きららファンタジア 三つ子三銃士の冒険物語   作:山崎五郎

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『私『自身』には、何の力もない。』

…そんな事実を嫌でも実感させられました。



……ランプの独白より


作戦決行

ランプ「…あれ?ここは…」

 

「…」

 

ランプ「…あっ!」

 

ランプはある程度周囲を見渡すと、自分が今どういう状況になったのかを理解し、格子の前に座る男から離れるように後退りする。

 

ランプ「あ、あなた…何で」

 

「…この村のためさ」

 

ランプ「え?」

 

・・・・・・・

 

「…というわけさ」

 

ランプ「そ、そんな…じゃあ、私」

 

「ああ。明日には死ぬことになる」

 

ランプ「…っ!ま、待ってください!な、何で…」

 

「?」

 

ランプ「何でそこまでこの村にこだわるんですか!?土地が悪くなったなら別の場所に移れば…」

 

「…俺もそう思ったんだがな、残念ながら他の村人(あのバカ供)にはそんな考えはないらしい」

 

ランプ「…」

 

ガヤガヤ…

 

「…外が騒がしくなってきたな。俺も行くとするか」

 

ランプ「あっ!ま、待って…」

 

~~~~

 

「…ほう。これはこれは神殿の、しかも賢者様達がわざわざ…こんな辺鄙な所まで何の御用で?」

 

シグレ「…ちょっと、この村に御用事がありましてね。筆頭神官様より派遣された次第で…」

 

わざわざ目の前に堂々と現れた、白髪の男性と会話を進める。恐らく彼がこの村の長…とでも言ったところだろう。

 

事情をある程度説明すると村長が、「こんなところまで来てお疲れでしょう。雨も振り出しましたし、飲み物ぐらいだしますので、どうぞ」と声がかかった。

 

~~~~

 

村長「…それで、この村に用事とは?」

 

エトワリアではもうほぼ見かけなくなったいかにも『和』という建物に案内され、畳や障子の部屋で緑茶を出された。

…まあ、飲むわけ無いんですけどね。

 

シグレ「…この村の付近で、神官の一人が負傷して帰ってきましてね

 

村長「…っ」

 

分かりやすく反応してくれた。これは…何かあるな

 

シグレ「それで、周囲を探ったらこの村が見つかりましてね。…何か知らないかと思った次第で」

 

村長「…いえ、流石に知りませんねぇ。何せ、こんな山奥の、しかも森の中に隠れているような村ですので。周囲からもほぼ切り離されており、近くに町も村もなく世間の情報には疎いもので…」

 

シグレ「ふーむ…それは困りましたな。…あ、そう言えば」

 

村長「?」

 

シグレ「カルダモン、あの服(・・・)、あるか?」

 

カルダモン「うん。ほら、これでしょ」

 

村長「…!」

 

あからさまに村長に同様の色が見える。まあ当然か。

 

この村の人間の着ている着物にそっくり(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)なんだもんな。

 

セサミ「先ほど少し村の様子を伺いましたが…どうもこの村の方々の服装によく似た物ですね。随分と統一感のある村で感心します」

 

村長「…それは、どうも。ところで…この服を、どちらで?」

 

シグレ「いや~それが驚いたことにですね?神官を襲ったと思われる犯人がですね、この服を着ていたのですよ~いや不思議だ。…何か心当たりはございませんかね」

 

村長「さ…さぁ?統一感があるとは言っても、こんな服は安物ですから、他の近くの村にでも」

 

カミュ「おや?村長さん、先ほど『周りに町も村もない』とおっしゃっていましたが…」

 

村長「…っ!!そ、そうでしたかな?少し勘違いをしてしまったのかも知れませんな…」

 

きらら「勘違い…?村の村長が、ですか?」

 

村長「…ええ。近頃、年のせいか、頭の働きも悪いもので…」

 

シグレ「…では、もう一つお聞きしても?」

 

村長「…何でしょうか」

 

シグレ「…今、あちらに見える建物…何やら騒がしいようですが、何かあったのですか?」

 

村長「…!!」

 

…ビンゴ。

 

村長「い、いえ…何でも、ありませんよ…」

 

