きららファンタジア 三つ子三銃士の冒険物語   作:山崎五郎

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生物は皆"生きること"に懸命だ。

例えそれが他の生物を害しようと、それは仕方ない。

…仕方のないことなのだ。

───とある動物学者


揺らぐ砂漠

砂漠がまるで雪原のように冷え、吹雪いている。

 

肌を焼くような灼熱の日光と砂嵐は、雪雲に多い尽くされ見る影もなく。

 

…突然現れた神官を名乗るコイツの仕業か?

 

いずれにせよ不味いな。一対一なら何とかなるかも知れないが、二対一となると話は別だ。

 

さっさとこの場を離れ…

 

ガキンッ

 

…!?足が、凍りついて…!?

 

「あらら…悪いけどお兄さん、逃がすわけにはいかないんだよね。ちょっと大人しくしてて」

 

ギドラ「ッ!」

 

「…」

 

その直後。神官に向かって斬りかかったギドラの全身が凍りついた。

 

「…だから大人しくしろッつったろ。ま、いいや。死んじゃいないだろうし、とりあえずこの子の治療…」

 

コノハ「待って、お兄さん…」

 

「え?」

 

コノハ「ソレじゃまだダメだよ…もっと魔力強く込めて凍らせ」

 

バキンッ

 

「…え?」

 

凍っていた男がバラバラに崩れ落ちて…いや違う。氷の中から砂が舞って何処かに飛んでいった。

 

「…え?え?いや、どゆこと?」

 

コノハ「ああ…逃げられた…ってか寒い!」

 

「あ、ゴメンゴメン。ちょっと危なげな感じだったからつい…」

 

と、その男が呟くと先程まで天を覆っていた雪雲が晴れ、焼けつくような日照りが戻った。

 

ジュウッ

 

コノハ「熱っつアアッ!!痛ッ!!」

 

「何々~コノハちゃん怪我してヤバかった割にはノリノリじゃない?」

 

コノハ「誰のせいでこうなったと思ってんの!…ってえ?私の名前…」

 

「ソレぐらい知ってるよ~じゃなきゃ調停官なんざ務まらないっての」

 

コノハ「…あなた、一体誰なんですか…」

 

カミュ「俺の名前はカミュ…氷魔法使いで、後…セサミのフィアンセ、ってとこ」

 

