機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 今回は、各キャラクターとの会話のみになります。
 なお、MSはモビルスーツの略です。


第2話  若かりしブライトとパオロ艦長

 プロトタイプガンダムコックピット内

 ヤッベー、マジギリギリだったわ。ザクの核爆発を防げた~~。でも流石主人公!!一般人とは思えない反射速度だな~ おかげでテム・レイ大尉が死なずにすんだぜ。あの人にはこれからも働いて貰わないとな、アレックスの開発的な意味でも。これで少しではあるがMSの開発速度は上がるでしょ。

 おっと、通信が入った。

 「ガンダム1号機、聞こえるか?」

 レイ大尉だ。そう言えば基地内では1号機呼びだったっけ。

 「はい、聞こえます。レイ大尉無事で何よりです。こちらはガンダム1号機カシマ少尉です」

 「うむ、君たちのおかげで助かったよ。2号機の方は誰が操縦しているのかね?」

 「こちらでも確認できていません。接触回線で確認してみます」

 「頼むよ、急いでガンダムの予備部品等の回収もやらなきゃならん」

 「了解です。レイ大尉はホワイトベースに急いでください」

 「そうさせて貰うよ。ありがとう」

 レイ大尉は、電動バギーで部下の人と行ってしまった。俺はビームサーベルを収納し手を振りながらガンダム2号機(トリコロールカラー)に近づく。2号機の右肩に手を置き呼びかける。

 「こちらガンダム1号機カシマ少尉だ。聞こえるか?2号機のパイロット、搭乗者は誰か?」

 

 ガンダム2号機コックピット内

 黒っぽいMSがなにやら父さんと話しているみたいだ。チャンネルはどこだろう?マニュアルで探していると父さんはバギーで移動していった。すると黒っぽいガンダムがこちらの方に近付いて来る。敵意は無いみたいだ。ガンダムの右肩に手を置かれたところ、通信が入ってきた。

 「こちらガンダム1号機カシマ少尉だ。聞こえるか?2号機のパイロット、搭乗者は誰か?」

 接触回線?えっと、あった! コンソールを操作し、設定させた。

 「はい、聞こえます」

 回答すると共に通信画面を見ると、強面の軍人さんが映っていた。怖い。捕まるんだろうか? 僕が怯えていると、軍人さんはフッと微笑した。

 「怖がらなくていい。別に取って食ったりはしない。緊急事態だったんだ。名前を教えてくれないか?」

 顔に似合わず優しい雰囲気の人だな。

 「はい、僕はアムロ・レイと言います。友達の家族が殺されて、勢いでこのMSに乗って戦いました」

 「そうか、わかった。今、上の者と話して見るから、少し待っていてくれ。たぶん君にも手伝ってもらうかもしれん」

 「わかりました」

 そう答えると通信が切れた。僕はこれからどうなるんだろう?

 

 ガンダム1号機コックピット

 うお~~‼レイ親子と会話したよ。落ち着け~、まずはホワイトベースと通信だ。

 「ホワイトベース、こちらガンダム1号機カシマ少尉だ。聞こえるか?」

 

 ホワイトベースブリッジ ブライト・ノア

 少し前に戦闘は終わったようだ。今臨時のオペレーターに状況を調べさせているが、これからどうなるのだろうか?

 「ガンダム1号機から通信が入りました。カシマ少尉です。メインモニターに繋ぎます」

 オペレーターから報告が入る。良かった!少なくともMS1機は無事なようだ。

 「わかった、映してくれ」

 メインモニターに強面のパイロットが映った。

 「ガンダム1号機テストパイロット、キイチ・カシマ少尉です。コロニー内に侵入したザク2機は、ガンダム2号機と協力し撃破に成功しました」

 と言ったところでパイロットはパオロ艦長に気付き顔を強張らせた。

 「パオロ艦長、大丈夫ですか!?何があったんです?」

 「なに、コロニー外からの攻撃を迎撃していてな。この様だ。見た目程酷くはない、死にはしないさ」

 「分かりました。報告を続けます。今現在、レイ技術大尉がそちらに向かってます。なお、ガンダム2号機を動かしザク1機を撃破したのは、15才前後の民間人の少年です」

 「それは本当ですか?」

 思わず耳を疑い会話に入ってしまった。

 「事実です。私が戦線に到着した時、ザク2機を相手に互角の戦いをしていました。動きは素人でしたが、初めて操縦したとは思えませんでした」

 「そうか、わかった。これから君はその少年と一度ホワイトベースに搭乗してくれ」

 「いえ艦長。私は少年と協力し、使用可能なガンダムのパーツ類及び使用可能なMSをホワイトベースに積み込みたいと思います。許可を頂けないでしょうか?」

 「うむ、そうしてくれると此方も助かる。さっそく動いてくれ。後で回収した備品等のリストをこちらに回してくれ」

 「了解しました」

 カシマ少尉が敬礼し通信が切れた。信じられない。いくら緊急事態だったとしても民間人の少年が軍事機密の兵器を動かすなんて。しかも、それを緊急事態の一言で片付け、そのまま協力させようだなんて。

 「艦長、よろしいのですか?」

 「なに、古来の戦争では15で初陣など珍しいことではなかった。先の攻撃で正規のクルーの大多数が、重軽傷で動ける者は少ない。今は緊急事態だ。何としてもV作戦の成果をジャブローに届けねばならん。・・・無事な戦闘員は今のところカシマ少尉だけか・・・。」

 「それはそうですが・・・。」

 「今は一刻も早く生存者とMSを載せ、ルナツーへ向かわなければならん。民間人との協力がなければ艦も動かせん。柔軟に対応するんだ」

 「わかりました」

 成る程、軍事機密も今更か。

 「そう言えばカシマ少尉と言ったな」

 「はっ、艦長はカシマ少尉をご存知で?」

 「ああ、ルナツー防衛戦闘機隊で凄腕のパイロットだったと聞いている。開戦前からMSの重要性を上司に報告していた変わり者だともな。おかげでMS研究所にテストパイロットとして選抜されていたらしい。頭の固い上層部の何人かは疎んじていたようだが・・・しかし、一週間戦争、ルウム戦役で連邦はMSの重要性に気付かされた。先見の明もあったのだな。それに先程の対応。使えるものは何でも使おうとする柔軟な思考も持っている。この状況では彼の存在は頼もしい。ブライト少尉、彼と協力し何としてもこの状況を打破するんだ」

 「はっ、了解です」

 あちらは叩き上げのパイロット、こちらは士官学校を数ヶ月前に出たばかりのヒヨッコ。確かに今の状況では、彼の存在は頼もしい。彼が生き残ってくれた幸運に安堵の吐息を吐いた。


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