追加戦士になりたくない黒騎士くん   作:クロカタ

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お待たせしてしまい申し訳ありません。

前半がカツミ視点。
中盤からきらら視点へと移ります。


戦うべき相手と強化装備

 サニーが待ち合わせ場所に指定した場所は人気のない公園であった。

 公園といっても広い自然公園の方で、休日ということでそこそこ人もおり話す場所としてはそれほどふさわしくない場所に思えた。

 

「待ってたわよー、カツミちゃん」

 

 サニーが座っていたのはなんの変哲もないベンチ。

 やってきた俺もそこに座るように促されたので、大人しく人二人分ほど空けた場所に腰を下ろす。

 

「なにか聞きたいことでもあるのかしら?」

「……お前は白川克樹としての俺を知っているのか?」

 

 まずはこれが聞きたかった。

 

「戦士としての私の顔は知らなかったわよ? 私はマスターのいる喫茶店の常連。少なくともカツキちゃんにとってはそんな認識のはずよ」

「お前は俺の正体は知ってたんだろ?」

「……ええ。そうね、知っていたわ。隠す理由もないからぶっちゃけるけど、貴方のことを観察していたの」

 

 特に驚きもなく頷く。

 しかし、解せないのはどうして俺を観察するかってことだ。

 

「深い理由までは話せないわ。その役割は私じゃないし、そこまでしちゃうと怒られちゃうから」

「怒られる? 誰にだ?」

「すぐに分かるはずよ。……少なくとも、カツミちゃんの最大の敵だということは確かね」

 

 こいつの後ろになにかいんのか?

 最大の敵だと? 口ぶりからして俺はそいつに会ったことはあるのか?

 

「ありがとう。本当にありがとう……貴様はいい戦士だ」

 

「もういい、ここで命を落とすには惜しい」

 

「ああ、私の可愛い、カツキ」

 

 ……ッ。

 突如として頭の中に響いてくる謎の女の声に動揺する。

 なんだ!? 今の記憶と声は……!! 俺に向けられて聞こえてきたのか!?

 朧げな視界だったが、膝枕……されていたような気がする。

 

「ま、まさか今の青い肌の女が、俺の姉を名乗った奴か……!?」

違うわよ!? その勘違いはちょっと刺激が強すぎるからやめなさい!!」

 

 ち、違うのか……?

 じゃあ、奴は誰なんだ……?

 混乱していると、サニーが軽く吐息をつく。

 

「貴方が記憶を思い出す時。ようやく前哨戦……いえ、この地球を舞台にした茶番が終わることになるわ」

「茶番、だと?」

「地球人の貴方達からすればたまった話じゃないわよね」

 

 困ったように微笑んだサニーは、視線をこちらから前へと向ける。

 そこには、公園の原っぱで遊んでいる一組の親子がいる。

 

「強くなれば、止められると思ってた」

「……?」

「誰よりも強くなって生き物としての枠すらも超越すれば、あの子を止められると思っていたんだけど……無理だって気づいちゃったの」

 

 何を言っているんだ?

 突然、意味不明な独白をするサニーに困惑してしまう。

 

「皮肉よね。向う見ずに強さを追い求めてたくせに、強くなったせいで次元の違いを理解させられるなんてね」

「いや、言っている意味が分からないんだが?」

「フフフ、ごめんなさいね。あまりこういうことを話せる相手がいないから、勝手に話しちゃった」

 

 ……まあ、それは別にいいんだが。

 

「つまりその星将序列を全部ぶっ倒して、その上にいる奴もぶっ倒せばそれで終わるんだな?」

「ええ、そうね」

 

 それなら話は速い。

 やるべきことが分かればそこに意識を集中することができる。

 

「お前も俺の敵になるのか?」

「……」

 

 星将序列とかいう奴ならサニーも俺たちの前に立ちふさがる可能性があるということだ。

 

「正直、敵になるつもりはないけれど……戦わないかどうかは未定よ」

「……それだけ聞けりゃ十分か」

「あら、この答えでいいの?」

「敵にならねぇなら、それでいい」

 

 戦うなら本気で相手をすればいいだけだ。

 味方になってほしいという気持ちはなくもないが……。

 

