機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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今日中にあげれました。少し長いです。


第13話  模擬戦とエース

 ジャブロー基地内 喫茶ジャブロースタイル

 リュウ・ホセイ

 とんでもない事になった。よりにもよって、明日模擬戦をするなんて。なに考えてるんだあの人!?とにかく若い連中を捕まえて、作戦会議をするため昨日の喫茶店に連れて来た。

 しかし、カイはやる気が無く、ウェイトレスのお姉ちゃん見てデレデレしてるし、ハヤトは自信なさげだ。アムロは相変わらずなに考えてるのか分からんし、ジョブは相変わらず覇気がない。

 「リュウさん。僕、中尉から手紙貰ってますよ?」

 「なに?」

 全員が一斉にアムロを見る。

 「取りあえず見せてみろ。」

 封筒に入っているレポート用紙を急いでテーブルの上にひろげた。

 「こ、これは何時貰ったんだ?」

 「MSから降りて直ぐですよ?多分あの人こうなることを予想してたんじゃないですか?それにハヤトとカイさん。もう諦めた方が良いですよ?」

 「どういう意味だよアムロ?」

 「あの人、もう二人に目をつけてますよ。勝つためならどんな手段でもとるあの人が、緊急事態のホワイトベースで二人以外にMSのシミュレーター訓練をさせないなんておかしいじゃないですか?シミュレーターなんか、24時間動かせるんですよ?シミュレーション結果だけ後でチェックすれば筋の良し悪しは大体分かるはずです。それなのに、僕たち以外にシミュレーターを使った人を見たことが有りません。オスカーさんとマーカーさんも僕たちと同じぐらいの年ですよ?MSパイロット候補生じゃないからと言われれば、カイさんとハヤトはなんです?軍属ですら無かったんですよ?」

 アムロの言葉で全員生唾を飲む。

 「つ、つまり俺とハヤトは・・・」

 「えぇ、最低でもこの戦争が終わるまで、あの人からは逃げられません。あれだけの操縦技術を持ってる人です。最前線に送られますよ、きっと。生き残りたければ、強く成るしかないんですよ。」

 「あの時食い物に釣られなければ・・・」

 「自分から志願してしまいましたもんねぇ。」

 二人は、うつむいて暫く沈黙した後、

 「えーい!こうなりゃヤケだ‼はらぁ決めるぞハヤト!!」

 「ええ!死にたく有りませんもんね!」

 二人はジャブローに着いた後、気が抜けていたが、今日やっと覚悟が決まったようだ。

 明日は行けるかもしれない。

 

 ジャブロー基地屋外演習場 ハヤト

 ジャブローのジャングルで二手に別れて配置に着く。

 敵がいるであろう方角へフォーメーションを組んで進む。アムロが先頭を進み、その後ろを左側の僕と右側のジョブさんが追いかける。その後にリュウさんだ。四角形を角で立てたような陣形だ。カイさんは、その四角形の外周の左右後方を適当に

移動している。アムロは、時々ジムトレーナーを止めて周囲を確認しているが、あれで何が分かるのだろうか?センサーを熱源に切り替えてこちらでも索敵する。

 「ハヤト、ハヤト側に2機の反応が有るけど分かる?」

 えーっと、、これか!

 「こちらでも確認した。ジョブさん、リュウさん。仕掛けます。」

 シールドで前面を隠してダッシュで距離を詰める。アムロがバーニアを吹かし、高くジャンプ。敵がどっちを撃つか迷っている。判断が遅い⁉瞬く間に2機に目掛けて集中砲火を浴びせた。全身をピンク色にして大破判定を喰らう。アムロは、ジャンプしただけで回避行動をしながら降りてくる。

 「敵が2機、右側から回り込もうとしてます。」

 敵機を発見したから、撃ち落とされないように回避行動してたのか。

 「リュウさん、そんなら後1機は正面か左側に回り込もうとしてるんじゃないの?俺、左側の高台が怪しいと思うんだよね。」

 「じゃあ、カイとジョブは高台方面の警戒。アムロとハヤトは俺と右側に移動中の敵に備えろ。」

 「「「「了解。」」」」

 僕はアムロの左側に移動し、敵に対しリュウさんを頂点とした逆トライアングルの形でフォーメーションを組み直した。センサーを再度熱源に切り替え、周囲を確認する。二手に別れてそれぞれの目標に向かう。

 カイさん達と別れて暫くすると、左側からロックオンアラームと同時に発砲音!頭部にペイントが当たったと同時にモニターがダウン。直ぐに機体をシールドで隠しながら、コックピットハッチを解放し回避行動に移る!

