機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 ジオン軍にとっての地獄の一丁目です。


第46話  兵どもが夢の後(後編)

 ジャブロー上空ザンジバル ブリッジ

 ユーリ・ケラーネ

 「アプサラス、連邦軍の集中砲火を受けています!」

 大気圏を突破し、成層圏に入ったとたん攻撃を受けた。奴等、対流圏で待ち構えていやがる!

 「ランダム回避!アプサラスのパイロットにも伝えろ‼ミノフスキー粒子戦闘濃度散布だ!」

 「ダメです!アプサラス直撃!ミノフスキークラフトにダメージを受けた模様です。姿勢制御不能、パイロット脱出します!」

 「な!!」

 今回の作戦の中心であるアプサラスが早々に墜とされてしまった。目の前で爆散していくアプサラス。目の前が真っ暗になってしまった。

 「えーい!敵機は捕捉できたか?捕捉次第に反撃だ!こちらも主砲を撃って応戦しろ!!」

 「敵機はドダイのようなサブフライトシステムに乗ったMSです。データ照合、ジムスナイパーカスタムです!バラバラに動いているため、照準出来ません!」

 「良く狙わなくて良い!こちらからも手を出すんだよ!MS隊、ドダイに乗って奴等を蹴散らせ!HLVまで全滅させられるぞ!」

 ドダイに乗ったグフが編隊を組み、奴等に躍りかかる。良いぞ、と思ったとたん散って行ったと思っていた奴等がグフに集中砲火を浴びせかけた。なんと言う《釣り野伏せり》だ!空中でやられるなんて。

 「ザンジバル全艦に告げる!全速力でジャブローに突っ込め!MS隊を射出するんだ!まだジオンはやられたわけではないぞ!MSパイロット傾聴!!本艦隊は全速力でジャブローに突っ込む。途中撃墜されるかも知れんが、貴君等は墜ちる母艦から各自で脱出しジャブローを落としてくれ!ジオン公国の命運は貴君等の働きにかかっている!ジーク・ジオン!!」

 ふん!サブフライトシステム如きに追い付けるものかよ!途中、墜とされた艦もあったがなんとか見えてきた。よし、ここからが勝負だ!!

 「全艦、MS射出!!その後方向転換し、アフリカ大陸方面に向かうと見せかける!急げ!!」

 MSが次々に射出される中、地上からの対空砲火で多くのMSが爆散していった。

 最低限の役目は果たせた。しかし、アプサラスが墜とされたのは辛い。キリマンジャロの戦力はどうなっている?ふと地上を見た所、黒い二本角が暴れ回っていた。その二本角と目が合ったと思った瞬間、二本角が飛び上がって来た。サブフライトシステムも無しにこの高さまでだと!?MSの降下可能高度まで降りたのが仇になったか!!

 「全速回避!高度を上げろ!全速離脱!」

 此方は取りつかれなかったが、後の艦が奴に取り付かれた。そのまま、ブリッジを潰された。残るは、この艦のみか。離脱に成功したと思ったら、後方から閃光に包まれ私の記憶はここで途絶えた。

 

 ジャブロー屋外ジャングル 強襲型ガンキャノン

 ジョブ・ジョン

 「宇宙からの団体さんは、これで良いか!地上に降りた奴等を片付けるぞ!」

 オヤブンは今日も張り切ってます。何あれ?ザンジバルに乗ったよね?そして、もう1隻もザンジバルに乗ったまま、ビームライフルで墜とすとか、化け物って範疇越えてるよ!

 「了解!」

 オヤブンの着地を狙われないように、敵MSに向けて火線を向ける。まぁ、オヤブンの場合、降下中もランダムに回避行動取ってるんでほぼ当たらないんですけどね。ほら、オヤブンばっかりに目が行って棒立ちのザク。敵地で足を止めたら死ぬよ?ガンキャノンで見よう見まねの辻斬りアタックをかまし、僚機のザク2機にスプレーミサイルランチャーをお裾分け。仲良くエンマサマに会って来なさい。

 「良くやった、ジョブ!残弾はどうだ?」

 「スプレーミサイルランチャーが今ので空です。ビームライフルの残量は有りません。マシンガンは残りカートリッジ二つです。」

 「よし、ホワイトベースに一度戻って補給を受けてこい。リュウ、そちらはどうだ?」

 「こっちも大分懐が寂しく成りましたよ。隊長はどうです?」

 「俺はビームライフルが半分に減ってる位だな。ほぼ、ビームサーベルとビームダガーで仕留めたからな。お前らは、補給を受けてこい。」

 「「了解!」」

 ドンだけ鬼だよ。そのままオヤブンは蒼い稲妻と合流しに行った。ジオンの奴等が憐れでならんね。

 「リュウさん、一度戻ってゾーリを持って来ましょう。」

 「了解だ。そう言えば宇宙船ドックに入り込んだザクはどうなった?」

 「さあ?補給の次いでに聞いてみましょう。」

 「そうだな。まずは、ホワイトベースに急ごう。」

 戦局は、防衛戦から、殲滅戦に移行しつつある。とっとと白旗揚げれば良いものを。二人して全速力でホワイトベースに戻るのだった。

 

 ジャブロー屋外ジャングル 陸戦型ガンダム

 マット・ヒーリィ

 「勝負は着いた!降伏しろ!!」

 ダルマにしたザクにビームライフルの銃口を向けたまま、降伏勧告をする。周囲の警戒も怠らない。昔の俺だったら、ここまではしなかっただろう。安易に止めを刺さずに降伏勧告をしてたと思う。

