どうぞ
『 雷 鳴 八 卦 !!』
ドゴォオオンッ!!!!
『ギャアアアーーーーーーーーッ!?』
『くーーーーーーーーーーーーー!?』
ウルシの巨大な落雷を思わせる金棒の一撃に、魔物たちが散り散りに吹き飛ばされる。
これで他の戦闘員達に比べれば弱い(本人談)というのだから、彼女の相手をしている魔物たちからすればたまったものではない。
ウルシ「どうしたぁ!?テメェら揃いも揃ってこんなガキ一人倒せねぇってか!?大したことねぇなぁ!?」
スターク「…おーおー。カッコイイねぇ。俺みたいなホコリ被りのジジイが頑張る必要ないかねぇ…っとお!」
『ギャアアアア!?』
と、ウルシの健闘ぶりを横目にぼやきながらも、スタークは確実に一体一体短剣で魔物を斬り伏せていく。
ランプ「ジジイって…スタークさんもそんなにお年寄りって見た目じゃないでしょう。せいぜい…クリエメイトの皆様風に言うなら『チョイ枯れ』って感じですかね」
魔物に魔力の光線や斬撃を浴びせつつ、スタークのボヤキに適度なツッコミを入れるランプ。
彼女もまた
しかし彼ら彼女らは気づいていなかった。
表で戦って守っている者たちを裏から掻っ攫おうとしている存在に。
『ギャー!!(よし!!クリエメイトの足元まで来たぞ!)』
『くー!(このまま一気にクリエメイトを掻っ攫ってやるぜ!!)』
『(とー!!)』
バヂチッ!!
『くー?(へ?)』
『ギャ…?(これ、何だ?突然文が…)』
バリバリバリイッ!!!
『ギャーーーーーーーー!?』
『くーーーーーーーーー!?』
ランプ「…やっぱり地面の下から来てましたね。罠を仕掛けておいて正解でした」
地下から奇襲しようとした魔物たちを襲った魔法の雷。
それは他ならぬランプの魔法によるものだった。
…ランプは憂いていた。
何も力がないゆえにあのとき拐われるしか出来なかった弱さを。
故に彼女は力を求めた。
自分とともに進むと決めてくれた…大切な友に並び立てる力を。
その一つが先程見せた、魔法のトラップである。
元となっているのは彼女の先祖…現在振るわれている隠し刃入の羽ペンに宿っている存在が使っていた魔法である。
『文字に書き起こした物を魔力の塊として実体化させて扱う』という魔法を、ランプなりにアレンジしたもの。
彼女の血の滲むような努力が、一つの形として報われた物だった。
『やるじゃねぇかランプ。俺の見様見真似だけじゃなく自分の力もだいぶ使いこなせるようになってきたか?』
ランプ「まだまだですよ。私はこの通り普通の魔物の相手しかできないレベルですし…きららさんの背中を守れるようになるなら、もっと強くならないと」
なる「す、凄い…ウルシちゃんも、ランプちゃんも、スタークさんも」
おとぎ話を好むクリエメイトの少女、なるはそう呟いた。
それは彼女が好むそれらとは少しばかり異なるものであったが、それでも。
美しく、華麗に、猛々しく、舞うように、荒々しく戦う彼ら彼女らは、少女を釘付けにするには十分だった。
…それ故に、
ギギギギギ…
なる「へっ?…きゃあああああ!?」
ランプ「…っ!?なる様!!」
ウルシ「なっ!?」
スターク「!?」
ハナ「えええーっ!?な、なるが宙に浮いてます!?」
マチ「…違うわ!!あれ…」
ギギギギギギ…!!
ヤヤ「ろ、ロボットぉ!?」
タミ「っていうより、からくり人形?でも…」
ハナ「メチャクチャ大きいデスーっ!!なるが手に掴まれて…!?」
なる「た、助けてぇええ〜!?」
「ギャーー!!(はーっはっはっは!!いけ!からくり兵器『レンジシ』!!)」
スターク「…チッ。おい!クリエメイトの嬢ちゃんたち!!」
「「「「!?」」」」
スターク「ちょいと荒っぽくなるがその摘まれてる嬢ちゃんを助ける!上手いこと
ランプ「なっ…スタークさん、何を」
スターク「黙ってろ!
