機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 すいません。仕事が忙しすぎて、更新出来ませんでした。今後は少しずつでも上げて行こうと思います。良かったらお付き合いください。


第109話  集まる力

 ラー・カイラム艦橋

 ブライト・ノア

 「何なんだろうな。」

 つい、独り言を口に出してしまった。地球と宇宙。確かに数年前は、人類の半分を死なせてしまう程の戦争を起こした。その中には、親や兄弟、恋人や子供を失った者も居るだろう。

 

 あの戦争は、どちらが悪かったと言うものでは無い。あの扇動の天才がサイド3を纏め、大量虐殺から始まった物とは言え、その口実を与えた連邦政府にも責任が有る。それがわかっているから、レビル大統領はスペースノイドとの融和を推し進め、あのような悲劇が二度と起きないような地盤を固めようとしている。

 

 折角地球圏が平和になろうとしているのに、その流れに不満を持つものが後を絶たない。戦乱を起こし何を企んでいるのやら。人を煽り、憎しみを撒き散らして悲劇を繰り返す。そんな世界の何処に救いがあると言うのか。

 

 「どうした、艦長?浮かない顔をしてるが。」

 

 「あぁ、キイチ大佐か。いつまで続くんだろうな、こんな戦いがって事を考えてたらな。連邦内でさえあのような輩が潜んでいる。まったく嫌になるよ。」

 

 「弱音か?らしく無いな。余裕が出てきて考え過ぎてるんじゃないのか?」

 

 「余裕ですか?」

 

 「あぁ、思い出してみろ。俺たちの初陣を。あの頃は余裕なんて無かった。避難民を乗せて、生き残るのに精一杯だった。」

 

 「そうですね。」

 

 「あの頃に比べると、俺達は戦う力が有る。レビル大統領を筆頭に、人類を良い方向に導こうという者達が大勢居るんだ。こんな三下に一々構ってる暇は無いぞ?」

 

 「今回の作戦ですか?」

 

 「あぁ。連邦の法で禁止されているクローンと強化人間の総本山だ。奴等のせいで酷い目に会った子供達を助けなければならん。本当ならば、討ち果たすのが簡単では有るのだが、なるべく助けてあげたい。世界が悲劇を繰り返そうとも、俺達はそれを止める力と意思が有る。」

 

 「そうですね。そして、我々にはそれをする義務も有ります。未来に続く者たちのためにも。」

 

 「そうだな。」

 

 なる程、余裕から来る考え過ぎか。今から始まる作戦は難しい作戦だ。余計な事を考えている暇は無いな。気を引き締めなければ。

 

 「ゼダンの門の方から多数の艦隊を確認!」

 

 「アクシズかっ!?」

 

 「データ照合中っ。出ました。ジオン共和国軍です。ティアンム艦隊に合流予定の艦隊です!」

 

 「そうか。これであちらを待たせる事は無くなったか。予定通りの時間だな。」

 

 「そうですね。ん?共和国艦隊から通信です。メインモニターに映します。」

 

 「ジオン共和国軍、アクシズ討伐艦隊司令のコンスコンです。そちらは地球連邦軍と見受けるが?」

 

 「はっ。地球連邦宇宙軍、独立機動艦隊ロンド・ベル旗艦艦長のブライト・ノアです。艦隊司令も兼任しております。」

 

 「ほう。君が噂の、連邦軍若手最高の切れ者艦長か。ティアンム将軍の懐刀とか。」

 

 「いえ。そのような事は。」

 

 「ハハハ、そう謙遜することは無い。所で我々の迎えに来てくれたのかね?そのような連絡は無かった筈だが。」

 

 うっ、連邦軍の恥になる事を言うべきか?

