きららファンタジア 三つ子三銃士の冒険物語   作:山崎五郎

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謎の髑髏指輪「…ようお前ら。今回の話を読む前に、とある楽曲を2曲、用意してほしい。
一つ目は『牙狼 SAVIOR IN THE DARK』。この歌手、いい声してるぜ?
二つ目は、『レオン ガロ召喚』。こっちは歌はないが…いいメロディだろ?

一つ目はきららの戦いで、二つ目はシグレの戦いで流してくれよな。じゃあ、本編だ」

3/13 『陰我』の当て字についての解説がなく読者を混乱させてしまった為解説を後書きに加えました。
勘違いさせてしまい申し訳ありません










街を包む恐怖の荒波。それを消し飛ばしたのは、眩く輝く綺羅星のような二人の青少年だった。



――――――とある詩人の詩より


二つの希望

きらら「…」

 

銀の髪の青年は、理解できなかった。

 

なぜ、目の前の少女はそんな姿になっている。

 

全身が眩い黄金に輝き、瞳は橙色に光を反射し、まるで怒る狼の如き頭部の鎧を纏っていた。

 

自分の記憶の中に、そんなものは存在しなかった。

 

…だが。本能がこう告げた。

 

 

『この力は、必ず自分にとって脅威になる。即刻排除せよ』と!

 

 

青年は自身の力の象徴、青黒い荒波を、そしてそれらを変化させた刃の数々を、少女に向けて容赦なく放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれらは、一瞬にして炎を上げて消え失せた。

 

シグレ(銀)「!?」

 

きらら「…」

 

カキン、カキン、と鎧が音を立てながら少女は青年に歩み寄る。

 

シグレ(銀)「…ッ!!」

 

青年は本能的に少女から距離を取り、次々と魔法を、武器を放つ。が、それらはやはり炎を上げ消滅するのみだった。

 

それは即ち。

 

 

青年の力は、今の少女の前に一切通用しないという現実を示していた。

 

シグレ(銀)「…っ!そんな、バカな…バカな!!」

 

青年は、そんな現実を信じるまいとその手に刃を取り、少女に向けて振り下ろす。

 

 

 

…しかし、その鎧は刃を通さず、数秒後にやはり炎を上げて消滅した。

 

シグレ(銀)「…!!」

 

きらら「…ハアッ!!」

 

 

ドゴォッ!

 

シグレ(銀)「ごほ、ッ…!」

 

油断を見せた青年の隙を見逃すことなく、少女は青年の腹部に正拳突きを放つ。青黒い液体を飛び散らせながら、青年は吹き飛び、地面を転がった。

 

シグレ(銀)「ごはぁ…ば、かな…!!こんな…!!!」

 

きらら「…確かに、あなたのやり方なら、多くの人が救われ、争わずに済むのかもしれない…

 

それでも、それは多くの人の犠牲と引き換えになることは間違いない!それなら、私はそれを認めることはできない!!」

 

シグレ(銀)「!!」

 

きらら「シグレ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方の陰我、私が断ち切る!!!!!

 

シグレ(銀)「…ほざけぇッ!!!!!」

 

青年は叫び、無謀にも再び刃を振りかざす。

 

しかし、何度少女を斬りつけようと、鎧はその刃を通すことなく弾き返す。

 

シグレ(銀)「…ッ!!アアアアアっ!!!!」

 

青年は怒りのままに力を増幅させ刃をより巨大なものへと変化させる。それを強く、少女に向けて振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

きらら「…はあっ!!」

 

シグレ(銀)「…っ!?」

 

少女はそれを鎧の腕で弾き返す。そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きらら「おおおおおおおお…ハアッ!!!!!

 

シグレ(銀)「が…は…」

 

 

 

その杖が、銀の髪の青年を両断し。

 

青年は、青黒い水に還った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ランプ「…へっ?うぇ!?なんですかこれ!?」

 

スターク「…分身か。面倒くせぇ事しやがって…」

 

 

きらら「…(ギィン)…っ、とと」

 

ランプ「?!きららさん、大丈夫ですか!?」

 

スターク「ありゃ…まだ急拵えな力じゃ負担が大きかったか?要修行だな」

 

きらら「はい…」

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

シグレ「…はぁぁ…」

 

水色の髪の青年は、己の新たな力で生み出した刃の反りの部分を、左の前腕に擦りつけ構える。

 

