

 続いて銃口から赤色の塗料が噴射され、ソードモードに切り替えたカラースレイザーを赤のエネルギーに振るい、刀身を赤色のオーラ——―重力に包まさせる。

 その切っ先をスタバーズに向けて突きと同時に斥力による加速で放つと、刀身のみが射出されスタバーズの胴体に突き刺さる。

 

「ガッ!?」

 

 刃が胴体に突き刺さったスタバーズの全身を重力により囚われる。

 動きを止めたところで、さらに銃身をたたく。

 

「さあ、彩るよ!!」

『また決め台詞!?』

 

『COLOR! FULL COMPLETE!!』

 

 銃身の五色のスイッチを作動し、再度カラースプレイザーを振るい眼前の空間を色で幾重にも塗りつぶし———私自身が、飛び込みその身に星界に由来するエネルギーを纏い蹴りの態勢に移る。

 

カ ラ フ ル !

星界(セェェカイ) JUDGEMENT(ジャッジメント)!!

 

『「技名ダサ!?」』

 

『ガァァ!?』

 

 予想を超えた必殺技名にモモコと同時に叫びながら、私の蹴りがスタバーズに突き刺さった刃に激突し、五色のエネルギーが一気に炸裂する。

 

「ステア、スピリチアァァァァ!?」

 

 相変わらずの断末魔を零して、スタバーズの怪物は内側から崩壊するように爆発した。

 

「ふぅ! こんなもんね」

 

 反動で地面に着地した私は、一息つく。

 そんなに強くないけど念入りにはとどめをさしたけど、 まあ、こいつは斥候ってところかな? 

 

「試運転は上々っていったところねぇ。モモコもお疲れ様」

『ヒラルダもね』

 

 私が戦ってモモコは力を放出・調整する。

 どちらが欠けてもいけないのが今の私達だ。

 

『それじゃ、すぐに入れ替わって他の場所の汚染も———』

「っ、待って、モモコ」

 

 身体の支配を戻そうとした時、目の前の空間に歪みが生じる。

 さっきと同じソレにまたスタバーズの干渉と予測し武器を構えると、視線の先に現れた渦巻く次元の穴の奥に全身真っ白の無貌の何者かが立っていた。

 

『ステアスピリチア。興味深い現象だ』

「スタバーズね。真っ先に仕掛けるのがあんな下品な化け物だなんて程度が知れるわね」

『そちらに分かるように言えば、小手調べといったところだ』

 

 捕らえる気満々だったでしょ。

 思いの外抵抗するから、下っ端より上のやつが出てきたようだね。

 

『我が主の命により、星界雲器(ステアスピリチア)を確保する』

「そんなことさせると思う?」

 

 主……ってことは子飼いの手下的なやつなのかな?

 どう見てもこっちを下に見ている感じだし、現に今口を挟んだ私に苛立たし気に唸っている。

 

『貴様に聞いていない。エナジーコア如きが』

 

 無い顔にこれ以上にない侮蔑の感情を乗せた言葉を吐き出しながら、奴はモモコに語り掛ける。

 

「ステアスピリチア、お前がこちらに下れば地球には手出しはしない」

『……っ』

「モモコ、聞いちゃだめよ」

『うん、分かってる。こういうタイプの敵って口だけだもんね』

 

 なんか前から思っていたけどモモコもモモコで結構知識偏っているよね。

 こういう下種な相手の常套句は分かっているあたり助かる。

 

「抵抗するか。だがそれで構わない。貴様ら程度では……、ッ!」

 

 余裕な様子の奴が警戒を露わにしたその時、私の隣の空間にワームホールが出現する。

 そこから白と黒の鎧を身に纏った戦士———カツミ君が現れ、私を守るように前に出てくれる。

 

「カツっ……黒騎士くん、なんで……」

「群体怪人の対処は粗方終わった。大森さん達に任せたことで、指令室で俺がやることはない」

 

 仕事速っ。

 スタバーズ始末して三分も経っていないのにもうそこまで片付けたの!?

 彼がやってきた頼もしさとデタラメさにびっくりしていると、彼を睨みつけた奴が嘲りの笑みを浮かべた。

 

『黒騎士か。ハッ、弱体化した貴様では———』

「うるせぇ」

 

 相手の名乗りを丸ごと無視してカツミ君が黒い大型の銃を撃った!?

