人は何かが戦う様を見ることに喜びを、快楽を求める。
それがたとえ、血と命を散らす果し合いであろうとも。
シグレ「…さて、クリエメイトを全員保護しつつ、魔物と街から上手いこと離れられたわけですが…こっからどうする」
ランプ「どうするって…そりゃいつも通りクリエケージを探し出してクリエメイトの皆さんをお帰しするんじゃ…」
…うん。そうだよ。そうなんだけどさ。
コノハ「そのクリエケージはどうやって見つけんの?」
ランプ「いやだから!いつもどおり街の人に聞き込みするとか、それっぽい人や建物を探す…あ」
どうやら察してくれたご様子だ。
きらら「…今回のオーダーは『誰がやったのか』分からないし、街で聞き込みするのも、あんな状況じゃ…」
スターク「いや、厳密に言えばおおよそ推測はつくんじゃあねーのか?オーダーの邪魔してきた例の殺し屋共とかその辺だろ」
ヤナギ「可能性としてはあり得るな。
…でも、限りなく『低い方のあり得る』だけどな」
ランプ「え?どうして…」
マッチ「そもそも殺し屋達は依頼を受けて指名された相手を始末するのが基本だ。そんな連中がわざわざ負担の大きい『オーダー』を使ってまでクリエメイトを呼び出してどうする?」
ランプ「うう、ん…確かに」
なる「…どうしよう、全くついて行けない…」
ハナ「えーと、『クリエメイト』って言うのは、多分私達のコト…なんデスよね?」
なる「うん…」
ヤヤ「それで私達は誰かに呼び出されたとかなんとか…正直ピンとこないわ」
マチ「そりゃあそうよ…こんな非現実的な…というか、私達のこの格好だって」
ヤヤ「…うん。まぁ、なんていうか…タミさんとマチさんはもう…」
なる「うん…」
ハナ「ハイ…」
タミ「あ、あはは…」
マチ「…私達だって好きでなってるわけじゃないわよ。こんな…こんな、ち、ち、ち…」
ヤヤ「あー無理しなくていいから!うん!」
なる(…でも、良かった…きららさん達の話してる感じだと、今来てるのは5人だけみたいだし…とりあえず、それのお礼ぐらいは言っておかないとね!)「あの…」
ドゴオンッ!!!
なる「………!?」
ハナ「え!?」
ヤヤ「ちょ、な、なになに!?」
一瞬の出来事だった。
私がシグレさん達にお礼を言おうと話しかけようとしたとき、狐の仮面を頭に付けた女の子が金棒を持ってこっちに飛んできていたから。
そして、その女の子は私が声を掛ける間もなく反応していたコノハさんに蹴り飛ばされていた。
コノハ「全員私の後ろに下がんな!!敵かもしれない!!!」
なる「えっ!あ、は、はいぃ!!」
「痛ってェ…!」
『!?』
え、え、え!?
だって、あんな、思いっきり蹴られて、壁にめり込んで…!
「こンの野郎…!」
コノハ「キレたいのはこっちなんだよクソガキ。いきなり金棒なんぞ振りかざして襲いかかってきたくせして…」
「うるッせェ!こっちだっていい加減テメェらの相手すんのもくたびれてんだよ!!神殿の腐れポンチ共が!!!」
シグレ「なんてこと!ビックリするほど悪い口!!」
ヤナギ「ちょっと待て。その口振りだと他にも神殿から人が来たことがあるってことか?この街に?」
「とぼけんじゃねェ!!てめぇらしつこく
シグレ「…ん?『ここを』?」
きらら「…見たところ、普通の小屋だけど…」
「とぼけんなッて…言ッてンだろうがぁッ!!!」
シグレ「ッ!!」
きらら「ひゃっ!?」
ドゴオッ!!
シグレ「小屋に何かあるみたいに言っといて自分でぶっ壊してちゃあ世話ないな…」
「やかましい!希望だのなんだの嘯いて、結局テメェら神殿の連中なんざどいつもこいつも権力欲に塗れた薄汚ねぇ奴らなんだろうが!!いっそここで全員心中でもさせてやろうか!?」
シグレ「よく喋る!!」
「う゛っ!?」
なる「えぇ!?」
何だかよく分からないまま、金棒を振り回して暴れる女の子をシグレさんが思い切り蹴り飛ばした!!?
