機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結> 作:水冷山賊1250F
その少女は、もう何もかもどうでも良かった。
物心ついた頃から機械に囲まれ、人を殺す訓練ばかりやらされていた。自分と同じような顔の姉妹も居たが、他にも同じような顔をした者達が居た。どうやら5人組で同じ顔の人物がいるようだった。
そして、その全てがこの世界に少なからず絶望していた。母の温もりも知らず、父の愛も感じないこの空間で、終わりの無い絶望に取り憑かれていたのだ。
ある休息日、白い服を着た男が自分だけを実験に連れ出した。そこは寝台以外何も無い部屋だった。
そこで男は自分に薬を飲ませた後、裸に成るように命令した。そこからは、気持ちの悪く、おぞましい時間だった。痛みと不快感と、吐き気。ただただ苦痛に耐え、男の欲望が満足するのを待つしか無かった。
数日後、その男は死体と成って発見された。ざまを見ろと思った。どうやら殺したのはC5と言われる者らしい。Cシリーズと呼ばれる彼等とは、何度か顔を合わせた事が有った。私はそのC5、シーファと直ぐに仲良くなり、温かい感情を持つようになった。
休息日の度に会うようになり、手を繋ぐだけで生きていると感じる事が出来た。産まれて初めての安心感とでも言うのだろうか?私達が体を合わせるように成るのに、そう時間は掛から無かった。
彼と体を合わせるのは、あの男とは違い、本当に気持ちが良かった。産まれて初めての快感に、二人とも取り憑かれていた。
そう、彼と会うだけで私は幸せだったのだ。そして、私は彼の子を身籠る事に成る。そして、そこからが本当の絶望の始まりであった。
私達は、その一部始終を彼等に監視されていたのだ。何処からがこの計画だったのだろう?私達は体と心と、そして私と彼の子供さえも彼等の実験材料だったのだ。
突然武装した男達が私を拘束し、私のお腹から子供を取り上げたのだ。
怒り狂ったシーファは、ここの男達に襲いかかったが、麻酔銃で沈静化され、何処かへと運ばれた。二人を連れていかないでと、いくら泣いて頼んでも彼等はニヤニヤと薄ら笑いを浮かべ彼を連れていった。
次の日からは更に地獄が待っていた。人を殺す訓練では無く、薬を飲まされた上で、幾人もの男達が私を欲望の捌け口としていった。泣いても叫んでも終わることは無く、その姿を映像に残された。
数日後、私はR5を辞める事にした。
自室で呆然とし、何の抵抗もしない私に不用意に近付いた男の硬い下半身を噛み千切り、男のベルトで頸を絞め殺した。初めて人を殺した感覚は、暗い歓びだった。直ぐに男の持っていた武器を取り、この世界に復讐しようとしたが、数人の男を殺した所で追い詰められてしまった。
私はシーファとも、子供とも会えることは無いと気付くと、拳銃を乱射しながら男達に襲いかかった。もう死んでも良かったのだ。一人でも道ずれに、この世界からお別れしようと思っていたのだ。
そこからの感覚は曖昧だ。男達に触られることは無くなったが、針を刺され、薬を入れられ、機械の中に詰め込まれて、この中で生活することになる。反抗する気持ちも失せ、もうどうでも良くなったのだ。
私の子供は順調に成長していると聞かされても、何も感じなかった。何故か涙が流れたが、それも直ぐに無くなった。
誰か、もう私を殺して。
ユニコーンガンダム
マサキ・アンドー
最初は、白いキュベレイを殺す積もりだった。
「止めろぉぉぉっ!それ以上殺らせるかぁぁっ!」
覚醒モードと成ったユニコーンガンダムのバルカンで、次々とファンネルを撃ち落とす。何故アクシズのMSが?あのブタ奴等と繋がっていたのか。地球至上主義者が聞いて呆れる!
キュベレイに向かいながらビームサーベルでファンネルを斬り払った瞬間、俺の頭の中にキュベレイのパイロットの《過去》が見えた。
なんておぞましい事を・・・。人類とは此処まで残酷に、そして醜く成れるものなのか?
