機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 ひさびさギレンさんの登場です。


第59話  末期の公国

 宇宙要塞ア・バオア・クー 司令部

 ギレン・ザビ

 「グレートデギン、連邦の主力艦隊と接触します!」

 「老いたな、父上も。時期外れの和平交渉など。」

 ドズルを捨て石にしてでも立てたこの作戦。これで連邦軍の半数以上を壊滅させる。ドズル。お前は無駄死にでは無い。お前のお陰で、連邦軍を叩き潰せるのだ。

 レビルもレビルだ。連邦軍を改革出来るのなら、なぜもっと早くやらなかったのだ!もう遅い。もう全ては遅すぎるのだ!開戦前にそのチャンスは幾らでもあった筈だ。これだから、腰の重い老人は始末に負えん。精々あの世で父上と仲良くやってくれ。

 「ソーラ・レイ照射準備。目標射線ゲル・ドルバ。」

 「ソーラ・レイ応答無し!総統!ソーラ・レイのアサクラ大佐から応援要請!ソーラ・レイ、連邦の艦隊の攻撃を受けています!」

 「なに!」

 移動させたとは言え、サイド3の目と鼻の先だぞ?連邦はソーラ・レイの存在を把握していたのか?どこから情報が漏れた?いや、今はそう言う事を言っている時ではない。既に此方の主力はア・バオア・クーに送ってしまっている。

 「敵の規模はどのくらいだ!?」

 「連邦軍の木馬タイプが4隻だそうです!」

 「フム、少数の部隊での強襲か。」

 これならば、奴等を押さえられるかもしれん。キシリアの艦隊は位置的に離れすぎているか。よくもばれずにたどり着けたものだ。そこだけは誉めてやろう。

 「サイド3に残っている親衛隊及び守備隊を全艦出撃させろ!ソーラ・レイを守り抜くのだ。連邦軍の小細工を叩き潰せ!アサクラには増援の到着までなんとしてももたせるように言え。」

 「了解!」

 ふん、高々4隻の艦で何が出来る。ソーラ・レイの守備艦隊だけでも勝てるかも知れんな。少し焦り過ぎたか。だがレビル。起死回生の一手には、戦力が足らなかったようだな。

 

 「アサクラ大佐と連絡が取れません。」

 「何、今は戦闘中だ。ミノフスキー粒子濃度が薄まれば、連絡は付く。しかし、このタイミングでソーラ・レイを撃てないのは、問題か。いや、奴等を此方に引き付ければ、より多くの敵を纏めて叩くことになるか。」

 「確かに・・・。」

 将兵に安堵の表情が戻る。

 「アサクラには、こちらから呼び掛け続けろ。応答が有り次第、照準を微調整。今度こそ連邦を叩く。」

 「了解!」

 フフフフフ、待っていろレビル。貴様の命もあと僅だ。

 この時まで私は、ジオンの勝利を疑っていなかった。それから、僅か一時間後の事である。

 「ソーラ・レイ方面で大きな爆発を確認!アサクラ大佐とは依然として連絡が取れません!」

 何?どういう事だ?たった4隻の艦隊に、ソーラ・レイ守備隊がやられたと言うのか?

 そこで私はドズルの言っていた事を思い出す。

 「兄貴!コイツらは危険だ!」

 「新型MS。機体性能、パイロットの錬度共に危険すぎる!」

 そうか。私は、敵を過小評価していたのか。ドズルの言っていた、危険な艦は増えたのだな。そして、アイツだけがその危険性を正確に把握していた。キシリアさえも、危険性は把握していても、そこまでの評価はしていなかった筈だ。戦バカだと思い、余り相手にしていなかったが、今になってそのツケが現れるとは。

 迫り来る連邦軍の主力艦隊。あの特殊部隊が居なく成ったと思うだけでも少しはマシか。その特殊部隊も、親衛隊と、サイド3の守備隊に壊滅させられるだろう。後は、数ばかり揃えた量産機だけ。ぎりぎりだが、勝てるな。

