追加戦士になりたくない黒騎士くん   作:クロカタ

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大幅に更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした!!
少し思う所などがあって執筆が遅れてしまいました。

今回はカツミ視点でお送りいたします。


明かさぬ心

 

 

 ステラさんの力で空の戦艦が止まらなかったら、確実に俺は別世界で戦ったザイン相手に使った力を使っていただろう。

 別世界のプロトに封印という形で制限されているその力の一端を解放する。

 それは、使っている俺自身にすらどうなるか分からないほどの博打のようなものだ。

 

 その力を解放することに恐怖は全くない。

 漠然と、この力は俺に害を与えることのないものであり、その気になれば使いこなすことも可能だろう―――という、妙な確信がそこにあったからだ。

 だからこそ恐ろしい。

 

―――拒絶するどころか、相性が良すぎてなにが起こるか分からない。

 

 彼女の行動は俺にとっても助かるものだった。

 空の戦艦を二次元に落とし込み、文字通りに空間から切り離してみせたその能力はとんでもないものだが、彼女がどのような力を持っているかとかは、この状況ではそれほど重要じゃない。

 ステラさんは地球を守るために勇気を引き絞り行動した。

 その事実だけ分かれば他の理由なんてどうでもよく、今一番優先するべきは地上に降りてきた五位とその取り巻き、そしてボロボロのマントを纏ったあの野郎を始末することだ。

 

「———見つけたぞ」

 

 距離3㎞、完全に人の気配が消えた都市の大通りに五位と大勢の取り巻き共の姿を見つける。

 取り巻きはこれまで始末してきた木っ端とは明らかに違う精鋭。

 

「あの野郎ォ……!!」

 

 敵を認識しその戦力をおおまかに分析したところで、グラビティバスターで眼前を薙ぎ、切り開いたワームホールに飛び込む。

 瞬時に五位のいる空間に移動、空を蹴りながら突っ立っている五位を始末するべく発動していた必殺技から繰り出される跳び蹴りを放つ。

 

「くたばれオラァ!!」

「! エス!!」

 

 こちらを一瞥した五位の呟きが聞こえると同時に五位と俺の間にボロ布を纏った奴が割って入り、外套から獣のような手を突き出し蹴りを受け止める。

 蹴りと腕が激突———光が明滅し、お互いが弾かれるように後ろへ跳ばされる。

 

MIX(ミックス)!!』

 

「プロト!! 赤と黄色だ!!」

 

RED

YELLOW

BLUE

BLACK

RED

YELLOW

BLUE

BLACK

RED

YELLOW

BLUE

BLACK

RED

YELLOW

BLUE

BLACK

aaaXaaa

RED

YELLOW

BLUE

BLACK

RED

YELLOW

BLUE

BLACK

RED

YELLOW

BLUE

BLACK

RED

YELLOW

BLUE

BLACK

 

その色(運命)を定める!!』

 

 プロトの運命を司る能力により、属性を確定。

 掌に転送させたミックスグリップを、グラビティバスターへの装填と同時に起動させる。

 

RED(レッド)!!!】

YELLOW(イエロー)!!!】

 

 一連の動作を空中で完了させ、着地と同時に砲身を五位とその取り巻き連中へと向け引き金を引く。

 

GRAVITY(グラビティ)BUSTER(バスター)!!』

FINISH(フィニッシュ)!! IMPACT(インパクト)!!』

  ミックス    チャージ

『MIX CHARGE!!』

 

 赤と黄、炎と電撃による純粋な火力を合わせた一撃は、電撃を纏った熱線となって五位共を呑み込まんばかりに突き進む。

 

『ガァァァァァァ!!!』

 

 だが、その一撃にもボロ布野郎が割って入り、獣のような雄たけびを上げて熱線を消し去られ、砲撃直後に全力で叩き込もうとしたグラビティバスターの一撃に対しても腕を叩きつけ、弾き返される。

 地面に着地し、大剣を肩に担ぎながら視線の先を睨みつけると、そこには防御した右腕を半ばから失ったボロ布野郎の姿があった。

 だが、右腕の欠損も瞬時に生え変わるように再生し元に戻る。

 

