機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結> 作:水冷山賊1250F
北米大陸上空成層圏 ホワイトベースMSデッキ
キイチ・カシマ
さて、吉と出るか凶と出るか?ジオンの奴等もバカじゃない。何らかの対策をしている筈だ。ブリッジから通信が入る。
「ガンダム1号機カシマ中尉、準備はよろしい?」
「あぁ、いつでもOKだ。」
「前回同様、ミサイル一斉射直後にアサルトチームは出撃してください。2分後にブラボーチームが出撃します。」
「了解だ。」
「カシマ中尉ならできるはずです。ご武運を。」
「ありがとう。」
いつもの如く、小悪魔っぷり全開だ。こりゃアムロ達が心配になるな~。
「セイラ一等兵、戦場に行く男を笑顔で送り出せれば、今より良い女になるな。」
「良い女?」
「そりゃ、しかめっ面で送り出されるよりゃ、生きて帰りたいと思うだろうよ。とくにバカな男はな。」
「中尉もバカな男で?」
「男なんて、皆バカ野郎だよ。じゃなけりゃこんな戦争起こりゃしない。それに、俺はアムロ達を軍に引きずり込んだ悪い大人と来た。せめて、アイツ等は生き残らせなきゃな。」
「中尉・・・。」
「すまんな、少し愚痴っちまった。アサルトチームはいつでも出れる。以上だ。」
「了解です。ご武運を。」
今度は笑顔で通信が切れた。う~ん。小悪魔度が上がったかな?まぁ、良い。ミサイルの一斉射をゾーリに乗り静かに待った。
ホワイトベースブリッジ ブライト・ノア
クラスターミサイルが射出されて直ぐ、アサルトチームがホワイトベースから飛び出して行った。
いつもながら見事に編隊を取りながらかっ飛んで行く。
「セイラ、あと90秒後にブラボーチーム出撃だ。準備はどうか?」
返事がない。
「セイラ!」
「は、はい!ブラボーチーム準備完了です。30秒前からカウントダウン始めます。」
「了解だ。疲れてるだろうが、気を張ってくれよ?」
「了解です。すみませんでした。カウントダウン始めます。30.29.・・・」
MS隊に吊られるように、訓練し過ぎたかな?少し訓練メニューを見直すか。カウントダウンを聞きながら、そんな事を考えていた。
デトロイト上空 ジョブ・ジョン
デトロイト基地の対空防衛陣地をリュウさんのデータで潰して行く。基地からワラワラと敵MSが出てきた。ミサイルあんまり命中しなかったのか?やっぱり警戒されてたんだな。
「プランBで行く。」
オヤブンの判断は流石に早い。
「了解!」
オヤブンのゾーリに、俺のゾーリを繋ぐ。
「ユーハブコントロール!」
「アイハブコントロール。」
次は、オヤブンがリュウさんのゾーリに繋ぐ。そう、今回はオヤブンと俺が地上部隊制圧だ。
「ユーハブコントロール。」
「アイハブコントロール!」
「リュウ、任せたぞ!ジョブ、付いて来い!」
「「了解!」」
オヤブンは俺達より早くゾーリから飛び出す。ガンダムじゃなきゃこの高さは無理だよね。
オヤブンは俺達から離れると、地上のMSに向けてビームライフルで攻撃していく。接近戦バカじゃないのが、この人の怖いとこだよな。良かったよ俺、連邦軍で。一緒の隊じゃ無ければ、もっと良かったけど。
「ジョブ・ジョン行きまーす!怖えええええ!!」
両手のブルバップマシンガンをばら蒔きながら、回避行動を取りつつ降下する。
着地後直ぐに周囲にマシンガンをばら蒔きながら、オヤブンの後を追う。
「上空からザク12機、ドム9機を確認。ドム3、ザク2を撃破した。そっちは?」
「ザク2です。」
「でかした。突っ込むぞ、付いて来い!」
「了解!」
マシンガンでオヤブンの援護射撃をする。オヤブンはビームサーベル片手にドム2機を次々に切り捨てた。
「今だ!左手のザクの3機小隊に突っ込め!」
「了解!!」
ザクの3機小隊にブーストをかけ突っ込む。ドムが2機近付いてきたが、オヤブンがビームライフルで牽制し足止めする。
左肩のスプレーミサイルランチャーを一斉射。
「3機まとめて持って行けー!」
3機とも直撃を受け撃破!空のランチャーをパージ。さっさとオヤブンと合流する。オヤブンは牽制していたドムを2機とも切り捨てていた。
「残りドム2、ザク5」
「いいえ、ザク3です。」
上空からリュウさんが報告する。
「ブラボーチーム到着!」
「そっちのドムの相手を頼む!直ぐに駆けつける!」
「「了解!」」
アムロ達も気合いが入ってるな。今回はMS隊が中心で基地の無力化を行い、ホワイトベースはMS生産工場の徹底的な破壊が主任務だ。ホワイトベースから援護は無理だろう。
ザク3機がこちらに突っ込んで来る。飛んで火に入るとは、この事だ。上空背面からリュウさんとカイがコックピットを撃ち抜き、オヤブンが切り捨てて終わった。
「カイ、アムロ達は?」
「終わりましたぜ、オヤブンさん。」
「よし、全機警戒!何か嫌な感じがする!!」
「了解!」
やめてよね、オヤブン。周囲を警戒していると、
「2時の方向、上空からプレッシャー・・・?」
「でかしたアムロ!2時の方向、上空を全機警戒!」
「了解!」
本気かよ、オヤブンもアムロも。予感?プレッシャー?そんな物は戦場じゃなんの足しにも!・・・来たよ、
来ちゃったよ!オイ!!仕事しろよ、ミノフスキー粒子!なんなんこの人達!もうヤダ!!