シグレ「そうでしょうか?先程から、何やら村の雰囲気もあまりよろしくないようなので、あそこに何かあるのかと。例えば…人とか?」

 

村長「…!!!」

 

スターク「ん?…ああ、了解。おい、あっちから娘が見つかった(・・・・・・・)ってよ」

 

シグレ「お!そうですか、なら」

 

村長「ッ!!!」

 

村長は見るからに焦った顔で立ち上がり、後ろの掛け軸をダンッ!と強く押す。すると、天井が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

村長「ハァ、ハァ、ハァ…あ、危ない危ない。もう少しで」

 

「『もう少しで』…何です?」

 

村長「!?」

 

~~~~

 

村長は、自分達が生け贄の娘を拐ったことを何としても隠し通すつもりでいた。しかし、彼自身は皮肉にも非常に隠し事が苦手…というよりも、出来ないタイプの人間だったのである。

 

しかし、最終手段である…現代で言うと()天井(てんじょう)で侵入者たちを全て潰すことで、事なきを得た…と、思ったのだが。

 

何故か、今潰したはずの侵入者達の声が聞こえる。どういうことか、彼には理解できなかった。

 

シグレ「…ども~♪」

 

村長「!?な、あ、あんた達…」

 

そして、その侵入者達が、奥の襖から現れた。

 

シグレ「どういうことか分かんない、って顔してるね~ちょっと説明してあげましょっか。…まず、あんた達の前に最初に現れた僕達は偽物だよ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

村長「…何!?」

 

シグレ「ホレ、さっきの天井の下、凄い水が出てるでしょ?あれはさ、カミュさんの氷分身がバラバラに潰されちゃったんだね~」

 

村長「な…だ、だが、あれは人間そのものに見えたぞ!!氷らしい所なんて」

 

シグレ「氷像からは足元に水が出てたんだけどね~気づかなかった?」

 

村長「???そ、それは…

 

 

 

 

 

 

…まさか、この雨も」

 

シグレ「そ。セサミさんのお力でこの村の付近に雨を降らせたのですよ!(本当はリゾットの魔道具にセサミの水魔法を込めて降らせてるんだけどね)」

 

村長「な、なっ…」

 

シグレ「ねえあんた、あんま失敗とかしたことないタイプでしょ?始めから態度で何かあるのはバレバレだったよ」

 

村長「…ふ、フフフフフフフ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハハハハハハハハハハハ!!!いやぁ参った参った!流石は神官様方だ、頭脳が違う!!…が、口の聞き方は分かっていないようですな」

 

 

村長は不適な笑みを浮かべると、パンパンと手を叩く。すると…

 

村の至るところから村人達が武器を手にシグレ達を取り囲んだのだ!!

 

シグレ「…」

 

村長「もう逃げ場はありませんぞ。この村の全てが、あなた方の敵だ…さて、私は行くとしましょう。お前たち!何としてもコイツらを仕留めろ!この村を守るためにな!」

 

『オオオオオオオオオオ!!!!!』

 

 

セサミ「おやおや…随分と勇敢な方々ですね」

 

カミュ「いやいやセサミ。こういうのは『無謀』って言うんじゃね」

 

ドゴオッ!!

 

「ぐぎゃあっ!?」

 

村人の一人が突然叫び声をあげる。よく見ると…カルダモンが飛び蹴りを食らわせていた。

 

シグレ「あ」

 

きらら「か、カルダモンさん!?」

 

スターク「あ~あれは…」

 

カルダモン「…誰や」

 

「はっ?」

 

カルダモン「うちの可愛い弟分をあんな目に合わせたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰やって聞いとるんじゃボケがぁあああ!

 

 

「ひっ、ひいっ!?なんだアイツ!?」

 

「ひ、怯むな!所詮女だ、袋叩きにすればあっ!?

 

セサミ「袋叩きにする?…神殿の賢者に向かって、大層な口の聞き方ですね」

 

カミュ「あーあ。うちの彼女と弟子あんな怒らせちゃって。…どうなっても知らねぇよ?」

 

スターク「おーこわ。ま、俺もそれなりに頑張らせていただきますよっと」

 

きらら「(絶句)」

 

シグレ「きらら!僕達は今のうちに村長を追おう!」

 

きらら「あっ…う、うん!」

 

 

