機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結> 作:水冷山賊1250F
トリントン基地屋外発着場
キイチ・カシマ
目の前にガルダが停まっている。そう、アムロが合流した。
「お~い、アムロ~。」
「隊長、お久しぶりです!」
アムロがこちらに敬礼をしてきた。こちらも返礼し、直ぐに手を下げる。新型ガンダムを持ってきた筈なんだが、プロトタイプガンダムmarkⅡかな?あの変態技術者だ。それぐらいしそうである。
「どうだ?新型ガンダムの進捗状況は?」
「あらためて親父の偉大さが解りましたよ。僕にはまだ無理ですね。テストパイロットが関の山です。親父もビダン大尉発案のムーバブルフレーム機を作っているんですが、ビダン大尉の方はガンダムをそのままムーバブルフレームで作り直した感じなんですよ。でも、親父の方は、ムーバブルフレームを色々試していて、今後の発展を見越した試作機って感じです。見てみます?」
「あ、あぁ、そうだな。見せてもらおうか。」
「まだガルダのMS格納庫に有るんですよ。こっちです。」
テム・レイ中佐、あんた何作ったの?おそるおそるアムロの後を付いていく。MS格納庫に白と青のツートーンカラーのMSが屹立していた。百式や、ゼータを思わせるその顔・・・。零式??レイ中佐、あんたなんてものを作ってるんだ!?思わず、声を失ってしまった。
「ガンダム零式《レイシキ》です。白と黒の2機を持って来ました。隊長にもテストして欲しいとのことです。」
「凄いな。これは、確かにこの先に繋がる機体となるぞ。変形機構でも付けたら、単独で大気圏突入離脱能力まで付くかもしれん。それに、作戦宙域までの移動時間が短縮される。」
「変形機構?MSが飛行機に・・・?ムーバブルフレームなら可能か・・・。凄い、その発想は無かった!流石は隊長!早速親父に連絡だ!」
「お、おいアムロ~?」
ヤバイ。要らんことを口走ったかもしれん。
「なんですか、隊長?」
えーい、ままよ!
「俺は図面とかは作れないんだ。折角だからアムロ、お前がそのアイデアを使って図面を作って見ろよ。」
「良いんですか、隊長!?早速手の空いた時間に作らせて貰います!」
「あ、あぁ、無理せずにな?そう言えば、クリス中尉は来てないのか?」
「来てますよ?今零式の試験計画を打ち合わせ中です。」
「そうか。そう言えばアムロ、クリス中尉との仲はどうなんだ?」
「え?えへへ、この前やっと交際することに成りました。」
「お!そうか!やったな!じゃあ、小まめに何処か連れて行ったりしなきゃな。そっちも疎かにしちゃダメだぞ?」
「はい!ありがとうございます。」
「うん、うん。何か有るとハヤト辺りに相談すると良い。じゃ、俺の零式はあれか。コックピットで説明してくれないか?」
「もちろん!」
こうして俺は新しい機体を受け取った。プロトタイプガンダムmarkⅡだが、マサキ・アンドー中尉に試験運用を任せたらしい。ま、ゼロだからね。それで良いと思う。
これで機体の方は万全だ。サフリィでゼータはいつ頃出来るんだろう?どちらにしても、これでまず負けることは無くなった。狂信者共め!来るなら来やがれ!地獄に叩き落としてやる。
トリントン基地屋外訓練場
ジム・トレーナー チャック・キース
訓練が始まって1週間。俺はジム・トレーナーがあんなに動ける機体だとは思わなかった。エース部隊の面々も、機体性能のお蔭であの戦果を叩き出したとばかり思っていた。
違った。そもそも操縦技術がピカイチなんだな。1G環境下でAMBACとか、ドンだけだよ?
「キース少尉、無理に付いて来ようとしなくて良い。予め、狙撃ポイントの当たりを付けておくんだ。そして、そこから援護射撃するスタイルを取ってみろ。」
「了解!」
ハヤト准尉から、アドバイスを貰う。そうだな、あの辺りなんか全体が見えて狙撃にはもってこいだ。
ん?何か動いた!MS??