「ちょっと見た目が異次元過ぎて怖いからな……」

「さりげなく私のことディスるのやめてくれないかしら?」

「……悪い、口に出てたか?」

「やだ、この子素で私を傷つけてくる……!?」

 

 やっべ、無意識に口に出てしまったようだ。

 普通に傷ついてるサニーに申し訳なく思っていると、ふと奴の着ている独特な色の背広から機械のようななにかが飛び出してくる。

 

『なあ、そろそろオレも話していいか?』

「ええ、いいわよ。待たせちゃってごめんね」

 

 近くに人がいないか確認したサニーの声に、メカメカしい姿をした鳥は俺の目に前にまで飛んでくる。

 

「鳥が喋ってる……?」

『鳥じゃねぇ! ヴァルゴだ!! お前の持ってるチェンジャーと同じ喋るコアだぜ!』

 

 そうなの……?

 思わず腕につけているチェンジャーを見るとプロトが反応してくれる。

 

「そうなのか? プロト」

『うん。でもこんなにはっきり喋るのは初めてかも』

 

 コアとかよく分からんがとにかくプロトと同じことは分かった。

 すると何を思ったのか、ヴァルゴと名乗った橙色の鷹のような鳥は俺の顔を眺める。

 

『ふーん』

 

 すっげぇ観察されてる。

 サニーもなにも言わないけど、なんでこんなに見られてるんだ?

 それに―——、

 

「なんで怒ってるんだ……? そんなに……」

『……。ハハッ、お前はオレが怒ってるように見えるのか。安心しろ、お前には怒ってねーよ』

「お、おう……」

『お前、名前は?』

「ほ、穂村、克己」

『いい名前だな!! 登録しておくぜ!!』

 

 登録? いや待て登録ってなんだ?

 なんで額の宝石のような部分が点滅してんの?

 

『しかし、こりゃあ間違いねーな』

 

 ぶっきらぼうだが、ヴァルゴはどこか晴れやかな声で呟く。

 

『近くで見なきゃ気づかねぇが、稀にみるどころじゃねぇ存在だな。カツミ』

「はい?」

『つーか、初めて見たわ』

 

 首を傾げてしまう俺に満足そうに頷いたヴァルゴは、今度は俺の手首のチェンジャーへと降りてくる。

 

『プロト、テメェいい主を持ってんじゃねぇか』

『う、うん……ハッ!? カツミはあげないよ!!』

 

 そもそも俺は誰のものでもねぇんだけど。

 そんなプロトの反応にヴァルゴはからからと笑う。

 

『折角見つけた相棒なんだ。大事にしろよな!』

『……かつてないほど優しくされて逆に怖い!?』

 

 普通にいい人……じゃなくて、良い鳥なのか?

 でもこんな真っすぐな性格をしているやつは不思議と嫌いじゃなくなった。

 前は煩わしいくらいには思っていたはずなのに。

 

「あらあらヴァルゴ。カツミちゃんのことが気に入ったようね」

『茶化すんじゃねぇオカマの怪物』

「二重表現でけなしてくるのはやめてくれないかしら?」

 

 先日見たオレンジ色の戦士になるための変身アイテムがヴァルゴって感じか。

 そういう意味では俺とプロトと同じともいえる。

 

「今日のところは帰る」

「あら、まだ聞きたいことがあるんじゃないの?」

「夜ごはん前に帰ってくるように言われてる」

「……貴方、それわざとやってる?」

 

 ……?

