きららファンタジア 三つ子三銃士の冒険物語   作:山崎五郎

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『終わりよければすべてよし』という言葉がある。

『例え結果にたどり着くまでの過程がどんなものであろうと、最後に良い結果が出れば良いではないか』という意味合いで使われることが多い。

結果的に最後に自分が望むものが来てくれれば万々歳と言えるこの時勢において多くのものが望むことであろう。



…では仮に。

これの逆だったならば一体君はどう思うだろうか。

たとえ『結果までの道中』が、最後に望んだものより幸せに溢れていたとして…

…最後の最後が『報われない物』であったとき、君達はどう思うだろうか?

この先の話はそれ(・・)を体現したような生き方をした男の話である。

彼の結末が果たして『良い』か『悪い』かは…読者である諸兄らに委ねたい


その研究(みち)の果て

…ここは…?

 

私は確か、あの賢者と銃士に気絶させられて…?

 

身体が、動かない…。力を使いすぎた反動か…?

 

…イヤ…違うな…それだけではない…

 

木に縛り付けられている。魔力の縄をご丁寧に何重にも巻き付けて…

 

…私はこの後どうなるのだろうか…恐らくは…死刑。

軽くとも無期懲役が妥当でしょうね…

 

研究も全て禁止されるでしょう…

 

まあもう…

 

自分の全てをぶつけて…その結果敗北した今は…

 

もう…どうでも良いですがね…

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にそうですか?」

 

?誰だ…?視界が霞んで…分からない。

 

「本当にこれで終わりで…それで良いのですか?」

 

…私には、もう答える気力もない。今まで自分が築き上げてきたものが…ほぼ完成された研究の成果が…

 

「いい事を教えてあげましょうか?…これからここに、筆頭神官のアルシーヴが来ますよ

 

…!?

 

「もし彼女の血を奪い、それをあなたの力に出来たら…一体どうなるでしょう?…ほら、まだ立ち上がりたくなったでしょう?」

 

…欲しい…新しい力…私を…進化させる…!

 

「さぁ、動きなさいクラウス…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の筋書き通りに…」

 

 

 

〜〜〜〜

 

それから少し時を遡り…

 

ソルトと共にどうにかクラウスを撃破した後、奴を魔力の縄で木に縛り付けて兄さんと合流しようと連絡を取った。

 

 

ヤナギ「…もしもし。兄さん?」

 

シグレ「お、ヤナギか。どうした?」

 

ヤナギ「クラウスを倒したぞ。そっちは無事か?」

 

シグレ「…フフッ。ヤナギ…

 

 

『俺につまらん質問をするな』。とだけ言っておくよ」

 

ヤナギ「…どうやら無事みたいだな。安心したよ」

 

ソルト「…それはそうと二人とも、クリエメイトはどうなったんですか?

ヤナギの話によると、クラウスが身に着けていた腕輪に閉じ込められているとか聞いたのですが…そんなものは見当たりませんよ?」

 

ヤナギ「さっきソイツを倒した時に腕輪にひとりでにヒビが入って壊れたのを見た…そこから光の球みたいなのがいくつか飛んでいってたな。たぶんクリエメイトだろうよ」

 

シグレ「光の球?」

 

ヤナギ「俺にも原理はよくわからんから詳しく聞かないでくれ…それより、コイツを気絶しているうちに縛り上げるぞ」

 

ソルト「…はい」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

ランプとスタークさんと協力してどうにか獣人の群れを倒した後、突然どこからともなく光の球達が飛んできた。

 

その球は私の目の前に落ちて来ると、そこからクリエメイトの皆さんが現れて、事情はよく分からないけどとりあえず無事を喜びあった。

 

クリエメイトの皆さんと再開と新しい冒険を約束した(ヒカワさんって人はちょっと嫌そうにしてたけど)直後、これまでと同じように身体が光りだした。

 

マッチが言うには、さっきのいざこざのせいでクリエケージごと破壊されていたのかも知れないとのことだ。

クリエメイトの皆さんとは急な別れになってしまったけど、きっとまた会おうと約束した。

 

 

きらら「ふぅ…何だか、今回は色んな事が起こりすぎて疲れたよ…」

 

ランプ「はい…あの獣人の群れ、一体何だったんでしょうかね?」

 

スターク「…あちらさんに聞いてみたらいいんじゃあねぇの?ホレ、あっちの方からなんか来てるぜ」

 

マッチ「え?」

 

スタークさんの言葉の通り『パス』を調べてみると、これまで感じなことのある『パス』が3つ。

その方向の茂みから現れたのは…

 

 

 

 

 

 

