機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 今回は少し目線が違います。


第53話  駆け抜ける嵐

 サイド5ルウム暗礁宙域 リックドムコックピット

 フーバー・アイスラ

 けけけ。この暗礁宙域でビッグガンに狙われて、生き残れる奴なんているのかよ!サンダーボルト宙域の繰り返しで、連邦のMSなんてガラクタに変わるに決まってら~。こちらは隠れて、こそこそ撃ってりゃあ、スコアが稼げる。楽な仕事だ。卑怯だなんて言うんじゃねえぜ?これが戦争ってもんだ。こちとらジオンは、ただでさえ兵力が少ねえんだ。頭使わなきゃあなあ。

 ん?何だ?木馬からMSが2機だけ出て突っ込んで来るぞ?死にたいのか?

 「キース、フィッシャー、今度の奴さんはずいぶんと頭が弱いらしいぜ?新型だからといって図にのってるらしい。確実に仕留めるぞ?」

 「「了解!」」

 フフフフ、ここで新型を仕留めりゃあ俺はジオン十字勲章ものだ。晴れて俺も英雄の仲間入りだ。こんな体に成っても女は選り取りみどり。早くコイコイ、新型ちゃん。ダリルの奴もかわいそうにな~。無事な両腕落とされちまって。ぷぷぷ、笑える。折角両腕落としたのに出番なしかよ、ギャハハハハ。

 おっといけねえ。よしよし、そのまま、そのまま。もう少しで此方の射程だ。良いぞ、良いぞ?狙い撃ちに馴れちまって、指の震えなんかねえよこっちは。慎重に、慎重に。今だ!うん?避けられた?キースとフィッシャーも撃ち出した。終わったな。ん?避けてる!こっちの場所が分かってんのか?ヤバイ!

 「撃て撃てーっ!!このままじゃあこちらが殺られるぞ!!」

 3人でしっちゃかめっちゃか撃ってるが当たる気配がない。何故だ?白い方がビームライフルを撃ってきた。一際大きな火の玉が暗礁宙域を照らす。

 「キースーっ!!」

 キースが殺られたのか?ヤバイ、此方にも近付いてくる。今度は黒い奴がとんでもないビームを撃った。また火の玉が暗礁宙域を照らした。今度はフィッシャーか。逃げよう!ビッグガンから離れ、全速力で後退する。今までいた場所で爆発が起こった。危なかった。流石にガトルはもう逃げているか。俺も後退だ。今度の奴等はヤバイ。

 生き残れた事に安堵の溜め息を吐き、ドライドフィッシュに戻ろうとしたところで、俺のコックピットを閃光が貫き、俺の意識は永遠に途絶えた。

 

 サイド5ルウム暗礁宙域ガトル コックピット

 ショーン・ミタデラ

 ヤバイ、ヤバイよあいつら。なんで撃たれる直前に避けれるんだよ。可笑しいだろ?どんなからくりかは知らねえが、俺達の手には負えねえ。早くドライドフィッシュに伝えねえと!皆が死んでしまう!レイトンは隣で必死に操縦捍を握っている。

 「ドライドフィッシュ!聞こえるか!逃げろーっ!とても手に負えねえ!無駄死にするなーっ!」

 声の限りマイクに向かって叫ぶ。こんな化け物とダリルを戦わせる訳には行かない!アイツは良い奴だ。死んで良いヤツじゃ無い‼

 「ダリルーっ出てくるなーっ!!」

 マイクに叫びながら、ドライドフィッシュがいるであろう場所へ飛ぶ。願わくばもう離れていてくれ。

 ガンガンガン!!ボンッ!!!何かが機体に当たり、機体の後部が破裂した。バルカンにでもやられたのか?激しく揺さぶられる機体。コントロールも効かなくなった。俺はここまでか。

 俺達の横を白と黒の悪魔が通りすぎていく。

 「頼むーっ、殺さないでくれーっ!」

 通信が生きているとは思えない。しかし、叫ばずにはいられなかった。白と黒の悪魔の先には、赤く塗装されたザクが立ち塞がった。

 「ばか!止めろ!」

 涙で前が見えなくなった。

 

 サイド5ルウム暗礁宙域 サイコ・ザク

 ダリル・ローレンツ

 皆で生き残るため。そのために三日前手術を受けた。データで見た連邦の新型の性能。そして、戦闘の映像。もしも狙撃に失敗した場合、艦隊は大変な事になる。本当は嫌だ。しかし、皆の命と引き換えには出来ない!昨日と今日で大分この機体にも慣れてきた。やれる筈だ、皆を救うんだ!

