機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結> 作:水冷山賊1250F
コンペイトウ周辺宙域マゼラン級ブリッジ
シーマ・ガラハウ
今更救われようなんて、思っちゃいなかった。あの命令を実行した事で、知らなかったとは言え、多くの民間人を虐殺してしまった。今でも毎晩夢に見ちまうよ、うぶなネンネじゃ有るまいし。
あれ以来気づいちまった。所詮私らは汚れ仕事をさせられるために、軍に入れられたのだとね。
そんな時だ。連邦のレビルから話を持ち掛けられたのは。あのジイサン、私等に捕縛命令も出して無かった。ただ、本当の話を聞きたいと言われたんだ。
疑ったね。当たり前じゃないか。直属の上司でさえ、私等を騙したんだ。だけど、あのジイサンは諦めず、何度も接触を計って来た。うちの連中には止められたが、一度会って見ることにしたんだよ。もう疲れてたってのも、正直有ったのかも知れない。半分ヤケさね。
そこで全てぶちまけたんだよ。どうせ、信じやしないだろうがね。
だが、あのジイサンは信じてくれた。私等の話を真剣に聞いた上で。そして、連邦軍に迎え入れてくれたんだ。有りがたかったよ。どこに行っても、蔑まれ、踏みにじられた私達が・・・。
いま、私等の艦隊はそっくりそのまま連邦軍の艦船に、乗り変わっている。元の船は、これから始まる作戦に使われるそうだ。
リリーマルレーン、愛着の有る艦だ。沈めないでくれよと祈るしかないね。
「姐さん、レビルのジイサンから通信です。」
「将軍と言いな!メインモニターに映せ。」
「やあ、突然悪いね。君に報せなきゃ成らない事が分かった。」
「何ですか将軍?私等に報せなきゃ成らない事とは。」
「前に聞いたよね、君達の故郷の話。確か、サイド3のマハルコロニーだったかな?」
「えぇ、そうですが。それが何か?」
「緊急疎開が少し前に有ってね、今マハルは兵器転用中らしい。」
「はっ?マハルを?確かなんですか!?」
ジオンの奴等は、私等の故郷すらも奪うつもりらしい。
「姐さん!!」
ブリッジの連中が騒ぎ出す。
「騒ぐんじゃないよ!!レビル将軍、私達にもその作戦参加させてはくれませんかね?」
「やめた方が良い。マハルは破壊することになる。辛い思いをすることになるぞ。」
「それでも!あたし等の故郷なんだ。最後は自分達で手を下したい。」
「気持ちは分かった。しかし、君達にはやって貰わなくてはならん事が有る。」
「それは?」
「なに、ジオンが如何に卑怯な手を使い、コロニーに毒ガスを使ったか、生きて証言してほしいのだよ。心配しなくて良い。君達は私が守る。安心して証言してくれ。そのためにも君達は生き残って貰わなければならん。分かってくれないかね?」
「分かりました。なら、私だけでも参加させてくれませんか?私が連邦軍に寝返った事は、彼方は気付いて無い筈だよ。絶対役にたつよ、私は。」
「分かった。そこまでの覚悟が有るのならば良い。シーマ中佐、リリーマルレーンに乗艦し、マハルコロニー攻略作戦に協力してくれ。作戦の詳細はそちらで聞くように。」
「はっ!将軍、ありがとうございます!」
「生き残れよ。通信は以上だ。」
通信が切れた。私は副官であるコッセルに向き直る。
「コッセル、この艦と海兵隊を頼む。くれぐれもしくじるんじゃないよ。」
コッセルは私を見た後、何か諦めたようだ。
「分かりやした、姐さん。海兵隊は守り抜いて見せやすぜ!」
頼もしい限りだ。しかし釘は刺さないとねぇ。
「何時までも海賊じゃ無いんだ。中佐と呼びな。」
「はっ!シーマ中佐も、お気をつけて!」
「それで良いよ。」
お互い顔を見合せ、苦笑してしまう。さあて、あの将軍はどんなとんでも作戦を立てたのかね。
まぁ、マハルの最後をこの目で確かめさせて貰おうじゃないか。決意を胸に、ブリッジから離れて行った。
グレイファントム会議室
ブライト・ノア
今、ここには4隻のペガサス級強襲揚陸艦の艦長が集まっている。
グレイファントム艦長 エイパー・シナプス中佐。ブランリヴァル艦長 ヤクモ・ココノエ中佐。サラブレッド艦長 キルスティン・ロンバート中佐。そして私、ブライト・ノア大尉だ。やはり何時までも私にペガサス級を任せるのは間違っている気がする。
会議室のドアが開き、男性将校と女性の秘書が入って来た。全員起立し敬礼する。将校も敬礼を返し前方のモニターまで移動した。
「集まって貰ってすまないね。少将を勤めているジョン・コーウェンだ。以後、僅かの間だが、君達の指揮を預かることになった。以後宜しく頼む。」
「「「「はっ!」」」」
「早速で悪いが、明日0800時に、諸君等にはある作戦のため出撃して貰う。」