 

「あ、素なのね……」

『夜ごはんて……』

 

 居候させてもらっている手前、勝手なことはあまりしたくはないからな。

 サニーもこちらの連絡先を覚えていることだし、今日のところは帰るとする。

 

「ねえ、カツミちゃん」

「あん?」

 

 椅子から立ち上がり帰ろうとする俺にサニーが呼びかける。

 

「貴方は記憶を取り戻したい?」

「当然だろ。なにより……」

 

 振り向きながら親指で自身の額を指さす。

 

「俺の中の何かが思い出せって言っているような気がするんだよ」

フフフ、求めているのはお前も同じか、カツミ

「……本当に末恐ろしい子ね。無意識に自分がするべきことを分かってるみたい」

「んなことねーよ。じゃあな」

 

 何が起ころうと記憶を取り戻すことは変わらない。

 話したい誰かがいた。

 守りたかった誰かもいた。

 そして、戦わなければならない誰かがいたのだ。

 だから、記憶を取り戻すという点については俺は決意を曲げるつもりはさらさらなかった。

 


 

 まだカツミ君をアカネと葵に会わせるべきじゃない、というのが社長の判断であった。

 単純に劇薬すぎる二人と記憶が不安定なカツミ君を合わせたら何が起こるのか分からないことに加え、世間的にカツミ君のことについて収まっていなかったのでリスクを避けるため、まだ当分は彼は私の家に居候することになっていた。

 

 本当は休日をカツミ君と共に家で過ごしたかった。

 

 しかしそれを許さないのが一番の味方でありライバルである仲間たち。

 私のぎこちないそぶりを直感で察知し確かめに来ようとする彼女たちの探りを回避すべく、私はジャスティスクルセイダー本部への招集へ赴くことになった。

 ……まあ、招集自体はかなり真面目な案件だったのは本当だけれども。

 

 星将序列十位台の者たちの出現。

 彼らの存在を聞いた元星将序列072位、現在スタッフの一員として活動してくれているグラトさんは、怯えた様子を見せた。

 

『悍ましい輩だ。強さもそうだが、その在り方は歪すぎる。序列二桁の連中でさえも彼らと顔を合わせることも嫌がるほどだ』

 

 味方すらも躊躇なく始末する不死身の五人の戦士。

 そんな彼らが今、この地球に招集しようとしている事実を重く見た社長はかねてから開発を行っていたある強化アイテムのお披露目を行っていた。

 

「侵略者との戦いが激化する中、お前たちもさらなる装備の拡張。つまり強化アイテムの運用を考えていかなければならない」

 

 以前から開発されてきたジャスティスクルセイダー専用の強化装備。

 私達三人にそれぞれ合わせたそれらは、装備するリスクはあれどもその性能は劇的にまで飛躍し、状況によっては想定以上の出力を発揮することが可能だという。

 

「ジャスティスクルセイダー拡張強化端末!! 名付けて“ジャスティフォン”だぁ!!」

 

 見た目が金色の装飾が施された黒色のスマートフォンを掲げた社長。

 

「スタッフとこの私がゾンビになりかけるほどにまで脳と肉体を酷使し作り上げたゴージャスでスーパーで最強の装備がこいつだァ!!」

 

 性能的に疑いはない。

 きっとこれで私たちは強くなれるのだろう。

 しかし、あまりにも微妙な名前に私たちは、半目で彼を睨む。

 

「それって正義とスマホを掛け合わせた名前ですか?」

「ネーミングセンスの欠如」

「正直ないですわ」

「この私のネーミングセェンスゥを理解できないとは哀れ、このナインジャーめが!!」

 

 腕時計型のチェンジャーにスマホって。

 確かに分かりにくい見た目だけど、金色は目立ちすぎる。

 

「そこらへんは安心しろ。このジャスティフォン、設定を変化させることで外装のデザインを自由に変えることができる……!! そしてこの同時開発した疑似エナジーコア搭載ドローン『ジャスティビット』に接続すれば、偵察、戦闘の補助を行ってくれる優れものだ!!」

 

 ジャスティフォンのカメラ部分から粒子と共に現れたドローン。

 アカネ専用のドローンなのか、赤色で鋭角的なデザインだけど……もしかして、私と葵のものもあるのだろうか?

 

「この血の色のドローンはアカネの?」

「うむ、その通りだ」

 

 赤いドローンを指さした葵の質問に社長が頷く。

 

「ねえ、色の例えで血の色っておかしくないかな?」

「……?」

「なんで私がおかしいみたいな目で見られなくちゃいけないの……?」

 

 キレかけるアカネを前に、私の背に隠れた葵はもう一度ドローンを見上げる。

 

「むむむ、ドローンね……」

 

 数秒ほど見つめると、自信満々な様子の社長に顔を上げる。

 

「カメラ機能は?」

「もちろん超高画質、望遠機能も完備。おまけに光学迷彩機能に、バリア展開も可能だ……!」

「パーフェクトだ社長」

 

 多機能すぎでは?

