機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結> 作:水冷山賊1250F
ホワイトベースブリッジ キイチ・カシマ
ブライトが頭を抱えながら、次の作戦を説明している。うん、分かるわ~。端から見たら楽しかったけど、その立場になると頭を抱えるよな~。でも君、ホント叩けば叩くほど成長するからね。レビル将軍徹底的に鍛えるつもりだな。
「ブライト、だが作戦自体はいい作戦だ。前回と同じような作戦と言っても、今回でまだ二回目だ。対抗策があるとも思えん。それに、全部の作戦目標を達成する必要はないんだ。」
「どういうことです?」
「今回の目的は、敵MS生産工場に損害を負わせることだ。敵MSが多そうなら、ミサイル射出後戦線離脱も一つの手だな。」
「そうだな、その辺は臨機応変に対応するしかないか。」
「あぁ、そこは任せるよ。」
「了解した。あぁ、中尉。この後、第11独立機械化混成部隊と合同訓練か?」
「あぁ、カジマ少尉に頼まれてな。」
「参加者の追加リストだ。レビル将軍直々に参加するよう申し渡されたそうだ。内2名は、既にガンダムを受領されているそうだ。」
「なに!?」
すぐさまリストを確認する。ルース・カッセル、フォルド・ロムフェロー両中尉か。テム少佐のお蔭でロールアウトが早まって、実戦参加か。もう1つはユーグ・クーロ中尉率いるMS小隊か。俺達がキャリフォルニアベース落としたから、小隊壊滅せずにすんだ口か。いやぁ、やったよ戦記とめぐりあい宇宙。ガンダム7号機ってどこあんのかな今?テム少佐は今北極基地だしな。NT-1と同時進行なんて事は、出来ないと思うんだけど?いや、出来るのか?あのアムロのオヤジ様だ、普通じゃ無いかもしれん。既に6号機までロールアウトしてるんだ。俺達が居た1週間でだぞ?ホント原作でテムおじさんが酷い目にあって良かったよジオンは。果てしなく、そんな事を考えていると
「中尉?何かあったんですか?」
ブライトに心配された。
「いやいや、なんで俺達の訓練に、レビル将軍が興味を示したのかとね。」
「今更ですよ中尉。ジャブローで四、五日しか無かった訓練で、カジマ少尉は、恐ろしく腕を上げたと聞いてます。今回の作戦で凄まじい戦果を挙げたともね。ジャブロー防衛隊もレベルが上がったと喜んでるそうです。軍内の将兵からは、エース育成のカシマ道場なんて言われてますよ?」
マジか。そう言えば、レビルさんと飲みに行った時、すげえ感謝されたなぁ。
「そうか、そんじゃ期待に応えるよう全力でやらせてもらうか。少しでも生き残る可能性が増えるようにな!」
「えぇ、お互いに。」
手を振って、パイロット控え室に待機させている若い連中と合流するべく、ブリッジを出ていった。
その背中を見てブライトは、今回参加させられるパイロット達の無事を祈ったのだった。
アリゾナ州連邦軍集結場所周辺 臨時訓練場
ルース・カッセル
「なぁルース~。なんで俺達が年下の中尉殿に訓練をつけて貰わなきゃならないワケ~?ホント、レビル将軍何考えてんの?」
「バカか、あっちの戦歴見て分からんのか?凄腕どころの話じゃないぞ。」
「へ~?俺達のガンダムなら余裕だろ?」
フォルドの悪い癖が始まった。2回の実戦で、自惚れも出たのかもしれん。あれはMSの性能のお蔭だと言うのに。
「はぁ~。ここに、カシマ中尉の戦闘データがある。まだ少し時間が有るから見てみろ。」
通信で大気圏突入戦のデータを渡す。テム少佐から、ガンダムを受け取るとき貰ったものだ。彼奴にも渡されたはずなんだが。
「見たよそれ。擬装デブリに隠れて奇襲したヤツだろ?作戦勝ちじゃねえか。」
「いいから、見ろ。ザクのパイロットの目線で見ろよ?実戦を経験した今だから分かることも有るんだ!」
「ヘイヘイ。」
コイツ腕は確かなんだがな~。こんな戦争で死んでほしくない。分かってくれれば良いが・・・。
「凄いとは思うけど、俺達でも出来んじゃね?」
分からなかったか~。じゃあせいぜい発破でもかけてみるか。
「よし!そんじゃ、今日の訓練で俺達以外のガンダムを落とせたら、取って置きのウィスキーを飲ませてやる。気合い入れていけよ!」
「ウッヒョ~。例の65年物かよ!後で泣いても知らねえぞ?」
「あぁ、そんぐらいで優秀なパートナーが得られるんなら安いもんだ。」
多分、コテンパンにやられるんだろうな今日は。コイツの頭に血が昇らないよう手綱を握るのも大変なんだけど・・・。トホホ・・・。
同場所北米攻略第41MS小隊 ユーグ・クーロ
第13独立戦隊MS隊か。全員若いパイロットだが、レビル将軍お抱えとあって凄い戦果だな。赤い彗星にコンスコン艦隊を撃退。先のICBMSオペレーションの劇的な戦果。学ぶ事も多かろう。
「良いか、全員よく聞け。今日から5日間、噂のカシマ道場で訓練を受けることになる。相手が年下や、下位の階級者だからと言って、無礼は許さんぞ。少しでも、多くの物を彼等から学ぶんだ。」
「「「「はっ!了解です!」」」」
「隊長、彼等はレビル将軍のお抱えなんだ。ウチの連中で、彼等を甘く見る奴なんて居ませんよ。もし居たら、俺がケツを蹴っ飛ばしときます。」
「頼んだぞ少尉。だがお手柔らかにな?」
「はっ!了解であります!」
チームの奴等がそれを見て全員笑っている。良い雰囲気だ。この訓練で全員腕を上げ、一人でも多く生き残ってほしいものだ。もう、あんな思いはしたくない。神か悪魔か知らないが、せっかく貰ったチャンスだ。キャリフォルニアもホワイトベース隊が陥落させたし、少しでも多くの部下を生き残らせてやる!
秘めた決意を胸に、訓練開始の時間を待つユーグだった。
ユーグの小隊名は、デタラメです。41号作戦から取りました。
お気付きの方もいらっしゃると思いますが、ユーグは逆行者です。