 しかし、あの蒼い稲妻の一騎討ちを見てその考えを打ち砕かれてしまった。良い意味でな。敵のドムをダルマにした挙げ句、コックピットにビームサーベルを突きつけ、周囲の警戒も行う。カシマ道場で聞いたところ、残心と言う考え方らしい。敵を殺していない場合、どのような反撃があるか分からない。降伏勧告は敵を無力化した後に、警戒をした上で行うべし。つくづく真っ当な考えだ。必要以上の犠牲は出さない。しかし、それも警戒を厳重にした上でだ。味方の犠牲等、以ての外だ。全員で生き残って、旨い酒でも飲もう。やはり、あのヤキトリは外せん。ザクのコックピットが開いた。

 「ラリー、周囲に敵影は?」

 「有りませんぜ。ここいらは、片付いたんじゃないですか?」

 「そのようだな。アニッシュそっちはどうだ?」

 「こっちでも敵影は確認できませんぜ。」

 「了解した。君!武器を捨てて、手を挙げたままそこで待っていろ。直ぐにホバートラックがそちらに合流する。おかしな真似は止めるんだ。せっかく拾った命だ。早々に手放すんじゃない!」

 一言忠告し、他のエリアに向かう。そう言えばジオンの外人部隊は、何処に行ったんだろうな?この頃姿が見えない。オデッサ辺りで素直に降伏してくれてれば良いが・・・。

 

 ジャブロー宇宙船ドック ガンダム7号機

 ユーグ・クーロ

 「エイガー!そっちにザクが行ったぞ!」

 空手のような動きをするドムを上下で真っ二つにし、もう1機のドムに向き直る。チッ、ジェネレーターを傷付けなかったか。素早く、ドムの両腕を切り裂く。もう1機のドムが、此方が止めを刺そうとしたように見えたのだろう。慌てて飛び込んで来たが、それは悪手だ。俺の僚機のジムコマンドが、奴の足にマシンガンを撃ちかける。ホバーをやられたのだろう、バランスを崩し数回転し、仰向けに転倒。立ち上がろうとした奴のコックピットにビームサーベルを突きつける。

 「妙な真似はするな!武器を捨てて降伏しろ!!」

 近くに落ちている、マシンガンに奴の目?カメラが向く。

 「そうか、死にたいのか。」

 躊躇なく奴のコックピットを貫こうとすると、ドムのメインアイの光が消えた。さっさと降りれば良いものを。遊びで戦争やってるんじゃないんだ。少し待つと、コックピットが開き、ガクガクと震えながら、パイロットが這い出てきた。

 「エイガー、そっちはどうだ?」

 「あぁ、ザク1機残して全滅だよ。ザクは降伏した。まだこれだけの戦力が有ったんだな。」

 「奴等を甘く見ない方が良い。手痛い目に会うぞ。自称スペースノイドの代表者様だからな。俺達は、他のブロックに向かう。ブランリヴァル隊は、母艦周囲の警戒を続けてくれ。」

 「了解!助かったよ。今度奢らせてくれ。」

 「トリゲンか?そいつは部下も喜ぶ!お互いに生き残ろう!」

 「応!」

 レビル将軍に頼まれていた、ブランリヴァルの防衛も完了したようだ。このまま一気に奴等を殲滅するか。

 「第41MS小隊は他のブロックに移動する。付いてこい。」

 「「「了解!」」」

 入り込んだジオンを叩き出すため、もう一仕事だな。

 

 ジャブロー内MS格納庫エリア

 シャア・アズナブル

 ええい!全然前に進めん。量産型の癖に良い動きをする!流石はジャブロー防衛隊か!

 「赤鼻、ここは一端退くぞ。ここからでは中枢部には届かん!」

 「了解であります、少佐!」

 浸入してきた地下水源に向かうため、周囲の岩盤をズゴッグのビームで撃ち崩し、方向転換する。連邦軍め!ここまで警戒が強いとは思わなかった。MS格納庫の周囲には監視装置だけではなく、警備要員も配置するとは!あの腐った組織がどうしてこうも強固な組織と成った?やはり、レビルか。そう考えながら移動していると、一番後の赤鼻がビームライフルで殺られた。白いMS、先程の量産機とは姿形も明らかに違う。新型のガンダムか!パイロットはあの白い悪魔か。厄介な奴に見付かった!

 「全機散開!まともに奴と戦うな!逃げろー!!」

 奴にビームを撃つため、ズゴッグの右手を向ける。奴がいない!直ぐに全速で後退する。奴の撃ったビームが前に付き出したままの右手に当たり、右手を失う。

 「少佐!!」

 僚機のアッガイが奴に躍りかかる。

 「バカ!止めろ、逃げるんだ!!」

 「少佐こそ逃げて下さい。宇宙に上がれば、例の新型が受け取れます!それでガンダムを!うわ~!!」

 アッガイが次々に墜とされて逝く。

 「すまん!仇は・・・」

 その先の言葉が出てこなかった。全速で逃げる途中もなぜ言葉が出なかったのか思い付かなかった。

 あの新型、ゲルググで奴に敵うのか?あの量産機相手ならば、楽勝だろう。だが、新型のガンダムとそれを操る二人のパイロット。恐らく、奴等がこの基地のパイロットを鍛えたに違いない。もうジオンに先は無いのか?

 いや、ララァなら!ララァと今開発中のあのMAと協力すれば或いは!

 一縷の希望を抱きマッドアングラーに合流する。仇は取る!私とララァでな!

 宇宙へ上がるため、進路をアフリカ大陸ラゴス補給基地に向け撤退を始めるのだった。

 

 




 少し長くなりました。もっと書きたい事が有るのに作者の文才の無さが・・・。
 これからも精進します。
 フェンリル隊についてはジオン軍の本気度の賜物です。
 あと、ウッディ大尉はファンファンで出てません。邪魔になります。

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