どうぞ
俺は俺に見会う身体を探していた。
あの村の連中はその為に利用しただけの話だ。
俺は俺のために生きて、俺は俺のために行動する。
─────???
ランプ?「ハアッ!」
きらら「うっ…!」
ランプが、『守り神』と呼ばれた羽ペンで、私に向かって…いや、多分私の後ろにいる村長に向かって斬りかかった。
咄嗟に杖を構えて防ぐ。けど…
ランプ?「おらっ!」
きらら「きゃあっ!?」
防ぎきれずに飛ばされ、体勢を崩してしまった。ランプ本人の力がどれぐらいかは分からないけど…これは明らかにおかしい!
いくらなんでも強すぎる!
村長「ひっ、ひいっ!?」
きらら「あっ…!」
ランプ?「…よぉ。随分とお前も、苦労したな?」
村長「ひ、あ、か、神よ…」
ランプ?「安心しろ。お前はもう十分、俺をときめかせた…サヨナラだ」
村長「ひっ!?」
きらら「っ…!」
神様?が村長さんに向かって刃を振り下ろそうとする。
咄嗟に立ち上がって二人に向かって駆け寄る…けど、とても間に合わない…!
ギィンッ!
村長「…へっ?」
ランプ?「チッ…!邪魔すんな!」
シグレ「やだね…おい!死にたくないなら外に逃げろ!」
村長「…は、はいっ!?」
シグレ「聴こえなかったのか!逃げろ!」
村長「は、はい…!」
村長さんは、慌ててふらつきながらも外に駆け出して行った。そして…シグレと神様が戦っている所に、私も合流する。
きらら「はっ!」
ランプ?「…っと!」
神様は私の杖の攻撃をひらりと避けると、髪の毛を手で少し払った。
ランプ?「…はっ、やっぱ女の身体だとあんまりしっくりこねえか…ったく、憑依先が限定されてちゃ面倒なことこの上ないぜ」
シグレ「…おい、あんた」
ランプ?「…ああ?なんだ、ガキ」
シグレ「いくつか聞きたいことがある。…お前、何者なんだ?」
シグレが神様に向かって質問を投げ掛けた。…実際私も、この人?について知りたいことがいくつかある。
①(シグレも聞いたけど)この『神様』はいったい何者なのか
②何故ランプに憑依したのか
③目的はなんなのか
…答えによっては、私はこの人を止めなければならない。それに…
あの人が取り付いてるのは、ランプの身体だ。
ランプ?「何者…か?はっ、まあ『人間
きらら「…だった?」
ランプ?「…何年、何十年?もうどのくらい前かも忘れちまったが、誰かが迷惑なことに俺の魂をこの羽ペンの中に封印しやがったのさ。だから、自由に動ける身体が欲しかった」
シグレ「…身体が欲しいなら、適当な人間に憑依でもすれば良かったんじゃないのか?」
ランプ?「俺だってそうしたかったさ。だが…俺を封印しやがったやつは、理由は知らんが女にしか憑依できなくしてたんだよ…
ランプ?「俺のこの力によく『なじむ』ヤツじゃなきゃ、俺は自由に動けなかったんだよ」
きらら「…なじむ?じゃあ、なじまなかった人って」
ランプ?「…聞きたいか?」
きらら「…っ!」
シグレ「やめろ。きららも、そんなこと聞かなくてもいい…それと、もう一つ聞きたい」
ランプ?「何だ?そろそろ終わりにしてくれるとありがたいけどな」
シグレ「安心しろ。これで質問は最後。…お前の目的は何なんだ?」
ランプ?「…目的?」
きらら「あなたは…自分で動くことができる身体を手に入れて、何がしたいんですか」
ランプ?「…別に」
シグレ「…え?」
ランプ?「これと言って目的なんか
きらら「っ…!そんな事はさせないっ!」
私はスタークさんから貰った力を使う。身体が少し熱くなったような独特の感覚を感じるとともに、自身の眼に写る景色の流れが速くなるのが見えた。
そしてそのまま、まずは羽ペンを弾こうと杖を振る。
きらら「…!?」
杖を振るい、ランプに憑依した神様に攻撃したと思った直後、姿が消えた。
ランプ?「…オイオイ。しばらく見ないうちに随分と質が落ちたもんだな」
きらら「えっ…」
後ろから聞こえた声に思わず振り向く。
眼に写ったのは、私に向かって刃を振り下ろすランプ…に憑依した神様。
ギィンッ!