低く唸り声を上げながら銀の髪の青年を鋭く睨みつけるその様は、さながら獲物に狙いを定める肉食獣を思わせる構えだ。

 

シグレ(銀)「…」

 

銀の髪の青年は、それに対し容赦なく魔力の荒波を向かわせ、飲み込もうとする。

 

 

 

シグレ「…おおおお…はアッ!!!」

 

シグレ(銀)「何っ!?」

 

 

しかし水色の髪の青年は、それらを青白い太刀で横薙ぎに一閃し、さらに消し飛ばしてみせた。

 

 

シグレ「…一つ言っておいてやる。この刀には…全ての属性の魔力が込められている

 

シグレ(銀)「…!」

 

シグレ「並大抵の力技で…どうにかできると思うな!!」

 

シグレ(銀)「チィッ…!なら」

 

銀の髪の青年は舌打ちを溢すと、荒波を刃の数々に変化させる。

そしてそれらを雨のように水色の髪の青年に向けて降り注がせた!

 

シグレ(銀)「一太刀であの荒波を薙ぎ払えるのは大したものだ、認めよう!が…これだけの無数の刃、それ程の力でもそう簡単には」

 

ドゴォォンッ!!

 

シグレ(銀)「…は?」(バカな、またたった一太刀で…あれ程の刃を全て…)

 

シグレ「…無数?たった数百か数千が『無数』だって?

 

…サバ読んでんじゃあ無いぞ。それでも前世は僕と同じ時雨なのか?」

 

シグレ(銀)「…っ!!」

 

銀の髪の青年は、再び魔力を発生させる。今度は荒波だけではなく、燃え盛る炎、激しい自然災害をも錯覚させる竜巻、激しく隆起する土や鋭い岩、焼け付く陽光や鋭い月光。それらを水色の髪の青年に向けて放った。

 

が。

 

 

シグレ「…オオオオオオオ…!!」

 

結果は同じ。あらゆる属性魔力を融合させ、すべてを消し飛ばせるだけの威力を持った刃には、やはり鎧袖一触で消し飛ばされるのみだった。

 

シグレ(銀)「…っ!!馬鹿な…」

 

シグレ「ウオオオオオオオオ!!!」

 

シグレ(銀)「っ!」

 

ギィン!

 

シグレ(銀)「…っぐ!!(対処ができないわけではない…!先程のやつの詠唱…それに発言…すべての魔力属性を一つにしていると言うなら、同じようにすべての属性を混ぜればいい…が!)」

(何なんだこの負担は!?ほぼ無尽蔵と言っていい俺の魔力が、凄まじい勢いで減っていく感覚…!それに、ほんの少しでも魔力のバランスが崩れれば…っ!)

 

シグレ「はあッ!!」

 

ザンッ!!!

 

シグレ(銀)「ぐ、がぁ…!!」

(すぐさま防御は崩れ去り、圧倒時な一撃がこちらに飛んでくる…!なぜだ!?なぜヤツは平然とあんな力を持続して戦い続けていられる!?)

 

シグレ「…お前、さっきから魔力だけに依存して戦ってるな(・・・・・・・・・・・・・・)

 

シグレ(銀)「!?」

 

シグレ「…攻撃も、防御も、移動も、全て。膨大で自由自在な魔力に依存してる…それがお前の弱点だ!!」

 

 

…魔力とは。このエトワリアにおいてはもはや、一般常識の部類に入っていると言っても過言ではない。

 

平民、貴族、騎士、神官、魔道士…様々な人々たちが居るこのエトワリアでも、誰にでも魔力は共通して存在している。

 

生きるために必要なクリエから残った、魔力という概念は、そしてそれらを利用した魔法というものは、言ってしまえば誰でも使うことはできる(力が強いものとなるとそれ相応の訓練が必要となるが)。

 

が、裏を返せば魔法の力は『(比較的)簡素に使える強力な力』であり、本当に鍛え上げられた、外的からさらに力を上乗せした強力な力の前には脆い。

 

例えるならば、どれほど頑丈な、人を殴りつけて倒せる木の枝であろうと、職人により鍛え上げられ、より相手を倒すことに特化した鋼の剣の前には敗れる…とでも言ったところか。

 

今この状況において、前者は銀の髪の青年。後者は水色の髪の青年であることは、もはや言うまでもあるまい。

 

シグレ(銀)「…バカな…(俺が…負けるだと?これほどまでの力を持った俺が…真にこの世界を思い動く俺が…!?)」

 

 

 

(…ふざけるな!!!)

