きららファンタジア 三つ子三銃士の冒険物語   作:山崎五郎

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クッッッッッッソ久方ぶりに更新しました。申し訳ございません。
そして案の定キャラ崩壊多数です。

本編どうぞ







―――――――体は剣で出来ている。


柳、影、そして贋作者(フェイカー)

兄さんやきらら達と別れて襖の奥の空間を走り抜ける。

ある程度走るとまた襖が現れた。

 

「…よし」

 

その襖を押し開く。

周囲が光に包まれ、畳と襖があるだけの無機質な和奥の一室に立っていた。

 

ギギ…ギ…ギギギィ

 

「んっ…!」

 

後ろから聞こえた何かが軋むような音。

 

薄気味の悪い笑みを浮かべた鉄仮面…を付けた筋骨隆々な男を模したカラクリ人形がこちらを向いていた。

 

「成る程…俺の敵は木偶人形か。

…サッサとバラしてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィン! キィン!

 

金属同士がぶつかり合い、弾かれ甲高い音が響く。

音の主は巨大な黒い円盤…のような、手裏剣を2つ構えた少女。

そして、特徴的な顎髭の初老の男性…の放つ短刀。

 

男の投げるそれを少女は2つの手裏剣を巧みに操り弾いていく。

しかし、弾ききれぬ1つ2つは少女の服や肌をかすめて切りつけていく。

 

「ヒヒッ…どうしたんや嬢ちゃん。

そんなご立派な武器構えとるくせして、傷負ってんのはアンタの方やないか…少しは自分から攻めてきたらどうや?」

 

「………」

 

「おお怖…ええ眼やなぁ。

…ソイツは人殺しがする眼やぞ?

 

そうしてまた男は短剣を投擲。

少女…コノハは武器の手裏剣で弾いていくものの、やはり弾ききれなかった剣が肩に一本突き刺さった。

 

「嬢ちゃん…アンタ、噂に聞く『三銃士』の一人なんやろ?

にしては随分拍子抜けやなぁ…アンタがどんなご立派な獲物携えとっても、間合いにワシを捉えられんかったら…ワシの勝ちや」

 

「………」

 

コノハはふぅっ、と一つため息を漏らす。

…両手に吸い付くように持っていた円盤を手放す。

 

 

 

 

それは地面に落ちることなく、さながらヨーヨーの様に手と手裏剣の間に透明な糸が伸び回転していた。

 

「…もう、攻略法が見えたよ」

 

「…何やと?」

 

 

 

 

ワイヤーで繋がれた手裏剣に繋がった腕を振るい、男に向けて手裏剣を飛ばす。

しかしそれほどの初速を出さぬそれを、男はその場から離れることにより回避する。

 

その避けた先に、もう片方の腕を振るい手裏剣を飛ばす。

 

「っチ…!」

 

もう一つは避けられぬと踏んだ男は、咄嗟に持っていた短剣と鉄甲で防ぐ。

小さくない金属音を響かせながら男は横に向けて吹っ飛ぶ。

 

立ち上った砂煙から短剣が数本飛び出す。

飛ばした手裏剣を巧みに操り、それらを明後日の方向に弾き飛ばす。

 

しかし、

 

「…ソコやッ!!」

 

それを待っていた、と言わんばかりに笑みを浮かべた男は。

短剣をワイヤーに向けて投げつける。

 

制御を失った手裏剣は、勢いをそのままに部屋の壁に衝突し刺さった。

 

「フッ…なかなか面白いやないか。曲芸師になっとったら天下取れてたかも知れへんなぁ…ケド…」

 

勝った。男は確信を持って短剣を両手に構え、少女に向けて駆け出す。

 

「こいつで終いやッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一つ言っておくけどさ。

その場から動かないほうが良いよ」

 

「あ?」

 

気にかけることはない。ただの戯言だ。

そう思えばいいだけなのに、何故かそう思えない…

 