 作戦宙域との中間地点にいるはずのガトルから通信が入る。あぁ、狙撃に失敗したんだな。ショーンが必死にこちらに訴えている。

 逃げろだって?ははは、上の連中がそう易々と敵前逃亡等許すものか!生き残りたければ戦うしかないんだ。作戦宙域へとサイコ・ザクで出撃する。

 「ダリル・ローレンツ。サイコ・ザク、出撃ます!」

 一気にドライドフィッシュから遠ざかる。大丈夫、自分と、このMSを信じろ‼この機体なら、どんな相手にでも負けはしない。勝てる!

 しばらく進むと白と黒のMSが見えてきた。相手もこちらを認識したようだ。ん?白いMSがこっちを無視してドライドフィッシュに向かって行く。

 「舐めるな!」

 白いMSにジャイアント・バズを撃ち込むが難なく避けられる。次の瞬間、黒いMSが飛び込んできた。ヒートホークを構え、ビームサーベルを受け止める。

 「ちっ!」

 直ぐに溶断されるため直ぐに距離を取る。邪魔だなこいつ!この機体の動きについて来れると思っているのかよ。ヒートホークを黒い悪鬼に投げ捨て、予備のヒートホークを構える。何だ?左手でかかって来いと挑発してる!!

 「バカにして!!」

 目一杯ブーストかけて奴に飛び込む。奴は反応出来てない?勝った!奴目掛けて袈裟斬りにヒートホークを振り抜く。

 ??手応えがない?避けられた?振り返ると、サイコ・ザクの右手が無くなってる。左肩ジョイント部分にはビームダガー?が突き刺さってる。

 右から攻撃警報?気が付くと奴がビームサーベルをコックピットに突き付けている。無理だ。死んだなこれは。

 「ザザッ、、、聞こえるか?武装解除しろ!ザクの動力を切り、コックピットを開け!!」

 何だ?投降を呼び掛けてるのか。チャンネルを合わせてみる。これか。

 「分かった。抵抗はしない。」

 ザクの電源を落とし、コックピットを開く。この状態だ。武装のしようも無い。

 「あんたらの戦争はこれで終わりだ。投降するのなら、此方は南極条約に則った待遇を約束する。」

 「それは助かる。」

 「あぁ、あんた達の船な?素直に武装解除に応じてくれたようだ。良かったな。」

 「それは感謝する。俺達はどうなるんだい?」

 「さあな、だが悪いようにはならんだろう。もう直ぐルナツーからの艦隊の合流ポイントだ。そこまでは連行させてもらう。」

 「了解だ。なあ、一つ聞いても良いか?」

 「何だ?」

 「なぜ俺は負けたんだ?テストでは、リックドムにも勝てたんだぞ?」

 「あぁ、さっきの動きな。まるでチンピラの喧嘩だ。いくら速くても、動きが大きすぎて、読みやすい。君、もしかして本来スナイパーだろ?格闘技の経験も殆ど無いだろ?」

 声が出なかった。こりゃ相当手加減されてたのかな?

 「なんで殺さなかったんだ?」

 「いや、あのガトルがな?泣きながら命乞いしてるんだ。殺さないでくれってな?ついな?」

 フフフ、ショーンのお蔭か。俺の戦争はここで終わったか。いや、終われたんだな。

 「参った。」

 気付かない内に涙が溢れていた。

 

_________________________________

 

 戦後の話をしよう。あの後俺達はルナツーの艦隊に引き渡された後、分遣艦隊に連れられルナツーに収容され戦後を迎えた。

 艦長達は軍事裁判待ちだが、極刑は免れる見通しだ。

 リユースサイコデバイスは、皆の前で廃棄され、研究資料も没収後廃棄されたらしい。まぁ連邦にしてみれば要らないんだろうな、あんな技術。あんなMS作れるのなら必要ないか。

 カーラ女史は情状酌量を認められ、直ぐに釈放された。親父さんはザビ家に処刑されそうになっていたらしいが、ガルマ坊っちゃんが必死に止めていたらしい。ただのボンボンじゃあ無かったみたいだ。ザビ家にも、少しはマトモな奴がいたんだな。

 今では義肢の開発にのめり込んでいる。戦争で四肢を失った人の日常生活を支えたいとのことだ。最近は笑顔を見せてくれることもある。

 今になって思い出す。あの戦争はなんだったんだろうと。何度考えても答えは出てこない。でも考えることに意味があるんだろうな。

 

 カイ・シデン著 一年戦争回顧録

 ダリル・ローレンツの手記より抜粋

 




こんな感じになっちゃいました。ムーア同胞団は、いつの間にかムーア奪還成功ですw。子供は死なない方が良いよね?
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