機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 ランバ・ラル、地球へ。そして彼の参戦。


第23話  青い巨星の苦悩

 ジオン公国首都ズム・シティ 総統府指令室

 ランバ・ラル

 酒場で昼間からハモンと飲んでいたら、親衛隊が乗り込んで来やがった。とうとう俺も反逆罪の濡れ衣でも着せて殺されんのかと思っていたら、隊長を名乗る奴がバカ丁寧に言いやがった。

 「休暇中、申し訳有りませんラル大尉。至急、総統府までお越しください。車は此方で用意してあります!」

 何を言ってんだか。ブリティッシュ作戦に反対し、ドズルに啖呵を切って軍を抜けた俺に。今更何の用だ。しかし、行くしか有るまい。

 「分かった。ハモン、行ってくる。少し待っていてくれ」

 「分かりました」

 「よろしければ、お連れ様は此方でお送りしましょうか?」

 何を考えている?気持ち悪い。

 「結構だ。ハモン、後で連絡する」

 「はい」

 「では、行こうか?」

 「ご協力感謝します」

 

 こうして、ここに来たのが5分前。真っ直ぐモニターのある部屋に通され、モニターには子供が泣き出す顔面が映っている。

 「ラル大尉、今一度力を貸せ。汚れ仕事では無い、護衛だ」

 「ドズル中将、俺は今でも口惜しくてならん。なぜ貴方のような武人が、あのような作戦に乗ったのか。コロニーではなく、隕石でも良かったではないですか?同じスペースノイドの虐殺などと!・・・もう過ぎた事でしたな・・・。分かりました。受けましょう」

 「おお!やってくれるか!」

 「但し条件が有ります」

 「なんだ。言ってみろ」

 「1つ、部隊員は私の手の者から選ばせて頂きます」

 「良かろう。他には?」

 「ザンジバル級を1隻頂きたい」

 「うむ、妥当な選択だ」

 「あと、いざとなれば、ガルマ大佐に無礼な態度及び暴力を振るう許可を」

 「分かっておる。ガルマが危険な作戦を自ら行おうとしたり、身の危険に有った場合は、引きずってでも良いから助けてやってくれ」

 「了解しました」

 「MSの要望は無いのか?」

 「中将が、ガルマ大佐の事を思っていれば、おかしなMSは寄越さないでしょう?」

 「ガッハッハッハ!良かろう、3機のドムを都合する。地球に着き次第、貴様はガルマの指揮下に入れ。出港は明日0630時だ。ガルマの事を頼む。以上だ」

 あの顔で兄弟愛が強く、情に厚い。ザビ家の中では実は一番まともな人物だ。顔以外は。一度は拾って貰った恩もある。部下を食わせる為にも、一肌脱ぐとするか。

 

 ニューヤーク上空 ザンジバル

 ランバ・ラル

 あれから4日。現在、ドップに誘導されニューヤーク基地へのルートを航行中だ。

 ドズル中将から渡された敵MSのデータ映像を、隊の全員でみたが、あれは化け物だ。白い二本角のMSは兎も角、黒い二本角は、初めからやばい。まさに、悪鬼羅刹だ。その悪鬼が鍛えたのだろう。白い二本角もこの短期間で、手練れとなっており、正に悪魔だ。他の面々も侮れない乗り手であり、連邦のエリート部隊と言っても過言ではない。

 また、陽動と思われる戦闘で、ウチのエースを瞬殺した青い二本角・・・。厳しい戦いに成りそうだ。

 

 ニューヤーク基地

 ガルマ・ザビ

 今からドズル兄上が送ってくれたMS隊が、ザンジバルで到着する。しかもそのザンジバル、そのMS隊の物だそうだ。ランバ・ラル、兄上とブリティッシュ作戦で対立し、閑職に回された人物。しかし腕は確かで、ジオン一のゲリラ屋と聞いている。つまり兄上は、彼を使いこなして見せろと言うことだな!しかし姉上は、彼の言うことに逆らうなと言う。一軍の将が部下の言いなり等あり得ん。つまり、姉上は私を試してるんだな?

 ご心配召されるな姉上。このガルマ、ザビ家の男です。見事貴奴を使いこなし、このニューヤークを守り抜き、キャリフォルニアを奪還して見せます‼

 私は、兄上達に感謝し、決意を胸にランバ・ラル大尉を待つのだった。

 

 ニューヤーク基地指令部 ランバ・ラル

 「いいか貴様!私はドズル兄上の様に寛大じゃない!此れからは、私の言う通りに動け!そうすれば、貴様を英雄にしてやる!!」

 何を言っているのか、こいつは?ついた早々これだ。ウチの部下どもは、展開に付いていけず目が点に成っている。俺は眉間を軽く揉みながら、溜め息を吐いた。今の内に勘違いを糺しておかなければ、守れるものも守れなくなる。