ふと少女の方をよく見た。

………彼女の片手から垂れた糸が、彼女の影に向かって伸びている(・・・・・・・・・・・・・・)

 

刹那。

 

 

 

 

 

 

男の体は上下に両断された。

最後に男の目が捉えたものは、前に向かって伸びた自身の影から飛び出す手裏剣だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…『猿廻し』と『影送り』の合せ技。

ちっとばかしズルいとは思うけど…しょうが無いよねェ…あーあ。

とうとう今世でも人殺しちゃった(・・・・・・・・・・・)…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギギ…ギギギ…

 

もう一つの広間。

絡繰人形は上層から無数に垂れ下がる刃を払い除けながら、侵入者を探す。

 

例えその刃に、触れた敵を問答無用で切り裂く風の刃が纏われていたとしても。

 

「…痛みで動きを止めないってのは厄介だな」

 

それはヤナギの仕掛けた罠。

本来剣を伸ばすだけであった『夕顔』の能力に、新たな武器である蛇腹剣…『幽柳嵐(ゆうりゅうらん)』に内蔵された魔力ユニットの『転移魔法』と『複製魔法』の機能を合わせて作り出した狩り場であった。

 

相手は自身を囲う何十という柳のように垂れ下がる刃を払い除けて戦わねばならない状況を作り出す。

もしこの罠に囚われたものがただの人ならば、今頃出血多量で失神でもしていただろう。

 

が、相手は原動力(エネルギー)さえ切れなければ、そこに動かせる身体(ボディ)があるのならば傷などお構い無しに動き続ける木偶人形だ。

ある種、相性は最悪と言える相手だった。

 

それでも優位にあるのはヤナギの方だった。

いくら相手が動き続ける人形としても、それはそれで攻撃を続ければいい事実は変わらない。

それこそ四肢が破損し動く事が出来なくなるまで。

 

 

 

「………!!!」

 

 

「っ!クソ…!」

 

突如として自信を射抜いた人形の目から言い様のない不安を感じたヤナギは、咄嗟に『柳の罠』を解除してその場から飛び退く。

数秒後、自身が構えていた場所が爆発した。

 

 

右腕を砲門の様に替えた木偶人形は着地点にその口を向けて火球を放つ。

右に飛び、蛇腹剣を敵の腹部に向けて延ばす。

 

「……!!」

 

「っ!?何っ…!」

 

人形は受け止めた。

刃を躱せば、また先程のような罠を張られると学習したのか、掴んだ刃をハンマー投げの容量で振り回す。

 

「ぐっ…うぉ…!!」

 

流石に絡繰相手に力で勝つことは叶わず、そのまま振り回される。

…しかし、ヤナギはそれでもなお笑った。

 

「『昼顔』ッ…!」

 

風の魔力が柳の足元に集まる。

まるで足の裏に吸い付くかのように、風は平たい壁となった。

ヤナギはそれらを駆け、体制を立て直す。

 

「………!?」

 

絡繰人形の刃を掴んでいた腕が切り裂かれる。

『昼顔』の効果が現れたのは何もヤナギの足元だけではない。

掴まれていた刃の切っ先から風の刃を放ち、絡繰人形の腕を切り落としたのだ。

 

そして、自由になったその刃はそのまま延び、『転移魔法』の機能を合わせ延び続ける。

転移魔法の穴が十を超えた辺り。刃は絡繰人形の周りを完全に覆った。

ヤナギが刀の柄をぐい、と引っ張ると、その刃が植物のツタの様に人形に絡みつく。

 

「…『昼顔』」

 

 

 

 

 

 

絡みついた蛇腹剣の刃…複製魔法により増幅したそれらは一つ一つから、劈く風の刃が飛び出し人形を切り裂いた。

何十という欠片に分断された人形は動きを止め、床に転がる。

 

「………片付いた、か」

 

ここまですれば流石に動くことなどないだろう。

人間であれ人形であれ、ここまで細切れにされては人の手を加えぬ限り動くことは叶わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人の手を加えぬ限り(・・・・・・・・・)は。

