追加戦士になりたくない黒騎士くん   作:クロカタ

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今回は閑話となります。



閑話 戦いに備えて

 俺はまだまだ弱い。

 最近、それをものすごく実感させられてしまっている。

 ジャスティスクルセイダーの力に頼り切りじゃ駄目だ。

 

「難しいな……」

 

 彼女たちは歴戦の戦士だ。

 地球で現れた怪人と倒してきたその実力と経験は俺を遥かに上回る。

 だからこそ、レイマから彼女達の戦いのデータがいれられた端末をいただき、現在自室でそれを見ていた。

 

『テメェ、どこにいるブルー!!』

『あー……そうだね。そっちにいるかも』

 

 端末に映し出されたのはブルーの戦闘だ。

 平等怪人バラサンと呼ばれる怪人との戦い。

 一定の空間にいる人々の能力を全て平均化させる恐ろしい能力を持つ敵を相手に、ブルーは一般人と共に戦っているのだ。

 

「平均化された力で……ほぼ生身の力、なんだよな?」

 

 彼女の視界にはモニターのようなものが映し出しており、そのモニターの先にいる天秤のような頭をした怪人をジッと見つめている。

 弱体化しているのに、怪人を手玉に取ってるし、すごいな……。

 

『どこにもいねぇぞコラァァァ! ぶっ殺してやるかんな! 俺の力で平均化されたお前らは俺にとっちゃ、人間のガキみてぇなも―』

『今』

『ぶごろっしゃぁぁー!?』

 

 瞬間、怪人の傍にあるボトルが爆発し釘が一斉に飛び出す。

 それを食らい後ろに吹き飛ばされた怪人は怒りのままに叫ぼうとして、上から洗剤のようなものが落下し、さらに怪人を転ばせる。

 

『オオオ、どこにいんだこの野郎ォォ!! 放送室か!? あぁ、そうだよなぁ!!』

『そうとも言えるし、そうでもないと言える』

『どっちだコラァァ!!』

『お前は物事を焦りすぎる』

『焦ってねぇ! ぶっ殺す!!』

『そうとも言えるし、そうでもないと言える。まだまだ心眼が足りないな、怪人。どう見えるか(・・・・)だ』

 

アアアアァァァ――!?

 

 すげぇ、怪人を煽って冷静さを奪っている。

 怒りに震え、また洗剤で足を滑らせて転んだ怪人は、近くの棚に頭をぶつけ罠とは関係のない荷物の襲撃を受け、倒れ伏す。

 ブルーの視界に映りこんでいるのは放送室ではなく、ショッピングモールのフードコートのテーブルの光景。

 かき集めてきた道具で罠のようなものを作っている民間人と、カメラの映像を映し出すモニター。

 そして、ブルー自身も手元のドライバーで罠のようなものを作りながら、一人で暴れている怪人を見据えている。

 

「……うわ、こいつちょっろ」

「ブルーさん、言われたとおりに作りました!」

「ありがとう。それじゃあ、二階の洋服店に仕掛けに行こうか。あと予定した道以外を踏まないように、オイルとか洗剤撒いてあるから、決まったルートを進んで」

「か、怪人と遭遇したら……ど、どうしますか?」

 

 怯えた女性の声にうーん、と思い悩んだ仕草を見せた彼女はモニターを見てから声を発する。

 

「見つからないよ。だって、今とりもちトラップに引っかかって身動きとれなくなってるし」

 

 モニターの先では、白いモチとノリ……とついでに小麦粉まみれになりながら地面をのたうち回る怪人の姿。

 地面を滑りながら身体を打ちつけた怪人は怒りの叫び声を挙げている。

 

『ガァァ!! ブルゥゥ! 殺すゥゥ!! 殺してやるぅぅぅ!!』

「もうちょっと煽っとくか……爆発して死ぬのに? 意味ないよ』

『アアアアァァァ!?』

 

 満足そうに頷いたブルーはやや引いた様子の女性を見る。

 

「まあ、しばらくは大丈夫。ここを任せていい? こいつが降りてきたら連絡して。もし、ここに来たら次の拠点に移動。道具は二の次、命を最優先で」

「「「はい……」」」

 

 返事は返ってくるが、その場にいる人々の表情は明るくなく、恐怖と不安に歪んでいる。

 その時の彼らが置かれていた状況がそれほどまでに厳しいということは、彼ら自身がよく理解していた。

 

「不安に思う気持ちも理解できる。この私も初陣の時は同じ気持ちだった」

 