デトロイト基地 ガンダム1号機
キイチ・カシマ
「なんだ?あのでっかい紫色の玉ねぎみたいな奴は?」
あ、リュウもそう思うよね。
「全機集中!あの紫色を墜とすぞ!」
くそっ!アッザムの3機編隊かよ!正史では2機のみの生産じゃなかった?しかも早くないか?出てくるのが!
まずい、アッザムリーダー射出しやがった!
「地上MS全機、今射出された奴を撃ち落とせ!間違っても奴の下に潜るなよ!リュウ、カイはあのMAを墜とせ!」
次々にアッザムリーダーを墜としていく。リュウとカイは、奴のメガ粒子砲に阻まれ上手く攻撃できない。ゾーリ2機分引いてりゃそりゃ無理か。
リュウとカイに気を取られたのだろう。奴等油断して近付きすぎだ。
「ジョブ!先頭の奴だ!行け!」
「吶喊!うおーーー!」
勢いよくかっ飛んで行く。
「釣りは要らん!全弾持ってけーー!!」
スプレーミサイルランチャーが全弾アッザムに突き刺さり火の玉になる。怖じ気づいた残りの2機にビームライフルを連射。戦場で止まるとは、よほど死にたかったらしい。アムロと俺で1機づつ墜とした。
「カイ、リュウ、ゾーリは無事か?」
「アサルトチーム分無事です。」
「ブラボーチーム分も無事でーす。」
帰りの足は大丈夫だな。
「よし、全機ゾーリに乗り移れ!」
今回も無事に帰路に着くことができそうだ。
「アサルトチーム全機ゾーリのコントロールを取った。ブラボーチームはどうか?」
「ブラボーチームも全機コントロール出来ました。」
「よし、全機周囲の索敵を怠るな。これより指定されたルートでホワイトベースと合流する。」
「「「「「了解!」」」」」
全員まだ集中力を保ってるな。俺も索敵に集中するか。って言うかさっきの嫌な感じ・・・。俺もニュータイプ??
ホワイトベースブリッジ
ミライ・ヤシマ
MS隊全機、今回も無傷で帰還しました。セイラったら、あからさまに安心したため息吐いちゃって。MS隊の中に意中の人でもいるようね。誰かしら?ジョブ?リュウ?アムロ?キイチ?
「セイラ、MS隊の補給が完了したか確認したか?」
「い、いいえ、まだです。直ぐに確認します。」
「分かった。補給後は、暫くコックピットで待機するよう言ってくれ。」
「了解です。」
ブライトがこちらを見て何か言いたそうな顔をしている。
「なに?ブライト。」
「い、いや、ジャブローから出てこっち、実戦と訓練で休みが取れてなかったと思ってな。皆には、無理をさせたと反省していたところだ。今日のセイラは精彩を欠いていたからな。今回の作戦が終わったら、少し休暇を申請してみよう。」
あらら、全然分かってないみたいね。ま、休みが増えるのは良いことよね。
「そうね。取れると良いのだけど。」
「うむ、なんとか捩じ込んでもらう。」
あらあら、決意に満ちてるわね。本当に取れるかも。
「がんばってね、ブライト。期待してるわ。」
「ああ、任せろ。」
良い笑顔で答えるブライトをみて、何となく憎めない人だなと思ったミライだった。
ここにスレッガーを入れるほど、ブライトを追い込めない作者です。スレッガーさんは、どこか別の隊に編成し登場予定です。