ソルト「…やはり、『オーダー』は既に失敗していましたか。…まぁ、今回は別の問題に気を取られた私の失策ですかね…」

 

ランプ「そ、ソルト!?そのケガは一体…!?」

 

きらら「それにシグレにヤナギも…」

 

シグレ「へへ…まぁそれに関しては二人でゆっくりどこかで食事でもしなが」

 

ヤナギ・ソルト(ギロッ)

 

シグレ「ヒエッ」

 

きらら「?」

 

ソルト「…まあいいでしょう。それよりも私が今気になるのは…召喚士、あなたです」

 

きらら「…私?」

 

ソルト「…ええ。クリエメイトに変身した私を偽物だと見抜いたあの力です

 

きらら「…!!」

 

ソルト「私の変身魔法は完璧でした。あそこでトオルが本物かどうかを見分ける質問をしてこなければバレない程には。にもかかわらず、あなたは私の変身をなんの確証もなく偽物だと言ってみせました。それに、クリエメイトをあれだけ見つけ出すのは容易ではないはず。…実に興味深いです」

 

きらら「…」

 

シグレ「…」

 

ヤナギ「…」

 

スターク「…あー、お前さんさっきからなんの話ししてんだ?そんなもん見たことも聞いたこともねぇんだが?」

 

ランプ「そうですよ。それに、仮に知っていたところであなたに教えるとでも思いますか」

 

ソルト「…ええ、そうですね。私としても素直に教えてもらえるとは思っていません。…ですが、召喚士、あなた自身は(・・・・・・)何も否定しませんでしたね。

それに…シグレ、ヤナギ、確か二人は、召喚士と交流があるのでしたね」

 

きらら「っ!」

 

ソルト「…これは貴重な情報です。アルシーヴ様に報告すれば」

 

と、ソルトが話し終わる前に、

 

スタークさんの魔銃が火を吹いた。

 

シグレ「…危ないことするじゃねーのオッサン。不意打ちなんて趣味が悪いんじゃない?」

 

スターク「…あー。何だ、まぁそこの獣人のガキに理解してほしくてよ。自分が今どういう立場にあるのかってな」

 

ソルト「…」

 

スターク「こっちはさっきの戦闘の疲れがあるとはいえほぼ万全の状態。比べてそっちは応急処置しているとはいえ負傷者が二名。どっちが有利かは火を見るより明らかってやつだろ?」

 

 

 

 

「…確かにそうだな」

 

きらら「っ!?」

 

ランプ「きららさん?どうしたんですか?」

 

きらら「…誰かが…来る」

 

スターク「誰か?」

 

きらら「何これ…ぐちゃぐちゃで、まるで無理やり繋げた様な歪な何かを感じる…」

 

マッチ「…『無理やり繋げた』って…そんなの…」

 

 

 

 

 

 

ソルト「…アルシーヴ様」

 

アルシーヴ「…」

 

スターク「いきなり親玉登場かよ。ちょっと腰が軽いんじゃあねーの?」

 

アルシーヴ「…」

 

そのスタークさんの挑発を一瞥し、アルシーヴはソルト達のところに歩み寄ろうとする。

けど、数歩近づくと壁のようなものに阻まれた。

 

スターク「おーっと。悪いがそう簡単には渡してやらねーよ?せっかく出来た人質なんでな」

 

きらら「ひ、人質って…!」

 

スターク「悪いがよきらら。俺はお前とかランプと違って使えそうなものは何でも使うタイプなんでな」

 

アルシーヴ「…」

 

アルシーヴはスタークさんの魔法障壁をコンコンと何回か叩くと、指をパチンと鳴らす。

 

すると、私達の目の前にいたソルト達がアルシーヴのすぐ隣に移動していた。

 

きらら「えっ」

 

スターク「…チッ」

 

アルシーヴ「…ランプ。お前は神殿へと戻っていろ」

 

ランプ「…っ!嫌です!あなたの行いは絶対に間違っている!」

 

アルシーヴ「…愚か者が。」

 

ランプの反論をそう斬り捨てると、今度はこちらを見た。

 

アルシーヴ「…お前が、召喚士か」

 

きらら「…あなたを、止めます」

 

アルシーヴ「ランプにそう乞われたからか?」

 

きらら「最初のうちはそうでした。でも、今は…自分の意志です」

 

アルシーヴ「そうか。…何もしないならば放って置くつもりだったが…自ら敵対するというのならば、容赦はしない」

 

 

〜〜〜〜

 

 

シグレ(あああああああああああああヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイこうなるとは思ってたけど…!)