 不安の見え隠れする人々の前に立つブルー。

 彼女の視界には怪人と戦うために立ち上がった人々がいる。

 その中には、俺と同じくらいの歳の学生や、中学生も。

 

「だが、先を往く者がいれば後を続く者がいる。その一人が私だ。ここにいる私達は皆同じ力を持つヒーローだ。ならば、私にできて皆にできないことはないはず」

 

 一瞬で周囲の人々を惹きつける言葉。

 思わず俺すらも聞き入っていってしまう。

 

「今日、私達が屈するようなことがあれば平等怪人バラサンはさらに多くの人々を殺そうとする。怪人を止めなければならない」

「「「……!」」」

「皆に多くを求めていることは分かっている」

 

 俯き、それでも顔を上げたブルーは強く握りこぶしを握りしめる。

 

「だが、自由の代償は高い。これまでもそうだった。私は喜んで代償を払う」

「ブルーさん……!」

「そうだ、私達も戦えるのよ……!」

「ん? この演説って……」

 

 彼女の言葉だけで人々は生気を取り戻していく。

 弱気になった心を鼓舞させ、力へと変えた彼女は続けて言葉を吐き出す。

 

「私一人だけだとしてもヒドラを止める……!」

「「「……ヒドラ?」」」

「……あっ」

 

 一瞬の静寂。

 よく分からないが七割ほどの人が呆気にとられた表情を浮かべブルーを見るが、当の彼女は緩みかけた拳を再び握りしめ、そのまま上へと突き出した。

 

では、諸君。向かおう。団結こそが力だと怪人に見せつけてやろう!!」

「「「お、おー!!」」」

 

 そのまま立ち上がったブルーは手作りのトラップが詰められた籠を持つ。

 完全に統制の取れた一般人を引き連れた彼女に、一人の男性が話しかけてくる。

 

「ブルーさん、あの、どうしてこんなことできるんですか?」

「ホームアローンで培った勇気と知識」

「あっ、はい。それと、さっきのってキャプテンアメリカのウィンター……」

「さあ、出発だー!!」

 

 そこで映像を切る。

 レッドもイエローさ……いや、さん付けしなくてもいいって言われたんだな……ジャスティスクルセイダーの戦闘はどれも怪人に好き勝手をさせないという意思が強い。

 しかし……。

 

「ホームアローンとはなんだ……? シロ、知ってる?」

『クゥーン』

 

 どうやら知らないようだ。

 あんな恐ろしい罠を作り出すほどのものだ。

 きっと並みのものではない。

 本? いや、ブルーの口ぶりだと特殊部隊だとかそういう方面で教えられるものなのかもしれない。

 今度、聞いてみよう。

 

「……さて、と」

 

 ベッドから起き上がり、シロと向き合う。

 今の俺には足りないものだらけだが、それは一つずつなんとかしていこう。

 まず一つ目の問題は今の装備が敵に通じなくなってきたことだ。

 

「シロ、俺がなれるレッド、ブルー、イエローの変身形態と武器のホログラム、出せるか?」

『ガオ』

 

 シロの目が光ると同時に宙に浮きあがるのは、白、赤、青、黄とそれぞれの色に染まった変身した俺の姿とそれに際して装備される武器だ。

 フレイムカリバー、リキッドシューター、ライトニングブレイカーに、ルプスダガーだ。

 

「とりあえず、これをもう一つずつ出せるように複製できる?」

『ガオ』

 

 どうやらできるようだ。

 あとは単純に、これからの怪人戦闘でこれらのフォームは些か火力不足になってしまうことだが。

 それはどうするべきか。

 ずっとアナザーフォームで戦い続けられるとは思ってはいない。

 

「武器が弱いんじゃなくて、俺の使い方が悪いか」

―あの小娘共と手合わせしてみるといい

「ルインさん?」

―よい経験になるはずだ

 

 いきなり声が聞こえてきてびっくりしたぁ。

 本当に何者なんだろうか、この人は。

 

「ジャスティスクルセイダーとの手合わせか……お願いしてみるか」

 

 申し訳ないが、これからの激化する戦いを考えると俺も無関係ではいられない。

 レイマに頼んでみようと考えていると、ふとホログラムの隅に気になる表示を見つける。

 

NEW!

