今回は前半が桃子視点。
後半はハイル視点でお送りいたします。
地球の外から地上を襲う船団。
その船団から降りてくる侵略者の脅威を排除するためにカツミ君、葵ちゃん、ハクアちゃん、コスモちゃんの4人が出動した。
カツミ君は遊撃、葵ちゃんは彼の援護。
ハクアちゃんは避難に間に合わなかった人たちをビークルで救出、コスモちゃんはその護衛。
今まさに上からも侵略者たちの攻撃は絶え間なく続いているし、社長さんが頑張って攻撃を防いでくれている。そして、カツミ君が予想していた通りに船から光の柱と共に降りてきた侵略者が一般の人を襲おうとしている。
「……」
司令室のすぐ隣に位置する休憩室。
普段はスタッフの皆さんが仮休憩するその場所で私とヒラルダ、アカネちゃんときららちゃんはいつ来るか分からない出動の時を待っていた。
「「……」」
怖い。
この部屋にいるのがものすごく怖い。
無言のまま瞑想しているアカネちゃんと、なんらかの雑誌をジッと見つめてなにかを閲覧しているきららちゃんがものすごく怖い。
さっきまで近くにいるだけで失禁してしまうそうな圧でマウント勝負していた二人とは思えない静かさが逆に怖すぎる。
なんで動いても静かでもこんなに怖いのこの二人?
「……う」
沈黙に耐え切れず、ちらり、と隣に座るヒラルダを見る。
最近ますます子供っぽさが増していく(戻ってる?)ヒラルダは、特に気負った様子もなくお菓子を口にしながら漫画を読んでいる。
こんな状況でよく漫画なんて読めるなこいつ。
「ねえ、ヒラルダ」
「……。どうしたの。モモコ」
「私、本当にこのままでいいのかな?」
ソファーで落ち着きのない私の言葉に、だらけた姿で端末を眺めていたヒラルダが肩をすくめる。
「このままでってのはなにもせずにここにいていいのかって話?」
「うん」
「それに対する私の答えは、イエス。むしろ勝手に動いたら絶対にダメ。ただでさえモモコは気持ち悪い連中に狙われているんだから」
「うっ」
ゼグアルって名乗ったゆるキャラみたいな見た目の存在が語った敵、スタバーズ。
星界エナジーというとんでもエネルギーを自力で生み出せる私を狙っていて、実際一度私をさらおうとした危ない存在。
「もし桃子がなんの護衛もなしに外に出たら速攻で襲撃されるよ? まあ、私がいるからある程度は対処できるけど、カツミ君が問答無用で始末したレベルの奴が出てきたら終わりよ」
「あれってそんなに強かったの?」
なんかあれこれ挑発しながら宣戦布告してその場を去ろうとした直後に、相手の事情関係なしにぶん殴ったカツミ君にやられちゃっていたけど……そんなにやばいやつだったんだ。
「普通に幹部クラスぐらいはあったと思う。……まあ……幹部クラスだろうが、木っ端だろうが圧倒的な強さの前じゃ同じみたいなものだけど……」
「……」
改めてカツミ君……黒騎士の出鱈目さを再認識させられる。
テンプレとか王道だと、いずれ戦う強敵ポジションだったんだろうけれど、私にとっての強敵がカツミ君にとっての強敵かどうかといわれればね。かわいそうとも思わないけれど、ひたすらに喧嘩を売る相手を間違えたって印象しかない。
「ヒラルダ。今の状況って悪いの?」
私の疑問にヒラルダはあっけらかんに答える。
「普通に悪いけれど、最悪ではないね」
「え、そうなの?」
「だってカツミ君がいるし」
迷いもなく言い放ったヒラルダにちょっと面を食らう。
この子、敵だったよね? いや、敵だからこそカツミ君の強さを理解しているのか。
「言っちゃ悪いけど、彼はルイン自らが成長を促した最強の戦士。……いや、元から序列一桁レベルに強かった時点でやばい。てか過去映像だけでも一定の雑魚や幹部クラスの怪人も本領を発揮する前に処されているのもえっぐい」
「語彙力」
「なんで私あんなバグと敵対して生き残れてたんだろ……」
「我に返るのやめて」
それは多分、私の体を乗っ取っていたという理由とヒラルダの潜在的な幼さを感じ取っていたからじゃないかなぁ。
「それと、あんたがジャスティスクルセイダーに処されなかったのも私の体を乗っ取っていたからだからね?」
「一番の命の危機は初遭遇だったね……」
今になって思うと記憶喪失だった頃のカツミ君を半ば暴走状態のコスモちゃんが追い詰めてしまった時、援軍に来たアカネちゃん達に敵対宇宙人として本気で殺されかけたのがこのおバカだ。
しかも、別に変身している状態じゃなく生身だった。
「実際、ヒラルダはしぶとかったね。生き汚いというか、引き際が鮮やかだった」
胡乱な目でヒラルダを見ていると、不意に目を瞑って眠っていたアカネちゃんがそう口にした。
「アカネちゃん、寝てたんじゃ……」
「頭の中で動きを覚えた五位を再現して、疑似的な戦闘をしてた」
なんでそんな格闘漫画の主人公みたいなことやってるのこの子?