「ウゥゥゥ……」

「……高速再生持ちか」

 

 人間のこっちは気軽に腕が生えるわけじゃねぇのに、どいつもこいつもポンポン腕を生やしやがって……。

 

「お前らずりぃよな。こちとらそんなポンポン腕とか生やせねぇのに平気で元通りにしちまう」

「五体を失うことなく、今の今まで戦い抜いているお前にだけは言われたくない」

 

 やや強張った声で五位がそう指摘してくるが、んなもんそっちの理屈でこっちには関係ない。

 そもそもが不利な状況で戦っているんだ。

 そっちがうだうだ文句を言う資格はねぇ。

 

「空のアレはお前たちの仕業か?」

「さあな、なにをしたかまでは俺も知らねぇ。だが、テメェらの味方ではねぇってことは確かだ」

「ハッ、ままならんな。なにもかも……あぁ、反吐が出る」

 

 その顔を歪めた五位が吐き捨てる。

 あっちからすりゃ理不尽なことが起きているようなもんだな。

 だが、そもそもの話ふざけた侵略をかましてきた奴らだ。

 理不尽を仕掛けてきた奴が、自分に降りかかったソレを嘆くのか?

 

「テメェら、なにが目的だ」

「目的? そんなこと分かりきっているだろう。侵略だ」

「部下を無鉄砲に突撃させて無意味に死なせてか? テメェの無能自慢を聞くつもりなんて端からねぇ。こっちはなァ、んな建前聞きてぇわけじゃねぇんだよ」

 

 俺の言葉に五位の野郎は驚いたそぶりを見せる。

 だが、それでも奴はその嘗め腐った表情は崩さない。

 

「ああ、俺たちは死に場所を求めている。幾百も宇宙を彷徨い、侵略を、戦いを繰り返してきたが―――」

 

 べらべらと長く話しだそうとする五位に左手に装備したリキッドシューターを放つ。

 突然の銃撃に目を見開いた五位が、引き抜いた剣で防ぐ。

 

「もういい」

「……理不尽すぎじゃないか? お前から聞いたんだろう……?」

「俺はテメェの御大層なお仲間の願望じゃなく、テメェの目的はなんだって聞いてんだよ」

 

 そもそもこいつの目的なんて聞きだしたところで、やることは変わらねぇ。

 というより、こいつ自身が御大層な死に場所を求めていないことも最初に戦った時点で分かっている。

 

「探してもねぇ死に場所を見つけてご満悦かどうかは知らねぇが、お前らはここで始末する」

「なに、を」

 

 最初に戦ってなんとなく違和感のようなものはあった。

 ボロ布野郎と、今の今まで散々始末した部下共は死に場所を求めているような感じだったが、こいつは死ぬ気なんてさらさらない。

 俺に勝てねぇのを理解しながら挑んだ癖に、ボロ布野郎に自分を守らせる。

 死に場所を見つけたと嘯く割に、俺たちではなく一般人を優先的に狙わせる。

 その上で、まるで自分が戦いに生きる戦士って顔で俺の前に立っているのが、一番気にくわねぇ。

 

「お望み通り、地球(ここ)をテメェの死に場所にしてやる」

 

 これ以上の問答は必要ない。

 こいつらは全員を、一人残らず倒し、地球に平和を取り戻す。

 

「———俺たちの力でな」

 

 宣言すると同時に、俺の頭上に二つの赤と黄色のビークルが高速で通り過ぎ、そこからレッドとイエローが下りてくる。

 

「お待たせ、黒騎士くん」

「ごめん、遅れた」

「いいや、よく来てくれた」

 

 来るのは分かってたが、今の口上で来なかったら赤っ恥をかいていたところだ。

 二人の到着を確認し、空を見上げると二人が乗ってきたビークルの他に青、白、黒、そして金色の円盤型のビークルが集うように飛行するのが見える。

 いや、それに合わせて見慣れない緑の空を走る電車のようなビークルと、剣を戦闘機にしたような鋭角な見た目の桃色のビークルが追随して飛んできている。

 