「ゲホ、ゴホ…クッソぉ…!」
きらら「し、シグレ、ちょっとやりすぎじゃ…」
シグレ「向こうはこっちのこと仕留める勢いで来てるんだよ?下手に手抜いたらやられるよ」
「こンの…!!」
「ウルシィ!!!やめねェかこのバカ孫がァ!!!」
『…ッ!?』ビリビリビリ
空気が、震えて…!
ウルシ「…じっ、ジィちゃん…痛デェ゛っ」
「ったく、このバカ孫が…申し訳ねぇお客人、うちの孫が…」
シグレ「孫ォ?」
ウルシ「で、でもよぉジィちゃん!コイツラは神殿の連中なんだろ!?最近噂に聞く『三銃士』とかいう連中にそっくりじゃねぇか!!」
「馬鹿。最近の連中なのが問題だ…ま、少し前の連中なら俺も喜んでふっ飛ばしてやったがよ」
ウルシ「だったら…!」
「だが、今の連中は違う。お前にも早いとこ教えとくべきだったな…あー、その、なんだ。あの…アルカードだっけ?」
シグレ「もしかしなくてもアルシーヴ様のこと言ってる?」
「あーそうそう。それとソラだっけか。あのお嬢さん達が女神と筆頭神官になってからここへの押しかけもだいぶ減ってな」
シグレ「…」
ランプ「押しかけ…?」
「…なんだお嬢さん、知らねぇのか?
…この際だ。歩きながら話そうか」
ウルシ「なっ…ジィちゃん、本気かよ!?」
「ああ。どうせいつかは話さなきゃならねぇことだ。…それに、いい加減
シグレ「…ところで歩きながらってどこに?」
「ええと…ちょっと待っててくれよ確かこの辺に…
あーとこっちをこうしてこれだったかな」ガチャガチャ
シグレ「本当に大丈夫なのかアンタのおじいちゃん」
コノハ「呆けたりしてないよね?」
ウルシ「いやーどうだろうなァ 最近物忘れするの多くなってる気が」
「うるせぇよガキ共!集中できねぇだろ!!」
『すンませんでした!!!』
(打たれ弱っ…)
「…おし、で、最後にこれを…」ガコン
ズズズズズズ…
ハナ「wow! ジャパニーズカラクリヤシキ!デスね!」
ヤヤ「隠し階段…それも地下向き?異世界とはいえ、こんなものを見ることになるなんて…」
きらら「…」
ランプ「…」
マッチ「…」
スターク「…」
なる「…きららさん?」
きらら「あっ、い、いえごめんなさい。何でもないんです…」
↑砂漠で同じようなところを見た上実際に降った人達
・・・・・・・
シグレ「…そう言えば爺さん、アンタの名前を聞いていなかった…自分はシグレ、それと弟のヤナギと妹のコノハな」
「こりゃあ丁寧にありがとよ。俺ぁツヅリだ。よろしく頼むぜ神官サマ」
シグレ「…それはそうと、こんな地下に何があるっていうんだ?随分深くまで降りて行ってるけど」
ツヅリ「…なぁに、もうじきだ。…お、着いたな」
そこは真っ暗闇。
何も見えねェ
シグレ「…何ここ。また真っ暗闇?なんかやけに広いけど」
カタ
なる「ひゃっ!?」
ヤヤ「なる!?どうしたの!?」
なる「ご、ごめん。なにか足に当たって…」
ツヅリ「…お嬢さん達、あんまり動き回らねぇ方がいい。ここに灯りが…おし」
ボッ。と灯籠の一つに火が点く。
それを皮切りに、他の灯籠にも次々と火が点っていく。
全てに火が点き終わると。
きらら「…なんですか、これは?」
きららはそう不思議そうに呟く。
しかし、シグレは、ランプは、マッチは、三銃士の二人は、そして一部のクリエメイトは、スタークは、口を閉じたまま。
それは前世からの記憶か、あるいは外部から得た知識か。
何にせよ、目の前の
ツヅリ「…神殿の方々はともかく、クリエメイトのお嬢さん達も何かは分かってるみてぇだな」
ウルシ「…」
シグレ「………闘技場か」
きらら「とうぎ、じょう?」
シグレ「…きららは知らなくていい、って言いたいけどなぁ…言わなきゃ駄目だよなぁ…
言葉を選ばずに言えば、戦いをするための場所だよ」
きらら「…えっ」
シグレ「…勿論、普通に地上にあるっていうんだったら問題は…まぁ、無いわけじゃあないけど。
でも、ここは違う。こんな地下に造られてるうえに、わざわざあんな形で隠してある。加えて…さっき上の小屋にたまたま逃げ込んだだけで勘違いされて襲われるぐらいだ…明らかに『
ツヅリ「…凄ぇな。最近の神殿の連中はそんな推理が得意なやつばっかなのか?