 

ギコ…コココ…

バラバラに分断された欠片から小さな芽が伸びる。

その芽は長いツタとなり、他の欠片に張り付き…欠片同士を接着した。

 

数秒。そんな僅かの間に、人形は元の形を取り戻した。

そんなことは露知らず、決着をつけたと思っているヤナギに、戻った人形の右手が振り下ろされる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………!?」

 

人形は吹き飛ばされた。

造眼(モノアイ)を衝撃が来た方向に向けると、そこには先程自分を裂いた蛇腹剣と転移の穴、風に覆われた1つ目が浮かんでいた。

 

「…まさか再生能力付きとはな。あの科学者(クラウス)の置き土産か?

…まあいい。いずれせよ…お前を倒すには一撃で欠片も残さず吹き飛ばさなけりゃならないってことだなッ!!!」

 

その声とともに勢いを増す剣。

人形諸共に壁に激突し、そのまま突き破って宙に放り出した。

 

 

 

 

 

 

「光剣、創生…!!」

 

剣を戻したヤナギは、『夜顔(第4の剣)』の力を応用した巨大な光の剣を顕現させる。

その剣を宙に飛ばされた人形に向け、頭上に振り上げ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約束された(エクス)――――

 

 

 

 

 

 

 

 

――――勝利の剣(カリバー)!!!」

 

 

 

―――――放たれた。

振り下ろされた剣から撃ち出される光の波動は、チリ一つ残さず人形を滅却したのだ。

 

ヤナギ達の前世。

とある運命の物語の騎士王のそれを模した、光の剣による一撃。

 

本物に比べれば形だけ似せた贋物も良いところだが、人形一機打ち払うことにはなんの支障もなかった。

 

…無論。

 

「…うっ、ぐぁ…は、ぁが…!!」

 

そのような常識の範疇を超えた力を振るい、身体に反動が無いはずは無く。

理外の魔力を消費したヤナギの身体は悲鳴を上げた。

 

「…これは、助太刀には行けそうにないな…やれやれ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方。

 

中央の襖の向う側では…

 

 

 

「はぁ、はあ、は――――――」

 

「…よう、どうしたんだ伝説の召喚士様。

相手はただの砂だぞ?この程度どうとでもできるんだろ?」

 

「っ、この…!」

 

魔装を召喚し、力を増した杖を(ギドラ)…に向けて振り下ろす。

が、杖によってできた傷口から身体が砂に変わり、数秒後には元の通りに直ってしまう。

 

そして空中から砂の槍が数本、落ちてくる。

 

 

…だが、所詮それらは魔力の塊。

魔装の前には意味を成さず、ただ燃え盛って消えるのみ。

ならばこのまま一息に力押しして、相手の魔力が尽きるまで畳み掛ければ…

 

 

「………」

 

とん。とギドラが杖で床を叩く。

地面から現れた砂が再び襲い来る。

 

 

 

「…っ!?ぐぁ…!」

 

 

 

これだ。

杖を鳴らし、床から現れる砂は魔装に触れても炎を上げて消えることはなく、私の身を縛り上げる。

 

「この、っ…!」

 

杖を振るいその砂を払い除けて体制を立て直す。

…魔装を召喚してから何秒だったのだろう。

 

元から時間制限のあるものだ。さっさと決着をつけなければこちらが不利になるだけ。

そんなことは百も承知だ。だが、私は一体この展開を何度繰り返したのか、それすら分からなくなっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ」

 

ギリギリと音を立てて奥歯が軋む。

ことごとく自身の不甲斐なさに腹が立つ。

 

私は何のために強くなった?