 エネルギー弾は、次元の穴を閉ざされたことで素通りしたが、それでも相手はまた次元の穴を開きなにかを喋り出す。

 

『どうやら話が通じないようだ。ステアスピリチアを明け渡し———』

 

 またもやカツミ君の放ったエネルギー弾が次元の穴に撃ち込まれ、声が途切れる。

 あまりの話の聞かなさにさすがの相手も苛立たし気な様子だったが、彼はそれ以上の激怒と殺意の籠った声を発した。

 

「テメェ、何様だ?」

『———ッ』

 

 いつの間にか大剣に持ち替えた武器を大きく横なぎに振るう。

 黒いエネルギーを纏った斬撃は眼前を薙ぎ払い、空間そのものに亀裂を走らせた。

 

『—————ガッ、き、貴様ァ!!』

 

 次に開いた次元の穴から姿を現した奴の真っ白な胴体には真っ黒な亀裂と血があふれ出していた。

 

『この屈辱は忘れぬ、貴様の死を以て晴らしてやる!!』

 

 っ、あいつ逃げるつもり!?

 傍から見ると調子に乗ってカツミ君に分からせられたようにしか見えないけど!

 次元の穴を閉ざし、別の次元に移動し完全な逃亡を図ったはずのスタバーズ———

 

「次があると思ってんのか?」

「ガッ、ァ!?」

 

 ———だが、奴らの想定を遥かに超える異常事態をカツミ君は引き起こした。

 彼は、閉じた次元の穴に拳を叩きつけ、あろうことか無理やり次元に穴をあけ力技でこじ開けたのだ。

 彼が突き出した手の先には無貌の侵略者の首を握りつぶさんばかりに掴んでおり、逃げることもできなくされている。

 

『な、こ、こいつ次元に干渉を———』

「テメェ宣言だけして帰るなんて、随分と嘗めてんなぁオイ!!」

『ッ』

「風浦さん狙っておいてそんな虫のいい話があるわけねぇよなぁ!!」

 

 怒声と共に力任せに次元の穴からスタバーズを引きずり出す。

 奴は恐怖と苦痛の叫び声を上げながら、首を掴む右腕に触り抵抗しながら声を震わせる。

 

『貴様ァァァ!! 殺す、殺してや———』

「土産になるのはテメェの死体だァ!!」

『ヒッ!?』

 

 わぁ、すごい……激昂したスタバーズをさらに上回る怒りでビビらせてる。

 

「テメェの主とやらに伝えろ!! その身体でなぁ!!」

 

 

 力に任せた拳を奴の顔面に叩き込み、次元の穴にぶっ飛ばす。

 奴は頭部を粉々に砕かれながら勢いよく穴に放り込まれ、何事もなかったかのように次元の渦はゆっくりと閉じて行ってしまった。

 

「……モモコ」

『なに?』

「モモコのおかげで私、今生きてる」

『……あんたはもっと私に感謝したほうがいい』

 

 よ、よかったぁぁ!? 私、カツミ君をここまで怒らせなくて!!

 スーツの性能云々以前にまったく恐れず撲殺しにいく迷いのなさがやばいと思う。

 てか、よく敵対して生きてたね私!? いや、モモコの身体で活動していたからなんだけど!!

 

「カツミ君、実は前に出てなくてストレス溜まってる?」

「は? 人を戦闘狂みたいに言うんじゃねぇ」

 

 そういう割には罵倒とかキレッキレ……いえ、思い返すと大抵の怪人相手でもこんな感じだった気がする。

 

「さて、それじゃあ次だ。シロ、乗り物を頼む」

『ガウ!!』

 

 カツミ君のバックルから光が放射され、それが白と黒の織り交ざったバイク型のビークルへと変えられる。

 

『PRO-T STRIKER!!』

「ありがとう、シロ。ヒラルダ、風浦さん、今から浸食が進んでいる場所に送り届ける」

「うん、分かった」

 

 バイクに跨ったカツミ君に頷く。

 私もそろそろモモコに身体を戻さなくちゃな。

 

『ヒラルダ、目的地に着くまでこのままで』

「え、なんで?」

『え、バイク2ケツとかレベル高すぎて恥ずかしくて死んじゃうから』

 

 ……。

 私は無言でカツミ君の後ろに跨り———彼の胴体に手を回すと同時に声をかける。

 

「あ、じゃあカツミ君、モモコに戻すからあとは頼んだ!」

「おう、任せとけ」

『ちょっとヒラルダぁぁぁ!?」

 

 モモコの絶叫と共に彼女とカツミ君を乗せたバイクが空へと駆けあがる。

 一先ずの危機は乗り越えたけれど、今後はとうとう現れた脅威———スタバーズに対しても気を付けないといけなくなったわけだ。




恐れるべき相手(黒騎士くん)

今回の必殺技はダサ目にするように意識しました。

次の更新は明日の18時を予定しております。
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