そのうち人間大のカマキリとか……いや、普段からそれ以上の怪人と侵略者相手に戦っているし、なんなら生身で始末してる……。
「へ、へぇ……そんなことできるんだ」
「あくまで想像だけどね。動き自体もカツミ君との戦闘で見たし、少なくともあの戦闘で出た技には対応できるようにはしないと」
「……ヒラルダも同じことできる?」
声を潜めて隣で小鹿のように震えているヒラルダに聞いてみると、ぶんぶん、と首を横に振られる。
「そ、そうなんだ。きららちゃんの方はさっきからなにか見てるけど……」
「私はそこの物騒なのと違って、流行のファッションとか見てただけだよ」
雑誌を手ににこり、と微笑むきららちゃん。
しかし、ファッションを見ていたという割には鬼気迫ったような……流行を嗜む十代の女の子とは思えない顔をしていたけれど。
「この騒動の中でよく服のことなんて見れるね?」
「いざという時動くように言われているのに、脳内戦闘してる人に言われたくないなぁ」
「「……」」
ひぃぃぃ……。
本人たちは戯れているだけだけど、私とヒラルダ視点ライオンとヒグマが殴り合っているようにしか見えない。
「でもいきなりどうして流行の服?」
「……。アカネ、身内に服のセンスをディスられるってどんな気分になると思う?」
「あ、もういいです。なんだか私にも刺さりそうだから」
「あんたも姉二人と母親に渾身のデート服を見せたらいい。きっとボロクソに言われるから」
「ぜ、絶対嫌だ……」
真顔のきららちゃんにアカネちゃんは顔を青ざめさせる。
「アカネのお姉ちゃんって今どきの大学生って感じだからなー。きっと今どきの流行とか、身長も高くてかっこいいからどんな服でも着こなせてすごいんだろうなー」
「いや、うちのバカ姉共はファッション着こなしても同性にしかモテないよ。アレ、集まった女の子が追い払うタイプ」
「ん」
「おい、なんで自撮り機能をオンにさせたスマホをこっちに向けてきた? 私もそうだと言いたいの? 喧嘩? 喧嘩か?」
おもむろに写真を起動して、その画面を見せたきららちゃんにアカネちゃんが怒りだす。
「アカネ、今からでも遅くない。一緒に流行を知ろう。このままじゃ私達、大人になってもファッションセンスクソダサ戦隊としてディスられ続けるんだ。そして一番、ファッションに疎いはずのコスモちゃんにすら追い抜かれて、みじめな気分にさせられるんだ!」
「きらら、もうファッション系の情報を見るのやめた方がいい!! 目に毒だから!!」
もう虚ろな目でファッション誌を見つめるきららちゃんから、それを奪い取るアカネちゃん。
なにがどうしてそこまで追い詰められているのか、分からないけどここは私もフォローしておいたほうがいいのでは?
「で、でも今日のカツミ君とのデート服全然悪くなかったじゃん!」
「そ、そうだよ。今向けのコーデだったし、置いて行かれてないよ。きららちゃん」
「というより、これだけの服選べるならそんな雑誌見なくてもよくない?」
「……」
アカネちゃん、私、ヒラルダの順でそう言うと、なぜかそこで顔を背けられる。
え、今も着ているし、普通に機能性もあって可愛い服だけれど……。
「お母さんと妹に、選んでもらった」
「「「あっ……」」」
藪蛇だった……!? もう見てられないよ!?
あまりの痛々しさにヒラルダも口を押えて衝撃を受けてるし!!