その通りだ。ここでは昔…訳ありな連中や腕自慢の流れ者達による闘技大会が行われてたんだ」
コノハ「…闘技大会ねぇ。その割には、随分この地面に埋もれてるものがおっかないと思うけど?」
ハナ「埋まってる、モノ…?」
マチ「ハナちゃん見ちゃダメ。皆もよ」
スターク「…コイツは…」
そこにあったのは、なにか白くて硬い…でも、不自然に欠けた様な何か。
…おそらく、歯か、骨か。
ツヅリ「…いや、大会なんて生温いもんじゃあねェな。ここで行われてたのは…半ば殺し合いに近いことだ」
『…ッ』
その場にいたほぼ全員が息を呑んだ。当然だ。
自分たちが今立っている場所で、殺し合いが行われていたなどと知れば、余程心身がおかしくない限りは動揺を隠せないだろう。
ヤナギ「…俺からも一つ、聞いていいか」
ツヅリ「…何だ」
ヤナギ「…その試合に、神殿の人間も含む金や権力者は絡んでいたのか?」
ランプ「…あっ!」
ツヅリ「…ああ。とは言っても、表向きにはそんなこと知られるわけにはいかねぇと、内密にされてきたみたいだし、ごく一部だったがな」
『………………』
スターク「そりゃあつまり、ここで行われてたのは掛け試合ってことか?」
ツヅリ「…」コク
スターク「…なら、
ツヅリ「…お察しではあるだろうが、この際だ。
…そういった金は、すべてこの街の
きらら「…まさか」
ツヅリ「…そう、この街がここまで活気づいたのはそういった潤沢な稼ぎがあったから…
この街は訳あり連中や流れ者の血と命で得た金で作られた繁栄で成り立った…どうしようもないクソッタレな街なのさ」
〜~~~
ミツネ「…」
幾つ付けられたかもう思い出すこともできない古傷が疼く。
何人もの命の灯火を消してきた両の手が震える。
これは自らの出自を開かす恐怖からか、
あるいは新たな闘いへの期待からの武者震いか。
私は所詮人殺しだ。
『生きるためには仕方がない』等と考えることもあったが、そんなものは言い訳に過ぎない。
私は殺しの依頼の中で、用心棒と戦うことも少なからずあった。
…その中で、戦いの中に愉しさを求めていたことも、また事実。
…こんな人間は、本来は生きていてはいけないのだろう。だが、あの人はそれを是とはしなかった。
ギドラ『そんなに死にたきゃせめて組織のために戦い続けて勝手にくたばれ。稼ぎ口に死なれちゃあコッチだって困るんだ』
…
だからこそ、私達は…
よそう。
全ては一夜の春の夢。
ミツネ「…クロモンたち。あの者たちの元へこの魔導具を。これで我々を放って置くことはできないでしょう…
さぁ諸君…闘争の時間だ」
ミツネ「諸君、闘いをしよう。
殴ったり殴られたりしよう
蹴ったり蹴られたりしよう
切ったり切られたりしよう
殺したり殺されたりしよう
この地のそこで眠っている諸君
今一度目を覚ませ
暫しの間 闘争の愉悦を思い出させてやる
連中に殺される悦びを刻みつけてやる」
次回『WAR DANCE』
お楽しみに