「右前方、コロニーの残骸の上に何か居ます!全機警戒!」
「「「了解!」」」
「良いぞ。その調子だ。自分達が確保したい場所は、おおよそ敵も確保したい場所になる。一歩離れた場所からそう言う場所の目星を付けておくと、今回の様にそこに警戒が出来る。ウラキ少尉と同じ事をする必要は無いんだ。君は君の出来ることでベストを尽くすんだ。」
「了解!後、訓練中は階級は要りませんハヤトさん。僕は教導を受けている立場です。」
「了解だ。」
そうなんだな。こんな感じで、結構的確なアドバイスが来る。MSの操縦訓練も苦では無くなる。強い筈だ。個人個人に合った戦術を教えられるんだ。コウじゃあ無いが、次の訓練が楽しみに成ってくる。自分がレベルアップしているのを感じられるんだ。
今では俺とコウとカークス先輩とアレン中尉は、基地のMS隊から羨望の的に成っている。各基地から引っ張りだこに成るのも解る。まさに教導隊だ。訓練を受ければ受けただけ、確実に強く成れる。つまりは、生き残る確率が飛躍的に上がるんだ。こんなチャンス滅多に無い!コウが楽しみにしていたのは、こう言うことだったのか。
「ハヤトさん、あそこの残骸の上から狙ってみます。」
「良い判断だ。俺が周囲を警戒する。準備が出来たら言ってくれ。あちらのコロニーの残骸に強襲をかける。援護を頼む。」
「了解です!」
いや~、ハヤトさん流石だな。俺の考えていることを酌んでくれる。
この日初めてカークス先輩から、撃墜判定をもぎ取った。ま、ハヤトさんの、フォローのお蔭では有るんだけどね。でも、その夜の酒は旨かったとだけ記しておこう。
トリントン基地屋外訓練場
アムロ・レイ
俺と隊長は、今日は1日零式同士で模擬戦だ。久しぶりに隊長と戦うけど、流石だな。今のところ、勝率は五分五分。こっちの方が半月も早くこのMSを受領してるって言うのに、そのアドバンテージは開始直ぐに無くなった。明日になれば、勝率は四割を切るかも知れない。少し現場を離れ天狗に成っていたのかもな?これは、今日の夕方から居残りで訓練かな?
ちっ!回避が速い!あの機体の特性をもう把握してる。適応力も超一流だな!だが、簡単には勝たせてやらない!懐に入れないように戦うんだ!隊長に勝つには、そうするしかない。この機体の限界はここじゃ無い筈だ!
2機の零式の機動は激しさを増し、常人の域を越えて行くのだった
トリントン基地屋外訓練場 管理棟
クリスチーナ・マッケンジー
凄い。ただただこの言葉しか出てこない。本格的に動かすのは今日が初めての筈なのに、こんなに動かせている。と言うか、アムロに対し五分五分の勝率なんて!
この二年間、彼と一緒に居るけど、彼の異常な戦闘センスには舌を巻いていた。一年戦争後も、着々と腕を上げていたのに、それ以上だとでも言うの?
「凄いぞ、クリス君。シャイアン基地で取れたデータをこの数時間で更新している。やっぱりここに持ってきて良かった!」
「そうですね、レイ中佐。あの零式をここまで動かせるなんて。ある意味アムロ少尉専用と言う機体だったんですけどね。」
「いや~、初代ガンダムのテストパイロットを勤めて貰ってたからね、彼にも。でも、サイド7襲撃から一皮も二皮も剥けたからな彼は。しかも、新型MSのアイデアもポンと出た。MS形態と、飛行機形態の可変型MSか。これはビダン君も巻き込んで早速始めなければな!アムロの図面も良い感じだ。これから忙しく成るぞ~!あぁ、彼をシャイアン基地に連れて帰れないだろうか?レビル将軍も頑なに彼を手放さん。あぁ、勿体ない!」
「はははは・・・。」
親子して彼には夢中みたいね。アムロ君も楽しそうに模擬戦をしている。少し妬けちゃうな。
2機の零式を微笑ましい気持ちで見つめていた。
クリスさんは、やっぱりお姉さん目線ですww。あくまでも、ゼロシキでは無く、レイシキです。