機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結> 作:水冷山賊1250F
宇宙要塞 茨の園
エギーユ・デラーズ
「戦力が整いつつある今、我々は起つべきでは有りませんか?水天の涙作戦の実行を具申します!」
エリク・ブランケ少佐か。まぁ確かに戦力は整いつつある。ルナリアン共の協力を得てだがな。
「まぁ、待て。ブランケ少佐、この資料を見てくれ。」
「はっ!」
アナハイムエレクトロニクスから渡された資料を渡す。新型ガンダムの開発計画だ。
「その2号機を見てくれ。核兵器の運用を想定された機体だ。」
「核兵器!奴等、南極条約を一方的に破棄する積もりか!なんと言う傲慢!許せません!」
「そうだな。だから全てのスペースノイドに報せなければならん。この和平が偽りであることを。そして、全てのアースノイドに叩きつけてやらねばならん。自らが開発した兵器で焼かれる恐怖を。挙兵するには、大義が必要になる。そして、この兵器の存在は、我々が起つ大義と為りうる。少佐、命令だ。インビジブルナイツを率い、このMSを奪取するのだ。そして、衛星をジャックし、全ての者にこの兵器の存在を明かす!全てはそこからだ!」
「了解!エリク・ブランケ少佐、全力でその任務を遂行します!」
「厳しい戦いになる。頼んだぞ。」
「了解!!」
あの戦争でエースと呼ばれる人間は大抵殺されてしまった。残った連中の大半は、ダイクン家の青二才に騙され、共和国の守備隊に成り下がった。嘆かわしい限りだ。ギレン閣下の御心も解らぬ、俗物共め!志を持ち戦い死んで行った者達に申し訳無いとは思わぬのだろうか?
エリク・ブランケ少佐のような若い力が協力してくれる事を僥倖と言うべきか。彼のように、高い志を持ち、MSの操縦技術が高い人材が、私に賛同してくれている。ギレン閣下の考えはやはり正しいのだ。スペースノイドの裏切り者、キャスバル・レム・ダイクンに等スペースノイドの未来を任せてはおけん。
デギン・ザビ公王とキシリア様は終身刑、ガルマ様はキャスバルめに騙され協力体制を敷いていると言う。まさに嘆かわしい。
「デラーズ中将、宜しいでしょうか。」
「どうしたのだ、サンギーヌ大尉。」
「先程の作戦、感服致しました。連邦の俗物めが建造したガンダムの強奪作戦、素晴らしい考えだと思います。それと同時進行で、キシリア閣下の奪還作戦を具申致します。あの方は、これからのジオンに無くてはならない方です。幸い、閣下の拘束先は把握できています。どうか、作戦の許可を。」
「サンギーヌ大尉、それはガンダム強奪よりも厳しい作戦だぞ?出来るのか?」
「この命に掛けても!」
フム、人格的には兎も角、操縦技術は我が軍一の技量を持つ大尉だ。これは、失敗したとしても、陽動になるな。奪還の成功率もまずまずだ。
「分かった。その作戦承認しよう。是非とも救出を成功させてくれ。頼んだぞ。」
「はっ!お任せください!」
我が軍は若い力が充実している。勢いに乗れば、我が大願叶うかも知れん。アナハイムエレクトロニクスも我々に力を貸してくれている。恐らく裏が有るのであろうが、使えるものは何でも使わせてもらおう。見ていろ、連邦軍及び共和国共。我々がスペースノイドの希望の光となってみせる!
月面都市フォン・ブラウン市
アナハイムエレクトロニクス フォン・ブラウン社屋
メラニー・ヒュー・カーバイン
新型ガンダムの情報は、上手くジオン軍の残党共に渡ったようだ。レビルめ!大人しく我々にMSの開発生産を発注すれば良いものを!奴の足を引っ張り引き摺り落としてみせる。何がサフリィだ!こちらはジオニクス社の者達を多数雇い入れている。ジムの量産で、連邦系の技術も手に入れた。結局はガンダムと言う機体は、高性能機であるのだろう?我が社の技術があれば、そんなもの幾らでも作ってみせる。
そして、レビルを失脚させ、連邦軍のMSの全てを我が社で契約を取り、わたしはCEOに就任するのだ!
