機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結> 作:水冷山賊1250F
ジオン共和国軍旗艦レウルーラ 会議室
ジョニー・ライデン
5分前に、奴に会った。
「議長の推薦で作戦に参加することに成ったフル・フロンタル少佐です。よろしくお願いします。」
時間ギリギリに来た上に、いけしゃあしゃあと言いやがった。
「よし、お前ちょっと来い。」
有無を言わさず、会議室に連れ込む。会議室に入るなり、腰の入った腹パンを食らわせてやった。
うずくまって、暫く悶えていたが、復活早々こう言いやがった。
「酷いじゃないか。パワハラかね?」
もうこいつ、顔面の形が変わるぐらいぶん殴ってやろうか?頭に血が上るのを堪えながら、ゆっくりと訊ねる。
「なんの真似だ、キャスバル・レム・ダイクン議長?てめえ、まさかばれてないとでも思ってんのか?あぁぁん?」
俺も丸く成ったもんだ。
「く、苦しい。は、話すから、襟から手を離してくれ。」
おっと、ついつい絞め落とそうとしていたか。
「すまんな。悪ふざけが過ぎる奴を見ると、ついつい教育してやりたくなってな。で、議長さんよ、なんのつもりだ?」
目の前で咳き込んでいるこの馬鹿に聞いてみる。
「いや、先ずこれを見てくれ。データ名はマッドの供述だ。」
先日再度レビル大統領から送られたデータだと言って差し出して来た。俺に機械を使わせる気らしい。この野郎、自分でやりやがれ。横着しやがって。仕方なく、動画データを再生してやった。ん?取調室か?
「これは、先日アクシズの強行偵察隊を壊滅させた、連邦軍のロンド・ベル隊から送られたデータだ。生き残りの中に、クローン製造チームの科学者が居たらしい。そいつの尋問の様子だ。」
なに!?このヒョロガリが科学者の一人!?
「フフフフ、そうです。私達クローン開発チームは、プルシリーズごときで満足などしてませんよ。私達の目標は、人類の革新!真のジオンを導く者。いや、人類を導く究極のクローンを造る事です。そして、それはもう完成しています。数多の実験を繰り返し、既にニュータイプのクローンは出来ているのです。それを超えるクローン。もう一度言いますよ?究極のクローンを造ることに成功したのですっ!ヒフ、ヒヒヒッ。MS技術では正直、連邦軍には及ばないでしょう。ですが、生命の創造と言う分野ならば、我々が勝っているのですっ!ヒヒヒヒヒ~。」
「確かにそのようですね。では、具体的に誰のクローンが作れたのですか?まさか、名前も知られていない一般兵じゃないですよね?」
「ヒヒヒヒヒ、煽るのが上手いね君。でも驚くよ?ヒヒッ。先ずは君達もよく知っている人物だよ。今は確か名前が変わってるかな~?なんて言ったっけ彼?ゼロとしか言って無かったから・・・。蒼鬼の相方の。」
「マサキ・アンドー少佐か?」
「そうそう、彼!彼は元々強化人間だったけど、ゼロワンからゼロファイブまで作ったよ。いやぁ、あのタイプはパイロット適正が高いね~。オリジナルが活躍するだけは有るよ。でも、ジオンの強化人間はいまいちだったよ。彼女等はゼロシックスからワンゼロまで作ったけどね。でも何が幸いするか分からないね。彼と彼女等でチームを組ませてみると、意外と相性が良いんだよ。想像以上の成果を出すんだ。いや、ビックリだね。これだから研究は止められないよ、ヒヒヒヒヒ。」
胸糞悪い。その後も、色々な名前が出てきた。
シャア・アズナブル、ララァ・スン、クスコ・アル、マリオン・ウェルチ、ハマーン・カーン。正直、マリオンとクスコの二人は、あまり知らないな。だが、女が多いな。
「何故プルシリーズだけ、11人もクローンを作ったのかね?クローン技術の安定性の検証かね?」
「ご名答だよ。科学的実証試験と検証だね。でも、エイト以降は、どうやら質が落ちるらしい。僅かだがね。」
「ほう、やはりか。流石は一流の科学者だな。余念がない。ところで究極のクローンとは、いったい誰かな?ギレン・ザビかね?」
「ヒヒヒヒヒ、違うよ。今言ったクローン同士を掛け合わせたのさ。ヒヒヒヒヒ。シャアクローンとララァクローンを掛け合わせて作った子供。彼は最高だよっ!ヒャハハハハハハハハハ。
薬で無理矢理成長させたんで、妊娠が出来るか心配だったんだけどな。精子と卵子を取り出して、成功したよっ!お陰でシャアクローンとララァクローンが一体ずつ、使い物に成らなく成ったがな。だが、それ以上の成果だったよ。ヒヒヒヒヒヒ。
そうだ。私達は研究が出来れば、場所はどこでも良いんだ。我々を雇わんかね?いや、雇うべきだよ。ヒャハハハハハ。」
耳につく笑い声だ。俺は再生を止めた。吐き気がする。これ以上聞いていられない。耳が腐るようだ。