そしてその事実で最初に言っていたディスられる下りをしっかりと理解できてしまった。
「きらら、私も勉強するから一緒に頑張ろう……!! なんなら葵も巻き込むから!!」
「葵はなんだかんだでファッションセンスが抜群か壊滅的などちらかっぽい」
「え、分かる」
さっきまで喧嘩っぽい空気だったのに、一瞬で切り替わっていく。
喧嘩するほど仲がいいって言葉があるけど、まさしくこういうのを言うんだろうな。
……でも。
「二人とも、平気そうだね」
そんな二人を見て、ふとそんな言葉が無意識に出てしまった。
今、都市ではカツミ君たちや社長さんが戦っている時に、待機を命じられた私たちはなにもせずにここで出撃を待たなきゃいけない。
今の状況を歯がゆく思っていてもおかしくないのに二人はそれをおくびにも出さずに自然体でいる。
私の呟きに、二人がこちらを見る。
「……なんだかんだで場数を踏んでいるからね」
「もう戦って3年目くらいだからねー」
「歴戦の戦士ってやつだね」
「ファッションセンスはないけれど」
「自虐ネタにしなくていいから……!!」
高校一年の頃から命がけの戦場で戦っていたって考えればこれだけ落ち着いているのも当然かもしれない。
私が高校生の頃なんて、全然普通だったし。
「まあ、カツミ君と葵が最前線にいるし最悪の事態には絶対ならないだろうし」
「信頼しているんだね」
「うん。カツミ君は言わずもがな、葵は私達以上に色々できるから」
色々できるというより方向性が違うって感じがする。
葵ちゃんが搦め手とサポートが得意なら、アカネちゃんは殺傷性、きららちゃんは圧倒的パワーって感じ。
……よく考えなくても全然ヒーローって感じの属性じゃないねこれ。
「それに、私たちが動くタイミングは必ず来るからね」
「来るべき時に備えておくのも大事だよ」
その時になったら、とアカネちゃんが言葉を続ける。
「———その時は諸々の感情を全部ぶつけるから」
アカネちゃんときららちゃんが薄っすらと目を細める。
穏やかに見えるその瞳の奥には、戦いにおいて素人の私にも分かるくらいの夥しい闘志と殺気が渦巻いていた。
なんか、普通に見えるその眼も、渦巻いているようにすら見えて———ものすごく恐ろしかった。
気分転換に同居人の一人のレアムと一緒に遊園地に遊びに言ったらカツミ君ときららと遭遇して、彼女の弟を子供と勘違いして脳破壊されかけて、それが誤解と分かった直後にまさかまさかの侵略者が攻めてきた。
こうしてまとめるだけでも色々ありすぎて頭がおいつかない。
今もなお、青い空のずっと上の方で見える大きな宇宙船の影が絶え間なく破壊の雨を降らせてきているし、もう地球は滅茶苦茶だ。
「はぁ、戻ったわよー」
「……」
レアムに連れられ、私は拠点にしているマンションの一室に無事に戻ることができた。
いつもは各々が自由にくつろいでいるここだが、入ると同時に出かける前まで存在していなかった大きな機械のようなものが部屋のど真ん中に設置されていた。
見慣れない未来的なそれに慄いた私だけれど、すぐにそこに向かっている二人———ジェムさんとMEIさんに気付く。
「大気圏外からの一斉掃射による飽和攻撃。攻撃範囲は日本国内の都市を中心とした一定範囲内を標的としたものと推測されます」
「範囲を絞っているからこそ長時間の攻撃を可能にしているということか。野蛮な連中だ、これは侵略以下の虐殺を目的としたものだ!! 規則性もなく全く美しくない!! 無様極まりない!! ゴールディの防衛システムはどうだ!!?」
「多量のナノマシンによるシールドを展開。予知に近い演算速度で全ての砲撃を平行と予測を行い、地上への被害を阻んでおります」
「畜生すげぇなぁー!! ああ、調べてぇー!! 流石は悪魔の科学者と呼ばれた男だ!! ナノマシンの質を敢えて落とすことによる生産性の向上!! そしてナノマシンを建築物に偽装させる大胆極まりない策略!! 認めるのは非常に癪だが奴は天才だ!! この俺の次にな!!」
「マスター、高揚しているところ申し訳ありませんが防衛システムの稼働限界時間の予測が算出されました。ご確認を」
「早速見せてくれ」
「「わぁ……」」
テンション振り切っているジェムさんに私は唖然と、レアムはドン引きした反応をする。
声を聞く限り、これらは今起こっている侵略のデータを取るためのものなのかな?