「それでは、少将。我々は星一号作戦を抜けると?」
シナプス中佐が質問をした。
「いや、そうではない。まずは聞いてくれ。質問は後程受ける。レーチェル君、例のものをモニターに映してくれ。」
「畏まりました。」
モニターに閉鎖式のスペースコロニーが映し出された。
「この写真は数年前に写された物だ。写っているコロニーはサイド3のマハルコロニー。見ての通り閉鎖式のコロニーだ。そして、数日前に写された写真がこれだ。」
映し出されたコロニーは、底部が外されていて、内部が顕になっていた。周囲に多数の戦艦や巡洋艦が写っている。
「現在、マハルコロニーの住民は疎開させられ、コロニー自体が兵器に転用作業中とのことだ。
情報部によると、この兵器の名前はソーラ・レイと言うらしい。威力は、射線上に入った艦隊を壊滅させられる事が可能とのことだ。有効射程は不明だが、恐らくア・バオア・クー攻略のための艦隊を狙うつもりだろう。この兵器が有る限り、連邦軍はコンペイトウより先には進めん。
ジオンが、ソロモンが陥落しても和平交渉を持ち出さないのは、この兵器のせいだと考えられる。まだ試射はしていないが、もう完成したと思われる。
現在、このソーラ・レイはサイド3から離れた宙域に移動している。諸君らには、部隊を率いこの兵器の破壊を行って貰う。」
「たった4隻で・・・。無茶な。」
シナプス中佐が絞り出すような声で発言した。
「無茶でもやって貰わなくては困る。多くの将兵の命が掛かっているのだ。それに、大軍で攻めると察知されてしまう。君達にしか頼めんのだよ。」
全員の背中に戦慄が走る。
「仕方有りませんな。やるしかないみたいですぞ、シナプス中佐。」
「そうだなロンバート中佐。」
「腹を括るか。」
ココノエ中佐もため息を吐きながら、覚悟を決める。
「そうですね。ミノフスキー粒子を散布しながら高速移動。そこからの急襲し、目標の破壊後そのまま高速離脱ですか。やれないことでは有りませんね。」
「そうか、ブライト大尉。君達がやっていた得意の戦法か。頼りにさせて貰うぞ。」
いやいや、期待されても困るのだが。
「そういう事だ。作戦的にはおおよそそれで合っている。最後は離脱ではなく、占拠、殲滅、コロニーの破壊までして貰いたい。なお、この作戦には別動隊として、こちらに投降したジオン公国軍海兵隊の艦リリーマルレーンも参加する。船員は連邦軍の将兵だが、海兵隊の指揮者であったシーマ中佐も参加することになる。シーマ中佐達は、明日0300にリリーマルレーンで現場に赴き、ソーラ・レイ守備軍に入り込んで貰う。諸君等が急襲するのに合わせて、守備軍内部から攻撃に参加する予定だ。なお、リリーマルレーンには、オデッサで降伏に応じてくれたジオン軍MS特務遊撃隊及び2名の連邦軍パイロットのMS隊が配備される。」
「その2名とは?」
思わず聞いてしまった。少将は気にした風もなく、
「君の所のクワトロ・バナージ大尉の元部下だよ。確かアポリー軍曹とロベルト曹長だったかな?開戦直後辺りから、鹵獲したザクで戦っていたらしく、ジオン製MSの操縦には慣れているらしい。」
「そうですか。ありがとうございます。」
クワトロ大尉はそのような事をしていたのか。成る程な、だからMSの操縦が上手かったんだな。
「星一号作戦の成否は諸君等の働きに掛かっている。本作戦は、以後《オペレーションメテオ》と呼称する。本作戦の現場指揮官を、シナプス中佐に任命。それに伴い、臨時的にシナプス中佐は大佐に昇進して貰う。
ア・バオア・クー攻略には諸君等は参加出来ないとは思うが、それよりも重要な作戦だ。諸君等の健闘を期待する。」
全員が起立し、少将に敬礼した。確かにこれは重要な作戦だ。恐らく、この作戦がこの戦争で我々にとって最後の作戦になるだろう。
少将が会議室から出ていった。
「オペレーションメテオか。責任重大だなシナプス大佐。」
「よしてくれ、ココノエ。ブライト大尉、これから作戦の細部を詰める。協力してくれないか?」
「はい。でしたら、うちのMS部隊長も呼びましょうか?今まで作戦は彼と協議しながら作成してました。実際MS部隊の動きが鍵に成りますし。」
「そうだな。では、各艦のMS部隊長を召集し1時間後ここに集合だ。では、諸君解散。」
シナプス大佐の号令で、一度解散することになった。最後の戦いか。激戦の予感に身が引き締まる思いがした。
遊撃隊MS
シャア専用ゲルググ ケン・ビーダーシュタット
ザクⅡ改 ガースキー・ジノビエフ
ザクⅡ改 ジェイク・ガンズ
アポリー&ロベルト(アコース&コズン) ゲルググM
シーマ様 シーマ専用ゲルググM
一話投稿に戻ります。