機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 綺麗なパープルトンさんです。(ガトーには出会ってません。)
 今回の話は、追撃任務中の時間軸で、同時進行中の別視点です。
 


第69話  新事実

 トリントン基地取り調べ室別室

 ニナ・パープルトン

 マジックミラーの向こう側には、わが社の整備士ニック・オービルが居た。彼は、その日予定に無かった試作2号機の核弾頭を実装した人物だ。

 「だから、スケジュールを勘違いしてたんですよ。」

 「あぁ、あなた方ジオン公国軍残党は、そんな言い訳が通じる程連邦軍は甘いと考えてるんですね。そりゃ、地下に潜ってテロ活動の一つもしたくなりますよね。甘い見通しだなぁ。」

 「おい、何を聞いてたんだ!俺はジオンの残党なんかじゃない!」

 取り調べ官は、彼の話を聞いていない。一方的な決めつけじゃないの!連邦軍には人権は無いの?

 「あのぉ、一方的な決めつけに聞こえるんですけど?」

 「あぁ、パープルトンさん。決めつけではありませんよ。彼は元ジオン公国の軍人です。ジオン共和国に確認を取りました。しかし、アナハイムエレクトロニクスの履歴書には、その事実が記入されていません。しかも、一年戦争の時からアナハイムで働いている事に成っている。おかしいですよね。そんな者が社運を賭けた連邦軍の新型MS試験に同行するなんて。」

 「そんな・・・。」

 「パープルトンさん我々はね、アナハイム社自体を疑っているんですよ。だいたいね、何故アナハイムは核武装型ガンダム等を建造したのですか?我々はね、MSの性能向上のための試験的な建造と言うことで許可を出した筈です。誰からの指示なんですか?」

 「指示と言いますか、色々な戦略を想定した場合、核武装は必然だと思い私が提案しました。上からは許可を頂いてます。連邦軍からも開発の許可が出た筈ですよ?書類にもほら。」

 書類のコピーを提出する。核弾頭の受け取りにも必要だったため、管理していたのだ。連邦の高官のサインも入っている。

 「あぁ、それは確認しました。その連邦の高官、この前死体で見つかりましたよ。自宅寝室でね。」

 「そんな・・・。」

 「つまり貴方は今回の2機のガンダムの設計に携わった訳ですね?ではお訊きします。何故あそこまで核弾頭の管理が甘かったんですか?取扱責任者の許可無しに簡単に持ち出せる管理体制なんて聞いたことも有りませんよ?これではジオン公国軍残党に核武装ガンダムを引き渡すのが目的だったと思われても、言い逃れが出来ませんよ?誰がこの体制を指示したんですか?」

 「いえ、上の者は何も言いませんでした。」

 「そうですか。では尚更疑いが強くなりましたね。」

 「そんな!私達はそんなことしません!」

 「そう、あなた達はね。上の者達が怪しいんですよ。核武装型ガンダムをあのテロリスト共に奪取させるように、お膳立てしてやったようなものです。まぁ今は隣を見ましょう。」

 そう言って、マジックミラーの方を見るように勧める。あの人は元ジオン公国軍の軍人。私のガンダムをテロ組織に引き渡そうとしてた人。いいえ、もしかしたら私の上司も・・・。

 

 同取り調べ室

 ニック・オービル

 ちっ。誤魔化せないか。だが、諦める訳にはいかん。なんとしても時間を稼がないと。

 ドカッ!バキッ!拳で2回殴打される。

 「て、てめえ!民間人に何をしやがる!」

 「あぁ、まだ目が覚めませんか。こちらは、ジオン共和国にあなたの素性を確認済みなんですよ。元ジオン公国軍情報部曹長ニック・オービルさん。戦後姿を眩まし、3年後アナハイム経由でアルビオンに乗り込むとは。いやはや、大した度胸ですな。」

 「只の同姓同名だ!顔も違うはずだ!確認してくれ!あと、弁護士を呼べ!」

 「残念ながら声紋確認で本人と確定したよ。」

 「そんなバカな!そんな時間は無かった筈だ!出任せを言うな!」

 「ん?君は、今回の件だけで疑われていたと思っていたのかね?おめでたい。流石は虐殺者の残党だ。自分の都合の良い事ばかり考える。GP02のコックピット認証を弄っただろう?その時からだよ。あと、作業着のままでも動かせたから、安心したんだろうな。GP02な、ダルマにされた後、パイロットを確保したよ。あっちは自白剤でも使ってさっさと背後を自白させる予定だ。お前も自白剤が良いか?やさしくしている内にさっさと吐くんだな。」

 そんな前から。

 「まさか、俺は泳がされていたのか?」

 「あぁそうだ。今頃気付いたのか?暢気なモノだな。分かったらさっさと話せ。場合によっては整形後、代えの身分を用意してやらん事もない。どうする?自白剤で頭が狂った状態で放り出してやろうか?」

 畜生、ここまでか。俺はもう降りるしかないか。

 「分かった。俺が知っていることを全て話す。まずどの話が聞きたい?」

 「デラーズフリートと、アナハイムの関係からだ。情報部に居たお前の事だ。保身のために何らかの証拠も持ってるんだろう?」

 コイツら、本当の目的はアナハイム潰しか!