ランプ「?」
スタークがふぅ、と息をこぼす。
量の腕と短剣を下げ、目を閉じる。
手元が銀の輝きを放つ。
ガション、と音が響き、
その手には、銀の手甲で覆われ。
より鋭利に、より大きく姿を変えた短剣がその両の手に握られていた。
ランプ「…!それ」
スターク「フッ!!」
ランプの問いかけを聞くまもなく、二本の剣を投擲する。
フォンフォンフォン、と音を立てながら回転し飛んでいく剣は、カラクリの腕に向かい…
切り裂いた。
バカンッ!!と音を立ててカラクリの腕が落ちる。
それとともに
なる「わぁああああああああああああ!?」
その手に掴まれていた少女も落ちた。
…違いがあるとすれば、少女には受け止めてくれる仲間がいたということか。
ハナ「うわっ、ぶ…もー!スタークさん危ないじゃないデスか!!!」
スターク「わりーわりー。生憎俺はこんな方法しか思いつかねぇもんで…まあ、結果的に助かったし良しとしようじゃねぇか。な?」
ランプ「いや『な』じゃないですよ!!」
スターク「文句言うなよ~それにほら…まだアレ、動くみたいだぞ」
ウルシ「…だろうな。たかだか腕一本落とした程度じゃあ余裕だろ。中に入ってるやつも相当お怒りみてぇだがな」
スターク「…はぁ、しょうがねぇ…おいお前ら手伝え。協力してあいつ倒すぞ」
銀の双剣を目の前で交差させる。
キン、とよく通る音が響き、水平になった剣の腹に男の顔が写る。
男の顔は普段のどこかくたびれた、疲れを訴え続けるような弱々しさは消え失せ、数多の闘いを生き抜いてきたであろう戦士の顔となっていた。
交差させた双剣を頭上に掲げる。
そしてその両の剣で
描かれた2つの円が重なり、そしてひび割れる。
その空間から光が飛び出し、それらは銀の鎧となった。
スタークの身体を覆い…そして、最後に。
銀の狼を彷彿とさせる兜が、スタークの頭部に装着された。
「…銀牙騎士
『………!!』
カラクリに乗った魔物たちは、本能的な危機を覚えた。
この男は危険だ、何に替えても始末しなくては、と。
そうして攻撃しようと腕を振り上げる。
しかしその直後。
ジャララララララララララ!!!
『!?』
ランプ「…
ランプの魔法により生成された鎖がカラクリの腕を絡め取った。
しかしそれでは止まらない。
カラクリの口がガコン、と開く。
そこにオレンジ色と赤色の光が集まり…
熱光球となって放たれた。
ウルシ「させっか…よおッ!!!」
しかしウルシがその光球を金棒で打ち返した。
ギィン、と重くもよく通る音が響き渡り、光球が勢いを増して飛んでいく。
カラクリの頭部に命中したそれは、決して小さくはない爆発を起こす。
しかしそんな猶予すら許さんと言わんばかりに、二振りの銀の短剣が回転しながら飛び、カラクリの胴を切り裂いた。
そしてその短剣はそのまま頭上に向かっていき…
そこに向かって飛び上がっていた、銀の戦士の手元に収まった。
「貴様の陰我――――――――俺が断ち切る!!!!」
その声に呼応するように、二振りの銀の短剣に青白い炎が宿る。
そして。
「鶴翼双連ッ!!」
その刃で、カラクリを✕字に斬り付けた。
動かぬ木偶と化したそれから魔物は逃げ出し、今だ少数残っていた者達も一目散に逃げ出したのだった。
―――――入り口
雑魚魔物殲滅戦 決着
・・・・・・・
その決着より数分前、上階…
シグレ「はっ、はっ…っと、何だこれ」
突然シグレ達は道を阻まれた。
その階には3つの襖があった。
きらら「襖が3つ…他に進めそうな道もない」
ヤナギ「外に進もうとしても、強制転移で元に戻される…」
コノハ「…ま、やることは1つじゃない?どのみち他に選択肢なさそうだしさ
じゃ私は右に行くよ」
ヤナギ「なら、俺は左だ」
シグレ「…真ん中は僕かな」
きらら「…ううん、私が行くよ」
シグレ「………」
きらら「正直に言うと、ね。シグレに先に進んでもらった方がクリエメイトの2人…ランさんとわ子さんを助けられそうな…そんな気がするの。
それに…一番上に居るのは、あの魔術師の仲間なんでしょ?」
シグレ「…っ」
きらら「分かってるよ。もしかしたら、この先にも同じ様な人が居るのかもしれないし。
…でも、それなら私はシグレを先に進ませたほうが良いと思う…本当に思うだけだけどね」
シグレ「………………
分かった。先に進むよ…よろしく頼める?」
きらら「うん…
――――――――ねぇシグレ、ちょっとだけ、後ろ向いてくれる?」
シグレ「?うん」
後ろを向く。
すると、何かがきゅっ、と背の服を掴むような音と感触がした。
きらら「――――――死なないで。貴方は、絶対」
シグレ「――――――っ。
きらら、そっち向いても、良いかな」
きらら「…うん」
ゆっくりと振り向く。
少し目線を下げたところにある、彼女の頭にゆっくりと手を添えて、自分の胸元に抱き寄せた。
背中にも手を回して、少しだけ力を込める。
「「……………」」
そうして、数秒か、あるいは数分か。
どちらともなく離れて、お互いを見つめ合って頷く。
彼女が背を向け、真ん中の襖を開きその中に踏み込んでいった。
それを確認すると同時、ヤナギとコノハもまたそれぞれの襖へと踏み入る。
パタリ、とそれぞれの襖が閉じ、それらが姿を消す。
それとともに、上へと進む階段が現れた。
意を決し、その階段を駆け上っていった。
シグレ「…ミツネ」
ミツネ「よく来たな。三銃士シグレ」
駆け上った先の最上階。
クリエメイトの入ったクリエケージを背に立つミツネと相対した。
次回『柳、影、そして
お楽しみに