 「奇襲を受けた!」

 と通信を入れたところで膝にもペイントを受け、大破判定。ジムトレーナーは、自動で片膝を地面に付けて待機モードになった。

 「カイさ~ん。違いましたよ~。」

 情けない声を出し、ため息を吐いた。

 

 ジムトレーナー カイ・シデン

 「にゃははは、わりぃハヤト。」

 リュウさんと合流するため、ジョブさんと急ぐ。リュウさんは、既にこちらに向かっている。アムロはハヤトを墜としたMSと交戦中。

 何者だアイツ。アムロと互角にやり合ってやがる!取りあえず、奴はアムロに任せてリュウさんと合流だ。

 「リュウさん!」

 「悪い、俺の判断ミスだ。それより、アムロがあのMSを抑えてる内に、残りの2機を墜とすぞ。」

 「了解、悪いリュウさん。」

 「判断したのは俺だ。ほら、切り替えて行け。来るぞ。」

 敵MS2機は、森林で巧みに姿を隠しながら攻撃を仕掛けてくる。

 よく見ると、後方のMSの方はスムーズと言うか規則正しい、悪く言えば教科書どおりの動きをしている。

 「リュウさん、カイ。援護を頼む。前のMSをやる。」

 ジョブさんが、提案する。

 「こんな時慌てちゃ駄目なのよね~。こんな時は、一度引いてみない?あっさり釣られるかもよ、特に後ろの方が。」

 「そうだな、やってみる価値は有る。アムロの方に援護しに行く様に見せかけながら引いて見よう。」

 「さっすがリュウさん。そんじゃ、引きますか!」

 俺達は、マシンガンを一斉射した後、先頭のジョブさんが、後方に移動する。ほうら、釣られた。

 直ぐさまジョブさんが、足元に落として行ったハンドグレネードを狙撃。ハンドグレネードにヒット!模擬彈だから爆発は無いが、アイツのモニターはホワイトアウトしたはずだ‼今だ!集中砲火を受けてピンクに染まる敵機。そのまま残りの1機に射線を向ける。リュウさんが移動しながら攻撃に加わる。俺達への対応で手一杯のところへ、ジョブさんが突っ込んだ。巧い!敵は対応できずにジョブさんに切り伏せられた。

 「やった!!」

 ジョブさんが叫ぶ。

 「よし、アムロの援護だ!」

 リュウさんの指示でアムロの事を思い出す。えっ?まだやってんの?直ぐさまアムロの援護に行くと凄い光景があった。アムロと模擬剣で打ち合っている敵機。一瞬観客に成ったように3機とも動きを停めてしまう。突然サーベルからマシンガンに切り替えて、こっちを見ずに撃ちやがった。3機とも見事にダウン。すると全機に通信が入った。

 「訓練終了!全機格納庫前に集合。」

 ダウン状態のジムトレーナーに火が入った。

 「これ絶対オヤブンが怒る負け方だ・・・。」

 「言うな…カイ。」

 「帰りたくね~~!」

 ジョブさんの悲しい悲鳴がジャブローにこだました。

 

 ジムトレーナーコックピット リュウ・ホセイ

 ジョブが魂の叫びを上げていたところ、オープンチャンネルから呼び掛けられる。

 「聞こえるか?こちら第11独立機械化混成部隊、ユウ・カジマ少尉だ。」

 「はいっ!元ホワイトベースMS隊、リュウ・ホセイ准尉です。次の所属の正式な辞令はまだ出ていません。失礼ですがジャブロー防衛隊では無いんで?」

 「あぁ、防衛隊に是非参加してくれと頼まれてな。お陰で良い訓練ができた。」

 「サマナちゃ~ん。何で見え見えの手に引っ掛かるかな~?俺一人でどうしろっての!?」

 「すみませんフィリップさん。見事に引っ掛けられました。」

 「ユウ少尉、彼等も?」

 「あぁ、俺達三人がな。それにしても、そっちの彼は凄いな。何者だ?」

 「アムロ・レイ軍曹です。ご指導ありがとうございました。」

 「いや、こちらこそだ。でも最後の3人は頂けないぞ?戦場では足を止めるな。良いな?」

 「はい、ありがとうございます。」

 防衛隊じゃ無かったのか。パイロットのレベルが初めの2機とは違ったのはそう言う事か。しかし、帰ったらオヤブンになにを言われるやら・・・。

 

 第11独立機械化混成部隊。数奇な運命にもかかわらず、一年戦争を戦い抜いたこの猛者達と、俺達は何度も関わる事になる。

 

 




 ユウ・カジマさんの登場です。
 作者はセガサターンをこれを目当てに買った者です。でも作者の弟がニュータイプレベルの腕で、全シナリオSクリアしやがりました。モチロンハッピーエンドでしたよ・・・。でも愛着があるからですかね?ギレンの野望シリーズは、ユウを絶対生き残らせて育ててしまいます。パラメーターをもっと強く設定してくださいよ、バンナムさ~ん!

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