いや、違う!断じて違う!人類がじゃないっ。こういう狂った奴等が、世界に不幸を撒き散らすんだ。そして俺達は、今までこのような狂った奴等を叩き潰す為に頑張ってきたんだっ。そして此れからもっ!
レビル大統領に救われなければ、俺も彼女等のような目に有っていたのかも知れない。けど今は、彼女等を助けることが出来る。その為の力を、与えられたのだ。ならば、応えて見せなくては!
「ユニコーンッ!彼女を助けるっ!お前の力を俺に寄越せぇぇぇっ!」
ファンネルをビームサーベルで斬り払いながら、キュベレイに接近する。マサキの意思を受けたかのように、ユニコーンガンダムのデュアルアイが輝いた。
俺の力が増幅されていくのが解る。ガンダムの力が俺に。そして俺の力がガンダムにっ!
緑色の光が、ガンダムとキュベレイを包む。次の瞬間、緑色に輝く俺と彼女だけが居る世界になった。
「貴方は誰なの?」
12才ぐらいの少女が俺に問いかける。
「俺の名前はマサキ・アンドー。君達を助けに来た。もう怖いことは無いんだ。さあ、此方においで。」
俺は少女に手を伸ばす。しかし、彼女はその手を拒んだ。
「嘘っ!嘘よっ!またそうやって、私を傷付けるんでしょうっ!?もう騙されないわっ!ニンゲンなんて誰も信じないわっ!」
「嘘じゃない。君に酷い事をした奴等を俺達は倒しに来たんだっ!世界に不幸を撒き散らそうとする、自分勝手な奴等を叩き潰さなきゃ世界は救われないっ!」
「そんなっ!何故今になってっ!何故もっと早くっ!私は、もう何人も殺したわ。さっきも、知り合いかも知れない人を手にかけたのよっ!」
強い拒絶を示す少女。でも語り続けなければ。何故か俺は、その時そう思った。その時、アクシズの方から、彼女を求める声が聞こえたような気がした。
「ごめんよ。君達に気付けなくて。でも、もう良いんだ、誰も殺さなくて。君には聞こえないのか?」
「何を??」
「ほら、彼処で、アクシズで君を求めている声にだよ。」
「声?」
「あぁ。君を探している声だよ。二人居るだろう?」
「二人?探してる?」
「あぁ。君になら感じられる筈だ。」
彼女はアクシズに向けて、感覚を研ぎ澄ませる。そうだ。君になら感じられる。怒りと絶望に震える魂と、迷子のように怯えながら、希望を探している健気な魂だ。
「あの感覚・・・シーファだ。もう一人は・・・、私のっ!あぁ。まだ私を探してくれている。私を待ってくれているっ!」
涙を流し、その場で蹲る少女。
「さぁ、行こう。彼等が君を待っている。彼等をあんな所から助け出す為には、君の力が必要だっ!一緒に行こうっ!」
「うん、うん!」
少女の目に力が入る。そして、今度こそ彼女は俺の手を握ってくれた。震えながらでも、しっかりとだ。コックピットの彼女の目は涙で濡れている。
強い娘だ。こんな少女に下衆で外道な実験を繰り返して来た奴等だ。もう容赦はしないっ!緑色に輝く世界はいつの間にか終わっていて、ガンダムとキュベレイが手を繋いでいた。
「マサキ、大丈夫か?」
「ユウ隊長、彼女は保護対象です。俺は彼女を母艦に誘導します。後は任せても?」
「あぁ、任せろ。良くやった。」
隊長の零零Ⅱが前に出てきたジェガンに襲いかかる。そこに剣豪と流星が合流する。もう何も心配することは無いな。
「俺達の母艦に招待するよ。そこでゆっくり休むと良い。もうその機体には乗らなくて良いんだ。一緒に彼等を助けよう。
あっ、そう言えば君の名前は?」
「R5よ。皆はルファって呼んでたわ。」
「そうか。ルファ、行こうか。」
俺は彼女をネェル・アーガマへ送った。数機のジェガンが抵抗したようだが、相手にもされてない。どうやら、連邦軍に歯向かってたのは、一部の阿呆だけらしい。さっさと阿呆共をふん縛って、詳しく話を聞かせて貰いたいものだ。
ご都合主義万歳ですww。