 「アナハイムはあんたらの大事なMS供給元じゃ無かったのか?」

 「いや違うな。レビル将軍は彼等財界人を信用していない。金儲けの為に、平気で戦乱を煽る輩だからな。今回は狂信者のテロリスト共に支援している事は明白だ。蜥蜴の尻尾切りで済ませるわけにはいかない。」

 アナハイムの奴等はレビル将軍を甘く見たな。仮にもあの天才ギレン・ザビに対し、初戦で大敗はしたが、その後はほぼ完封して見せた男だ。奴等得意の裏工作、裏取引、駆引きがどこまで通用するのか見物だな。

 一方レビルは、戦後も不正を正すメスを振るう気満々であると。デラーズ閣下が言っていたように、終戦で連邦が腐敗するとの予想は外れたのか?これは見届けなければならん。元々レビル将軍は、スペースノイドとアースノイドの融和推進論者であった。スペースノイドの自治独立を、彼に賭けて見るのも良いかも知れない。そして、レビルの薫陶を受けたキャスバル・レム・ダイクン。スペースノイドの未来は、そこまで暗いものでは無いのかもしれん。

 経済界の麒麟児メラニー・ヒュー・カーバインか、不正や非道を許さぬ鋼の英雄ヨハン・イブラヒム・レビルか。これは、高見の見物をするには最高のカードか。

 「分かった。俺が持ってる証拠を全部出そう。だがな、メラニー・ヒュー・カーバインに辿り着ける程の証拠は無いぞ?今のところ、実行役のオサリバンの野郎の証拠しか揃ってない。俺もアイツを脅して逃げる気で居たからな。だが、ちょくちょくアイツ等は会っているようだ。後はそっちでやってくれ。」

 「協力に感謝するよ。証拠の精査が取れ次第、連邦軍と司法取引きと行こう。何も取引が商売人の専売特許では無いよ。」

 「そりゃそうだ。少し反則っぽいけどな。」

 「明らかな犯罪では無いよ、あちらと違ってな。」

 「違いない。」

 それからは、奴等に言われた事に素直に話すことになった。

 

 トリントン基地取り調べ室別室

 ニナ・パープルトン

 話を聞いている内に、血の気が退いて行った。我が社の真っ黒な内情を聞き、それに私も利用されている事実。

 社運を背負ったプロジェクトの為に、私が費やした時間の全てが茶番劇。私はただ、アナハイムエレクトロニクスの未来のために、自分の力で全力を尽くしたのに。私のガンダムが只の陰謀の道具に成り下がったなんて。悔しくて涙が流れた。人をバカにするにも程がある!

 「パープルトンさん。レビル将軍が話が有るそうです。通信を繋いで良いですか?」

 レビル将軍が?

 「分かりました。お願いします。」

 モニターにレビル将軍が映し出された。パッと見、近所の人の良いお爺さんのような人だ。

 「やあ、パープルトンさん。貴女の設計開発したガンダムを拝見させて頂きましたよ。素晴らしい出来だ。現状のモノコック構造のMSでは、この辺りが限界で有ろう性能だ。民間企業の底力を見せて貰った気分だ。」

 「お褒めに預かりありがとうございます。しかし、レイ中佐の作った零式も拝見させて頂きました。流石はガンダムの産みの親レイ中佐です。未だに向上心の衰えが見えない斬新なMSでした。しかも、宇宙用、地上用と分けることなく、汎用性が高い。改良の余地まで残していそうです。トライアルのつもりで全力で挑んだ機体ですけど、トライアルなら負けてましたね。完敗です。」

 「そこまで卑下するような差ではないと思うがね。どうだねパープルトンさん。サフリィに入って力を振るってくれないかね?」

 「私はアナハイムの人間ですよ?信用するんですか?」

 「私はアナハイムの全てを否定している訳じゃない。拝金主義者の経営陣が真の敵だよ。君達のように、技術の向上や、社のために働ける人間は貴重だよ。その力是非とも人類の未来のために役立てて貰いたい。それとも君は、あの腐った上層部に義理立てでもする気かね?」

 「いいえ、そんな気は失せました。できれば、同僚も数人受け入れて貰いたいんですが。彼女等は優秀ですので。」

 「分かった。近日中に本人達に希望を聞こう。」

 「分かりました。それでは今後サフリィでお世話になります。」

 「ありがとう。レイ中佐達と切磋琢磨し、最高の機体を作り上げてくれ。」

 「了解です。」

 もうアナハイムにはいられない。新しい職場にスカウトされて、アナハイムを見返す闘志が沸いてきた。私を利用しようとしたこと、後悔させてやる!

 私は静かに闘志を燃やすのだった。




 サフリィの技術チート要員追加ですww。
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