 「落ち着け。連邦軍は奴等の切り札を捨てゴマに使ったのだ。後は数ばかり揃えた雑魚に過ぎん。落ち着いて戦えば勝てる戦だ。」

 そうだ。我々の切り札はソーラ・レイばかりでは無い。空母ドロスとドロワも有る。ここで勝てば、少なくとも有利に和平交渉に持っていける。

 しかし、レビルめ。ソーラ・レイを破壊するなど。あれを使う意思も無いのか。やはり、きれい事だけの理想家か。しかしその理想のお陰で此方は大損害だ。残してくれれば奪還して使えたものを。

 「兵を鼓舞する為に演説を行う。すでに準備は出来ているな?」

 「はっ!」

 「では行こう。」

 予定とは少し違うがまあ良い。地球圏の統一は無理となったのは悔しいが、まだやりようはある。その為には兵の士気をあげなくてはな。

 新たな決意を胸に、開場へとむかうのだった。

 

 

 ソーラ・レイ周辺宙域 ジオン本国防衛本隊

 ゲルググコックピット

 エリック・マンスフィールド

 

 総統から、直々の命令が下った。サイド3の目と鼻の先に有る、ソーラ・レイに敵艦隊が襲撃をかけたため、救援に向かっているのだ。

 私は腸が煮えくり返る思いでいる。よくも舐めて呉れたものだ。いくら、連邦軍のエース部隊で有ろうとただでは済まさん!よくも我々の庭先でそのような真似を!

 「中佐、MS隊の指揮は任せる。十分に暴れてきてくれ。」

 「はっ!」

 「奴等にここが何処か思い知らせてやるんだ。任せたぞ!」

 コンスコン少将も大分ご立腹のようだな。死んだなアイツら。ま、南極条約の前に捕虜にもしてやらん!12隻の戦艦で奴等を踏み潰してくれる!

 

 作戦宙域に近付いたが、戦闘が行われていない!?既にやられたのか?ソーラ・レイを確認すると、一部が破損している。くそ、復旧にはどれだけ時間がかかる?防衛戦に間に合うのか?

 「ザザッ、、、中佐、MS隊で先行してくれ。どうも様子がおかしい。」

 「どうしたんですか?少将。」

 「海兵隊のシーマ中佐とは連絡が取れたが、アサクラ大佐とは連絡が取れん。コントロール艦のグワシン級の姿も確認できん。何かおかしい。」

 「あのジオンの恥さらしが寝返ったと?」

 「あり得る。奴等を信用するな。木馬は隠れているかも知れん。」

 「了解です。MS隊先行する!ソーラ・レイ周辺にいる友軍機には、ポイントを落としておけ。奴等は寝返った可能性が有る!気を抜かずに付いてこい!」

 疎らに散らばっている海兵隊機とソーラ・レイ防衛MS隊機には、抵抗の動きは無い。我々に何の反応も示さない。考え過ぎか?

 「中佐、援軍感謝するよ。まぁ、木馬はもう逃げちまったがね。お陰でこっちはボロボロさ。コントロール艦もやられちまったよ。」

 「では、アサクラ大佐は。」

 「戦死さね。奴等、高速で襲い掛かり、高速で離脱して行きやがった。カリフォルニアでやった攻撃を、宇宙でもやりやがった。癪に障るがね。」

 「そうか。」

 「その時、シコタマミノフスキー粒子を撒き散らして行ったんだ、連絡もつけられなくてね、参っていたんだよ。」

 「そうか。ならばなぜ貴様らは離脱した艦隊を追わぬ?我等と合流する意味は?」

 「確実に仕留めるためさね。・・・・・あんたらをな!!」

 数条のビームが我々に襲い掛かる。やはりか!数機が落とされたが、此方は警戒していたのだ。此方も反撃に移る。

 「全機反撃開始!!奴等を殲滅する!本土防衛戦の前の生け贄にするのだ!」

 連邦軍のMSが隠れていたデブリから現れた。しゃらくさい!高々30機程度が増えたぐらいで結果は変わらん!

