とある特別な力ゆえに、運命に翻弄された女性と、その仲間の物語。
…この物語は『悲劇の物語』。
…この物語に、救いは、ない。
しかしこれは『絶望の物語』ではない。
これは…
『希望に繋がる悲劇』の物語。
OP 女王蜂 『火炎』
別れから始まる物語
「いや!離して!お姉ちゃんが、お姉ちゃんが死んじゃうよぉ!!」
…とある燃え盛る小屋の前。桃色の髪の幼き少女は燃える小屋の中に居る緑髪の少女に駆け寄ろうとする。が、
「ダメだ…火の手が強すぎる!もうこれ以上は…!」
「魔法でも消えないぞ…!」
「そんな…」
「嫌ぁ!誰かお姉ちゃんを助けてよぉ!!」
「…もう、いいんです。衛兵さん」
「えっ?」
燃える小屋の中に一人立つ少女は、今にも炎に身を焼かれようというのに、優しく微笑みを浮かべてそう言う。
「…せめて、妹のことを、よろしくお願いします。
…私の、たった一人の家族だから」
「…お姉ちゃん?何言ってるの?」
ガララッ!ドゴッ!
「うわっ!?も、もう駄目だ!離れるぞ!」
「…っ!嫌!嫌!お姉ちゃん!!」
「…さようなら。私はもう…貴方の側には居られないけど…幸せになるんだよ?
アルシーヴ」
その少女は、妹に向けて優しく笑顔を向け、そう言い。
崩れ落ちる小屋と炎に呑み込まれた。
「お姉ちゃああああああああーーーーーーーーーーーーん!!!」
~~~~
「…うへぇ。酷く燃えてますぜこりゃあ」
「ったく。ガキ共が侵入してくれたせいでせっかくの隠れ家と食料が台無しじゃねぇか…」
「…ぼやいていてもどうしようもないだろう。それよりも、これからこの分をどう取り返すかを考え…
…む?」
「ん?頭領、どうしました?」
「…いや、この瓦礫が何か、動いたような…」
「えぇ?まさかぁ。ここには子供の焼死体はあっても生き物なんて居ないでしょうよ。野性動物か何かが紛れ込んでるんじゃあ無いっすか?」
「ふむぅ…?」
その盗賊団は笑ってその場を去ろうとする。が、頭領は一人、不思議そうに瓦礫を見つめている。
そして、おもむろにその瓦礫をどかし始めた。
「ちょ、ちょっと頭領何してるんですかい!?」
「そんなことしても無駄…え?」
「…!」
そのどかした瓦礫の下には。
肌は赤と黒く焼けただれ、服も黒い炭のようになった。小さな子供が居た。
「…」
「うえぇ…こりゃ酷えや、黒焦げじゃねぇか」
「…まあ、こう言っちゃあ何だが、自業自得だろ?火事が起こったのも、こいつらが勝手に忍び込んだせいじゃねぇか。俺らが気にすることねぇよ!」
「…それもそうか。うん!頭領!さっさと行きましょう!
…頭領?」
「…おい。治療薬を寄越せ」
「「え?」」
「鞄の中に入っている自然治療促進薬だ。早く!」
「え!?は、はい…?」
「でも、そんなもんどうするんです!?そんな死体に使うわけでもあるまいし…!」
「…死体じゃない」
「「え?」」
「…この娘。まだ息がある」
「「…ええ!?」」
そして、頭領はその自然治療促進薬をその黒焦げの少女にまんべんなくかける。すると…
黒焦げだった肌は白さを取り戻していき、まっさらになっていた頭皮からも緑色の髪が生えだし、人間の少女の姿に戻った!
「…」
~~~~
「…ハッ!?あれ、私…ここ、もしかして天国!?」
「お、お~お~目が覚めたか。おーい頭領!例の娘が目を覚ましましたぁ!」
「うぇ!?」
だ、誰!?天使さんにしてはいかついし…と、思ったら更に怖い人が…!?
も、もしかして私、運良く助かったは良いけど…助けられた代わりに…!?!?!?
「ご、ごめんなさい!それ以外なら何でもしますからそれだけは許してください!!」
「…何の話だ。言っておくがお前に妙なことをするつもりはない」
「へ?」
話を聞くと、私はあの日火事になった小屋の瓦礫の下で黒焦げになったにも関わらず、生存していたらしい。
「…お前のその生命力ははっきり言って異端だ。それについて、お前自信は何か心当たりはないか?」
「な、無いですよそんなの!だって、あの火事に一人取り残された時点で、はっきり言って死を覚悟してたし、炎に焼かれるときも息が出来なくて苦しいときもいつ死んでもおかしくなかっただろうし…」
「…フム。まあその通りか。…で、これからのお前についてだが」
「ひえっ!?」
「………だから妙なことをするつもりはないと言っただろう。お前には、我々の手伝いでもしてもらおうかと思ってな」
「手伝い…?」
「ああ。…お前、義賊という言葉は知っているか?」
「…義賊…?」
「…それすら知らないような環境で育ったか。…まあ、単純に言えば悪い金持ちから財宝を盗みだし貧しい人々と共に分かち合って生きる盗賊のことだ」
「えっ!?」
それって、結局は泥棒なんじゃ…
「…まあ、お前の考えていることは良く分かる。確かに、我々のしていることは元を正せばただの盗人と何ら変わらないかもしれん」
「!?」
「…だが、俺達が盗みに入る貴族や金持ちはその財と権力ゆえに、今のエトワリアの法では裁くことが出来んのだ…
だからこそ、俺達が私腹を肥やす悪党から盗みだし、苦しむ人々に与える。
世間から見れば俺達は悪なのかもしれん。
だが、それらをさばけぬ今の世が正義というなら我々は喜んで悪となろう。悪には悪の正義が必要なのだ」
「…」
「…どうだ。お前が恩を返したいというなら、俺達に協力してはくれんか」
「…」
…私は今まで、貧困の中で生きてきた。ほんの気まぐれでしか助けてくれないような人々ばかりの、そんな中で妹と共に生きてきた。
…もしも、今の私が、少しでもそんな人々の助けになれるのならば…
「…はい。よろしくお願いします」
「…うむ。ではまずは、家の屋根にひとっ飛びで乗れるぐらいまで鍛えなければな」
「え?」
「特訓だ。協力すると言うなら、それぐらいの身体能力がなくてはな!ハッハッハ!」
「ヒエッ(絶望)」
…私は、この人達に協力することをほんの少しだけ後悔した。
キャラクター解説
アルシーヴの姉(仮)
まだ名無しのお姉ちゃん。年齢は…まあ、二桁いってない位だと思っていただければ。
尋常ではない生命力の持ち主。
イメージCVは真田アサミ姉貴。
義賊団の頭領(仮)
同じく名無しの頭領。
こいつ本当に盗賊か?と思うぐらい人徳者。その優しさとカリスマにより、多くの仲間に慕われている。
イメージCVは伊丸岡篤氏。
世界一イィィィーーーーーーーーッ
ED ノーナ・リーヴス 『O-V-E-R-H-E-A-T』
次回『運命の赤子』
お楽しみに