きらら「っ…シグレ!」
ランプ?「チッ…」
シグレ「きらら、大丈夫?」
咄嗟にシグレが割って入って攻撃を防いでくれた。けど、もしシグレが間に合わなかったら…
ランプ?「一人一人は弱くても2対1なら…ってか?なら…こういうのはどうだ?」
神様は武器をペンのように持ち換えると、空中に『
…すると、その文字が何百という弓矢の形になった!
きらら「えっ!?」
シグレ「…マジかよ…」
ランプ?「さて、こいつはどうする?」
~~~~
…一方。神様に腕を切り落とされ、必死に逃げた村長はというと…
村長「ハァ、ハァ、ハァ…あああ、そんな、何てことだ、どうしてこんな…いや、今考えても無駄だ、とにかくここから逃げて…」
カルダモン「はあっ!」
「ぐぎゃあっ!」
セサミ「ディープレイン!」
「うわああああ!?」
「うわぶぶあっ!?」
「どわああああああ!?」
『うおおおおおおおおお!!』
カミュ「アイスウォール」
『ぶべっ!?』
「そ、そんな…さっきまで圧倒的に多かったってのに、もうたった十数人しか残ってねぇだと!?」
「も、もうダメだ!逃げぶはっ!?」
「お、おいどうしたんだ?」
「い、いや、見えない壁みたいなのがあって…」
スターク「…」
村長「…」
村長は、いくら神官であろうと、圧倒的な数にものを言わせれば何とでもなると、高をくくっていた。
…だが、彼は油断していた。
相手は、数の差など覆しうるほどの力を持った賢者、及びそれと同等の存在なのだ。
村長(…に、逃げなくては、この場を離れ)
カルダモン「ねぇ」
村長「ヒッ!?」
カルダモン「キミ…確か村長だったよね?」
村長「あ…ひ、た、助けて…」
カルダモン「助けて?…キミはそう言われなかったの?捕らえた人たちは、お前にそう言わなかったのか?心は痛まなかったのか?」
村長「ひぃ…!」
パチャンッ…
『?』
突然、水溜まりに足を踏み入れたような音が鳴る。
その方向に視線を向けると、
「…」
村長「…あ、お、お前っ…!」
カルダモン「…キミも、この村の人?悪いけど、ちょっと話を…」
「mayo toki o yugameyo kuukanwo yugameyo wagateki wo tnjikome jiyu wo habame」
『?』
突然現れた人物が謎の呪文を呟く。すると…
カッッ!
セサミ「なっ!?」
カミュ「これ…魔方陣か!?」
カルダモン「まさか、今の魔法…!」
スターク「おい!早いとこ逃げ…」
フォンッ
村長「消え…た…あ、ああ!た、助かった、助かったぞ!」
「…ええ。皆さんが殺されなくて、本当に良かったですよ」
村長「あ、ああそうだな、本当に良かった。さあ、早く逃げ…」
「折角のディナーを邪魔されるなんて…我慢なりませんからね♥️」
村長「…え?」
~~~~
シグレ「ハッ!」
ランプ?「甘いんだよ!」
シグレは武器を弓に変形させ、魔力の矢を射つ。が、神は魔方陣を描き出し、その矢を弾いた。
きらら「っ!」
が、その隙にきららが後ろに回り込み神に向けて攻撃を仕掛ける。
シグレの陽動が成功し、真後ろの攻撃には対応しきれず…
ランプ?「おっとっと。危ねぇ…なぁっ!」
きらら「っ!?きゃあっ!?」
シグレ「…ッ!!!」
武器を槍に変形させたシグレが迷わず武器を飛ばしにかかる。が、
ランプ?「甘いっつってんだろ!!"サイクロン"!!」
シグレ「ぐっ…あっ!」
風の魔法を描き出した神に吹き飛ばされてしまった。
シグレ「ぐ…クソ…」
きらら「ランプ…」
ランプ?「…なぁ。お前らアレか?俺からこいつを取り戻そうとしてわざわざ手ぇ抜いてんのか?」
シグレ「何…?」
ランプ?「お前らさっきから俺の
きらら「────っ!」
ランプ?「はっ、甘ぇなぁ。そんな甘いこと考えてるお子ちゃまが勝てると思ってんのか?」
シグレ「何だと…!」
ランプ?「敵に情けなんか掛けてんじゃねえよ。甘チャンが…そんなんだからお前らは何も守れねぇんだよ!力があるなら使え!情けなんぞ捨てろ!自分の求めるためだけに戦え!