 「うわーっ!中佐~っ!!」

 次々に墜ちていく友軍のMS隊。何故だ?数は我等が上回っている。MSもゲルググ等最新鋭機を使いこなしている筈だ。

 「慌てるな!数は此方が上だ!敵1機に対し此方は複数で当たれ!」

 「ダメです!奴等の動きが速すぎます!!」

 「何故だ・・・。」

 「フフフ、簡単さね。サイド3でぬくぬくしていたあんた達と、最前線で戦い抜いた奴らじゃ物が違う。狩られる獲物はあんた達さ。」

 「シーマ!貴様!!」

 「取りあえず言っておくよマンスフィールド中佐。降伏しな。あんた達に勝ち目は無い。よく見てみな。黒い悪鬼に白い悪魔。それに蒼鬼までいる。どう見ても勝ち目は無い。」

 「連邦の狗どもに、負けてたまるか!」

 「ここまで来て、現実を見れないのかい。仕方無いね、部下が可愛そうだ。引導を渡してあげるよ。」

 「やってみろ!」

 「アイツがね。」

 ?ふと、周りをチェックすると、黒いMSが突撃してきた。黒い悪鬼か!!

 「舐めるな!」

 ビームライフルを打ち掛ける。ちっ!当たらん。ビームナギナタに持ち換え、奴に斬りかかる。私も軍隊格闘は得意だ。格闘戦で遅れは取らん!先ずは、シールドバッシュだ。ん!手応えが無い。避けられた!直ぐ様その場所を離れる。左足を切り裂かれた。やるな、相手にとって不足は無い。ビームナギナタで斬りかかる。内側にナギナタを反らされ、右腕が切り裂かれた。どういう手品だ?距離を取りながらシールドを奴に投げつける。奴がシールドを避ける隙にビームライフルを左手で構える。貰った!奴に向かってビームを撃つ。この距離なら!避けられた・・・。擦れ違い様に奴がビームサーベルを振り抜くっ!

 そこで私の意識は永遠に消えた。

 

 

 スプリガンコックピット

 キイチ・カシマ

 隊長機を火の玉に変えたら、残りの敵機は一斉に引いて行った。戦力差も把握出来なかった奴が隊長だったのか。生き残ったMSは10機に満たない。

 「追撃をかけないのかい?」

 「あぁ、シーマ中佐。奴等はもう戦えない。実戦経験も少なく、勝ち戦しか経験して無いみたいだ。もう敵ではないですしね。」

 「甘いね~。そのうち寝首をかかれちまうかもよ?」

 「そこまで油断はしませんよ。奴等も本土防衛の任務が有る。まぁ、現状でその戦力は無いに等しく成りましたが。撤退の遅れはどうしようも有りませんね。自分達の知ったことじゃ有りませんが。それよりもソーラ・レイの完全な破壊が先です。作業を開始しましょう。」

 「そうだね・・・。もう帰る事は出来なくなっちまった。こんなもんは壊すしかないね。」

 「えぇ。」

 故郷を自分の手で破壊する。どういう気持ちなのだろう。

 「シーマ中佐、艦に戻って休息を取られてはいかがですか?作業は自分達がやりますので。少しお休みになるべきでは?」

 「気を使わせてしまったかね?大丈夫さ。最後までやるよ。それが故郷に対するケジメってもんさ。」

 強い女性だ。こんな女性をないがしろにし、使い潰そうとしていたジオン。何考えてんのかね。

 「では、協力をお願いします。」

 「あぁ、任せな。」

 ソーラ・レイの破壊活動に戻るか。後は任せましたよ、レビル将軍。

 ア・バオア・クーの方を見つめ、勝利を願うキイチだった。

 

 




 コンスコンさん生き残るの巻でした。
 次回からは、オリ主と原作主人公抜きのア・バオア・クー戦です。
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