これは、もう止められないな。いや、止まらんだろう。
「これか?これが理由か?」
「あぁ、それもある。やはりこやつ等を野放しには出来んし、生かしておく訳にもいかん。それに、彼等を出来ることなら救いたい。こんな悲しい形で人は生まれるべきではない。そう思わないか?あんな歪んだ形で生まれた彼等に、戦争を強要するのは間違っている。静かに、そして温かい環境で育ててあげるべきだ。
頼む、どうか俺に力を貸してくれっ!」
「お前、これ最後まで見たのか?」
「あぁ。」
「良く見れたな。と言うか他人事じゃ無いのか。すまん、失言だった。ところで使い物に成らなくなったクローンの話は有ったのか?」
「あぁ。聞かない方が良い。怒りで平常心を保てなく成る。」
「そうか。糞に集るウジ虫だな、コイツ等。」
「そうだ。だから頼むっ!今回だけは、俺にも戦わせてくれ!」
そう言って、この野郎は、俺に頭を下げやがった。ちくしょう、これじゃ反対出来ねえじゃねえか。大きなため息を一つ溢す。
「仕方ねえな、付いてこい。コンスコン大将に会わせてやる。だがくれぐれも単独行動は禁止だっ!俺とコンビを組め、それが条件だっ!」
「了解。MS部隊長殿。」
こうしてジオン共和国軍アクシズ攻撃艦隊は、一部の大将や将官の胃痛を犠牲にしながら出港して行った。
シナンジュ・スタイン
ジョニー・ライデン大佐
今回の突っ込み役。振り向きざまに、腰の入った腹パンかましても、本人的には突っ込みを入れただけ。本人は丸く成ったもよう。もちろん機体は赤く塗装させている。
サザビー(魔改造)
フル・フロンタル少佐
今回どつかれ、絞めおとされようとした人。もちろん正体は議長さん。変態科学者に怒髪天状態だが、ジョニーに怒られるのは覚悟していたらしい。素直に叩かれている。
もちろんサザビーはフルサイコフレーム化。
メッサー先行試作機
シン・マツナガ中佐
白く塗装されたメッサー先行試作機。もちろん設計段階から、アナハイムレディースが関与。高速機動と大型化を両立された傑作機。
今回の作戦参加に伴い昇進。
フル・フロンタルが着任の挨拶をした直後に、ジョニーに連れられて行く姿を最初から目撃しており、頭を抱え特大のため息を吐き出すことに成った苦労人。
ジョニーに付いて行かない辺り、早々に色々と諦めたもよう。胃薬が彼のラッキーアイテム。
防衛隊所属レッドチーム
隊長のケン・ビーダーシュタット少佐のみギラ・ドーガ指揮官機を拝領。隊員達はギラ・ドーガに搭乗。
もちろんギラ・ドーガは正史以上の性能を持つ傑作機。
マルコシアス隊
ダグ・シュナイド大尉がギラ・ドーガ指揮官機を拝領。隊員達はギラ・ドーガに搭乗しているが、アンネローゼ・ローゼンハイン少尉だけはヤクト・ドーガ(赤)を拝領している。
アグレッサー隊
零零ガンダムⅡ
トラヴィス・カークランド少佐
連邦軍から、直接アグレッサー隊に譲渡された機体。部隊の性質上アグレッサーを勤めることが多いためでも有るが、一年戦争時の献身に感謝する意味でもある。決してレビル大統領がガノタだからではない。
息子達の隊とよく絡むことが有り、最近は蟠りも無くなって一安心。最近の悩みは、ダグが嫁を取らない事のみ。
キャノンガン
ハインツ・ハイウェイ大尉
同じ理由で連邦軍から譲渡された機体。マトモな機体を渡されて一安心。後の2機は頭がおかしいと言って寄り付きもしない。
基本、アグレッサー隊は最新の情報をガルマ首相から教えられているため、今回のアクシズの暴挙には腹を据えかねている。
Ex-Sガンダム
チェイス・スカルガード中尉
テムおじさんに対抗した、アナハイムレディース渾身の傑作。アリスシステムは登載されていないが、そこは自分の腕で勝負。
持ち前の根性で機体を乗りこなすまでに。
アルト・サイクロプス隊
3機ともギラ・ドーガを高速機動機にカスタマイズ。何故かギラ・ドーガをたいへんお気に召したもよう。
セント・アクシズ隊
ヤクト・ドーガ(赤)
ハマーン・カーン中尉
改変された激動の宇宙世紀で、シャアに毒されること無く素直に成長出来ると思いきや、エンツォのせいで、酷い目にあった悲劇のヒロイン。
復讐のため軍門を叩くことに成った。今はただのパイロットとして作戦に集中している。
ヤクト・ドーガ(ギュネイ仕様)
マシュマー・セロ少尉
恋する少年は、惚れた少女の為には命も賭ける。ハマーンとタメを張れるぐらいに成長した努力の人。
ヤクト・ドーガ(ギュネイ仕様)
イリア・パゾム少尉
ハマーン様の側近として軍門に。ハマーン様にいたらぬ気持ちを隠さないマシュマーを、苦々しく思っているが、作戦に私情は挟まないタイプ。
前回は申し訳有りませんでした。