…それが俺とお前らの違いってやつだ」
シグレ「…うるせぇよ」
ランプ?「あ?」
シグレ「それが…お前の『ときめき』ってヤツか?
ランプ?「て…めえ…」
シグレ「ランプなら…少なくとも、そんなバカなことは言わないだろうな」
きらら「そうだよ…ランプは、そんなこと言う人じゃない!」
ランプ?「お前ら…さっきから随分とこいつを擁護するじゃねぇか?こいつの記憶を見たが、こいつはたいした魔法も使えねぇ理想ばっかりの役立たずじゃねぇかよ。そんなヤツの何がいいんだ?」
シグレ「お前には分からないよ…自分のためにしか行動できないお前には一生な!」
きらら「ランプは…誰かのことを一生懸命に思って、そして行誰かのために行動できる強さがあるの!」
ランプ?「…黙れよ、せいぜい十数年しかこの世を生きてねぇガキ供が…そんな生き方して何になる?」
「正直者がバカを見るのは世の常だ!そうやって他人の事ばかり先に考えるやつは真っ先に死ぬんだよ!その先には何も残らねぇ!!だから、だから人は、俺は自分のために…!!!俺の、『ときめき』のために…っ!!!」
シグレ「…」
きらら「…」
ランプ?「…オイ、今度は何だ。何を黙って見てやがる」
シグレ「…お前…
何で泣いてんだ」
ランプ?「…あ?」
彼は、その言葉を聞き自分と目元を手で擦る。すると…その手は濡れていた。
確かに、彼は涙を流していたのだ…
ランプ?「何だ、コリャ…くそ、クソっ!!止まれ、止まれ!!なんだ、なんの涙だ、畜生…!!」
きらら「…泣いてる…『パス』が凄く大きな、哀しみに包まれてる…?」
シグレ「…」
マッチ「きらら!シグレ!いったい何がどうなった…」
ランプ?「ッ!!!」
マッチ「うわっ!!」
彼はその場にやって来たマッチを見るや否や、片手で掴みあげ武器の刃を突きつけた。
シグレ「ヤバイ!」
きらら「マッチ!」
ランプ?「邪魔すんな!!」
シグレ達は咄嗟にマッチを助けようと立ち上がろうとする。が、彼はまたもペンで何かの魔法を描き出す。
シグレ「うっ!?」
きらら「うあっ!?」
マッチ「きらら!シグレ!」
突然シグレときららの足元に魔力の鎖が現れた。それに足を絡め取られた二人はその場に倒れる。
ランプ?「"俺は俺のために戦う"…これは、その証明だッ!!!」
きらら「マッチ!!」
マッチ「っ…!」
きららの悲痛な悲鳴も虚しく、マッチに向けて羽ペンから飛び出した刃が振り下ろされ…
…ることは無かった。彼の動きは、何かに押さえられるように止まった。
ランプ?「な…っ!?こいつは…!」
きらら「…?」
『やめ…て…』
ランプ?「!?」
『もう…きららさん達を…傷つけないで…!!』
ランプ?「て、めぇ…!!」
~~~~
『何故だ!?何で意識がある!?お前の心は封じ込めたハズだぞ!!!』
ランプ『いいえ…確かに封じ込められはしました。けど、それは完全なものじゃなかった』
『!?』
ランプ『あなたは無意識に…私を完全に封することを拒んだんです』
『なん…だと…!?』
ランプ『あなた、さっき言いましたよね?「俺は俺のために戦う」って。それなのに、あなたは人を救うことや人のために命を懸けることにはとても敏感に反応してます』
『うるせぇ…だから、何だ!!』
ランプ『あなたも…本当は、誰かのために戦ったことがあるんじゃないんですか?』
『何…!?』
ランプ『あなたも、元々は人間だったんですよね?なら、昔は…』
『ふざけんな!!!俺は、ずっと、ずっと俺のために、俺の『ときめき』のために…ッ!?』
~~~~
「ぐ、うぁ…ああああああああああああああああああああああああああ!?頭が、頭がッ…!ああああああああああああああああああああッ!!!」
シグレ「!?」
きらら「え…!?」
『…はぁ、つまらねぇ』
──?これは、誰だ?
『神様よぉ…どこかに、こんな退屈な俺を、『ときめかせる』様な…そんな凄い奴がよぉ…どこかにいるハズだろ?早いとこ、会わせてくんねぇかなぁ…』
──そうか。これは…
これは…俺の…
次回『追憶』
お楽しみに