 「大佐、これをご覧ください」

 ドズル中将から貰った念書のコピーだ。ソロモンを経由しなかったため、コピーをラミネート加工して持っている。見る見る間に顔色が変わるガルマ坊っちゃん。今回の任務はハードなものに成りそうだ。

 

 地球連邦軍本部シャブロー 軍立病院

 ヨハン・イブラヒム・レビル

 療養中の彼から、会って話がしたいと主治医を通して連絡が来た。治療に専念してもらいたいんだけどね。主治医も困ってるみたいだし、一度は会ってみるか。ってことでホイホイ出てきました。

 目の前には、不思議な髪の色(緑色)をしたイケメンがいた。もちろん声も緑○ボイスだ。

 「やぁ、調子はどうかね?顔色は大分良くなった様に見受けるが、ゼロ君」

 「はい、頭痛も大分しなくなりました。恐らく実験や、実戦をしなくて済んだからでしょうが」

 「実戦を?」

 「はい、例のガンダムを使用し中国方面で何度か。博士達は、テストと言ってましたが」

 なんてこった。ギレンの野望でエライ早くプロトゼロが出てくると思ったら、強化人間計画承認前に既に進めてたのか!しかも、ガンダム2号機の完成とほぼ同時期に参戦?テムおじさんも居ないのに?データの流出は確定ですか、そうですか。やってくれるじゃないか、ジャミトフ・ハイマン!ジーン・コリニーも一枚噛んでるか?

 「それが、あのガンダムか・・。君の他に実戦を行った者は居るかね?」

 「いいえ、いないと思います」

 良かった。あんな、劣化陸戦型ガンダムモドキ、何時擱座してもおかしくなかったよ。あんな、アブねーマシンに乗せられてたのかよ、ワシ泣けてきた。

 「そうか、研究員達の罪がこれで増えたな。機密情報漏洩で、ウチの将校にも捜査の手は入るだろう。これで膿を取り除けると良いんだがな。君に対しては、本当に申し訳なく思っている。軍の不始末に巻き込んでしまったようだ。君の情報のお陰で、少しはマシな組織になると思う。本当にありがとう」

 「いいえ、そんなこと良いんです。頭を上げてください」

 頭を下げるワシに、彼は慌てて頭を上げるよう促す。

 「そんなことより将軍、お願いが有るんです」

 決意に満ちた眼でワシを見る。イケメン良いよな~。神様もせっかく転生させてくれんなら、ワシもイケメンにしてくれよ~。種死のデュランダルさんでも良かったじゃん。

 「僕をMSのパイロットとして、使って下さい!」

 「何を言ってるのかね君は。君はもう戦わなくても良いんだ。あと、数ヵ月もすると戦争は終わる。君には平和を享受して欲しいんだよ」

 「いえ、僕はもう人殺しです。でも、貴方のような方が軍のトップにいるのなら、この世界が変わるかもしれない。僕はそれに協力したいんです。お願いします‼」

 こりゃ断れないな・・・。

 「分かった、但し条件が有る」

 「何ですか?」

 「君の部隊に専属の医師を付ける。可能な限り従って貰う。あと、渡された薬類は、必ず服用してくれ。あと、無理はするな?頭痛が出たら必ず医師に相談するんだ。良いね?」

 「分かりました」

 「そうだな、君の名前。プロト・ゼロはもう捨てるんだ。新しい名前を考えよう。もちろん、君の記憶が戻るまでの仮の名前だ。そうだな、マサキ・アンドーなんかどうだろう?」

 「マサキ・アンドー?」

 「そうだ。ジャパンと言う国で昔使われていた文字が有ってね。マサキのマサは、将軍や、将校等の意味が有るんだ。キは希望。アンドーのアンは、安全や、安定。ドーは灯火だったり闘う者だったりする。意味を繋げれば、私達の希望で、世界を安定させる灯火になる者。ってことになる。どうだろうか?」

 「希望・・・、灯火・・・。はい、僕いいえ、自分は今日から、マサキ・アンドーを名乗ります‼」

 「よし、これからはマサキ君と呼ぶようにするよ。マサキ君、君には少尉待遇としてMSに乗って貰い、現在作戦参加中のある小隊に、作戦が終わり次第、配属して貰う。もちろん、パイロットは凄腕揃いだ」

 「了解です。その小隊名を伺っても?」

 「ああ、第11独立機械化混成部隊だ。」

 緑○ボイスで、ついつい名付け親になっちゃった。本人も気に入ってるから良いよね?ユウ達と協力してサイド6にあるらしいフラナガン機関の一部を潰してもらおうかな。グレイファントム余ってたから良いよね?マサキのMSは、G-3かな。モスク・ハン博士にマグネットコーティングしてもらおう。

 感動するマサキの目の前で色々模索するレビルだった。

 

 




 はい、ゼロ参戦です。転生者ではありません。

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