「ジェムの気持ち悪いところが出ちゃってるわねぇ。こうなったら自分の世界にのめりこんで面倒くさいのね」
「えぇ……」
「こいつは放っておいてあんたは休みなさい。雑魚なんだから」
「雑魚言うな」
でも慣れない修羅場で私も少なからず疲労しているのでレアムの気づかいに甘えることにする。
改めて自覚したら、なんだかものすごく疲れてきた。
とりあえず、部屋の端に押しのけられたソファーに近づき、脱力するように腰を下ろす。
「———またカツミ君と離ればなれになっちゃったな……」
ようやく会えたのに。
あのまま侵略者が来なかったらどうなっていたんだろう。
私は、あのままカツミ君と何かを話すことができたのかな?
彼のいるところに行くことができたのかな?
「……あれ、そういえば、イレーネさんは」
歌が大好きな序列八位の姿がどこにもいない。
控えめに言って自由人すぎる彼女の姿がないことに今更気づいて、顔から血の気が引く。
え、あの人がいないのはさすがにまずいんじゃ……。
「ここにいるよ」
「ひゃ!?」
私が背を預けるソファーの後ろから音もなく上半身を投げ出すように出てきたイレーネさんに悲鳴が漏れる。
無駄にいい顔が肩に乗せられて、色々な意味でびっくした!?
「い、いいいイレーネさん!?」
「ん」
なんでこの人ソファーの後ろに潜んでいたんだ。
行動原理の大部分を歌で占めているこの人の動きを予測するのは難しいどころの話じゃない。
「外、すごいことになってる」
「……ええ」
「カツミも戦ってる」
「知っているんですか?」
「SNSで話題になってる」
「貴女、SNSとかできるんですか?」
かっこいい系なのに幼女みたいな感性のこの人がSNSをやっているとかもう危険では?
なんともいえない危機感に襲われていると、キッチンの方から服を着崩したレアムが業務用アイスに直でスプーンを突っ込みながら出てくる。
「まったく、面倒な奴が出てきて嫌になっちゃうわ」
「レアムは、カツミ君が戦った宇宙人のことは知ってるの? その……五位とか呼ばれていたけど」
「ええ」
順位だけで見るならレアムとイレーネさんより上。
でも、レアムの反応を見るとなんだか強さ云々よりも、シンプルに嫌悪感の方が勝っているようにも見える。
「イディガル・ハティ。宇宙の悪党どもをまとめる頭目。単純な戦闘力だけなら私やイレーネの方が上よ」
「え、それじゃあどうして。イディガルって宇宙人は五位なの?」
「……」
ものすごく嫌そうな顔をされてしまった。
不機嫌な顔はよくするけれど、嫌悪感たっぷりな顔をすることは全然ないのでそれほどの理由があるのかな?
「とにかく戦い方がうざったいのよ。基本的に相手の弱点を徹底的に突いてきて、大抵の序列持ちに対策を用意してんのよ」
「そうだな。ちょっと前に喧嘩を売られたが普通に私の歌を封じにかかってきたぞ」
「基本的に序列持ちのほとんどを嫌っている奴だから、関わること自体が損なのよ」
……そんな危なそうな侵略者が今地球を……。
事実、空からは雨のように攻撃がずっと降り注いでいる。
外の景色を見て、また陰鬱な気持ちになりかけてしまっていると……私とレアムが入ってきた扉から、がちゃり、とした音が響く。
「よかった。皆、揃っているわね」
「サニーさん?」
扉を開けて入ってきたのは巨漢のおと……漢女、サニーさんだ。
でもいつもの明るい様子とは別にどことなく真面目な雰囲気を纏わせた彼は、皆が見える位置にまで移動するともう一度全員を見回した。
「ジェムちゃん。状況はどう?」
「あまりよくはないです。現状、ゴールディの防衛システムで地上は守られています、が……これは……」
サニーさんに声をかけられたジェムさんが端末に映像を映し出す。
「このまま攻撃の勢いが変わらなければ弾薬・エネルギーが尽きるまで砲撃を防ぎききることはできるでしょう」
「でも、状況が悪化すれば難しいってことね?」
「ええ。五位の軍勢もこれで終わる事はないはず」
ジェムさんの言葉にサニーさんが腕を組み、悩まし気な声を漏らす。
「……今回の侵略は正直、気に入らないのよね」