 

(俺は負けない!負けるはずがない!!俺の力は『想い』!!!俺のほうが、俺のこの世界(エトワリア)への思いの方が!!!!)

 

シグレ(銀)「なぜだ!!!なぜお前は、この世界を守ろうとする!!間違ったこの世界を!!!!」

 

シグレ「…」

 

銀の髪の青年は激情を露わにし、刃を手に水色の髪の青年に斬りかかる。

 

シグレ(銀)「俺もお前も、理不尽に幸せを奪われた!!だからこそ、もう二度とそんなことにはならないよう動こうと誓った!!そして今のこの世界は間違っている!!!だからこそ真の平和を取り戻そうと戦おうと決めた!!!

なのになぜだ!!なぜお前はそのままでいられる!!

 

俺とお前は同じはずだ!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違う!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シグレ(銀)「…が…」

 

シグレ「お前は…この世界が平和でさえあれば、それでいいんだろ!!!例え間違っていると蔑まれても、他にどんな人々に理不尽を押し付けても、自分が平和だと、幸せだと思えれば、それでいいんだろ!!!!

 

シグレ(銀)「ち、違う…お、俺は…俺の、理想は…エトワリアは…」

 

シグレ「そんなものは…ただの価値観の押しつけでしかない!!僕は…僕は!!!ウオオオオオオオオオオオオオっ!!!

 

シグレ(銀)「…ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんな困難が待っていても…どんなに苦しむことになったとしても!!!!

 

 

ヤナギ『…兄さん』

 

コノハ『お兄ちゃん!』

 

ランプ『…!シグレ!』

 

 

 

 

 

 

きらら『…シグレ!』

 

 

皆が心から笑っていられる世界の、平和の為に戦うんだ!!!!!

 

 

 

シグレ「オオオオオオオオオオオアアアアアアアアッッ!!!!!!!!!!!

 

 

シグレ(銀)「が…は…ァ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…光を見た。

 

必死に逃げ惑い、もう助かる道はないと。希望などないと思っていた。

それでも必死に町の外に逃げ、絶望しかないと思っていた街に見えたのは。

 

 

…夜空に眩く輝く綺羅星のような、二つの希望の光だった。

 




(つい)(ことわり)

シグレが必死の努力の末生み出した、新たな力。火、水、土、風、陽、月を寸分違わずのバランスで己の武器に込めその力を開放することで、あらゆるものを吹き飛ばす刃を生み出す(本人曰く『刀だけじゃない』とのこと)。
が、勿論どんな武器でも出来るわけではなく、シグレ自身の強大な魔力に耐えうるだけの強度と耐性を持つ武器でなければ発動はできない。



黄金騎士(おうごんきし) 牙狼(ガロ)

某魔戒騎士達が戦うシリーズでは騎士の鎧の最高位と称される黄金の狼を象った騎士の鎧。
なお、本作の牙狼の鎧はきららが纏っているため鎧+きららのマントという状態となっている。
本家では装着者によって瞳の色が変化するという特徴が存在し、きららの牙狼の瞳は橙色。

本家のマント装備牙狼も滅茶苦茶カッコいいのでぜひご覧になっていただきたい。


貴様の陰我、俺が断ち切る!

本家『牙狼』において受け継がれる名言の一つ。
黄金騎士やそれに強く影響を受けた人々が主に使う。

『牙狼』シリーズの監督の雨宮慶太氏曰く、『陰我』とは自分の欲望を昇華させるためには人の命や大切な物が無くなっても構わないと思う《ココロ》とのこと。
殺人を犯した人だけでなく子供を溺愛しすぎた人の《ココロ》もまた陰我となるのだという。

↓雨宮慶太氏のTwitterの詳しい解説

https://twitter.com/keitaamemiya01/status/1306621760918306822?t=Lqgcvt9WsFccYFkkX6HGoA&s=19





謎の髑髏指輪『この街の戦いは終わりを迎えた。しかしながら、どうやらまだまだ旅が終わることは無さそうだぜ?それにどうやら、おかしなことを考えてる野郎は他にもいるみたいだな』

次回『執怨』

『そういや、二人以外にも戦ってたやつは居たよな?』
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