追加戦士になりたくない黒騎士くん   作:クロカタ

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お待たせしてしまい申し訳ありません!!

今回はレイマ視点でお送りいたします。


空を止める者

 状況はいい意味でも悪い意味で拮抗している。

 ブルーは一時的な休息をとり、カツミ君が遊撃、グリーンが一般人が多く避難した密集地域の防衛。

 段階的に空から送られてくる侵略者の雑兵どもはカツミ君が即座に対処してくれるおかげで、現状地上の一般人に大きな被害も出ていない。

 そして、同時に空からの砲撃も私のナノマシンが空を漂い、形を変化させ防いでいる。

 だがそれだけだ。

 まだ我々は敵対勢力と本格的な戦闘を送っているわけでもなく、また大気圏外の巨大宇宙戦艦に対する反撃も行えていない。

 防衛を順調に成功させているわけではなく、防衛することを強いられているのだ。

 

「だがしかぁし!! 逆を言えば、敵も攻めあぐねているといってもいい!!」

 

 攻撃範囲が表示されたマップと攻撃予測データ、そしてナノマシンの残量・使用可能量その他諸々を平行して確認しながら、自身の両手と私専用のナノマシンにより形成させた六本の腕が同時にナノマシンの操作を行い操っていく。

 

「闇雲に放たれる砲撃が当たるはずがないだろうがぁこのボォケ共がァ!! どーせ、自動照準による射撃だろうが、どのような砲撃パターンを組み合わせたとしても、パターンである限り必ず規則性がある!! ヴェーブハハハァ!! そしてこの超スーパーウルトラ天才|金崎レイマは既に全ての規則性を把握! 文字通りの片手間でアルゴリズムを構築!! ナノマシン操作にプログラムを刻み、現状約30%の自動防御システムを確立してやったぞぉ!!」

 

 たかが30%!! されど30%!!

 全てを私だけで行っていた操作を約三分の一の負担が減るとなれば、その効果は侮れないものになる。

 そしてその余裕を持てた30%の脳内リソースを、他の対応に当てることでさらに効率化を図れるのだァ!!

 

「攻め方が読みやすいんだよ侵略者がァ!! 捨て身で攻めるのが強いと勘違いしているんじゃないかぁ!? 本当に強いのはなぁ自身の命を顧みない攻撃よりも、守るものがある方がより強く、より硬く、よぉり強く立ち向かえるものなのだぁ!!」

『おい、テンション上がりすぎておかしくなっているぞ。大丈夫なのか』

『マスター、感服いたしました……』

『こいつらおかしいよ……』

 

 補助を任せている私をモデルとした人工知能ガルダと、意思を持つエナジーコアであるタリアの声が聞こえる。

 呑気に会話しているように見せても彼女たちには、この数十時間ぶっ続けで砲撃予測と被害状況のモニタリングを行ってもらっている。

 

「タリア!! ナノマシン残量は!!」

『損耗率47%、マスターが構築した防衛システムにより、損耗率は抑えられます。加えて、現在各地ラボにてナノマシン量産中。間もなく、追加が投入されます』

「よくやってくれている!!」

 

 あっぶない! 既に半分を切っていたとは。

 こちらの予測よりも砲撃が苛烈だということか。

 だが、ナノマシンの量産体制が整っているので、現状ナノマシンが消失するという最悪の事態は起こらないはずだ。

 そして、次は———、

 

「グリーン!! そっちの状況はどうだ!!」

『グリーンって呼ぶなァ!!』

 

 ナノマシンを操りながら、状況確認のために避難場所の防衛を任せているコスモへと連絡を繋げる。

 しかし戦闘中なのか、爆発音と金属音が連続で鳴り響いているのが聞こえる。

 

『今、上からやってきた連中が避難した奴らを襲おうとしてる!! まあ、それが見えたから今、片付けているところなんだ……けどな!!』

ガブッ!