 

 「艦長、彼等は味方だ。正直に話そう。」

 

 キイチ大佐が小声でアドバイスをしてくれた。そうだな。彼等にこの情報を隠しても仕方が無いか。

 

 「お恥ずかしながら、連邦内にアクシズと繋がっていた者が艦隊を指揮していると判明しましたので、確認後に容疑者を確保した帰りです。幸い直ぐに鎮圧出来ましたので、作戦参加に間に合わせるよう急いでいた所です。」

 

 「艦隊をたった3隻で・・・。流石ですな。その艦隊は本作戦には?」

 

 「もちろん参加しません。一部の者では有りましたが、作戦に支障がある可能性のある者は、本作戦には不要です。彼等は管轄に返しました。」

 

 「そうですか。了解しました。本艦隊は以降は、貴艦の後方を追尾し、合流ポイントに向かいます。先導をお願いしてもよろしいかな?」

 

 「えぇ、結構です。今作戦ではよろしくお願いします。」

 

 「こちらこそ。では後程。」

 

 通信が切れそうに成った所で、派手な軍服を着た人物が現れた。

 

 「ちょっと待って貰えないでしょうか?突然横から失礼します。私はフル・フロンタル少佐で」

 

 「なぜ貴方がそこに居る?キャスバル議長!」

 

 突然、キイチ大佐が話に割り込んできた。ん?キャスバル議長??モニターの向こうも騒がしくなってきた?

 

 「うわーーっ!人が目を離した隙きに何やってんだテメェ!」

 とか、

 「胃が、誰か胃薬を・・・。」「マツナガ中佐しっかりーーっ!」

 とか聞こえてくる。あぁ、何か向こうも大変なんだな。

 

 「と、取り敢えずコンスコン司令。現在の状況を共有したいので、本艦に数名乗艦しませんか?詳しい話はそこで。」

 

 「そ、そうだな。そうしてくれたら、こちらも助かる。では、当艦隊は、そちらに追いつき次第5名程そちらに乗艦する。済まないなブライト艦長。」

 

 「いえ、では後程。」

 

 目線で通信を切るよう、合図を送る。無事に通信が切れる。

 

 「進路及び速度そのまま。我々は共和国軍艦隊とこの状態で合流する。一定の距離まで近付いたらガイドビーコンを放て。引き続き、周囲の警戒を怠るなよ。」

 

 「「「了解!」」」

 

 それにしても議長?議長が少佐??あちらの慌てぶりは、相当なものだった。

 

 「キイチ大佐。何か知ってるのか?」

 

 「まあな。それにしても来てしまったか〜〜。あちらのおえらいさんには同情するわ。まぁ、自分のクローンも絡んでるから、仕方無いっちゃ、仕方ないか。」

 

 「議長のクローン??」

 

 「あぁ、キャスバル・レム・ダイクン議長は、かつて一年戦争でシャア・アズナブルとして俺達と戦って来た相手だよ。」

 

 「赤い彗星!?」

 

 「あれ?結構有名な話なんだがな。艦長は知らなかったのか?まぁあれだ。公然の秘密って奴だな。俺達はア・バオア・クー戦に参加しなかったからな。結構大々的に宣伝していた筈なんだがな。」

 

 「そう言えば、そんな事もあったな。しかし、日頃の業務に追われて忘れていたみたいだ。」

 

 「まぁ艦長はその頃、結婚だ何だと忙しかったからな。確か当時のレビル将軍が仲人だったっけ?宇宙世紀の結婚式で仲人なんて艦長の結婚式で初めて見たよ。」

 

 「言わないでくれ。それは出来れば忘れたい。」

 

 あの時は取材やら何やらで忙しかったからな。なんでジャパン地区の古風の結婚式を覚えて居たのやら。将軍の博学に驚かされたな。

 

 いかんいかん。今は、共和国軍との合流に集中しなくては。

 

 「ゴホン、キイチ大佐、あちらとは本艦の会議室で情報交換をする。君も立ち会ってくれ。」

 

 「了解だ。この戦いが終われば地球圏も暫くは平和になるだろう。今からが正念場だな。」

 

 「あぁ。期待しているよ。」

 

 本当にな。一年戦争からこっち、長い間彼には助けられている。彼やアムロが居れば、出来ないことは何も無いと思う。俺は彼等をフォローすれば上手く回っていくと確信のようなものを感じていた。

 

 




 すいません。長い間お待たせしました。

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