機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 ガンダムが2機も有ればそりゃ警戒しますよねって話です。


第5話  警戒するジオンとホワイトベース戦力強化

 ルナツー近海暗礁空域 シャア・アズナブル

 『なに!!ザクを4機も失っただと!!?昨日は貴様の作戦成功を祝ってパーティを開こうとしていたが、用意していた料理が全部ダメになってしまったんだぞ!!』

 怒鳴り散らす我らが上司ドズル中将。知らねえよと考えながらもシャアは答える。

 「しかし、連邦のV作戦の全容を把握しました。データは先程通信で送信済みです。」

 『少し待て。』

 ドズルは紙ベースでプリントアウトされた報告書に目を通す。

 『・・・・信じられん!これ程の物を連邦が建造したと言うのか!?』

 「私と部下が直接交戦したデータもあります。こちらをご覧下さい。」

 すると、先程の戦闘が動画として写し出される。

 『・・・黒と白のMSは白兵戦用で赤いのは中距離支援用だな。どれ・・・なっ!!?』

 ドズルは言葉を失う。白いMSは素人臭い動きだが、赤いMSと協力し、しぶとい戦いをしていた。しかし、問題は黒い奴だ。こいつは間違いなくエースだ。すれ違いざまにザクを1機ビーム兵器で撃墜後も動きを止めず、赤い彗星と対峙している。何より赤い彗星がクリーンヒットを与えられずにいる。そのくせ、ヒヤリとする攻撃をしたかと思うとすぐさま回避行動とリンクした攻撃を行う。

 『連邦にもこれ程のパイロットが居たのか!?・・・速い上にこのMSは硬いときた!ザクマシンガンも通用しない装甲とは!これでザク4機の損害は安いかもしれん。良くやった!貴様の要求したザク4機とパイロットをそちらに送る!貴様は引続き新造戦艦を追い、奴の行き先を逐一報告しろ!』

 「はっ、了解しました。」

 シャアは敬礼し、内心で安堵した。奴はおそらくルナツーに向かうはずだ。このタイミングで補給し、奇襲をかけれれば何とかなるかもしれない。それが無理なら、ドズル中将に応援を要請し、大気圏突入のタイミングで強襲をかける。奴の最終目標はおそらくジャブローだ。まだツキはこちらに有る。誰にも見られないように、暗い笑みを浮かべるのだった。

 一方ソロモン要塞のドズル中将は、先程のデータを見返し頭を悩ませていた。果たしてムサイ1隻とザク5機で新造戦艦を仕留める事が出来るのだろうか?新造戦艦の最終目標はおそらくジャブローだろう。奴のことだ、大気圏突入のタイミングで強襲をかけるに違いない。新型艦はここで仕留め、できればMSの1機だけでも持ち帰りたい。彼は腹心のコンスコン准将にコンスコン機動艦隊を地球の衛星軌道へ出撃するよう命令を下したのだった。

 

 ホワイトベース

 あれから、戦闘の検証(モチロン、プラスフィードバックだ。ここは士気を上げなければね。)をした後、俺が仮想敵となり、2対1のシミュレーションをし、二人を休ませた。今はモーションパターンの改善中だ。ビームサーベルのモーションを現代剣道の動きに変更。無駄の少ない動作に書き換えたところで仮眠を取ることにした。

 次の日、朝一番でパイロット2人を集め、トレーニングルームで軽く動いた後、軍隊格闘術の基礎を二人に教える。リュウは流石に軍人なので基本はできている。アムロは、基礎体力が出来てないが筋は良い。MSの徒手格闘モーションにはこのモーションが入っているので無駄にはならないと説明し、少しでもモチベーションを上げておく。

 少しの休憩後、今回の本題のシミュレーションだ!前回と同様、二人を相手に昨夜作ったモーションパターンでシミュレーションを行う。動作に不良はない、しっくり来る感じがする!何度かシミュレーションを繰り返す内にある異変に気付く。アムロが明らかに成長しているのだ!おいおい、回避のタイミングがみるみる良くなっていくよ!?回避行動中に攻撃も混ぜるように成りやがった!?これは原作の同時期より明らかに強くなってるよ!俺はワクワクしながら午前中の訓練を終え、アムロにはガンダムのモーションパターン、リュウにはガンキャノンのモーションパターンの作成を課題として出し、ブリッジに向かった。

 ブリッジに着くと、レイ大尉とブライトが話し合っていた。

 「どうしたんですか?」レイ大尉に伺ったところ、ホワイトベースの指揮を誰が取るかと言う話であった。

 「私は元々軍属ではない。艦隊の指揮は勿論、戦闘指揮など執れんよ。」

 「ですが階級は・・・」このとっつぁん坊やめ。

 「まあ、待て少尉。君は士官学校出だろう?戦艦の指揮運用は一通り学んでいるはずだ。それに、俺は元々戦闘機のパイロットで戦艦の事なんか分からん。今は艦長が負傷した緊急事態だ。各員が自分がやれることに全力で取り組まないと、この艦は堕ちるぞ?」

 不承不承ブライトが頷く。

 「年下の君に押し付けるのは済まないと思うが、ここは堪えてくれ。何度も言うがフォローはする。そういえば大尉はどうしてブリッジへ?」

 「君に会いに来たんだよ。アムロはうまくやれているか心配でね。」

 「昨日も言いましたが、センスが良いですね。日に日にレベルアップしてます。これが今日のシミュレーション結果です。」

 データチップを大尉に渡す。大尉は、データをオペレーターに渡しメインスクリーンに映すよう指示する。

 「・・・確かに、反応も速く、動きも様に成ってきている・・・!」

 自分の息子の戦闘センスに驚いている。

 「はい、MSに乗って二日目の人間とは思えません。末恐ろしい物がありますね。リュウ曹長も巧く支援出来てます。」

 「フム、しかし君がここまでガンダムを巧く使えるようになるとはな。サイド7に居たときとは別人とまでは言わないが、何か吹っ切れた物があるのかね?モーションパターンも格闘戦を中心に変更してるね?」

 前世の知識の剣道や、戦場の絆的な動きも入れたからな~。まあここはシラを切ろう。

 「実戦ですからね。生き残るためにこっちも必死ですよ。今はまだ試行錯誤の状態です。」

 「うむ、モーションパターンは参考になるのが有るようだ。こちらでも検証してみよう。データは貰っても?」

 「はい、先程のデータチップをコピーしてください。午後からは、実機を用いた模擬戦を行いたいと思います。」

 「分かった。そちらは、ブリッジから確認させてもらう。」

 「分かりました。ブライト少尉、パイロットの募集の件はどうなりました?」

 「それなのですが、現在ブリッジ要員の募集と一緒に行っています。今日中に報告できると思います。」

 「流石だ、ありがとう。大尉、これからもこのように情報の共有をブリッジで行いたいと思います。よろしいですか?」

 「ああ、構わんよ。現有戦力がどれくらいかは知っていた方が作戦も立てやすかろう。」

 「はい、よろしくお願いします。」

 こうして、小まめに意思統一を計りながら着々と戦力を増強していく。この日の内にパイロット要員として、元々のパイロット候補生のジョブ・ジョン、民間人からカイ・シデン、ハヤト・コバヤシの3名が増員と成った。リュウを含めた4名は、ガンキャノンとガンタンクを中心に徹底的に鍛えて行くことにした。

 もうすぐルナツー周辺宙域だ。シャアの補給強襲イベントが有るはずだ。徹底的に潰してやる!静かに闘志を燃やす俺だった。

 




 時系列が少し可笑しいですが、多目に見てください。

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