 

【??? COLLAR(カラー) SYSTEM(システム)43%

 【・??? GRIP(グリップ)

 

SAVE(セーブ)→???? FORM(フォーム)78%

 【・???? ARROW(アロー)

  【↳???? RED(レッド)

  【↳???? BLUE(ブルー)

  【↳???? YELLOW(イエロー)

 

【???? ?????? FORM(フォーム)3%

 

 

 

 なんとかカラーと下に書かれているのは、二色に組み合わされたアーマーの戦士。

 もう一つはセーブフォームのアーマーに装飾のようなものが施され、ついでに鋭角なアーマーが追加された姿。

 ホログラムでどのような姿かはよく分かっていないが、新しい武器もあるようだし、なんらかの姿なのだろう。

 

「……ま、まあ、なんだか分からないがまだまだ新しいフォームが追加されていくってことか?」

『ガウ!』

「違う? え、じゃあリニューアルって感じ?」

 

 こくこくと頷くシロ。

 シロも色々してくれて本当にありがたいな。

 

「ん? こっちはなんだ?」

 

 スーツの下にもう一つ項目を見つける。

 それは他とは違い、スーツの姿は出てこず詳細が分からない。

 

 

TYPE(タイプ) LUPUS(ルプス) ??? FORM(フォーム)100% 

 【・??? SABER(サーベル)

 

 

「シロ、この100パーセントのは? もう変身できるの?」

『ガウ!』

 

 今度は首を横に振られてしまう。

 変身できないのか? 条件が揃っていない……とか?

 

『ガゥ!』

 

 するとまた新たに画面が切り替わる。

 ホログラムで映し出されたのは、二機の見覚えのありすぎるビークルであった。

 

「……あっ」

 

 そういえばシロがビークル二機を食べちゃったって話だったんだ……!

 しかも微妙に形とか変わっているし、バイクと合体したりロボットにしたりしているんですけど……!

 も、元のままに返せなくなってしまった……!

 

「ど、どどど、どうしよう……」

「かっつーん、いるー?」

「ん!? あ、ああ、どうぞ」

 

 扉をノックする音と声に答えると、扉を開けて顔を出してくる。

 

「どうしたの?」

「いや、最近色々あったから少し話そうかなって思って……って、かっつんなにそれ!?」

 

 姉さんがシロから出ているホログラムを見て驚愕する。

 白いロボットと黒いロボット。

 リバーシのように反転し、戦闘法を変えるソレは俺がいつもするフォームチェンジとは異なる、もっとやばいものだ。

 

「……シロが、食べちゃったロボットだ」

「ごめん。そんな拾い食いしちゃったみたいに言われても……」

 

 とにかく、後でレイマに相談するとして部屋を出た俺は居間へと移動する。

 

「そういえば、姉さんはKANAZAKIコーポレーションに再就職したんだよね」

「あー、うん。そうだよ。かっつんが本部でお世話になるみたいだからね。社長の推薦もあってすんなり元の職に戻れたよ」

「メンタルケアとかそういう関係の医者だっけ? 会社にそういうのがあるのって知らなかったけど、すごいよな」

「は、ははは、うん。そ、そうだねー」

 

 これで帰る時間も休日もほとんど変わりないのだからすごい。

 一体、どういう仕事をするのか分からないけど、社長であるレイマの推薦があるということはそれほど重要な立場ということだろう。

 

「ふぁー、良く寝たー」

 

 すると、休日をいいことにソファーで昼寝していたアルファが起き上がる。

 目をこすりながら起きた彼女は、俺達のいるテーブルにやってくる。

 

「昼間から眠っているとあまりよくないぞ」

「大丈夫大丈夫。寝る子はよく育つっていうし」

「それは子供に当てはまる諺だぞ……」

 

 間延びした様子でそう言葉にするアルファに苦笑する。

 さて、日も暮れてきたしそろそろ夕飯の準備でもするか。

 

「……いつまで、こんな日常を続けられるか……」

 

 平和な一時。

 だが、それが長くは続かないことを僕は知っている。

 それを守るために、壊させないために僕……僕達は戦わなければならない。

 

「そのためには、自分にできることをしていかなくちゃな」

 

 肉体面はマスターが元自衛隊所属というので彼からトレーニングの秘訣を聞き、技術面ではジャスティスクルセイダーに教えを乞う。

 新装備、新フォームに関しては現状ではどうにもならないのでこればかりは何か変化が起きるまで待つしかないな。




前半で真面目にふざけまくるブルーでした。

そして(予定通りに進めば)お出し予定のフォームの情報をば。
しかし、ノリと勢いとフィーリングで話を進めることが多いので、突然急造フォームなどをぶっこむかもしれません。
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