コノハ「…?????????」

 

~~~~

 

コノハが謎の調停官カミュに出会ったちょっと前。地下では色々大変なことが起こっていたのでございますです。

 

『うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?』

 

壁になりきって大人しくしていた謎の怪物…今の世ならフルフ○と呼ばれているであろうモンスターに追いかけられている召喚士きらら御一行。

 

「キョアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 

胡桃「おい慎吾!!お前なんてことしてくれたんだよ!!!」

 

慎吾「うるせえええええええ元はと言えばあのスタークとかいうオッサンが「ちょっと射ってみよう」とか言い出すからだろ!」

 

スターク「だってお前らがブヨブヨするとか何か出たとか言うから気になっちゃって」

 

慈「良い年した大人が何言ってるんですか!!」

 

きらら「皆さん今は言い争ってる場合じゃありません!どうにかしてこの魔物を止めないと…」

 

ランプ「止めるって何をどうするんですかぁ!?」

 

由紀「はぁ、はぁ…わ、私、もうダメかも…」

 

涼馬「由紀おんぶしようか」

 

悠里「そんなことしたら走るスピード落ちて捕まりやすくなるわよ!?」

 

飛鳥「…おい、あの化け物の頭はどこだ?」

 

マッチ「頭?そんなこと聞いてどうするのさ」

 

飛鳥「お前たちヘッドショットをするとなぜどんなヤツでも死ぬか知っているかそれはだな」

 

マッチ「ちょっと待てェェェ!!何しようとしてるんだよ!!て言うかその腕に抱えてるものは何!?もしかしてアレかスタークも持ってるアレか!?」

 

飛鳥「あの単発しか打てないものと一緒にするな。これは高速連射が可能なものだ」

 

マッチ「というかそんなものなんで持ってるんだよ」

 

飛鳥「持っていたフラスコからイメージしたら作れた。アルケミストって便利だな」

 

マッチ「違うウゥゥゥ僕の知ってるアルケミストと何かが違うウゥゥゥ!!」

 

慎吾「て言うかあの怪物そもそも頭射ったところで大人しくなるのか!?」

 

きらら「…?」

 

ランプ「き、きららさん!?何で立ち止まる(・・・・・)んですか!?」

 

きららは突然歩みを止め、怪物に向かって杖を構える。更に、以前スタークの補助で身に付いた仮面を出現させ身体能力を底上げした。

 

きらら(…何だろう。声が聞こえる。『パス』のような、でも、何か違うような…これは、あの魔物の声?)

 

(イタイ…クルシイ…ダレカ、タスケ…テ)

 

きらら「…」

 

(声だけじゃない。あの魔物の『パス』には、何か…違和感のようなものを感じる。何だろう、何処かが、歪んでいるみたいな…)

 

きららは『パス』を更に強く感じ取ろうと魔物に向かって魔力を放つ。そして…

 

(…!あった!これが…)

 

『キョアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』

 

きらら「…そこっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

…カラン

 

ランプ「…え?な、何が起こったんですか?」

 

マッチ「…これは…たしか港町で見た、あのベルトみたいな…」

 

『キュオオオ…』

 

ランプ「ひいっ!?き、きららさんまだ倒せてないですよ!?」

 

きらら「…ううん、大丈夫。もうこの魔物は私達を襲ったりはしないよ」

 

マッチ「え?」

 

(…ア、リガ、トウ)

 

由紀「ふぇ?くるみちゃん何か言った?」

 

胡桃「い、いや何も…って由紀も聞こえたのか?」

 

悠里「ええ、みたいね。私も聞こえたし…」

 

涼馬「これって…テレパシー?」

 

慎吾「『ありがとう』って…きらら、一体何したんだ?」

 

きらら「…この魔物を暴走させていた、これ(・・)を壊したんです」

 

マッチ「暴走…『させていた』?」

 

飛鳥「なるほど。このバックルのようなものに洗脳の類いの機能が備わっているというわけか」

 

(ソウ…ワタシ、ハ、コノチカ、デ、アバレタクナル、ショウドウ、オサエテタ)

 

(ワタシ、モトモト、ニンゲンデイウトコノ、タダノミミズダッタ…フタリノキョウダイ(・・・・・・・・・)ト、ナカヨク、クラシテタ)

 

(デモ、ワタシトキョウダイタチ、チガウトコ、アッタ。フタリハ、ニンゲン、ニクンデタ)

 

慈「人間を…憎む?」

 

(ソウ…ニンゲンハ、ジブンノツゴウデ、カッテニ、ワタシタチノスミカ、アラス)

 

胡桃「…」

 

(デモ、ソレハ、シカタナイコト。ニンゲンモ、イキルノニ、ヒツヨウナコトダカラ、ソウシナキャイケナイ、チガウ?)

 

慎吾「…そうだな。田畑で色々採ってるから助かったりしてるもんな」

 

(ワタシハ、シカタナイ、ト、オモッテタ。デモ、フタリハオコッテタ。ソレデモ、マイニチ、イキテラレタ…デモ、アイツガキテカラ、オカシクナッタ)

 

きらら「アイツ…?」

 

(アタラシクデキタ、『メ』デミタ…クロイフクトボウシ、カブッタ、クフフフッテ、ワラッテタオトコ…)

 

きらら「!それって…」

 

マッチ「港町で出会った、アイツか…!」

 

スターク「…そいつに改造治療でもさせられたってとこか」

 

(…ワタシタチサンニントモツカマッテ、カイゾウサレタ。デモ、フタリハヨロコンデタ。『ニンゲンニ、フクシュウデキル』ッテ…)

 

きらら「そんな…」

 

(ワタシ、モトモトオクラレルハズジャナカッタ。デモ、キョウダイフタリガココニツレテカレテ、ワタシモオイカケタ…デモ、アイツニアヤツラレテ、ソレデモ、ドウニカニゲタ)

 

スターク「…まさか、さっきの地震は…」

 

(タブン、ワタシガアバレタカラ、クズレタ。デモ、ミンナガキテクレタカラ、ワタシタスカッタ。アリガトウ)

 

慎吾「…いや、こちらこそごめんな」

 

(?…ア、ソウイエバ。ミンナ、ウエニモドリタインデショ?)

 

きらら「え?は、はい」

 

(ワタシ、ミンナヲヒキアゲテ、チジョウマデツレテイク。タスケテクレタオレイ。)

 

ランプ「ほ、本当ですかぁ!?」

 