~~~~

 

マッチ「あああ、もうあんな騒ぎが…まずいよ、二人ともまだ切れないのかい!?」

 

ブランク「え、えっと…まだです、ごめんなさい…」

 

ネグロ「そんな急かすなよ白大福猫!俺等妖精がそんな強い魔法使えるかっての!」

 

マッチ「あ、あの~…皆は何でここに?」

 

ネグロ「スタークに言われたんだよ!『俺等が大騒ぎして他の村人を引き付けるから、お前らは小娘(ランプ)を救出してこい』って!でもこの牢案外頑丈で」

 

 

村長「どけ!!」

 

ネグロ「うわ!?」

 

ブランク「きゃあ!?」

 

マッチ「わっ!?そ、そんな、もう…」

 

村長「来い!」

 

ランプ「きゃあっ!?は、離してっ…!」

 

マッチ「ランプ!」

 

~~~~

 

村長「はぁ、はぁ…着いたぞ…神よ!今、貴方への供物を連れて参りました!さあ、我らが村をお救」

 

きらら「待ちなさいっ!」

 

村長「!?」

 

シグレ「やーっと追い付いた。ほら、観念しなさい」

 

村長「っ、ぐ…!神よ、お許しを!!」

 

ランプ「へっ?」

 

村長は『神』と呼び奉っていた箱を開いて、何かを取り出すと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…案の定というべきか、それ(・・)をランプの首もとに突きつけた。

 

それは、羽ペンの様な形をしていたが…羽の部分には、仕込み刀になっていた。

 

ランプ「ひっ…」

 

きらら「っ…ランプ!」

 

村長「近寄るな!!…はぁ、はぁ、早く、帰れ…!」

 

シグレ「チッ…」

 

ランプ「な、何で…なんで、こんな、こと…」

 

村長「黙れ!何も知らぬ小娘の癖に…!お前などに私の苦しみなど、分かってたまるか!!」

 

ランプ「っ…」

 

 

 

『オイ、離せよ』

 

 

…!?

 

何処かから、声が聞こえた。それは、男のような声。しかし、この場からは今まで聞こえなかった声…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…その汚ねぇ手を、さっさと俺から(・・・)離せって言ってんだよ。ジジイ』

 

 

ザシュンッ

 

村長「…え?」

 

 

 

 

 

 

村長は、自分の手元に目線を移す。すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分が手にしていたはずの守り神がひとりでに宙に浮かんでいた。それも…

 

自分の腕を切り落としていた(・・・・・・・・・・・・・)

 

 

村長「…!?!?!?!?!?

ギャアアアアアアアアアアッ!?腕、腕、私の腕がぁあああああああああああああああああああああ!!!」

 

ランプ「え、え、え…?」

 

『…よう。お前が今年の《身体》か?』

 

ランプ「えっ?」

 

『…ほぉ。良いじゃねぇか。お前なら…俺になじむぜ』

 

ランプ「…!?(え、う、腕が、勝手に)」

 

きらら「ランプ!?」

 

シグレ「…!?」

 

ランプは、何故か自分の意思に反して、守り神の羽ペンに手を伸ばし、それを掴んだ。

 

 

ランプ「ッ」ガクッ

 

きらら「ランプ!」

 

シグレ「まってきらら、今は近寄…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィンッ!

 

シグレ「…」

 

きらら「…えっ?…ランプ?」

 

ランプは、羽ペンを持った腕を時雨に振るった。その羽ペンは危険だと、自身も見たはずだというのに。

シグレは咄嗟に自身の武器の杓から剣の刀身を出し防ぐも、もし防げていなければ…

 

 

 

ランプ「…ふっ、フフフフフフフ…アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

シグレ「…!?ランプ、お前…」

 

ランプ?「『ランプ』?ああ、このガキの名前か?悪いな。こいつの身体は…俺が貰った(・・・・・)

 

きらら「…え」

 

ランプ?「もうどれぐらいぶりか忘れちまったが…久々の自分の意思で動く身体だ。…ときめくぜ」

 

to be continued…




守り神/ランプ?

CV:田中幸太郎













次回『『ときめき』を探すもの』

ランプ?「次回もときめくぜ…」
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