LA()! LA()! LA()! LIOOOooN(ライオォーン)!!!!

EAT(イート)EVIL(エビル)!!』

DELICIOUS(デリシャース)!!』

 

 通信に愉快な音声が鳴り響き、それが甲高く聞こえると同時にひときわ大きな衝撃が聞こえる。

 

『今、片付けた』

「よくやった! お前は引き続き避難場所の護衛を頼む!!」

『ああ、任せておけ』

 

 頼もしいな。

 かつては敵としてカツミ君を苦しめた彼女が今は地球の人々を守るために戦っている。

 その能力も未来視といったジャスティスクルセイダーにはない補助向きなものなことに加え、その戦闘力も非常に高い。

 彼女ならば、全幅の信頼を寄せて人々を任せられる。

 

「そろそろ、レッド達の出撃の準備をさせてくれ」

『戦闘開始から約30時間が経過。恐らく、敵勢力もしびれを切らして強引な攻撃を行う可能性が高いです』

「ああ」

 

 この膠着状態を打破すべく、さらなる攻勢に出てくるだろう。

 そうと決まればすぐさまレッド達へ通信を―――瞬間、私がいるゴールド6のコックピット内に赤色のアラートが点滅する。

 これは、敵主力が動き出したか!?

 即座に状況を確認すべくモニターを拡大すると、そこには青空の遥か上に位置する宇宙戦艦が爆発し、火を噴きながらこちらへ落ちていく映像が映り込んだ。

 

『マスター、敵宇宙船全てが地上目掛けて落下してきます!!』

「まるで狙いすましたかのようなタイミングだな!! 想定はしていたが対処できるか怪しい!!」

『———いや、宇宙船だけじゃないぞ!!』

 

 ガルダの声に合わせ、別のモニターへ視線を向ける。

 そこには無人となった町の中心から、地下から溢れ出すように異形の怪人が続々と現れている。

 

「怪人勢力、このタイミングでか!!」

『敵首領、序列5位も来襲!! 光の柱と共に主力と思われる軍勢と共に地球へと降り立ちました!!』

「最悪の予想が立て続けに起こってくれる!! レッド、イエロー、今すぐ出動しろ!! 状況は最悪とだけ言っておく!! 各々の判断で動け!!」

『『了解!!』』

 

 こういう状況で話が速いのは流石だな!!

 しかし、畳みかけるように状況が悪化していく。

 空からの大質量の特攻、怪人の群れの出現、五位を筆頭とした兵士共の登場。

 対処を間違えば多くの人々の命が危険に晒される。

 

「どうする、天才金崎レイマ……!!」

 

 稼働可能なナノマシンを全て投入し、落下する戦艦の対処。

 いや、砲撃とは威力どころか質量そのものが違う!! ナノマシンでは支えきれん!! 落下地点を逸らすか? それこそリソースがあまりにも足りていない!! そもそも五位と奴が率いる精鋭が地上に降りている時点で、奴らを無視することはできん!! というか怪人どもはなんで出ていた!? あいつらなんなんだ!?

 

「レイマ」

「っ、カツミ君」

 

 高速で思考を巡らせている最中、カツミ君の声に我に返る。

 緊迫する状況の中、冷たさすら感じるほどに冷静な彼に、嫌な予感を抱く。

 

「俺が空のアレを消し去る」

「カツミ君、駄目だ!!」

 

 覚悟を決めた声を発するカツミ君が、なにをしようとしているのかを即座に察し強く止める。

 彼は並行世界に飛ばされた際に目覚めてしまった、神の領域という言葉すらも稚拙に思わせてしまうほどの力を解放しようとしている。

 世界を塗り替え、自分のものにする力。

 それを使えば、たかが宇宙戦艦程度、いや現状地球を危機に陥れているルイン以外の全てに対処することだって容易だろう。

 だが―――、

 

「君のその力を解放してどのような副作用があるか分からん!! あれは人間の領域を超えた力だ!!」

『でも俺がやらなきゃ誰かが死ぬ』

 