「カーバイン副頭取、大丈夫ですかね。反逆罪として拘束されかねませんよ?」
「ふん。連邦政府内にも、レビルを煙たく思っている者は多いのだ。彼等に話は通してある。我々に発注すれば安く、大量に生産されるものを。軍の内部に兵器生産工場等作りおって。良い噂は聞かんよ。金喰い虫だとな。やはり英雄は、平時には必要無いのだよ。」
「では?」
「あぁ、当初の予定通りデラーズの手の者をトリントンに潜り込ませろ。何、失敗したとしても構わん。本命のあの方は、此方に賛同の意を示してくれた。地球圏は荒れるぞ。ビッグビジネスのチャンスだ。」
「流石は副頭取。抜け目が有りませんね。」
「ビジネスとは二手三手先を読んで行うものだよ、オサリバン君。これでレビルの奴ともオサラバだ。ハハハハハハ!」
この男、絶好調である。しかし、彼は知らなかった。自分が既にレビルにマークされていることを。密かに、試作ガンダムの4号機のデザインをジオン製MSに換え、デラーズフリートに引き渡した事も把握され、ガーベラ・テトラとして運用されている事も露見していた事さえも。
地球連邦軍本部ジャブロー
レビル将軍執務室
ヨハン・イブラヒム・レビル
「そうか。奴が暗躍していることは確定しているが、はっきりとした証拠は無いか。」
絆創膏男達も、頑張ってくれているが、何分奴等のセキュリティーは固い。オサリバン常務の尻尾は掴めたが、奴の尻尾は掴めていない。このままでは、オサリバンの頭パーンで蜥蜴の尻尾切り成立。後ろめたい事をする気満々である。
「しかし、気になる報告も有ります。彼はジャミトフ・ハイマンにも接触している節が有ります。現在閑職に回されている彼に接触し、何をしようとしているのでしょうか?」
「恐らくは、連邦軍内部に私設組織でも作らせる積もりだろうな。アナハイムが手を回し、支援して。」
「連邦軍内部に私設組織ですか?一体どうやって議会を通すのです?」
「恐らくは、ジオン公国軍残党の対処とスペースノイドの監視強化の為の部隊として新設するのだろうな。私を引退に追い込んでな。アースノイドだけのエリート部隊とか、地球至上主義者には甘美な響きに成るのだろう。実際は、スペースノイドの弾圧やジオン公国軍残党の虐殺が目的か。」
「そのような事をすれば、折角治まった戦乱が拡大してしまいます!」
「だろうな。だが、そうなれば兵器は売れる。それこそ飛ぶようにな。奴等にモラルなど無いよ。人の命に何の価値も見いだしていない。自分達に危害が加わらなければ、目を覚ますことも無いだろう。我々も決断しなければならない時が来たのかもな。」
「将軍・・・。」
「我々は勝たなければならない。地球圏に住む人々を守る為にも。その中には勿論平和に過ごそうとするスペースノイドも含まれる。やはり、MSの製造開発は民間企業を入れてはならないのだ。利益のために戦乱を起こそうと企てるなど言語道断だ。これからは、連邦軍と民間企業の戦いになるかも知れん。引き続き、奴等の監視を強化してくれ。」
「了解です。」
やはり動くかアナハイムエレクトロニクス。ジオニック社の技術者を大量に雇用したらしいが、それで我々に勝てるかな?我々もジオニック社の技術は把握している。
それに此方には天才テム・レイ中佐が居るのだ。奴等が作ったガンダムで果たして勝てるのか?エースの価値も分からない連中の皮算用とも思うが、油断は出来ない。地球圏を巻き込む戦乱の予感に、頭痛の種が尽きないレビルであった。
あの大企業が、暗躍を始めました。