 

ヤナギ(だからってここで割って入ったりしたら俺達までいらぬ疑いをかけられるぞ…そんな事になったら…)

 

ソルト(二人とも先程から何をヒソヒソと話しているのでしょうか…?まあいいでしょう)

 

ヤナギ達が敵を倒した以上、このまま何事もなく、元のストーリー通り、話が進むことになると。

そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

…突如隣を横切った火球に、その考えは吹き飛ばされた。

 

きらら「えっ!?」

 

アルシーヴ「ッ!?」

 

シグレ「ッ…!」

 

とっさに二人と火球の間に割って入り、真上に吹き飛ばした。

そして、火球が飛んできた方向から黒いスーツを更に血で赤黒く染め上げた男が現れた。

 

クラウス「ぁあああアルシーヴぅううううううううくクククッ!!!ぉぉオオオお前の血を寄越せぇえぇぇエエえぇえぇぇぇ」

 

ランプ「ひっ…!?」

 

ソルト「な…クラウス!?」

 

ヤナギ「どう言う事だ…確かに縛り上げておいたはずなのに…」

 

クラウス「ハァ、ハァ…アルシーヴゥ…お前は…この世界において、『特異点』と呼んでもいい存在だァ…!!

血統については知らないが、様々な属性の魔法を自在に行使できるお前の血を取り込めば、私は更に進化できるゥゥゥ…!!

そして召喚士きららァ!あなたの『コール』も、実に興味深いですねェ…ウクッ、うくクククククククククッ…!!

 

さぁ、血を寄越せェエエエエエッ!!」

 

 

そう、クラウスが叫び、こちらに襲い掛かって来ようとした瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラウスの胸部を、腕が貫いた。

 

 

クラウス「…は?」

 

アルシーヴ「な…」

 

きらら「え…」

 

シグレ「…!?」

 

「…ようやく、スキを見せてくれたな。正直言ってヒヤヒヤさせられたぞ?」

 

クラウス「キ、サマ…」

 

クラウスが地面に倒れ伏した。

貫いた腕の主は。

 

 

 

 

きらら「…シグレ?」

 

僕に瓜二つな顔をした銀髪の男だった。

 

シグレ「…お前」

 

シグレ?「…ああ。驚かせてすまないな。これも俺の作戦の為だったんだよ…

 

 

 

コイツの力を…俺のものにするための、な」

 

クラウスを貫いた、握りこぶしを広げると。そこには歪な色の焔があった。

そしてその男は、それを自分の肉体に押し込んだ。

 

シグレ「…」

 

シグレ?「…近頃のクラウスの蛮行は目に余るものだった。研究の為なら手段を選ばず、俺達の計画の本分すら投げ出すことも多々あった。

だからいっそ、こうして力を残して始末することにしたわけだ」

 

きらら「…」

 

シグレ?「…おいおい、そんなに驚いた顔をしないでくれよきらら。私は何もお前を恐がらせようとした訳じゃ」

 

 

シグレ?ときららの間を刃が通り抜けた。明らかに銀髪の男に寄って。

 

シグレ「…何気安くきららに触れようとしてんだ、コラ」

 

シグレ?「…フッ、随分とお怒りだな?が…

 

 

 

 

 

今回お前の相手をするつもりはないんだ」パチン

 

 

シグレ「!?」

 

ヤナギ「なっ…!?」

 

ソルト「これは…転移魔法陣!?」

 

アルシーヴ「強制転移だと…!?」

 

四人の姿が消えた。

 

 

シグレ?「…安心してくれ。殺したわけじゃない…神殿に送り返しただけさ。

…次に『オーダー』が行われるのは、言の葉の樹の麓の街だ」

 

きらら「…え?」

 

シグレ?「そこでまた会える気がするんだよ…それじゃあな」

 

…………………

 

ランプ「…きららさん」

 

きらら「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルシーヴ「!」

 

ここは…神殿だ。

 

あの銀髪の…シグレに瓜二つの男。あの男の転移魔法で…

 

シグレ「…アルシーヴ様」

 

アルシーヴ「?」

 

シグレ「…次の『オーダー』が行われるときには…僕を補佐に行かせてください。

…多分、あいつも出てきます。あいつは…僕がどうにかします」

 

アルシーヴ「…分かった」

 




急な展開からの次回予告は作者の特権よォゥ!!(暴論)



次回『金髪って創作物だと必ず一人は居るよね』












アルバトラン「…筋書き通りにクラウスは死んだ、と。ある程度溜まっていたクリエの回収も問題なし…そして、あのシグレ。
…物語は滞りなく進んでいる…私の望む方向に…さてギドラ。次の戦いには貴方にも協力してもらいますよ?」

ギドラ「…チッ」
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