 カツミ君は力を解放するつもりだ。

 例え、腕のみの解放だとしても、指先だけでも瞬間に世界を塗り替えるほどの力を発揮させた。

 そのような力にリスクがないはずがない……と、カツミ君に限っては断言できないことが恐ろしいが、それでも安易に使っていい力ではないことは確かだ。

 逆を言えばリスクはなくともあまりにも力との相性が嚙み合いすぎていることで、また別のリスクが生じてしまう可能性があるからだ。

 

『時間がない。やるぞ、レイ……』

「……カツミ君?」

 

 不自然に声が途切れる。

 僅かに彼の驚くような息遣いが聞こえるから通信が途絶えたわけではない。

 

『マスター、上空に異常発生!!』

「っ」

 

 タリアの声にモニターへと意識を向ける。

 映っているのは空から落ちてくる宇宙戦艦だが―――、

 

「なん、だ?」

 

 大気圏で燃え尽きる様子も見せず、圧倒的な質量に任せて地上目掛けて迫る破滅が、まるで時を止めたように停止させられていた。

 いや、これは時を止めたのではない。

 映り込んでいる戦艦は炎が噴き出し、破壊が続いているが、その場に留まり落下していない(・・・・・・・)

 

「タリア、分析を!!」

『既に行っております。しかし、これは……』

「なにか分かったか!?」

 

 天才の私ですら理解できない予想外の状況。

 タリアも普段の冷静な様子から一転して、困惑した声を漏らす。

 

『周囲の衛星による映像解析を行ったところ、地上に落下するはずだった宇宙船は平面化(・・・)、しております』

「平面化……だと?」

 

 すぐにタリアが表示したデータと、衛星からの映像を見て言葉を失う。

 落下するはずだった一際巨大な宇宙船が火を噴きだした状態のまま時が止まったように停止している。だが、それ以上に異常なのが側面から撮影された映像には、まるで巨大な写真のように、文字通りに平面化した宇宙船がそこにあった。

 

「なんだこれは、これは空間凍結……いや、特定の空間を強制的に二次元に押し込め、その動きを留めている?」

 

 空間を撮り、写真として景色を切り取る。

 例えとしては写真が近いが……やっていることは出鱈目だ。

 空間凍結や単純に破壊するとは明らかに次元が違う、あれは空間を二次元として切り取りその場に停滞させているようなものだ。

 

「なんだ? 誰がこれを? また敵対する何者かが現れたのか?」

『レイマ!』

 

 再度、カツミ君からの通信に耳を傾ける。

 私以上に勘が鋭く、最前線を戦う彼の言葉は絶対に無視することはできない。

 

『状況が変わった! あのデカいのが落ちてくる心配はない』

「カツミ君、あれは一体……いや、説明しなくていい!!」

 

 ここでカツミ君に状況を説明してもらうのはあまりにも時間の無駄ァ!!

 これは好機!! この現象を誰が行ったかどうかは定かではないが、確実に言えることそれは———地球を守ったということ!! 今はそれだけが分かればいい!!

 

「そしてカツミ君が心配ないと言ったら、心配などない!!」

 

 彼の言葉を信頼するに足る理由は、カツミ君のこれまでの行動が示している!!

 ならば、この後に私がすることは至極単純!!

 

「この私自ら現場に赴き、落下する木っ端戦艦を全て防ぎ、都市を守るだけでいいのだァ!! ゴールドⅥ!! 出るぞ!!」

 

 操縦桿を強く握り、円盤型ビークル・ゴールドⅥを発進させる。

 明らかに常軌を逸した現象が起きたが、状況は五分に持ち込むことができた。

 あとは調子に乗った怪人と、こちらを嘗め腐った五位共に目に物を見せてやるだけだ!!




今回の事件で一番頑張っているレイマでした。

次回の更新は明日の18時を予定しております。
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