 単純な強さ以上に便利そうだ。

 

「ちょっと今日からこれ借ります」

「……待て、ブルー。お前それをなにに使うつもりだ」

「昨日理系ダウジングでカツミ君のいるであろうおおまかな場所を絞り込んだから、これでしらみつぶしに探そうかなって」

「……。興味本位……興味本位だが、どれほどまで絞り込んだのか教えてくれないか? 今、プロジェクターに地図を映し出す」

 

 僅かに緊張の混ざった社長がプロジェクターに街の地図を映し出す。

 数秒ほど地図を眺めた葵は、そのまま街の区画を指でぐるっと円を描いて指示した。

 

「確証はないけど、ここって出た」

 

 ……そこ思いっきり私の家が真ん中にあるじゃん……!!

 なにその正確さ!? 本当に葵のそれ理系なの!?

 とんでもないオカルトパワーを発揮して笑えないんだけど!!

 

「ざ……残念だが、先日カツミ君はティモールで目撃されてな」

「あのコーヒーの名産地に……!?」

「エッ、そうなの? ご、ごほん、つまりそこにはいないのでその理系ダウジングは間違っているぞ」

 

 社長が誤魔化したことでなんとか葵を止められたが、普通に今のは危なかったのでは?

 よく分からない場面で焦りながらも、話は元のジャスティフォンへと戻る。

 

「しかし、ようやく完成したジャスティフォンだが、まずはデータを取らなくてはな」

「すぐには使えないんですか?」

「使えはする。しかし実戦で投入するには不確定要素が多すぎるのだ。強くなるための装備で、逆に弱体化しお前たちを危険にさらすわけにはいかないからな」

 

 ……確かに付け焼刃ほど危険なものはないか。

 社長の言葉に納得する。

 

「すぐに実戦で使えるように調整をする。私の方でもお前たちをサポートするプランは考えているから、そこも安心するといい」

「プラン?」

「私も技術顧問ばかりやっている状況じゃなくなりそうだからな。やるべきことをしなければ」

 

 何をしようとしているのかは分からないけれど、ここは社長とスタッフの皆さんに任せるしかない。

 私たちにできることは戦いに備えることだけだ。

 


 

 シロはカツミ君がいる家には戻らなかった。

 思い出してもらえないことが余程響いたのか、ぐったりとした人形のように消沈してしまったシロはそのまま白川ちゃんと同じように独房のベッドに沈んだまま動かなくなってしまった。

 しょうがないので、私だけ家に帰ることになってしまったけれど……やっぱり白川ちゃんにはちゃんとカツミ君のことを話さなければならないと思う。

 

「ちょっと遅れちゃったな。夕飯間に合うかな」

 

 家への帰路を進みながらスマホの時計を見る。

 時間は19時前くらいなので、うちなら丁度夕飯が出来上がるくらいの時間帯だ。

 

「……やっぱり、まだ不思議な感覚だなぁ」

 

 帰ったらカツミ君がいるのって。

 最初は不機嫌だったアルファも馴染んでいるようだし、社長のサポートもあることだししばらくは二人も穏やかな日常を過ごせるかもしれない。

 

「はぁ」

 

 家に帰り、靴を脱ぐ。

 一応身だしなみを整えてからリビングへと足を踏み入れ―——、

 

「ただい―——」

「あら、カツミ君見て。これね、小学生の時のきらら」

「え、ええ……」

 

 リビングで古びたアルバムを見せられているカツミ君と、テレビに映り込んだ小さい頃の私の映像が視界に映り込む。

 ……は? は? は?

 ソレ、私の、アルバム。

 なんで、それが、母さんがカツミ君に……?