『貴様ら宇宙の荒くれどもには、この天才が駆る正義の巨人が相手だァァ!! 合わせろホワイト!! グリーン!! ピンク!!』

『ぶっつけ本番すぎるんですけど!?』

『グリーンって呼ぶなぁ!』

『星界剣機っぽい見た目だね!! 気張ってね、モモコ!!』

「一度乗ってみたかったけど、私いけるのこれ!?」

 

 八機のビークルが空中で整列。

 ジャスティスクルセイダーの紋章を形どったフィールドを形成、変形・合体を経て機械の巨人へと至ろうとする―――がそれをさせまいとばかりに地上で暴れようとする怪人ども、空から落下してくる小型の宇宙船から攻撃が仕掛けられる。

 しかし、そんな攻撃もエネルギーフィールドに阻まれ、それどころか分散した黄金色のナノマシンが反撃していき、溢れ出た桃色の光が破壊された建物を修復していく。

 

『合体中の攻撃なぞこの超ウルトラ大天才が許すはずがぬぁぁいだろぅがァ!! そして周囲への安全へ配慮した風浦氏の星界エナジーを増幅させたフィールドも形成!! 驚異の八体合体を見よぉぉ!!』

 

 ものすごくテンションを上げたレイマの雄たけびと同時に八機が組み合わさり、俺の知るジャスティスロボよりもさらに二回りも巨大化した巨人が完成する。

 

@

B究極正義∞合体巨人N

ウルトラジャスティスロボ

 

 背中に配備された円盤型のビークルから放出されたナノマシンが円環を形成し、合体が完全に完了する。

 その余波で、風浦さんの持つ星界エナジーの桃色の光がさらに周囲へ拡散され、破壊された地上を癒していく。

 

ウルトラすぎる!! これぞスーパーを超えたハイパーすらも超えたウルトラァ!! 星界エナジーによる再生!! そしてさらに強化されたナノマシンによる迎撃性能! 見よ!! この破壊と再生を司る巨人を!! この威光の前に貴様ら侵略者なぞ、塵芥に等しいわァ!!」

 

 そしてさらに背部から溢れ出した黄金色の粒子が幾重にも重なる剣のような形状へと姿を変え、それらすべてが空から降り注ぐ宇宙船と、未だに攻撃する様子を見せる勢力へと飛んでいき独自に攻撃を始めていく。

 

『カツミ君!! 有象無象の相手は任せておけぇ!! 君はそのあん畜生の五位軍団を頼んだぁ!!』

「ああ、任せておけ」

 

 なんだか凄いことになっているな。

 欲を言うなら、俺も乗ってみたかったが……あちらのことはレイマに任せて俺はさっさと奴らを始末しなきゃな。

 

「さっさと終わらせるぞ」

「……エス」

「グゥゥ……!!」

 

 五位の声にボロ布野郎が前に出てくる。

 正直なところ、まだ奴の底が見えてねぇがそれでもやるしかねぇ。

 

「レッド、イエロー。奴は俺が相手する」

「ん。分かった。私は五位をやる」

「私とブルーは取り巻きの対処やね」

『熟睡した分、また働くよ』

 

 だが、今の俺は一人で戦っている訳じゃない。

 周りはレッド達に任せ、俺は奴に集中する。

 五位から完全に意識を逸らし、ボロ布野郎を睨みつけると奴もそれに応じるように四肢を地面に着くように構え、獣のようなうねり声を上げる。

 

「「———!!」」

 

 動き出したのは奇しくも同時。

 足場が吹き飛ぶほどの踏み込みと共に拳と爪を激突させる。

 このプルートルプスのパワーと互角。

 拮抗し、衝撃波が吹き荒れる中で奴の纏っていたボロボロの外套が吹き飛び、ようやくその姿が露わになる。

 

「———ハッ、どうやらただの忠犬ってわけじゃねぇようだなァ!!」

「ガァァァァ!!」

 

 外套の下にあるのは狼のような獣の貌。

 そして、全身を縛り付ける拘束具と、それらを束ねる鎧に刻み込まれた“S”の文字。

 奇しくもそれは、以前序列100桁で何度か戦った暴走し、巨大化する侵略者と似たものだった。

 

 

 




キラキラフォントで絶妙な感じになったウルトラジャスティスロボでした。

次回の更新は明日の18時を予定いたします。
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