機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結> 作:水冷山賊1250F
ホワイトベース MSドック
キイチ・カシマ
スプリガンに火を入れて暫く、敵襲のサイレンが鳴り響いた。
「カシマ中尉、発進してください。」
「了解。」
スプリガンをカタパルトデッキに乗せる。
「スプリガン、キイチ・カシマ出る。」
勢いよくスプリガンが射出される。隣のMSデッキからはアレックスが射出された。
「アサルトチーム、及びブラボーチームの各2機は、ホワイトベースの直援だ。散開して死角を無くせ。」
「「「「了解。」」」」
「アムロ、敵は4機のMSだ。少数だからと油断するな。全力で潰すぞ!」
「了解です。」
よし、油断はしてないな。少数とはいえ油断はできない。前言どおり潰させて貰う。
「俺が先行する。援護は任せる。」
「了解。」
アムロがビームライフルで援護射撃する。その援護射撃だが、この距離で正確にコックピットを撃ち抜くとかどんだけ?両方とも動いてる最中だよ?突っ込みを我慢してたが、これを機に背部スラスターを全開で突撃する。爆散したズゴックの横をすり抜け、挙動がおかしかった隣のズゴックの胴を、ビームサーベルで追い抜き様に抜き切る。更に、アムロが白兵戦に突入。奥の方の敵にビームサーベルで襲いかかる。俺は、もう1機の方へ進路変更。お?クローをこちらに向けた。ビーム攻撃をするつもりか。ランダム回避しながら敵に近づいて行く。避けきれんか。左前腕のその邪魔なクローは切り落とす!そのまま、両腕を切り落とし、そのまま袈裟斬りに切り裂いた。爆散することなくバランスを崩す。背部スラスターのみ小爆発したが、核融合炉は破損しなかったらしい。コックピットを狙ったがずれた、いや、腕の反応が良すぎて振り下ろしのタイミングが早すぎたんだな。そのまま蹴っ飛ばし、仰向けに倒す。ビームサーベルをコックピットに向け、スピーカーをオンにし呼び掛ける。
「無駄な抵抗は止めろ!武装を解除し、両手をあげて出てこい!」
続いてホワイトベースへ通信する。
「ホワイトベース、こちらスプリガン。敵MS4機を無力化に成功。内1機は戦闘不能状態で確保。至急保安要員をこちらに寄越してくれ。」
「了解。」
暫く様子を見ていると、ようやく諦めたのか、スピーカーで回答があった。
「分かった。今から、コックピットを開ける。」
よろよろとしながら、4~50代の髭面の男が手をあげて現れた。
「よし、MSから離れろ。そこの地面に膝をつけ。両手を開いて上に挙げた状態で待機だ。こちらは南極条約を遵守する用意がある。」
どうやら、本当に諦めたのだろう。こちらの言うことに素直に従い、保安要員の到着までおとなしくしていたのだった。
北極基地 保安部尋問室
ハーディ・シュタイナー
目の前の男が、何やら喚いているが耳に入らない。悪い夢でも見ているようだ。やはり強襲がばれていたか。あれほど、反対したのだが聞き入れて貰えなかった。さんざんリスクを訴えたのだが・・・。所詮俺達は捨て駒か。
初めはアンディだった。コックピットに一発。そう、その一発でアンディは原子に還った。
次は、ミーシャ。黒い悪鬼のビームサーベルの一振りでアンディと同じ運命に。
ガルシアは俺が戦っている内に殺られた。瞬く間にサイクロプス隊は、俺を残して全滅。優れた部下を無為に殺してしまった。拒否権は無かった。言い訳は出来る。だが、そのような問題ではない。何が、一当てして撤退だ。そんな中途半端な作戦に、隊員を巻き込んでしまった。隊を率いるものが行う行動ではない。
俺達の最後の戦いを、奴等は記録出来たのだろうか?それだけが気がかりだ。
ともあれ、もう俺に戦う理由は無くなった。死んで詫びる事も出来ない。思考の海に沈み込むことしか出来なかった。
北極海 マッドアングラー艦内
フラナガン・ブーン
「よし!記録員を収容したな!ハッチ閉鎖、ダウントリム30、急速潜航!!」
サイクロプス隊を犠牲にしてまでも、確認した新型の性能。あの手練れ達を差し出してまで確認する必要があったのだろうか?キシリア閣下からの指令ではあったが、今でも納得がいかない。
あの時のシュタイナー大尉の、絶望に染まった顔が忘れられない。何度も敵に気付かれた可能性が高いと直談判していたが、聞き入れられなかった。上の者は何を考えているのか・・・。
「ブーン大尉、まだ納得出来ていないようだな。」
「シャア少佐。納得云々で仕事はできませんよ。軍人ですから。ただ彼等である必要性は疑問ですがね。」
「そうだな。ただ彼らが文字通り命をかけて確認したデータだ。なんとしても上に送らねばならん。」
「了解です。」
シャア・アズナブル、ルウム戦役で多大な功を納めた者として有名だが、確かドズル中将配下であったはずだ。なぜ、キシリア閣下配下のこの船に乗ることになったのか。それにあの木馬。なぜ、上の者があんな戦艦一隻を意識するのか分からない。
「フム、そうだな、ブーン大尉。今一君らはあの木馬の危険性が分かっていないらしい。ここで彼等の戦闘データを開示しようじゃないか。」
「よろしいのですか?」
「あぁ、納得が出来ぬまま作戦に従事しても、満足の行く結果を出せるとは思えぬ。一部機密扱いのものも有るため、口外は厳禁だ。これを見てくれ。」
シャア少佐がオペレーターにデータを渡し、始めの画像データを流した。
「これが、私が初めて奴等と戦った時のデータだ。」
それから、数々の木馬の所業が映し出された。カリフォルニアベースをただの一隻で落とすか・・・。なんて狂った奴等だ。我が軍のザンジバル級で同じ事が出来るのか?出来たとして、この作戦に従事しても生きて帰れるのか?正しくカミカゼの様な作戦だ。これは、上層部が警戒するはずだ。
「分かったと思うが、奴等は連邦のエースを集めた様な部隊だ。2機のエース専用機もだが、他の機体も決して油断できる腕の者ではない。特に中距離支援機を改造してカスタマイズされた機体のパイロット。エース二人に隠れて目に付き難いが、コイツも十分狂っている。分かって貰えただろうか?コイツらが参加した作戦では、我が軍の勝率は絶望的なものになるだろう。ドズル中将麾下の私が、派閥の垣根を越えて此方にいるのもそういった理由だ。この後、安全圏に離脱後、通信で上層部に彼等が命懸けで掴んだ戦闘データを送信する。その後我々は、木馬の追跡だ。奴等の情報はできるだけ多く、本国に送るんだ。」
「了解です。」
これは、思っていた以上に困難を伴う作戦だ。この先どれ程の手練れが彼等に潰されて行くのか、不安が胸中を占めるのだった。
赤い人のストーキングが始まります。果たして彼らは生き残る事が出来るのか?