~~~~

 

で、私達は地上まで戻れることになったわけですが。

 

ランプ「あの…物凄く不安なんですけど」

 

その方法とはなんと魔物さんの身体に捕まって飛び上がるというなんともメチャクチャな物だった。

 

ランプ「ほ、本当に大丈夫ですか?死んだりはしませんよね?」

 

(ダイジョウブ。シヌコトハ…シヌコトハナイカラ、イヤ、ホントニ)

 

ランプ「何でわざわざ言い直した!?不安なんですけど死ぬことはなくても何かしらのトラブルがありそうなんですけど!!!」

 

マッチ「ランプ…お願いだから今は黙ってて 神経集中の邪魔だから」

 

ランプ「何でそんなことしてるのマッチ!?何で覚悟を決めた表情になってるの!!」

 

(サァダマッテ(黙って)ツカマレヨ(捕まれよ)シタカムゾ(舌噛むぞ)ォ!!!)

 

『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドパァンッ!

 

ランプ「ゲホッ、ゴホッ、うえ…し、死ぬかと思った」

 

胡桃「砂が眼に…痛、痛ぁ…」

 

悠里「…『風になる』って、ああいうのを言うのかしら…」

 

飛鳥「おい、何かおかしなものに目覚めかけてるぞ」

 

スターク「…まぁ、何はともあれ脱出成功。改めて、クリエメイト様たちを助けに向かお…」

 

 

 

と、皆が脱出の感想を語り合ったりそれぞれ気合いを入れ直していたその時。

 

『ギュウウウウウウウウウンンンン…』

 

『…え?』

 

大きな影が突然に現れ、低いうなり声が響き渡った。

 

その影の正体は…

 

 

 

 

 

 

 

慎吾「…で、デカミミズ…」

 

きらら「あ、あれって、まさか…」

 

『ギュウウウウウウウウウンンンン!!!!!』

 

『キュオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

 

巨大なミミズの魔物はきらら達に向かって襲いかかったが、きらら達を地上に運んだ魔物はそれを体当たりで阻んだ。

 

ランプ「うわああああっ!?」

 

由紀「す、凄い…」

 

涼馬「…怪獣大戦争みたい」

 

慎吾「言ってる場合か!逃げるぞ!」

 

きらら「で、でも…!」

 

『キュオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

 

魔物同士の対決は明らかにきらら達を助けた魔物が不利だった。理由をあげるとすれば体格が巨大ミミズの方が明らかに大きいこと、また…

 

(…ヤメロ、モウ、コンナコト)

 

(ダマレ!ニンゲンノミカタナドスルナ)

 

かつて共に暮らしていた仲間を止めようとするもの、邪魔をするなら手段を選ぼうとしないもの。どちらが力を発揮できるかは火を見るより明らかだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が。

 

 

『ギュウウウウウウウウウンンンンンンンンン!!!!!』

 

突然、巨大ミミズが切りつけられた。

 

そして、地上に一人の青年が着地した。

 

 

 

 

 

トビ「…ったく、図体デカいくせして逃げ足は素早いな」

 

(オ、マエ…)

 

きらら「…あなたは」

 

トビ「よっす、"召喚士"さん」

 

きらら「えっ?」

 

『ギュウウウウウウウウウンンンン!!!!!』

 

トビ「話は後だ。まずはこいつを何とかしようぜ」

 

きらら「は、はい!」

 

そしてきららは杖を、トビは日本刀をそれぞれ構える。

 

 

 

 

トビ「今度は逃がさねぇぞ…ミミズ野郎

 

 





寒いぜ…(雪国)




~~~~

トビ「さぁ見つけたぞデカミミズ!最初はビビったけど…もう恐れねぇ!…いや、やっぱりちょっと怖いわ」

きらら「ま、まぁそうですよね…」

次回『その刃、高速につき』

トビ「次回もよろしくゥ!」
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