 

「そ、そうですね……えーっと、か、かわいいですね……? ……ハッ!?」

 

 どこか戸惑った様子のカツミ君が私に気づく。

 すぐに周りを見た彼はどこか慌てた様子であたふたとし始める。

 しかし、今にも顔から湯気が出そうなくらいに羞恥心に苛まれた私は早足で母さんの元に歩み寄る。

 

「あ、おかえりなさい。きらら」

「母さんちょっと来てぇ!!」

「あらあら」

 

 母さんを連れ混沌の様相を醸し出すリビングから脱出する。

 まずはこの母親という下手人に全てを聞きださなければ……!!

 

「何やってるのぉ!?」

「家族の思い出を見せているのよ?」

「美化した言い方しても意味ないからね!? もう本当に何やってるの!?」

 

 なんでそんなことするの!?

 なんでそんなことするの!?

 私の剣幕を他所に母さんは不敵な笑みを浮かべ、頬に手を当てる。

 

「ななかがね、カツミ君にきららの活躍を見せたいって言ってね」

「うん……!」

「だから見せたの」

「それ多分、別の活躍だよ!? てか秘密だから見せなくてよかったよ!? 代わりに見せたのがもっと駄目な代物だったけれどもぉ!!」

 

 今、秘密をバラすべきじゃない。

 見せなかったのはいいけど、代わりに私の成長記録を見せるとはどういう了見だ!!

 カツミ君の顔見た!?

 すごく申し訳なさそうな顔をされちゃったんだけど!?

 

「大丈夫、恥ずかしいのはお母さん分かってるわ」

分かってるならやめてよぉ!? 顔も合わせられないし気まずくなっちゃうじゃん!?」

「気まずい? 相変わらず分かってないわね、きららは」

 

 フッ、と口の端に笑みを浮かべた母さん。

 そしてかつてないほどのドヤ顔と共に、ビシィッ、と指を翻す。

 

「そういうの気まずいじゃなくて、お互いが意識する(・・・・)っていうのよ?」

「……言いたいことはそれだけかな……?」

「……フッ」

 

 うまいことを言って煙に巻こうたってそうはいかないよ……!

 言っていることはちょっと事実かもしれないが、私の恥ずかしい幼少期の思い出を見せたことに変わりない。

 ここは心を鬼にして叱る。

 誤魔化せないと悟ったのか、口元に人差し指を当てた母さんは、不意にぱんっ、と手を叩く。

 

「あ、そういえば、カツミ君がきららに話があるって言ってたわよー」

「この流れで!? この流れでそれを言うの!?」

「大事な話があるとも言ってたわ。行かなくていいのかしらー? そろそろお米が炊けるから私はお夕飯の準備をするわねー」

 

 こちらが動揺している間にその場を鮮やかに離れてキッチンへと向かう母さん。

 ……くっ、私の立場上、カツミ君の大事な話というのを最初に聞いておかなければならない。

 

「か、カツミ君、大事な話ってなにかな?」

 

 リビングに戻ると既にアルバムは片付けられており、ソファーに座っていたカツミ君はせなかにななかをしがみつかせ、膝にこうたを乗せている。

 その隣ではアルファもおり、同情するような視線を私に向けていた。

 

「そのことなんだが、最初に言っておこうと思ってな」

「え? 何を?」

「俺のこと、本当は仲間として匿ってくれてたんだよな」

 

 ……はえ?

 一瞬、言っている意味が分からず呆けた声が漏れ駆ける。

 言葉に詰まり、何も言えなくなってしまった私に彼は困ったように笑う。

 

「君はジャスティスクルセイダーのイエロー……って聞いた」

「っ!?」

 

 バレてしまった!?

 けど、全然怒っていない事実に安堵しかける。

 まだ記憶は戻ったわけじゃ……ないよね? でも私の正体がバレたならいち早く社長に連絡を———、

 

「まだ思い出せないが、君のことも早く思い出せるようにする」

「あ、え……、……はぃ」

 

 ———と、思ったけどもうちょっと後でもいいかぁ。

 我ながら簡単すぎると思うけど、これに逆らえるというのならこんな状況になっていないな、と自覚してしまうのであった。

 

 





また陥落したきららでした。
そして、ジャスティスクルセイダー強化装備のジャスティフォンの登場。
あと少しで活躍させられそうですね……。
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