「侵略は侵略でしょ。五位はキモイし嫌いだけど、やり方は間違っていない」
「いいえ、間違っているわ、レアムちゃん」
アイスを頬張りながら指摘したレアムに、サニーさんは首を横に振る。
「侵略って敵地を制圧、支配することを目的とすることで成り立つの。でもね、五位のやり方は違う……制圧どころか虐殺、彼ら全員が一切の生還を考えていない……いわば、無駄死にするための戦いよ」
「……」
「地球は五位の盛大な自殺に巻き込まれただけって構図よ。たまったもんじゃないでしょ?」
理解できない。
死ぬために戦うだなんて全然理解できないし、どうして平和に生きようとしている私達に悪意をふりまこうとしているんだ。
「それで、どーすんのよ。戦いが終わるまでここで大人しくしてろって話?」
「本来ならそうするべきなのよね。仮ではあるけど、私たちは一応中立の立場。変に干渉するべきじゃあないでしょうけど……」
ちらり、とサニーさんが窓の外を見る。
「あれがシンプル気に入らないから邪魔するわ」
「一気に話が感情的になりましたね!?」
思わずツッコミをいれてしまうとサニーさんが肩を竦める。
「美しくない上にやり口も雑。死に場所を求める割にカツミ君たちを狙わず一般人狙い……目的と手段が絶妙に嚙み合ってないのよね。ま、それは本人も自覚しているからこそ、あんなに自虐的なんだろうけれど……本当に面倒臭い男よね、彼」
「え、えぇ……」
「それに、イディガルと共にいる彼がちょぉぉっと厄介なのね」
「“4位”のこと?」
苦虫を嚙みつぶしたような顔をするサニーさんに、レアムがそう質問する。
「4位……4位ね。序列的にそう呼ばれることが多いけど、まあその認識で間違っていないわ」
「……なにか含みがあるわね。4位のことは5位に従っている無口なやつってことしか知らないけど、そんなに強いの?」
「
「はぁ!?」
レアムちゃんを含めたその場の面々が驚く。
素人の私だってカツミ君がものすごく強いことは分かる。
それこそ、まともに戦って苦戦したところを見たことないくらいには。
「少なくとも枷なしで地球で戦わせたくはない怪物よ」
「なんかしらのアルファかオメガ?」
その質問にサニーさんは首を横に振る。
「今は失われし前宇宙の遺物。同胞も、親も、血を分けた兄弟も、怨敵も、なにもかも既に失われ、一つの時代を超えた宇宙に生き残ってしまった……いうなれば神話の怪物ね」
「なんだか大仰な話になってきたわね」
「年齢を考えたら私よりも長生きかも」
全然意味が分からない。
そもそも前宇宙ってなに? 世界が始まる前にあった世界ってこと?
スケールが大きすぎる……。
「そんなやつに全力で暴れられるといよいよ私自身が介入する必要があるから邪魔するわ。といっても、現状私自身は動けないから……」
そう言ってサニーさんは私の傍にいるレアムとイレーネさんの二人を見る。
「貴女達に任せようと思うのだけど、どうかしら?」
サニーさんの言葉にレアムは笑みを吊り上げる。
そして、イレーネさんは相変わらず無表情だけど、心なしかやる気に満ち溢れているようにも見える。
「え、五位に嫌がらせするの? いいね、面白そう」
「歌ってもいいのか?」
この人たち侵略者陣営だったはずだよね?
いや、私からすると全然いいんだけれど、もう地球側みたいな立ち位置にいるみたい……。
「レアムちゃんはやることは単純だけど、イレーネちゃんは大変よ?」
「なにをするんだ?」
不思議そうにするイレーネさんにサニーさんがしたり顔で指を立てる。
「ちょっと不公平だから条件をイーブンにしてやろうって話。イレーネちゃん的にもテンションぶちあがるくらいに歌ってもらうから覚悟しておいてね?」
「地球ぶっ壊すくらいにやってやる」
「そこまでやらなくていいから。むしろ真逆だからね?」
突然地球を襲う危機。
皆が戦おうとしている中、私はまたなにもできていない。
力がないから、なにもできなくて当然だけど……それでも歯がゆく思えてしまう。
服のセンスを磨くことを決意したアカネときららでした。
次回の更新は明日の18時を予定しております。