 

 

『きらら…逃げ…』

 

もう、あんな事にならないように。

私が倒れて、傷つく人を出さぬために。

 

それなのに何だこの体たらくは。

眼の前の敵一人倒すことも叶わず、何が世界を救う召喚士だ。

 

自分の愚かさ加減に嘲笑すら溢れる。

 

 

「…なあ召喚士サマよ。一つ教えちゃくれねえか」

 

「…何ですか」

 

「たった一人。折角の『召喚魔法(コール)』も使わねぇ。

このまま勝ちの目なんて見えねぇ、そんな戦いをいつまで続けるつもりなんだ?

 

…前にうちのヤツにクリエメイトを傷つけられたのがそんなにショックだったか?」

 

「…っ」

 

そうだ。考えてみれば当たり前のことだったのだ。

『コール』で呼び出されたクリエメイトがあれほど傷ついているのに。自分は今まで安全圏から補佐するだけ…

 

何が救世主だ。都合良く『仲間』に戦ってもらっている分際で。

…つくづく、自分が嫌いになる。

 

「全ては、世界を…私の大切な皆を守るためです」

 

「だから勝ち目のない闘いを一人続けるって?随分自分勝手な正義だな」

 

「…そうだ。これは私の独りよがり。でも、それを理解してもらおうなんて思わない。

 

 

…只、私の大切な誰かを守るために。

 

…只、お前を斃す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――I am the bone of my sword.

体は剣で出来ている。

 

「…?(詠唱?何をするつもりかは知らんが…隙を見せるなら存分に点かせてもらうぞ)」

 

砂が蠢く。

詠唱を続ける無防備な少女に向けて、その様を剣に、槍に、針に変えて襲いかかる…

 

 

…が。突然現れた(・・・)剣にそれらは塵芥の如く吹き飛ばされる。

 

「…!?」

 

Steel is my body, and fire is my blood.

血潮は鉄で、心は硝子。

 

 

「…チッ」

 

しかし一度や二度吹き飛ばされた程度では砂は止まることはない。

彼女を覆うように襲い来る砂は、やはり何処からともなく現れる剣や宝石たちに吹き飛ばされる。

 

I have created over a thousand blades.

幾度の戦場を越えて不敗。

 

 

「…何だ、…お前は、何を…!」

 

 

Unknown to Death.

ただの一度も敗走はなく、

 

 

Nor known to Life.

ただの一度も理解されない。

 

 

Have withstood pain to create many weapons.

彼の者は常に独り、剣の丘で勝利に酔う。

 

 

「…!」

 

遂に、(ギドラ)の背後にすら剣は突き立てられた。

一本、また一本。

剣はこの空間を支配するが如く、突き立っていく。

 

 

Yet, those hands will never hold anything.

故に、その生涯に意味はなく、

 

 

…So as I pray,

その体は、

 

 

 

 

 

 

…少女は手を振り抜く。

その手から現れる炎が、少女を、男を、空間を諸共に包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…な」

 

男は炎に包まれたが、その炎がその身を焼くことは無かった。

その炎は、世界を焼き尽くし、その少女の心の内に世界を書き換えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――UNLIMITED BLADE WORKS.(きっと剣で出来ていた。)

 

無限の剣が突き立てられ、空は数多の鎖が覆い尽くす荒野。

…召喚士と呼ばれた少女の心によって上書きされた世界は、あまりに荒み切っていた。

 




無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)

某運命に立ち向う物語でおなじみの『世界を書き換える宝具』。
なぜきららがこの力を仕えるのか、そしてそれはどのようなものなのか…




大手裏剣 罪人殺(とがびとごろし)

巨大な円盤のような手裏剣。
コノハの腕とワイヤーで繋がっており、ヨーヨーの様に操ることができる。
…遠くのものを取る時に使ったりもできるとか。

このは「べんり」



蛇腹剣 幽柳嵐(ゆうりゅうらん)

ヤナギの新武器。
蛇腹剣だからビュンビュン延びるぞ!
夕顔を上乗せしたらやべー速度になるぞ!
魔導ユニットを入れてる(改造している)から本人の魔力とは別に魔法を使ったりできるぞ!!







次回『正義の味方』お楽しみに
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