機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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レビルおじさんオコです!


第31話  レビルの怒り

 北極海上空 ホワイトベースブリッジ

 ブライト・ノア

 あれから一夜明け、ホワイトベースは出航となった。カシマ中尉が捕らえた敵パイロットの情報でホワイトベースがマークされていると判明したからだ。つまり、我々はこの先ずっとジオンに追いかけ回される運命らしい。それが判明すると基地司令は、早急にベルファスト基地へ向かうよう言ってきた。まるでお払い箱にされたようだ。

 「どうしたんだね、艦長?」

 「いえ、テム少佐。慌ただしい出航になったと思っていただけです。」

 「そうだな。実質一日もせずに出航とは。しかも、あまり寝れて無いのではないかね?」

 「えぇ、操舵手は交代で休んで貰ってます。オペレーター要員もですね。」

 「君は休めていないじゃないか。」

 「仕方ありません。幸い、ベルファスト基地はすぐそこです。高高度で移動しているため、ジオンの航空機は無視できます。大丈夫です。」

 「無理させてすまないね、頼むよ。」

 北極基地で、テム少佐を乗せてベルファストに移動することになったのだ。マッケンジー中尉とハン博士は北極基地に居残ることになった。1号機及び2号機は、データ収集後、マグネットコーティング処理をされた後、他のパイロットへ引き渡されるらしい。誰に渡されるのだろうか。興味はあるが、今は新しく入った戦力の情報が欲しい所だ。

 しかし、各種試験をすっ飛ばし、受領したその日に実戦。その後、基地内でデータ解析及び点検。全く摩耗等が無く、直ぐにでも再出撃可能と判断。戦闘データはテム少佐とハン博士の満足の行く結果だったらしく一晩中興奮していたらしい。科学者や技術屋って奴はわからん。今現在の最高傑作だと騒いでいたらしい。今後、これを越えるMSを作らなければと張り切っていたらしいが、これを越える?確かマッケンジー中尉は、これの出力は10%程度しか出せなかったのでは?彼女の尊厳のため言わせて貰うが、彼女は決して下手なパイロットではない。テストパイロットになるだけ有り、優秀なパイロットと言えるだろう。その彼女でさえ、性能の10%しか使えないようなMSは、兵器としてはどうなのだろうか?パイロットを選ぶMS。現在のホワイトベース隊等の一部のエースしか使えないような兵器に開発予算は落ちるのだろうか?甚だ疑問だ。あえて言葉には出さないが。

 モヤモヤとした気持ちのまま、ホワイトベースはベルファスト基地に向かうのだった。

 

 ベルファスト基地 作戦会議室

 ヨハン・イブラヒム・レビル

 「なるほど、やはりマークされているかホワイトベースは。」

 「えぇ、北極基地に捕らえられた捕虜によりますと、重要警戒対象となっているそうです。」

 そりゃそうでしょうよ。ガンダムに乗ったアムロだけでも警戒していたんだ。アレックスに乗ったアムロと、スプリガンに乗ったキイチ君なんて、奴等にとって悪夢以外の何者でもないだろう。

 「では、予定通りに?」

 「うむ、ホワイトベースには、後方攪乱の任に就いて貰う。」

 「レビル将軍、本当に彼等一隻に後方攪乱任務を任せるのですか?いささか危険では有りますまいか?」

 「君も彼等のデータは見たのだろう?何を心配してるのかね?ん?そういえば、ジュダック君は元気かね?」

 「と、突然何を?」

 「いや~、二人してジオンに情報を流すとか、機密漏洩罪か・・・。国家反逆罪も付くな。」

 「!?、何を!?」

 会議室のドアが開き、保安要員がぞろぞろと入ってくる。

 「いや~、心配してくれて有りがたいが、君達二人とも長生きできそうにないからね。精々余生を満喫してくれたまえ。まぁ、苦痛を味わうのも、生きている間だけだからな。」

 顔面が蒼白になるエルラン。薄汚い、スパイ野郎が。

 「まぁ、君には感謝だ、エルラン君。連邦軍の綱紀粛清のために、生きたまま豚の餌になってくれるんだ。これで二度と同じ事は、起きないだろう。連れていけ。」

 エルランが、顔面を蒼白にしながら何か喚いていた。脅し過ぎたかな?そんなことするわけないじゃん。でも娑場の空気は二度と吸わせんよ。まぁ、結局此方に協力的な行動を今後取ってくれたらなのだが。ふて腐れたり、嘘の供述で取引きを強請った場合は魚の餌かな。

 「本気にせんでくれんかね。まぁ、自白は早めにすることをお勧めするよ。あぁ、スパイの自白は不要だ。証拠は揃ってるからね。ジオンの情報をさっさと吐いた方が身のためだよ。君がどうなろうと、私の知った事じゃないがね。今度こそ連れていきたまえ。」

 「「「「はっ!!」」」」

 「将軍、今のは・・・。」

 「あぁ、彼はスパイだったよ。お蔭で、ホワイトベース隊は、徹夜でベルファストに向かっておる。私直属の部隊がだ。特殊作戦を実行可能な部隊を敵に売るとは、恐れ入るよ。」

 「確かに、許せませんな。」

 コーウェン准将がうなずく。

 「皆にも言っておく。派閥争い、権力闘争、やりたい輩もいるだろう。だが、それによって友軍の将兵の血が流れることは許さん!現在は、一人でも優秀な人材が必要だ。これを無駄に消費する事は、利敵行為と同義だ。見付け次第厳罰に処す。心に置いていてくれたまえ。」

 ジーン・コリニー中将を見ながら言ってやる。お前のことだぞ。ムラサメ研究所と、オーガスタ研究所の人体実験の黒幕は依然として判明していない。だが、釘は刺しておく。

 「話がずれたな。早速オデッサ作戦を煮詰めようじゃないか。」

 水爆の存在はすでに掴んでいる。アムロとGアーマーが無くても良いように手は打った。後は、如何に将兵の犠牲を少なくすますかだ。もうそろそろ、ニューヤークも陥落するだろう。第41MS小隊を此方に呼び戻すか。サラブレッド隊も、此方に連れてくれば陣形が整いそうだな。

 北米は、ユウ達第11独立機械化混成部隊だけでは、エースが足りないかな?不死身の第4小隊のサウス・バニング中尉にマグネットコーティング済みの2号機を渡すか。ガンダム1号機・・・。フルアーマー化して手元に起きたいが・・・。ばれるんだろうな~。ワシも乗ってみたいよガンダム・・・。

 素直にクリス中尉に渡すかな?でも性格上耐えられるかな~?なんか、お嬢さんって感じだし・・・。

 悩みが尽きないレビルだった。

 

 

 

 

 

 




エルランさん退場するの回でした。

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